美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー

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    お昼は昨日の残りのハンバーグで作ったハンバーガーである。お母様とステファニー様は手で食べることに躊躇していたが、両手で持ってガブっといってくださいと言うと2人とも従ってくれた。

「おいふぃ・・・」
「本当・・・」

 2人はモグモグと咀嚼しながら楽しそうに目で合図しあっている。フランツ兄様はオニオンリングをガブっと食べ、何度かうなづいた。

「これはいいな、甘くて美味しい」
「これはジャガイモかしら?」
「こうやって食べるのですね、美味しいですわぁ」

 みんな喜んでくれている。ハンバーガーは結構な大きさだが全員ペロリと食べている。ポテトフライも1人ジャガイモ1個分は食べているだろう。心の中で思う。太るよ。でも口に出して言わない。

「午後はお顔と体のお手入れしましょう」

 やることがないせいか、お母様とステファニー様はずっと一緒でおしゃべりをしたりしている。午後からエステタイムになるようだ。

「お母様、よければこれ」

 私はさっき作ったチュニックとイージーパンツを差し出す。着方を説明したが、おそらく理解できていないようだ。とりあえず、という感じで手に取っていた。ステファニー様も同様の仕草であった。私に気を使って手にしたという感じ。

 気に入らなければ仕方ないよね。私も割り切ってキッチンに戻る。牛丼の仕込みに入るのだ。

    そこで気が付いたのだが、何やらドアがあった。前からこのドアはあっただろうか。気にしていなかったのでわからない。もしかしたら、この前みたいに女神に会えるドアかもしれない。そう思って思い切って開けてみた。

 渡り廊下のようなものの先に小さな家のようなものがある。ドアを開けたら、セバスチャンがいた。

「どうされましたか?マリアンヌ様」

 セバスチャンは驚いていた。私も驚いた。現実的な場所に繋がるドアだったからだ。

「ここは先々代様がお住まいになられたところでございます」

 先々代ということはマリアンヌのひいお爺様に当たる人である。どういう人物だったかはわからないが、セバスチャンは知っているのだろうか。

「もちろん私は存じ上げませんが、一度ご存命の時にお会いしたことがあります」

 セバスチャンはそういってどこか遠くを見る目をした。セバスチャンの家は代々我が家に勤めてくれている。セバスチャンのお父さんやおじいさんが先々代を見てくれたのかもしれない。

「大変自由な気風の方でいらっしゃいました。公爵家を継がれる前に世界を旅されたとかで、ここはその時の思い出のお品を保存しております」

 中に入ってまたも驚いた。誰も住んでいないはずなのに綺麗に掃除されているからだ。中は応接セットがある。公爵家と思えば質素な感じかもしれないが、元の世界からしたらちょうどいい感じの一室であった。正直、ここに住みたいと思ったくらいだ。

 部屋の隅にはひいおじい様の思い出の品がきちんと整理されていた。綺麗な箱があるので開けてみたら、たくさんのコインがあった。王様のような横顔の人物の裏は羽ばたく鳥がリレーフになっている。なかなか精巧な作りである。

「もう滅んだお国のものです。我が国と統合されましたので」

 セバスチャンはそういって微笑んだ。この世界も地球と同じように色々あったのだな、と今更ながら思う。この世界のことをもっと勉強しないといけない。窓の外を見たら厩舎があった。

「お客様用の馬車の保管場の横でございます。以前はそんなことはなかったのですが、最近になって新たに作り直しましたので」

 駐車場ならぬ駐馬場?自分の家の敷地内のことだが、どういうことになっているのかわからない。この世界のことの前にこの家のことを知るのが先かもしれない。


 
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