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しおりを挟む向かった先はまた別の部屋だった。そこには魔法省の職員の人が大量にいた。そこで私は陛下から認定を受けるのだそうだ。女神の加護を受けた人は数年ぶりらしいので職員の人たちはこの機会に、と勢揃いしたそうである。つまりは野次馬。
認定の儀式、などというので構えたのだが、実際はひざまづいた私の頭に陛下が手を当てるだけであった。大したことない儀式である。こんなに集まってもらって申し訳ないと思う。
「魔法省の方々にも何か召し上がっていただければと思いますわ。持参していないので申し訳ないです」
お父様にこっそり言うと、お父様は目をまん丸にした。
「料理が用意できているなら、私のバスケットから取り出すことができるよ」
例のバスケットに私が手を入れたら、キッチンのサンタクロースの袋につながるのだと言う。どういう理屈かわからないが、とにかく魔法はそういうものらしい。さっそくコピーで大量に作ったサンドイッチを取り出す。
「サンドイッチです」
お父様が余計な発音で広めないように、私はあえてゆっくり言った。魔法省の人たちは驚いたようにそれを受け取った。陛下やドミニク様、アルバート王子にもお渡しする。
「どうぞ。シャンドウイッチです」
私が丁寧に「サンドイッチ」と発音したのにお父様は「シャンドウイッチ」と言い直す。魔法省の人たちも口々に「シャンドウイッチ」とつぶやく。
「何これ、うま」
「こんなの、食べたことがない」
「さすが、女神の加護」
魔法省の人たちが美味しそうに食べてくれるのを見ると、やはり嬉しい。女神の加護なんて大袈裟と思うけど、自分の作った料理をたくさんの人に食べてもらいたい。
「この私と騎士たちが忠誠を誓っているからね。マリアンヌの料理にはその価値がある」
満足そうに目を瞑り、うっとりとした表情をしてサンドイッチを味わうドミニク様。その恍惚とした様子を見てあまりの色っぽさにクラクラしそうになる。とんでもない人物である。
「叔父上が忠誠。驚きですが、納得です」
その隣のアルバート王子はうんうん、とうなづきながら一口ずつ味わっている。ゆっくりと咀嚼しごくんと飲み込むと、にっこり笑う。
「美味しい・・・」
しみじみと感想を述べ、サンドイッチをじっくりと眺めている。観察するように眺めた後、またもう一口齧る。
「マリアンヌ嬢。ありがとう」
爽やかに礼を言われ、思わずドキリとしてしまう。マリアンヌはアルバート王子をどう思っていたのだろう。好意を持っていたのだろうか。ふとそんなことを思ってしまう。
「しかし、何を食べても美味しいものだな」
しみじみと陛下がおっしゃっている。その横でお父様は
「マリアンヌが作ったのですから」
と、親バカ全開の発言をしている。落ち着いて考えてみたらこの光景すごすぎない?陛下にその弟君と王子、全て美形。ついでに我が父様も美形。真理子の世界ならあまりの美形勢揃いっぷりにまともに立っていられないくらいではないか?いや、ホントに。
そんな感じで王族と魔法省のオタク軍団が一堂に介してサンドイッチを呑気に堪能していたのだった。
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