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しおりを挟む「お主が料理を作ると食べた者は幸せになる。食べた者はお主を妾の加護のおかげと褒めそやすであろう。そうして妾を信頼し敬う。それこそが妾の活力となる。お主の料理を食べたものも活力を得て悪魔と対抗する力を得るのじゃ」
女神様は嬉々として説明をしてくれた。私の料理を食べて活力を得るのはわかるが、悪魔と対抗するほどの力は得られないだろう。悪魔ってすごいもの。あの時のエイアール家の人たちを思い出してゾッとした。
「お主はもっとたくさんの人に料理を食べさせねばならない。そのために料理をたくさん作れるものを用意しておこう。作った料理をこぴーできるものじゃ。一つ作ればいくつもこぴーできるのじゃ。これで楽になるぞ」
「え?料理をコピー?」
「同じものをいくつも作ることをこぴーというのじゃろう?」
女神様が首を傾げて言う。ぐっ、かわいいぞ。と、思わず思ったが、料理をコピーできるなら助かる。
「お主には申し訳ないことをしたからのう」
急に真面目な顔になった女神様を見て、私は女神様も大変なのだなと思った。全く違う世界の人間の中身を入れ替えるなんて、してはいけないことなのではないか?でもそれをしなくてはいけないくらい、この世界は大変なことになっているのだろう。
「この世界のためにどうかやり遂げてほしい。そのためにできることは可能な限り手助けするから」
女神様を見ながら、私の周りの景色がだんだんぼやけていくのがわかる。もっと話したいことがあるのに・・・。そう思っていたけど、気がついたら私は食糧棚のところで粉チーズを持って立っていたのだった。
戻って来ちゃった。残念だけど仕方がない。キッチンに戻ると新しいものが置いてあった。どう見ても電子レンジ。もしやこれがコピー?
試しに扉を開けて中にクッキーを入れてみる。扉を閉めてドアの横にあるボタンを押す。2、3、4と押すたびに液晶画面に数字が増えていく。10になったところで違うボタンを押す。すぐにチン、という音が聞こえ中を見るとクッキーが10枚・・・。
思わず、うぉぉという令嬢とあるまじき声が出た。齧ってみたが味が落ちるとかいうことはない。完璧に同じ味のものができている。さすが女神のやることである。
私は張り切ってコピー商品を作った。クッキーとパウンドケーキとアップルパイの詰め合わせを大量に作る。それからサンドイッチ。大量に作ったそれらをサンタクロースの袋に入れる。
マリアンヌは私の世界でちゃんと食べているだろうか。ふと、そんなことを思った。
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