美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー

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 騎士の人たちが怒鳴っている。誰かが来たようなのだが、魔物が出たので安全か確認されるまで外出禁止じゃなかったっけ?勝手に出歩いたのだろうか?でもここは王城だし、許可がないと入れないのでは?

「迷惑だな」
「全く。そろそろきちんとしないといけないですね」

 レオポール兄様もドミニク様も眉間に皺を寄せている。

「参ったな、アンティだよ」
「は?ここまで来たのか?」
「どういう神経だよ」

 近衛の若い騎士たちも口々に毒づいている。ものすごく迷惑な人が来た様子だ。

「部屋から出ないように言ったはずだ!」
「人の迷惑も考えてくれ」

 荒々しい口調で騎士たちが誰かに言っているようだ。その合間に女性の声が時々聞こえてきたのだが、内容まではよくわからない。

「時々いるのよね。魔物が出たら、自分は何かできるって勘違いする子」

 珍しく皇后陛下の顔つきが怖かった。その口調から、そういうことはよくあるようだ。

「スタンピードが起こってからは、そういう勘違いする子はいないと思ったけどね」
「魔物とか魔獣とか見たことがないと、大したことないって思っちゃうのよね。スタンピードで魔獣を見たらそんなこと考えないと思ったけど」

 お母様も同意するようにうなづいている。そんな面倒な人が何人もいるのか。

「大丈夫だよ、マリを怒ってるわけじゃないんだからね」

 思わずしがみついてしまったからだろうか。フランツ兄様が私に優しく話してくれる。フランツ兄様はなぜか機嫌がいいようだ。

「天使ちゃんが怖がっているわ」
「こんなに怒っている男性の声なんて初めてでしょ?」

 元の世界ならともかく、この世界では男性は女性に対して紳士的に振る舞っていると思われる。特にここは王城であり、貴族しか入れない。怒られている女性も貴族の令嬢であるだろうから、本来ならあんなふうに怒鳴られたりしないはずなのだ。

「マリ、この機会に少し休憩しようか」
「でもお昼寝はしませんよ」
「はいはい」

 兄様は少し残念そうな顔をした。そんなに昼寝をさせてどうするつもりなんだ。

「あ、どこへ行くんだ!」
「やめろ!」

 騎士の人たちの声が聞こえた。私はフランツ兄様のすぐそばにいて、誰かが走ってきたのに気がついた。何?と思った瞬間、私はその人に突き飛ばされていた。兄様の手を掴もうと手を伸ばしたけど届かなくて、そのまま床に倒れ込んだ。

 すぐに誰かが来た、と思ったら倒れた私の上に馬乗りになった。

「この悪魔、あんたなんか国外追放よっ。修道院なんて生ぬるいわっ」

 女の人が私にわけのわからないことを言いながら、髪を掴み顔を叩かれた。

「やめろ!」
「このやろう!」

 私は何が何だかわからず混乱したまま、意識が遠くなっていった。


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