美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー

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「ああ、そういえばダニエル」

 食事を終えたレオポール兄様がいかにも今気がついた、という様子で声をかけた。

「今日も幼年部の訓練か?」

 騎士になると決意したダニエル様は騎士団の幼年部に通っている。幼年部は10歳未満の貴族の子どもが剣の訓練をするところ。貴族の令息は剣もできなくてはいけないようで、騎士になるつもりのない子どもも一度は通うらしい。

「はい、僕・・・いえ、私の目標はマリアンヌ様をお守りする騎士になることですから!」

 キラキラした瞳でダニエル様は宣言する。その様子をステファニー様は喜んで見ている。

「幼年部ではなかなか訓練が捗らないだろう」

 王宮で避難している人たちは窮屈な生活をしている。基本何もすることがなく毎日を過ごしているからだ。避難場所がお城なので自由に過ごすわけにいかない。緊張しつつ生活しているのでストレスは半端ないだろう。そのせいか今まで通っていなかった子どもも幼年部に集まるようになってしまった。結構な過密状態らしい。

 レオポール兄様がにっこりと微笑んだ。目がきらりと光っている。

「よし、時間を見つけて俺が稽古をつけてやろう」

 まさか、パンケーキの仕返し?大人気ない、見損なったぞ、レオポール兄様。ダニエル様を見ると引き攣った顔をしている。

「そ、それは・・・。あまりに申し訳ございません」

 ダニエル様は引き攣りながらも丁寧に頭を下げて言う。

「お忙しいレオポール様のお手を煩わせるわけには参りません。騎士団副団長様でありませんか。私のような若輩者のお相手をなさるなど・・・」

 まだ8歳なのに難しい言葉を知っているなぁと感心した。貴族ってすごいな。

「いやいや、将来の騎士を1人でも多く育てるのは俺の使命でもあるからな。遠慮はいらないよ。同じ家に住む仲じゃないか。俺のことは兄と思ってくれて構わんよ」

 お兄様はにこやかに話している。だが、ものすごい執念と圧を感じる。そしてダニエル様の腕をガシッと掴むと

「今日は俺の馬で一緒に行こう」

 そう言って出て行ってしまった。ダニエル様は引きずられながらも

「いやいや、きちんと歩かせてください。私は自分の馬で行きます」

 などと言っている。ダニエル様に馬はない。

「仲が良くていいわぁ」
「ダニエルも明るくなって、本当にこちらでお世話になれてよかったですぅ」

 お母様とステファニー様が場違いのように微笑んでいる。ダニエル様は大丈夫だろうか。そしてレオポール兄様が子どもにも容赦がない鬼畜と分かった。今日の晩御飯はレオポール兄様だけ盛りを少なくしよう、と思ったのだった。


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