美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー

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 セバスチャンが掃除をしてくれているので、私も気まずくなりキッチンに戻った。でもあの部屋はとてもいい雰囲気だった。あそこでコーヒーを飲みながらぼんやりするのも悪くないなと思う。お父様に頼んで時々使わせてもらおうか。

 午後のおやつの時間になった。おやつはプリンである。せっかくなのでプリンアラモードにする。ガラスのお皿の上にプリンをのせ、生クリームとフルーツで飾る。これは家で食べる人の特権。魔法省とお兄様の部隊にはマフィンを送った。

 ダイニングに行ったらフランツお兄様がいた。お母様とステファニー様はいらしていない。プリンを見るとフランツお兄様の目が3倍くらいに大きくなった。

「な、なんだ?これは」
「プリン、というものです。あとはクリームとフルーツで飾りました」
「な、なにぃ?」

 そんなに驚かないでほしい。だがお兄様は皿をガン見して動かない。

「こんなに・・・」

 しばらくしてようやくそんなことを言った。他にも何か呟いたように思うが聞き取れない。

「マリアンヌ、本当にこんなものを作って大丈夫なのか?体調は?」
「大丈夫です」
「そうか・・・」

 お兄様は私を膝の上に乗せ頭を撫でてくれる。もう恥ずかしいと思うことはやめることにする。

「お兄様、私、こういうものをリレットでも出せたらと思っているんです」
「えっ?」

 リレットでホテルを出す。目指すは貴族女性が1人でも泊まれるホテルである。エステあり、カフェありなら女性は泊まりやすいだろう。私の考えを話すと、フランツ兄様は真剣にうなづいてくれている。

「なるほど、女性専用か・・・」
「もちろん、男性もOKですが、女性同伴じゃないとダメとか、上の階は女性専用にするとか。制限をつけるんです」
「なるほど」
「それから・・・」

 続けて話そうとしたら

「天使ちゃ~ん!」

 お母様の声が聞こえたので振り返った。目が点になった。お母様はステファニー様と一緒だ。マーサとメアリ、レイラもいるのだがみんな落ち着きのない様子で目が泳いでいる。

「は、母上」

 フランツ兄様が目を逸らした。私はフランツ兄様の膝から飛び降りると、すぐにお母様の目の前に走った。

「なんて格好してるんですか」

 お母様は私があげたチェニックとイージーパンツを履いていた。ステファニー様もである。

「だってぇ、これ楽なのよ」
「そうなんですぅ、一度着たら脱ぐのが嫌になってぇ」

 ステファニー様は片手を頬に当て、首を少し傾けている。何がいけないの?と言わんばかりである。しかも髪の毛をシュシュで一つに結んでいる。私の作った3点セットだ。

 ずっと体をコルセットで締め上げてドレスを着ていた。窮屈で仕方がなかっただろう。確かにチュニックとイージーパンツは楽であろう。しかし、人前に出ていいのか?私だけならともかくフランツ兄様もいるぞ。兄様、顔が真っ赤だ。

「これも売りましょう」
「いいですわね」

 2人は手を取り合っている。

「兄様、この衣装をお泊まりの方は着用していただいてくつろいでもらえればと思っております」

 半ば棒読みになってしまったが、私は趣旨を伝えた。

「うん、いいね。きっとうまくいくだろうね」

 フランツ兄様は俯いて真っ赤な顔のまま言った。兄様も棒読みだった。

「あら、美味しそう」
「今日のおやつも素敵ですわぁ」

 お母様とステファニー様ののほほんとした嬉しそうな声が聞こえてきたのであった。


 
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