美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー

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 あまりの光に何も見えなくなった。私は咄嗟に目を瞑った。誰かが動き回る音やザスッザスッというジュリアのドレスが動く音が聞こえた。おそらく、ジュリアとスティラート公爵が喜んでいるのだろうと思う。私はお父様の手を握った。お父様も握り返してくれる。

 しばらくして目を開けた。水晶の前でしゃがみ込んでいるジュリアとその横でひっくり返っているスティラート公爵がいた。

「お父様、言った通りですわ。私は聖女です」
「よくやった、ジュリア」

 確かこの部屋では声を出さないようにと言われたはず。嬉しいだろうけど黙っておけ、と冷ややかに見ていたら、その視線に気づいたのかジュリアが私を見て言った。

「あなたはやはり料理の加護でしょ。私は聖女です。アルバート様、私とご結婚してこの国を繁栄に導きましょう」
「そうです。ジュリアが王太子妃、未来の皇后となれば国は安泰。何しろ聖女ですからなッ」

 2人は立ち上がり、陛下の前に立った。これは不敬罪にはならないのかと心配になるが、お構いなしである。

「貧乏くさいマリアンヌなんて放っておいて、結婚式のお話をしましょう。馬車は10頭建て、1週間はパーティを開いて。今からドレスを仕立てないと間に合いませんわぁ」

 国中のドレス生地を集めないと間に合わないかもね。と、心の中で悪態をつく。いつ黙るのかと見ているけど、黙る気配はない。

「これで文句は言わせませんぞ。ジュリアが聖女なのはこれで立派に証明されましたからな。さっそく国に保護をしていただきましょう。今まで通り、迎賓城は聖女の住まいということで」
「お父様ぁ。ジュリア、毎日ご馳走が食べたぁい。ドレスも毎日作ってもらってぇ。皇后様のしてたダイヤモンドのネックレスが欲しいなぁ」

 は?何言ってるの?見ると、陛下もドミニク様も怒りを通り越して能面のようになっていた。陛下は立ち上がると部屋を出て行かれる。ドミニク様、アルバート王子も続く。私もお父様と一緒に部屋を出た。

 部屋を出ると思いっきり息を吐く。気分が悪い。

「お父様、この後はどうなるのですか?」
「認定の儀式が執り行われる。マリアンヌは正式に女神の加護を受けた料理人となる」

 女神の加護を受けた料理人とは具体的に何をするのだろう。今まで通り、料理を作っていればいいのかな。面倒な儀式とかはいらないから、とにかく料理を作らせてほしい。そうすればもうジュリアと関わることはないだろう。

 鑑定の間にはいまだにゲルリーとジュリア、スティラート公爵がいる。中で何をしているのだろう。気にはなったが、とはいえ中を覗くつもりはない。

 陛下、ドミニク様、アルバート王子は気がつけばいなくなっていた。私とお父様は鑑定の間の前で立っていた。

「私たちも認定の儀式に行くよ」

 お父様に言われ、私は歩き出した。

「大丈夫なのですか?」

 気になったので聞いてみたが、お父様は小さくうなづくだけだった。

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