14 / 19
13日目 桃色特攻薬
しおりを挟む
昼過ぎに鳩が来た。
ティアラとバーナの鳩は頑張ったような顔をしている。
「えっと……急だけど、今日の昼くらいに薬を貰いに行きます。感染症か分からないけど村のほとんどの人が腹痛と高熱で倒れてしまいました。よろしくお願いします。」
えっ!?もう昼だけど?!
太陽を見上げて、鳩を睨むと鳩は私に背を向けてエサを食べ始めた。
このデブ鳩め!
「確かこの時期は……井戸の掃除をすれば治るはずね。かかってしまった人には申し訳ないけど今のところ薬は無いから、少し時間かかってしまうけど今から作りましょう……。」
今日は急なので、ティアラ達をお迎えにいけない。
庭から生姜を抜いて、急いで湖で泥を落とす。
向こう岸にティアラがいるのが見えて新しく出来た橋をみて恐る恐る渡っていた。
私は小走りで調合室に向かうと、聖水を作り始める。
聖水は水に限界まで魔力を注いで蒸発させた蒸気を集めたもので不思議と青色になる。
タカヒコのポーションで全部使い切ってしまったからね…
家のまわりの湖にも散布している、聖水は浄化の力を持つ。
次に生姜をすりおろし絞りカスと絞り汁に分ける。
よもぎもすり鉢で磨りそちらもカスと絞り汁に分ける。
絞りカスに水とスライムの乾燥させたものと砂糖とレモン果汁を混ぜて火にかけて、魔力を注ぐ。
別の鍋に砂糖と聖水を火にかけてキャラメルを作ったら生姜とヨモギ汁を入れて、伸ばすとキャラメル色の液体ができた。
「聖女様?珍しいバタバタしてるなんて……。」
「さっき鳩が来たもので……あれ?バーナさんは?」
「バーナは……調子悪くて……」
私は手が震えているティアラになんと声をかければいいかわからず、作業を続ける。
バーナさんがかかってしまったのでティアラは気が気では無いのだろう。
落ち着かないのかずっとうろちょろしている。
ケーフクとヒィルの草の乾燥させたものを乳鉢で潰して筋を取り、キャラメル色の液体に粉末になったそれを混ぜ合わせて1口舐めるととても薬とは思えない生姜とヨモギの味のする美味しいシロップができた。
「完成した?!」
「ごめんなさいもう少し時間かかってしまうわ……」
「そ、そう……わ、私お茶の準備するわ。」
「ありがとう」
タカヒコの為に作っておいたグレードポーションを混ぜようと思ったが辞めた。
これは最後にティアラが混ぜた方が効果的だろう。
まだまだ魔法が浸透していない世界だ。
魔法使える人は神聖視させる傾向があるので、目の前で魔法っぽいものをつかうとしたらそんなすごい人が村にいると村人たちの気持ちもかなり楽になるだろう。
私も村の人には認知はさせているが、人々は絶対私に会いに来ようとしない。
理由は、私が悪い魔女だからという人もいれば、魔王の配下だって変な噂もあるらしい。
なのでティアラ達は自分たちが薬を作っていることにして、私の薬を村で売っているのだ。
私は村の人たちと何度も仲良くなりたいと何回かトライしたけど爪弾きにされてしまうのが落ちなのだ。
聖水と古代樹の灰と混ぜ合わせて金色の祝福を捧げると、透明で金箔をうかべたような液体が出来上がった。
これは掃除をした後の井戸に入れると村の邪気を払ってくれる代物。
「お茶できたよ?」
「ありがとう。聖水が完成したら終わりだけど……おやつ食べたらまた説明するわ。」
「急に押しかけちゃってごめんなさい。」
お茶とレモンシロップのクレープ煮を作ってくれた。
1口頬張ると甘酸っぱくてとても美味しかった。
まだ晴れない顔をして、お茶も一口も飲んでいない。
「じゃあ食べ終わったら、説明するから。食べちゃって?」
そう言ったら私は合間時間にやっている編み物を再開する。
最近食べていないのか、ゆっくり咀嚼している。
「食べ終わりました。説明お願いいたします。」
「そんな畏まらないで。大丈夫だから。まず、1番最初に元気な人達で井戸を掃除してください。掃除が終わったらこの薬品を井戸に垂らしてください。一つの井戸に対して1本です。今日は2本だけ用意しました。」
「元気な人達もう何人も残ってないです……。」
「でもこれは元気な人達でないとダメなので。女だけ子供だけでも人を雇っても大丈夫なのでなんとしてでも必ずなし遂げてください。」
「はい」
「次に病気の人達は、このシロップを10倍の水で薄めて沸かしてください。湧いたら火から下ろして、この黄色いポーションを混ぜてください。すると桃色のポーションに変わります。それを皆の前で行います。」
「いいんですか?」
「病気は気から来ます。心強い魔法使いがいるとなると皆元気になることが多いです。テコ入れでと思ってください。怪しい魔法使いの薬は飲まないというものがいれば何も飲ませなくていいです。皆が元気になれば飲みたがるでしょう。」
「わかりました。」
「今回は井戸から広がる呪いです。解呪をしないと体は辛くなる一方で最終的には呪いを体に蝕まれて死にます。ポーションは桃色のものでは無いと全く意味がないのでそこは注意してください。」
「本当にありがとう。」
ティアラは手を握って涙を流した。
最初はただ風邪が流行っているだけだと思ったらしい。
そしたらこんなに拡がって、どうすることも出来なくなってしまったそう。
とりあえず、手遅れになる前で良かったよ。
残り1085日
ティアラとバーナの鳩は頑張ったような顔をしている。
「えっと……急だけど、今日の昼くらいに薬を貰いに行きます。感染症か分からないけど村のほとんどの人が腹痛と高熱で倒れてしまいました。よろしくお願いします。」
えっ!?もう昼だけど?!
太陽を見上げて、鳩を睨むと鳩は私に背を向けてエサを食べ始めた。
このデブ鳩め!
「確かこの時期は……井戸の掃除をすれば治るはずね。かかってしまった人には申し訳ないけど今のところ薬は無いから、少し時間かかってしまうけど今から作りましょう……。」
今日は急なので、ティアラ達をお迎えにいけない。
庭から生姜を抜いて、急いで湖で泥を落とす。
向こう岸にティアラがいるのが見えて新しく出来た橋をみて恐る恐る渡っていた。
私は小走りで調合室に向かうと、聖水を作り始める。
聖水は水に限界まで魔力を注いで蒸発させた蒸気を集めたもので不思議と青色になる。
タカヒコのポーションで全部使い切ってしまったからね…
家のまわりの湖にも散布している、聖水は浄化の力を持つ。
次に生姜をすりおろし絞りカスと絞り汁に分ける。
よもぎもすり鉢で磨りそちらもカスと絞り汁に分ける。
絞りカスに水とスライムの乾燥させたものと砂糖とレモン果汁を混ぜて火にかけて、魔力を注ぐ。
別の鍋に砂糖と聖水を火にかけてキャラメルを作ったら生姜とヨモギ汁を入れて、伸ばすとキャラメル色の液体ができた。
「聖女様?珍しいバタバタしてるなんて……。」
「さっき鳩が来たもので……あれ?バーナさんは?」
「バーナは……調子悪くて……」
私は手が震えているティアラになんと声をかければいいかわからず、作業を続ける。
バーナさんがかかってしまったのでティアラは気が気では無いのだろう。
落ち着かないのかずっとうろちょろしている。
ケーフクとヒィルの草の乾燥させたものを乳鉢で潰して筋を取り、キャラメル色の液体に粉末になったそれを混ぜ合わせて1口舐めるととても薬とは思えない生姜とヨモギの味のする美味しいシロップができた。
「完成した?!」
「ごめんなさいもう少し時間かかってしまうわ……」
「そ、そう……わ、私お茶の準備するわ。」
「ありがとう」
タカヒコの為に作っておいたグレードポーションを混ぜようと思ったが辞めた。
これは最後にティアラが混ぜた方が効果的だろう。
まだまだ魔法が浸透していない世界だ。
魔法使える人は神聖視させる傾向があるので、目の前で魔法っぽいものをつかうとしたらそんなすごい人が村にいると村人たちの気持ちもかなり楽になるだろう。
私も村の人には認知はさせているが、人々は絶対私に会いに来ようとしない。
理由は、私が悪い魔女だからという人もいれば、魔王の配下だって変な噂もあるらしい。
なのでティアラ達は自分たちが薬を作っていることにして、私の薬を村で売っているのだ。
私は村の人たちと何度も仲良くなりたいと何回かトライしたけど爪弾きにされてしまうのが落ちなのだ。
聖水と古代樹の灰と混ぜ合わせて金色の祝福を捧げると、透明で金箔をうかべたような液体が出来上がった。
これは掃除をした後の井戸に入れると村の邪気を払ってくれる代物。
「お茶できたよ?」
「ありがとう。聖水が完成したら終わりだけど……おやつ食べたらまた説明するわ。」
「急に押しかけちゃってごめんなさい。」
お茶とレモンシロップのクレープ煮を作ってくれた。
1口頬張ると甘酸っぱくてとても美味しかった。
まだ晴れない顔をして、お茶も一口も飲んでいない。
「じゃあ食べ終わったら、説明するから。食べちゃって?」
そう言ったら私は合間時間にやっている編み物を再開する。
最近食べていないのか、ゆっくり咀嚼している。
「食べ終わりました。説明お願いいたします。」
「そんな畏まらないで。大丈夫だから。まず、1番最初に元気な人達で井戸を掃除してください。掃除が終わったらこの薬品を井戸に垂らしてください。一つの井戸に対して1本です。今日は2本だけ用意しました。」
「元気な人達もう何人も残ってないです……。」
「でもこれは元気な人達でないとダメなので。女だけ子供だけでも人を雇っても大丈夫なのでなんとしてでも必ずなし遂げてください。」
「はい」
「次に病気の人達は、このシロップを10倍の水で薄めて沸かしてください。湧いたら火から下ろして、この黄色いポーションを混ぜてください。すると桃色のポーションに変わります。それを皆の前で行います。」
「いいんですか?」
「病気は気から来ます。心強い魔法使いがいるとなると皆元気になることが多いです。テコ入れでと思ってください。怪しい魔法使いの薬は飲まないというものがいれば何も飲ませなくていいです。皆が元気になれば飲みたがるでしょう。」
「わかりました。」
「今回は井戸から広がる呪いです。解呪をしないと体は辛くなる一方で最終的には呪いを体に蝕まれて死にます。ポーションは桃色のものでは無いと全く意味がないのでそこは注意してください。」
「本当にありがとう。」
ティアラは手を握って涙を流した。
最初はただ風邪が流行っているだけだと思ったらしい。
そしたらこんなに拡がって、どうすることも出来なくなってしまったそう。
とりあえず、手遅れになる前で良かったよ。
残り1085日
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる