美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー

文字の大きさ
上 下
81 / 220

81

しおりを挟む
「ノートルと例の伸び縮みするヒモについて話をしていたのよ」

 ケーキを食べ終わり2杯目のお茶を飲みながら、お母様の目がギラギラと輝いている。伸び縮みするヒモ、ゴムのことである。

「専売契約をしたから、かなり別収入があるわよ」

 お母様がニンマリ笑いながらノートル様を見た。

「魔獣研究に使おうと思っているんです」

 そう言ってノートル様は口元に笑みを浮かべた。実際私はみていないのでわからないが、本当に魔がつくべきものなのか。魔獣と言われたブラッキータンゴだって、私が知っている単なる猫ではないかと疑っている。しかし研究をして怖がる必要がなければそれでいい。

「でも本当に売れるんでしょうか」

 ノートル様は首を傾げてお母様を見ている。

「売れるわよ」

 お母様は自信満々だ。

「これ、違うサイズで作ってみたんです」

 そう言って見せてくれたものは平になっているゴム。

「これ、頂いてもいいでしょうか」
「もちろんです」

 とりあえず、試しに作ってみたいものがあるので貰うことにする。

「私はそろそろ出かける準備をしますので」

 ノートル様が立ち上がった。

「ところで、今日のこのチーズケーキですが・・・」
「はい」
「部隊にも送られているのでしょうか?」
「いえ・・・」

 なんとなくではあるが、お兄様のところへはもっと食べ出のあるものがいいかと思っている。チーズケーキだと食べた気がしないと言われるかと思い送っていなかった。それを言うと

「では、部隊で食べたのは私だけですね」

 と、ノートル様は柔らかく微笑んだ。

「マリ、つまり兄上は食べていない?」

 フランツ兄様は少し焦ったような感じだ。その勢いにびっくりしたが

「は、はい・・・」

 と、答えた。

「ふふっ。兄上、ククク・・・」

 フランツ兄様は嬉しそうである。

「レオポール様・・・ハハっ」

 ノートル様まで嬉しそうに笑っている。そして2人はガシッと握手を交わした。なんお意味があるかわからないが、何やら楽しそうなのでほっておく。ゴムを使ってやりたいことができたので、それについて考えているからだった。

    メアリに希望の布地を言ったら、いいものを出してもらえた。ハサミと糸と針を用意してもらうと、早速頭に浮かんでいたものを作る。裁縫はあまり得意ではないのだが、学校で習ったことや社会人になってからちょっとやったことがあるのでそれを思い出す。

 手縫いなのでかなり手間取ったが、なんとかできた。作ったのはイージーパンツとチュニック。用意してもらった布地が寝巻きや下着にも使えるくらいの柔らかな素材で、ダボっとした感じに出来上がった。とりあえず同じものを2枚作る。

 ゴムのパンツなんてお母様はびっくりするだろうな。想像したらニヤけてきた。これを着てくつろぐお母様。貴族なんて堅苦しいんだから、くつろぐときは思いっきりリラックスしてほしいのだ。そうしたら次はテロンテロンのワンピースでも流行らせよう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う

たくみ
ファンタジー
 圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。  アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。  ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?                        それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。  自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。  このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。  それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。 ※小説家になろうさんで投稿始めました

転生少女の異世界のんびり生活 ~飯屋の娘は、おいしいごはんを食べてほしい~

明里 和樹
ファンタジー
日本人として生きた記憶を持つ、とあるご飯屋さんの娘デリシャ。この中世ヨーロッパ風ファンタジーな異世界で、なんとかおいしいごはんを作ろうとがんばる、そんな彼女のほのぼのとした日常のお話。

記憶喪失となった転生少女は神から貰った『料理道』で異世界ライフを満喫したい

犬社護
ファンタジー
11歳・小学5年生の唯は交通事故に遭い、気がついたら何処かの部屋にいて、目の前には黒留袖を着た女性-鈴がいた。ここが死後の世界と知りショックを受けるものの、現世に未練があることを訴えると、鈴から異世界へ転生することを薦められる。理由を知った唯は転生を承諾するも、手続き中に『記憶の覚醒が11歳の誕生日、その後すぐにとある事件に巻き込まれ、数日中に死亡する』という事実が発覚する。 異世界の神も気の毒に思い、死なないルートを探すも、事件後の覚醒となってしまい、その影響で記憶喪失、取得スキルと魔法の喪失、ステータス能力値がほぼゼロ、覚醒場所は樹海の中という最底辺からのスタート。これに同情した鈴と神は、唯に統括型スキル【料理道[極み]】と善行ポイントを与え、異世界へと送り出す。 持ち前の明るく前向きな性格の唯は、このスキルでフェンリルを救ったことをキッカケに、様々な人々と出会っていくが、皆は彼女の料理だけでなく、調理時のスキルの使い方に驚くばかり。この料理道で皆を振り回していくものの、次第に愛される存在になっていく。 これは、ちょっぴり恋に鈍感で天然な唯と、もふもふ従魔や仲間たちとの異世界のんびり物語。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

加工を極めし転生者、チート化した幼女たちとの自由気ままな冒険ライフ

犬社護
ファンタジー
交通事故で不慮の死を遂げてしまった僕-リョウトは、死後の世界で女神と出会い、異世界へ転生されることになった。事前に転生先の世界観について詳しく教えられ、その場でスキルやギフトを練習しても構わないと言われたので、僕は自分に与えられるギフトだけを極めるまで練習を重ねた。女神の目的は不明だけど、僕は全てを納得した上で、フランベル王国王都ベルンシュナイルに住む貴族の名門ヒライデン伯爵家の次男として転生すると、とある理由で魔法を一つも習得できないせいで、15年間軟禁生活を強いられ、15歳の誕生日に両親から追放処分を受けてしまう。ようやく自由を手に入れたけど、初日から幽霊に憑かれた幼女ルティナ、2日目には幽霊になってしまった幼女リノアと出会い、2人を仲間にしたことで、僕は様々な選択を迫られることになる。そしてその結果、子供たちが意図せず、どんどんチート化してしまう。 僕の夢は、自由気ままに世界中を冒険すること…なんだけど、いつの間にかチートな子供たちが主体となって、冒険が進んでいく。 僕の夢……どこいった?

転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~ 

志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。 けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。 そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。 ‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。 「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!

珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。 3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。 高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。 これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!! 転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!

処理中です...