美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー

文字の大きさ
上 下
51 / 220

51

しおりを挟む
「え? 鑑定?」

 お父様が帰ってきたと思ったら、私に加護があるのか鑑定をすると言う。マズイ。鑑定とは何か。何をするかわからないが、加護があるとは思えない。

 不安げな様子がバレたのか、お父様はにっこり微笑むと頭を撫でてくれた。素直に撫でられているが、心の中は盛大に慌てている。

「大丈夫だよ、マリアンヌ。鑑定といっても水晶に手をかざすだけ。痛いことも怖いこともないから」

 小さい子どもに言って聞かすように優しく言われる。余計に不安が募ってくる。

「魔法省に行くだけだから。そこの人は変わった人だけど、悪い人ではないからね」

 魔法省とか、経験したことがないところである。恐怖を感じはするが、行かないという選択肢はないのだろう。

 料理を作っているから加護がある。それがこの世界の人の言い分であるが、加護は関係ない。単に料理の知識があるだけである。しかしそんなことを言うわけにいかない。

    私のからだはマリアンヌ12歳ですが、心は異世界の人間真理子32歳です。

    加護がないばかりか、そんなことを言う人間は信用されないだろう。みんなからどう思われるか。想像するだけでも恐ろしい。

 もし加護がないと分かればどうなるのだろう。

    お父様がセバスチャンと別の部屋に行ったあと、キッチンで昼食の準備をしながら考えてみた。加護があると言ってみんなが喜んでいる。天才だの女神の再来だの、好き勝手に褒めてくれている。

    騎士の人たちは忠誠まで誓ってくれた。冗談かと思ったけど、料理を美味しいと言ってくれた。

    そうだ、加護はともかく料理はできる。それは変わらない。

 考えても仕方がないので、昼食の準備に勤しむことにする。

 今日の昼はパスタである。食糧棚にパスタが大量にあるのを見つけたのだ。この世界にパスタがあったのだ、使わないわけにいかない。

 一番好きなパスタはナポリタンなのだが、受け入れてもらえるだろうか。多少心配ではあるが、まあ大丈夫であろう。材料を用意し、粉チーズはないかと食糧棚へ向かった。食糧棚には色々な者が雑多におかれている。醤油や味噌などの調味料もあるし、フードプロセッサーやハンドミキサーなどの調理道具も置いている。

 粉チーズを探しながらふと見ればドアがあった。こんなところにドアがあっただろうか。不思議に思う。何度かここで色々探した。見るたびに発見がある。食材などが増えるのは魔法のおかげで、食材も自動的に搬入されるのだ。だからいちいち気にしてなかった。

 このドアは何だろう。何か別の部屋に繋がっているのだろうか。もしかしたらもっと色々な食材を置かれた部屋かもしれない。私はなんとなくドアを開けた。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜

青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ 孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。 そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。 これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。 小説家になろう様からの転載です!

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

野草から始まる異世界スローライフ

深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。 私ーーエルバはスクスク育ち。 ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。 (このスキル使える)   エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。 エブリスタ様にて掲載中です。 表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。 プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。 物語は変わっておりません。 一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。 よろしくお願いします。

転生少女の異世界のんびり生活 ~飯屋の娘は、おいしいごはんを食べてほしい~

明里 和樹
ファンタジー
日本人として生きた記憶を持つ、とあるご飯屋さんの娘デリシャ。この中世ヨーロッパ風ファンタジーな異世界で、なんとかおいしいごはんを作ろうとがんばる、そんな彼女のほのぼのとした日常のお話。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う

たくみ
ファンタジー
 圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。  アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。  ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?                        それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。  自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。  このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。  それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。 ※小説家になろうさんで投稿始めました

【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです

ノデミチ
ファンタジー
ある女医が、天寿を全うした。 女神に頼まれ、知識のみ持って転生。公爵令嬢として生を受ける。父は王国元帥、母は元宮廷魔術師。 前世の知識と父譲りの剣技体力、母譲りの魔法魔力。権力もあって、好き勝手生きられるのに、おせっかいが大好き。幼馴染の二人を巻き込んで、突っ走る! そんな変わった公爵令嬢の物語。 アルファポリスOnly 2019/4/21 完結しました。 沢山のお気に入り、本当に感謝します。 7月より連載中に戻し、拾異伝スタートします。 2021年9月。 ファンタジー小説大賞投票御礼として外伝スタート。主要キャラから見たリスティア達を描いてます。 10月、再び完結に戻します。 御声援御愛読ありがとうございました。

処理中です...