美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー

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気がついたら、私はベッドに寝ていた。ここはどこだろう。少し体を動かしたら。

 ・・・お母様が寝ている。

 私の右側でお母様がスヤスヤと眠っていた。あれ?何か変。それで反対側を見たら。

 ・・・皇后陛下が寝ている。

 なぜ、私たちは川の字で寝ているのでしょうか?

 考えてもわからない。そしてよくよく観察してみたら、私はベッドの中でミノムシのように毛布でぐるぐる巻きになっていた。気持ちの良い肌触りではあったけど。ややジタバタしていたら。

「天使ちゃん。起きたの?」

 お母様が満面の笑みで私を見ていた。

「お母様、どうして・・・」
「あらやだ」

 皇后陛下も目を覚まされたようだ。2人とも私を見てにっこり笑っている。私は左右を見て狼狽している。

「大丈夫。どこか痛くない?」
「・・・大丈夫です」

 お母様に顔を撫でられる。

「ユエンが治癒魔法を使ったから大丈夫のはず」

 それで昨日のことを思い出した。変な女に突き飛ばされて、馬乗りになったその女に顔を叩かれた。おそらく少し腫れたのだと思う。お父様に頬を撫でられたときに冷たいような温かいような不思議な感触があった。あれが治癒魔法だったのだろう。

「ここ、どこですか?」
「ここはね、私の宮よ」

 皇后陛下の言葉に私は驚いた。マリアンヌの元々の記憶のおかげで皇后陛下の宮は皇后が住むお城と認識している。皇后陛下のプライベートスペース。親友のお母様は入ったことがあるかもしれないが、本来は入れる場所ではない。それなのにベッドで一緒に寝る?

 冷静になってだんだん分かってきた。確かここは男性は入れない。日本で言うところの大奥。入れる男性はただ1人。国王陛下。

 私は自力でここにきた訳ではない。おそらく誰かが運んでくれたのだろう。メイドが複数人で運んでくれたのだろうか。頼む、メイドが担架に私を乗せて運んでくれたことにしてほしい。

「もちろん、陛下がマリアンヌちゃんを抱っこしてここに運んでくれたのよぉ」

 嬉しそうな皇后陛下。

 は?一国の国王陛下が何故私なんぞを運ぶ?嘘だろう?

「マリアンヌちゃんを抱っこした陛下ったらご機嫌で、スキップしたり遠回りしたり、大変だったわよねぇ」
「そうそう。うちの男性陣が歯軋りして悔しがってたわ」
「それにマリアンヌちゃんがアルの手を握って離さないものだから、アルも一緒に行くって言いだして」
「あんなユエンの顔見たの、初めてだわぁ」

 お母様と皇后陛下は嬉しそうに語らっている。聞いてるうちにとんでもないことが判明し、私は顔面蒼白になっていたのだろう。確かに誰かの手を握ってたという自覚はある。しかしそれが殿下とは気づかなかった。握りたかったという訳ではない。無意識だった。ただなんとなくってことで。

「マリアンヌちゃん、まだ具合が悪いんじゃない?」
「あらやだ、天使ちゃん。もう少し寝たほうがいいわ」

 ダイジョウブデス。メンタルガヤラレタダケデス。

「気にしなくていいわよぉ。娘をベッドに運ぶ父親ってよくあることでしょ?」

 それって幼児限定だと思うけど。12歳のマリアンヌは違うと思うけど。

「とにかく、陛下はご機嫌。アルもそれなりにご機嫌だったわよ。不謹慎よね」

 皇后陛下のお気楽な発言で私ももう開き直ることにした






 
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