美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

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「今日の昼のオベントウも美味しかった。大臣たちも喜んでいたよ」

　牛丼について熱く語る兄様たちがうっとうしくなった頃、お父様が話題を変えるように言う。

    うん、やはり大臣の方々にはハンバーガーよりお弁当だろう。あの煮魚、少し味見したけど本当に美味しかったし。フランツ兄様はハンバーガーの方が食べ出があって好きそうだから、一緒に私もハンバーガーを食べたけど、和食をセバスチャンと食べるのもいいよね。

    って、勝手にセバスチャンを和食メンバーにしちゃったけど。

「それに魔法省にかなりの料理を提供してくれたんだろう？」

    お父様がニッコリ笑ってくれる。

「あ、そうなんです」

　魔法省の料理の減り方は異常なくらいだった。本当に食べて消費していたのか疑問である。もしかしたら、魔法で消えていた？

「今は魔法省の連中に頼るしかないからな。マリアンヌの料理はかなりの魔法量を復活させるそうだ。食べれば食べるほど上がるから、奴らも気兼ねなく消費しては食べているらしい」

　壊れてしまったものを元に戻すのに魔力が必要とのことで、魔法省の人たちは休みなく働いているらしい。食べてすぐに復活できるなら食べてもらうしかない。本当にあんな勢いで食べられるのか不思議だが、魔法を知らないのでそういうもんだと思うしかない。

　私とお父様がにこやかに会話をしている横で、

「え？オベントウ？」
「お昼はハンバーガーですよね」
「というか、魔法省に料理？かなりの量を？」

と、全員が1オクターブ低い声で呟いている。お母様とお兄様たちの背中にはゴオオ、という怒りの炎が見える気がした。

「いや、マリアンヌが大臣にはハンバーガーはキツイだろうと違う料理を用意してくれたんだ」
「マリに大臣の食事の用意をさせたんですか！？」
「年寄りの介護なんて、天使ちゃんを利用するつもりなの？」
「父上、リリンの料理を軽く考えすぎではないですか？」

　3人の剣幕に私は驚いたが、お父様は動じなかった。

「みんな、落ち着きなさい」

　静かに、しかし威厳のある声でお父様が言う。

「確かに今はマリアンヌの料理を利用しているかもしれない。マリアンヌが提供してくれるから、それに甘えているのも事実だ」

　お父様が私に向かって頭を下げた。実際のところ、それほど難しい料理は作っていない。量もコピー機があるし、前の世界では時間やお金の都合もあって料理に打ち込めなかった。今は料理を作っていて楽しい。美味しいと言って喜んでもらえるのが嬉しいのだ。

「マリアンヌが嫁いだ後、大臣たちはきっと後ろ盾になってくれるだろう。少しでもマリアンヌが住みやすく楽になるように今基盤を作る必要があるのだ」

　お父様の声が静かに部屋に響いている。

「陛下も皇后様も殿下も、心根の優しいいい人物だと思う。しかし、何が起こるかわからない。我々以外にもマリアンヌの味方であり続ける人物にいてもらわないと困るのだ」
「そ、そうよね」
「確かに父上の言う通りだ」
「でもマリが疲れてしまわないか・・・」

　私を見つめる4人の目は本当に優しく温かかった。

「大丈夫です」

　私は答える。みんなが思うほど重労働をしていないのだ。そのことを彼らは理解できないだろう。少し、というかかなり罪悪感を持ちながら私は笑った。