美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー

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「マリアンヌ嬢、 ようこそお越しいただきました」

 魔法省の長官、ゲルリーがにこやかに挨拶をする。

「緊張されていますね、すぐに済むから大丈夫です」

 私とお父様は応接間のようなところに通された。ゲルリーはプラチナブロンドというのだろうか、綺麗な銀髪を一つにまとめて緑色の瞳をしていた。魔法使いと聞いているせいか神秘的な印象である。

「ジュリア嬢がまだなので、もう少しお待ちください」

 ジュリアと一緒に鑑定するのか。彼女に会うのは正直気が進まないが、そんなことを言うわけにいかない。大人しく座る。私の目の前にゲルリーも座る。

「鑑定は別室で行います。陛下とドミニク様、アルバート殿下がお立会い頂きます」

 お忙しい陛下まで?少々驚くが、国に認定してもらうには陛下に見届けてもらわないといけないのだろう。だが、陛下と聞いてドキドキしてきた。

「しかし遅いですね」

 ゲルリーは眉間に皺を寄せた。お父様も少々イラついているように見える。

「どうなっている?様子を確認して来い」

 ドアの前に待機していた部下にゲルリーが声をかけた。

「陛下もご準備できているのだろう?」
「はい、すでにお待ちいただいております」

 は?陛下を待たせている?そういうのって大丈夫なのか?人ごとながら心配になってきた。

「ジュリア嬢は何をしているのだ?大した距離じゃないのに」

 彼女が住んでいる迎賓城と魔法省の建物はほんの数百メートルくらいしか離れていない。呼び出しがあって着替えたりする時間があったとしてもそんなに時間がかかるとは思えないのだ。

「お待たせしました!」

 先ほど部屋を出た部下の人が戻ってきた。

「ようやく来たか」

 ゲルリーは私を見て微笑んでくれる。

「鑑定の間へ向かいましょう」

 私は立ち上がった。すると

「うわぁぁ。おやめくださいぃぃぃ」
「そちらではありませんっ。あちらで、うぐっ」

 なんだかおかしな声を聞こえてきた。

「何事だ?」

 お父様が私の前に立つ。

「じ、実はジュリア様は、あの・・・」

 部下の人が何か説明をしようとしているのだが、言葉が出てこない。不審に思っていたら、ドアが勢いよく開いた。

「マリアンヌ。ごきげんよう」


 ジュリア・スティラート公爵令嬢。目の前にいるのは確かに彼女だと思うのだ。マリアンヌの記憶にもあるので、彼女と会ったことはあるはず。でも今目の前にいる人でよかったっけ?

 私は動けなかった。お父様を見ると呆然としている。ゲルリーを見たらやはり同じように呆然と立ち尽くし、口をポカンと開けている。だらしない顔である。仮にも15歳の乙女を見ている顔ではない。

「挨拶もなし?相変わらずグズね」

 目の前でジュリアが言う。クルンクルンにぶっとく巻いた髪らしきものが顔の両側についている。目が細いのは元からなのか、それともほっぺたの肉がぼってりと付いていて盛り上がっているせいなのかわからない。

 着ているドレスはフリルが大量に付いている。この世界ではこれが有りなのだろうか。正直に言えば、もはやそれは服なのかどうかわからない。布地売り場で立っていたら、「このフリル1メートルください」と言ってしまいたくなるくらいに大量に巻き付いていて、なおかつ赤、白、ピンクとさまざまな色で、ものすごく広がったデザインになっている。

 はっきり言う。センス最悪。部屋中に広がって邪魔。フリルだってこんな使われ方されたくなかっただろうな。

「ジュリアの美しさに驚いて声が出ないのだろう」

 よくよく見たら、ジュリアの後ろから小太りでハゲたおっさんが出てきた。多分スティラート公爵だろう。お父様と比べるのは酷というものだが、比べたくなる。お父様の娘でよかった。

 これを美しいと言えるのか。親の欲目ってすごいな。と、変に感心した。




 
 
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