美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー

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 昼食も終わり、次は夕飯である。食材を見ていたら、鮭があった。一匹丸々の鮭である。夕飯は鮭のムニエルにして、鮭のおにぎりも作っておこう。鮭のフライでみんなの大好きなサンドイッチ(シャンドゥイッチもしくはチャンドルリッチ)を作ってもいい。

 さっそく鮭をおろす。包丁もよく切れるし気分がいい。サクサクと仕事は進む。ムニエルにフライ、おにぎり用に塩を振って焼く。鮭はあっという間に色々な料理へと変貌した。

 夢中になって料理をした。たくさん作って食べてもらおう。何だか楽しくて仕方がない。そのときふと閃いた。

 地方から食材が自動的に届くようになっているなら、お城にいるお父様やお兄様へもできた料理を届けられないだろうか。二人は仕事が忙しくて家に戻れない。食事も満足にできないだろうから自分の作った料理を食べてもらえればいいなと思った。後でセバスチャンに聞いてみよう。

 夕飯の時間になった。鮭のムニエルに野菜のソテー、キノコのポタージュ、そして朝焼いたパンがメニューである。

 もう慣れてしまったが、3人は大きく目を見開いて料理の前に立っていた。朝からずっと料理を見るたびにこんな状態になっている。

「あぁ、神様」

 マーサが跪いた。手を組んで口元に当て何か呟いている。

「お嬢様の加護のおこぼれを頂いてありがとうございます。願わくば、未来永劫いただきたいと思います」

 聞こえた言葉に驚きもしたが、気にしないように心がける。この世界の人じゃなければ、絶対料理上手なキャラなのだが。

 メアリは静かに椅子に座った。口元は微笑んでいる。こうやって見るとメアリは結構美人さんである。やはり公爵家に勤めるメイドである。上品な様子に私は安心した。

「早く食べさせてよ、マーサ。料理は逃げるかもしれないのよ」

 しかし、小さな声でメアリが呟いているのを私は聞いてしまった。

「お腹空いてるのよ。さっさと食べましょうよ。年寄りはこれだから困るわ。人の気持ちに気が付かないんだから」

 私に聞こえているのに気づいていないようで、メアリは呟き続けている。上品に微笑みながら。

 目眩がしそうなのを堪え、セバスチャンを見る。彼は昼食の時に言っていた通り声に出したりはしなかった。しかし気味が悪いくらいに目をギラギラとさせていた。血を吸う寸前に見せるドラキュラの表情を何故だか思い出した。

   食事は静かに進んだ。美味しいとか言ってほしかったのだが、彼らの表情を見たら十分だった。本当に幸せそうに食べてくれているのだ。

「美味しいですわぁ」
「こんなに美味しいお食事をいただけるなんて。幸せですぅ」
「これで明日も仕事に精を出せますね」

 食後、3人は嬉しそうに語り合っている。なんにせよ、食事は大事だ。その姿を見ていたら、明日も頑張って作ろうと決意した。
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