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がっつり食べたい気分だったので天ぷらを作ることにする。エビ、イカ、キスもある。野菜もさつまいも、なす、インゲン、レンコン・・・。元の世界の野菜がこんなに揃っていてウキウキしてきた。天丼にするのもいいけど、塩と天つゆと分けて食べたい。うーん、楽しみ。
陛下やお父様、お兄様たちは喜んでくださるだろうか。ドキドキする。あ、忘れてはいけない。殿下もだ。食事に時間をかけられないかもしれないから、天丼の方がいいかな。考えながら下準備を始める。
殿下の手を握って離さなかった。
あの時の誰かの手が殿下の手とは気づかなかった。意識したことではないのだが、周囲は勘違いしてるだろう。殿下のことは嫌いではない。好きか嫌いかと聞かれれば、好きである。しかしそれが男性としてかと聞かれたら微妙である。
マリアンヌの周囲で年齢が近い他人の男性は、騎士団の人か殿下だ。騎士団の人は料理を食べてくれる人、という認識。恋愛感情というより、食堂の店主と客、もしくは母と息子・・・という感情だ。彼らの食べっぷりは参考になるし、達成感がある。
では殿下は?感覚的には弟というのが一番近い。だが、いずれ殿下と向き合う時が来るだろう。今から考えなくても、その時に任せればいいかと思い考えるのをやめた。今は天ぷらの準備である。
私はサクサクと準備を始める。油も用意してどんどん揚げていく。香ばしい匂いがして、自然とテンションも上がる。
本当は目の前で揚げて、出来立てを食べてほしい。作り方を見せたらみんなどんな反応をするだろうか。隠す必要はないと思うのだが、この世界ではそういう訳にはいかない。料理人は特殊な職業であり立場なのだ。私がそれを壊すわけにいかないだろう。
とりあえず、食事の準備はできた。好評だったら他にも配ればいいだろう。天丼はお兄様も好きになるに違いない。天丼の歌も歌ってくれるだろうか。楽しみである。
お母様たちのエステは終わったかな。一緒に食べられるだろうか。様子を見るため部屋の外に出たら先ほどのメイドが立っていた。
まさか、ずっとここに?
「あの、食事の準備ができましたが・・・」
恐る恐る話すと
「ご案内いたします」
丁寧にお辞儀をされた。メイドの後ろを静かについていく。案内された部屋の中にはフランクリンがいた。
「マリアンヌ様、お元気になられて何よりでございます」
またもや丁寧にお辞儀をされる。フランクリンの少し薄い頭頂部が丸見えである。
「陛下のことは・・・」
フランクリンは陛下の側近のはず。陛下をほっといていいのだろうか。
「陛下から直々に賜りまして、本日からマリアンヌ様の筆頭執事の任務を全うさせていただくこととなりました」
「私も、皇后陛下より賜りまして、マリアンヌ様の筆頭侍女とさせていただきます。クララと申します」
先ほどのメイドも頭を下げた。え?筆頭執事に筆頭侍女?何それ。
「後程正式にご通達がございましょう。他にも専属の護衛などもつきました」
は?護衛?まだ王族じゃないけど。
「マリアンヌ様に何かございましたら、国の一大事でございますので」
フランクリンは笑いもせず真面目に淡々と話す。そのため私も神妙な気持ちで受け止めた。
部屋は大きなバルコニーのある部屋だった。バルコニー越しに庭園が見渡せる。バルコニーに出てみたいなと思ったが、
「間も無く皆様がご到着されます」
と、クララに止められた。皆様、とはどなたか。全員集合だろうか。とりあえず食事の準備をしよう。
天丼を2つ出す。天ぷらは大量に揚げたので天丼も作っておいたのだ。
「同じようにお出しするか決めてないですが、毒味お願いします」
2人が動きを止めた。
「毒味・・・でございますか」
「はい、毒は入れていませんよ」
冗談のつもりでにっこり笑ってみたが
「なるほど・・・」
と、真面目にしげしげと天丼を見ている。やはり珍しいよね。天丼。
「なんて・・・美味しい」
「先にいただいてよろしいのでしょうか」
美味しそうに頬張っているお二人。よろしいのでしょうか、なんて言ってはいるが食べることは止めない。2人とも食べられたということは、悪い人じゃないんだなと思う。悪い人かも、なんて思っていないけど。新しい加護は、もしかしたら利用できるかもしれない。そんなことを考えていた。
陛下やお父様、お兄様たちは喜んでくださるだろうか。ドキドキする。あ、忘れてはいけない。殿下もだ。食事に時間をかけられないかもしれないから、天丼の方がいいかな。考えながら下準備を始める。
殿下の手を握って離さなかった。
あの時の誰かの手が殿下の手とは気づかなかった。意識したことではないのだが、周囲は勘違いしてるだろう。殿下のことは嫌いではない。好きか嫌いかと聞かれれば、好きである。しかしそれが男性としてかと聞かれたら微妙である。
マリアンヌの周囲で年齢が近い他人の男性は、騎士団の人か殿下だ。騎士団の人は料理を食べてくれる人、という認識。恋愛感情というより、食堂の店主と客、もしくは母と息子・・・という感情だ。彼らの食べっぷりは参考になるし、達成感がある。
では殿下は?感覚的には弟というのが一番近い。だが、いずれ殿下と向き合う時が来るだろう。今から考えなくても、その時に任せればいいかと思い考えるのをやめた。今は天ぷらの準備である。
私はサクサクと準備を始める。油も用意してどんどん揚げていく。香ばしい匂いがして、自然とテンションも上がる。
本当は目の前で揚げて、出来立てを食べてほしい。作り方を見せたらみんなどんな反応をするだろうか。隠す必要はないと思うのだが、この世界ではそういう訳にはいかない。料理人は特殊な職業であり立場なのだ。私がそれを壊すわけにいかないだろう。
とりあえず、食事の準備はできた。好評だったら他にも配ればいいだろう。天丼はお兄様も好きになるに違いない。天丼の歌も歌ってくれるだろうか。楽しみである。
お母様たちのエステは終わったかな。一緒に食べられるだろうか。様子を見るため部屋の外に出たら先ほどのメイドが立っていた。
まさか、ずっとここに?
「あの、食事の準備ができましたが・・・」
恐る恐る話すと
「ご案内いたします」
丁寧にお辞儀をされた。メイドの後ろを静かについていく。案内された部屋の中にはフランクリンがいた。
「マリアンヌ様、お元気になられて何よりでございます」
またもや丁寧にお辞儀をされる。フランクリンの少し薄い頭頂部が丸見えである。
「陛下のことは・・・」
フランクリンは陛下の側近のはず。陛下をほっといていいのだろうか。
「陛下から直々に賜りまして、本日からマリアンヌ様の筆頭執事の任務を全うさせていただくこととなりました」
「私も、皇后陛下より賜りまして、マリアンヌ様の筆頭侍女とさせていただきます。クララと申します」
先ほどのメイドも頭を下げた。え?筆頭執事に筆頭侍女?何それ。
「後程正式にご通達がございましょう。他にも専属の護衛などもつきました」
は?護衛?まだ王族じゃないけど。
「マリアンヌ様に何かございましたら、国の一大事でございますので」
フランクリンは笑いもせず真面目に淡々と話す。そのため私も神妙な気持ちで受け止めた。
部屋は大きなバルコニーのある部屋だった。バルコニー越しに庭園が見渡せる。バルコニーに出てみたいなと思ったが、
「間も無く皆様がご到着されます」
と、クララに止められた。皆様、とはどなたか。全員集合だろうか。とりあえず食事の準備をしよう。
天丼を2つ出す。天ぷらは大量に揚げたので天丼も作っておいたのだ。
「同じようにお出しするか決めてないですが、毒味お願いします」
2人が動きを止めた。
「毒味・・・でございますか」
「はい、毒は入れていませんよ」
冗談のつもりでにっこり笑ってみたが
「なるほど・・・」
と、真面目にしげしげと天丼を見ている。やはり珍しいよね。天丼。
「なんて・・・美味しい」
「先にいただいてよろしいのでしょうか」
美味しそうに頬張っているお二人。よろしいのでしょうか、なんて言ってはいるが食べることは止めない。2人とも食べられたということは、悪い人じゃないんだなと思う。悪い人かも、なんて思っていないけど。新しい加護は、もしかしたら利用できるかもしれない。そんなことを考えていた。
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