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魔獣が出たという知らせで、遊んでいた陛下もお父様も立ち上がった。目つきが険しくなっている。状況を確認すると、すぐに指示を出した。あっという間に彼らは動き出し、今部屋に残っているのは女性陣とフランクリン、あとはメイドが数人であった。
「ロクサーヌ様、我々のできることはいざという時に逃げることです」
お母様は皇后陛下を名前で呼んだ。娘時代からの親友なので普段は名前で呼び合っている。
「わかっているわ、セレーヌ」
「だからこそ、着替えねばなりません」
そしてお母様はニンマリ笑う。まさか?ひょっとして?そのまさかは当たりだった。お母様はチュニックとイージーパンツを取り出したのだ。寝巻き用の生地ではなく、もっとしっかりした生地。元の世界ならワンマイルウェアって感じで近所のコンビニなら行けるだろう。
皇后陛下は驚きながらも着替えた。メイドの人もこんな奇妙な服をさせるとは思わなかっただろう。引き攣っているように見えるが、さすが皇后陛下直属のメイド。大人しく従っている。
「いいわ、これ」
「そうでしょ」
私たち3人はチュニックにイージーパンツという動きやすい服に着替えた。これでいざという時は逃げられる。
「あの、お食事はどうしたらいいか、フランクリン様が心配されています」
メイドの1人に聞かれた。みんなで食べていた食事をどう片付けていいか困っていたらしい。食べてもらっても構わないのだが、どうやら王族に出した食べ物を勝手に食べるのは横領に相当するらしい。所有権が私にあるそうなので、聞いてきたとのことである。
「量はまだありますね。皆さんで召し上がってください」
そこにいたのはメイドや文官のような人たち。多分これから魔物退治で色々大変になるだろう。そうだ、食事を用意しないと。
「よ、よろしいのですか?」
誰かが聞いてくるが、よろしいに決まっている。それよりこれから大量に料理を提供しなくては。騎士団だけではなく魔法省や近衛、大臣の方々にもだ。バッグに手を入れると硬いものがある。これは。
私は別室を借りると、テーブルの上にそれを取り出した。小さいバッグから出てきたものは、レンジの形をした料理コピー機だ。これさえあれば大量に用意できる。まずは魔法省に大量に料理を送る。
宮殿の1階では騎士団と近衛が集まって、状況整理と出陣に向けて対策をしているらしい。食事提供もできるはずだ。私はメイドに寸胴鍋で作った豚汁を渡した。先にそれを持って行ってもらう。私は後から大きなワゴンに大量のおにぎりを乗せてみんなが集まっている場所に向かった。
そこで見たもの。どういうわけか皇后陛下とお母様が割烹着を着て豚汁をよそっていた。頭には三角巾である。
「お汁が少ないわ」
「あら、セレーヌ、多すぎるんじゃない?」
2人は楽しそうに豚汁をよそい、騎士たちはそれを嬉しそうに受け取っている。やったことがないはずなのに、やけに手際がいい。
「おにぎりか、ありがとう」
ドミニク様がおにぎりの乗ったワゴンを見て嬉しそうに笑う。
「あの、お二人は何を・・・」
「どうしても自分達がって聞かなくてね」
それはいいけど、何で割烹着があるんだろう?すごく似合っているけど。
「王族は安全なところで高みの見物、なんてこと言う輩もいないわけじゃないからね。率先してやってくれることは意味のあることなんだよ」
ドミニク様はにっこり笑う。なるほど、では私も料理の大量生産に入ろう。
「ロクサーヌ様、我々のできることはいざという時に逃げることです」
お母様は皇后陛下を名前で呼んだ。娘時代からの親友なので普段は名前で呼び合っている。
「わかっているわ、セレーヌ」
「だからこそ、着替えねばなりません」
そしてお母様はニンマリ笑う。まさか?ひょっとして?そのまさかは当たりだった。お母様はチュニックとイージーパンツを取り出したのだ。寝巻き用の生地ではなく、もっとしっかりした生地。元の世界ならワンマイルウェアって感じで近所のコンビニなら行けるだろう。
皇后陛下は驚きながらも着替えた。メイドの人もこんな奇妙な服をさせるとは思わなかっただろう。引き攣っているように見えるが、さすが皇后陛下直属のメイド。大人しく従っている。
「いいわ、これ」
「そうでしょ」
私たち3人はチュニックにイージーパンツという動きやすい服に着替えた。これでいざという時は逃げられる。
「あの、お食事はどうしたらいいか、フランクリン様が心配されています」
メイドの1人に聞かれた。みんなで食べていた食事をどう片付けていいか困っていたらしい。食べてもらっても構わないのだが、どうやら王族に出した食べ物を勝手に食べるのは横領に相当するらしい。所有権が私にあるそうなので、聞いてきたとのことである。
「量はまだありますね。皆さんで召し上がってください」
そこにいたのはメイドや文官のような人たち。多分これから魔物退治で色々大変になるだろう。そうだ、食事を用意しないと。
「よ、よろしいのですか?」
誰かが聞いてくるが、よろしいに決まっている。それよりこれから大量に料理を提供しなくては。騎士団だけではなく魔法省や近衛、大臣の方々にもだ。バッグに手を入れると硬いものがある。これは。
私は別室を借りると、テーブルの上にそれを取り出した。小さいバッグから出てきたものは、レンジの形をした料理コピー機だ。これさえあれば大量に用意できる。まずは魔法省に大量に料理を送る。
宮殿の1階では騎士団と近衛が集まって、状況整理と出陣に向けて対策をしているらしい。食事提供もできるはずだ。私はメイドに寸胴鍋で作った豚汁を渡した。先にそれを持って行ってもらう。私は後から大きなワゴンに大量のおにぎりを乗せてみんなが集まっている場所に向かった。
そこで見たもの。どういうわけか皇后陛下とお母様が割烹着を着て豚汁をよそっていた。頭には三角巾である。
「お汁が少ないわ」
「あら、セレーヌ、多すぎるんじゃない?」
2人は楽しそうに豚汁をよそい、騎士たちはそれを嬉しそうに受け取っている。やったことがないはずなのに、やけに手際がいい。
「おにぎりか、ありがとう」
ドミニク様がおにぎりの乗ったワゴンを見て嬉しそうに笑う。
「あの、お二人は何を・・・」
「どうしても自分達がって聞かなくてね」
それはいいけど、何で割烹着があるんだろう?すごく似合っているけど。
「王族は安全なところで高みの見物、なんてこと言う輩もいないわけじゃないからね。率先してやってくれることは意味のあることなんだよ」
ドミニク様はにっこり笑う。なるほど、では私も料理の大量生産に入ろう。
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