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そんなわけで近衛用に提供することになった。騎士団は牛丼好きで週に1回は牛丼を提供している。やはり丼ものがいいかと思い、作り置きの中から親子丼をお試しで出してみた。
「う、う、う、うまぁぁぁい」
叫びすぎではないかと思うくらいの声を張りあげ、アレンは親子丼をかき込んでいく。
「むぐっ、こんな美味しいもの・・・」
食べながら泣き出した。
「近衛になってよかった・・・。殿下は我儘で人使いも荒いし・・・、王族専用の騎士とはいっても、実質は雑用係みたいなもんだし・・・」
愚痴り出したのだが、なぜだ?調味料でお酒を入れてはいるけど、まさか酔ってるわけじゃないよね?
「いくらなんでもひどい言いぐさではないか?」
殿下も呆れた声を出している。でもただ聞いているだけなので、2人は仲がいいのだと思う。とりあえず、明日から近衛にはこの親子丼を出すことにする。
「そうだ、ゲームをもう一度やろうか」
殿下はそう言って箱を持ってきた。中には碁盤の目になったテーブルクロスと大量のコイン。
「はい、殿下」
「で、ん、か?」
先ほどの陛下と同じ口調で言い返される。
「ルー様、ぜひやりましょう」
言い直してオセロゲームがスタートした。レオポール兄様もフランツ兄様も興味津々で覗き込んできた。昨日よりも理解したのか接戦になる。僅差で勝てたが、多分何回かやったら負けるだろう。
「うーん、まだ研究が必要かな」
殿下は悔しそうな顔をした。
「何?それ」
「ちょっと、やらせて」
今度はレオポール兄様とフランツ兄様である。殿下から私が発案した新しいゲーム、と聞いて驚いている。オセロは私が発案したわけではない。
「ん?フランツ、ちょっと待ってくれ」
「ダメですよ、兄上、待ったはなしです」
待ったはなし、はここでも健在。いつの間にか陛下やお父様も集まってきた。
「レオ、そこに置くのはよくないんじゃないか?」
「父上、ダメですよ。口出し禁止です」
「んー、でも今のはちょっと・・・」
「外野は静かにしてください」
みんなで集まってワイワイやっている。楽しそうで私も嬉しくなる。
「マリアンヌちゃん」
いつの間にか私の横に皇后陛下がいらしている。
「私が陛下と出会った時は14歳だったの。結婚は18歳だった。先代の国王陛下には何人も側妃様がいらして、お子様も何人おられるのかはっきりしない状態だったの」
ドミニク様のお母様は側妃だが、陛下とも仲良くされている。だからそんなに問題があるとは思っていなかった。しかし、側妃が何人もいてその子どもの数もはっきりしていない状態だったとは。
「当時はずいぶん意地悪もされたし、何度も離縁したいって考えたわ」
皇后陛下の目にうっすらと光るものがあった。明るく朗らかな印象のあった皇后陛下だが、苦労はされてきたのだ。
「でも陛下はいつも私の味方でいてくれた。だから一緒にいようって思えたの」
皇后陛下はにっこり笑って私の手を握った。
「王族は権力が与えられるんじゃないの。自由を失うかもしれないの。でもどんな時でも私がマリアンヌちゃんを守るから。だから、何かあったら言ってちょうだいね」
「ママ」
私は皇后陛下に笑いかけた。
「私を娘にしてくれて、ありがとうございます。私には2人の母がいる、とても幸せです」
「天使ちゃん」
気づけば、皇后陛下とお母様と3人で抱き合っていた。その向こうでは陛下とお父様がゲームをしている。待ったは3回、今のなしも3回というマイルームを陛下が実行して、お父様が地味に怒っている。その光景を私は微笑ましく眺めていた。
あれが私の新しい家族なのだ。
「大変です!魔物が大量に押し寄せてきました!」
その声に全員が動けなくなった。
「う、う、う、うまぁぁぁい」
叫びすぎではないかと思うくらいの声を張りあげ、アレンは親子丼をかき込んでいく。
「むぐっ、こんな美味しいもの・・・」
食べながら泣き出した。
「近衛になってよかった・・・。殿下は我儘で人使いも荒いし・・・、王族専用の騎士とはいっても、実質は雑用係みたいなもんだし・・・」
愚痴り出したのだが、なぜだ?調味料でお酒を入れてはいるけど、まさか酔ってるわけじゃないよね?
「いくらなんでもひどい言いぐさではないか?」
殿下も呆れた声を出している。でもただ聞いているだけなので、2人は仲がいいのだと思う。とりあえず、明日から近衛にはこの親子丼を出すことにする。
「そうだ、ゲームをもう一度やろうか」
殿下はそう言って箱を持ってきた。中には碁盤の目になったテーブルクロスと大量のコイン。
「はい、殿下」
「で、ん、か?」
先ほどの陛下と同じ口調で言い返される。
「ルー様、ぜひやりましょう」
言い直してオセロゲームがスタートした。レオポール兄様もフランツ兄様も興味津々で覗き込んできた。昨日よりも理解したのか接戦になる。僅差で勝てたが、多分何回かやったら負けるだろう。
「うーん、まだ研究が必要かな」
殿下は悔しそうな顔をした。
「何?それ」
「ちょっと、やらせて」
今度はレオポール兄様とフランツ兄様である。殿下から私が発案した新しいゲーム、と聞いて驚いている。オセロは私が発案したわけではない。
「ん?フランツ、ちょっと待ってくれ」
「ダメですよ、兄上、待ったはなしです」
待ったはなし、はここでも健在。いつの間にか陛下やお父様も集まってきた。
「レオ、そこに置くのはよくないんじゃないか?」
「父上、ダメですよ。口出し禁止です」
「んー、でも今のはちょっと・・・」
「外野は静かにしてください」
みんなで集まってワイワイやっている。楽しそうで私も嬉しくなる。
「マリアンヌちゃん」
いつの間にか私の横に皇后陛下がいらしている。
「私が陛下と出会った時は14歳だったの。結婚は18歳だった。先代の国王陛下には何人も側妃様がいらして、お子様も何人おられるのかはっきりしない状態だったの」
ドミニク様のお母様は側妃だが、陛下とも仲良くされている。だからそんなに問題があるとは思っていなかった。しかし、側妃が何人もいてその子どもの数もはっきりしていない状態だったとは。
「当時はずいぶん意地悪もされたし、何度も離縁したいって考えたわ」
皇后陛下の目にうっすらと光るものがあった。明るく朗らかな印象のあった皇后陛下だが、苦労はされてきたのだ。
「でも陛下はいつも私の味方でいてくれた。だから一緒にいようって思えたの」
皇后陛下はにっこり笑って私の手を握った。
「王族は権力が与えられるんじゃないの。自由を失うかもしれないの。でもどんな時でも私がマリアンヌちゃんを守るから。だから、何かあったら言ってちょうだいね」
「ママ」
私は皇后陛下に笑いかけた。
「私を娘にしてくれて、ありがとうございます。私には2人の母がいる、とても幸せです」
「天使ちゃん」
気づけば、皇后陛下とお母様と3人で抱き合っていた。その向こうでは陛下とお父様がゲームをしている。待ったは3回、今のなしも3回というマイルームを陛下が実行して、お父様が地味に怒っている。その光景を私は微笑ましく眺めていた。
あれが私の新しい家族なのだ。
「大変です!魔物が大量に押し寄せてきました!」
その声に全員が動けなくなった。
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