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11日目 きいろの夢
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果樹園という程では無いが、元々果樹がたくさん生えている場所がある。
その場所には、スモモの木、サルナシの木、レモンの木、ローリエ、桑の木、なんかが植わっている。
もともと貴族だった曾祖母が自分の趣味のために建てられたと言われるこの家果物がたくさん生えている。
曾祖母はどこかの国のお姫様だったとか何とか…祖母は曾祖母が森の中に隠した宝と言われ、母はどうして生まれたのか、私はどうして生まれたのかよく分からない。
父親はもちろん祖父も分からない。
私が1ミリも気にならなかったのには、母に愛情持って育てられたからだろう。
繰り返しの人生の中で王族と招き入れられた時があった。
その人生も悲惨だったものだ。
思い出すだけでも鳥肌が…。
「おーいシュリー?来たぞー?」
「ギン?こっちに来たの?」
「ああ!これ!タカヒコからだぞー!」
渡されたものは瓶と、瓶の中には根っこまで綺麗に現れた真っ白い小さな鈴蘭の苗だった。
手紙がまきつけてあったので紐を解いてみると一言だけ、「君に似た花があったので送らせてもらう」と書いてあった。
とても嬉しくなった。
ふとタカヒコの顔を思い出して、瓶を抱き抱える。
「おーおー?なんかあいつに届けるかー?」
「そうね…。どうしようかしら?……そうだわ!」
「んー?」
手紙を書いた。
特に何か書いた訳では無いが朝に焼いたクッキーを4.5枚入れてあげた。
ギンは受け取るとすぐにランタンに飛び込んで行った。
私は鈴蘭を家の前の植木鉢に植えて、ヒールと豊穣の祝福を施すと少しだけしおれていた鈴蘭とても元気になった。
果樹園の収穫ができそうなサルナシと、レモンを収穫していく。
こちらのレモンは曾祖母が貼った結界のおかげでいつでも収穫できる。
曾祖母の貼った結界は今はもう文献すら残っていない昔の高技術な結界だ。
レモンの木をとてもとても大切にされていたよう。
レモンの木の周りはとても暖かい海の気候を思い出し、香りも磯のかおりがする気がする。
「貴方は主人がいなくて寂しいでしょ?私も1人で寂しい…」
レモンの木には「そんなことないよ?」と言われた気がした。
レモンの木の根元に座り込み寄りかかると湖を見る。
すごく海みたいな景色だなぁと思いながらぼぅっと眺めていたらいつの間にか寝てしまった。
夢を見た気がした。
暖かい気候の地方の夢で小さな船を男の人が漕いでいる夢。
その男の人は優しい笑顔で喋りかけて来て、私は彼に好意を抱いているのかな?船からおりると私は必死に彼を引き止めて彼の家に向かった。
彼は家に入れてくれなくて、代わりにレモンの木の折って枝を2本渡してきた。
私は彼を泣いて引き止めたが彼はどこかに行ってしまった。
そして私は誰かに両脇を抱えられて、どこかに連れさらわれ、鳥籠の中に幽閉されて毎日泣いて過ごした。
鳥籠の中で泣きながら大切にレモンを育てた。
変わった夢だ。
「シュリー!こんなとこで寝たら大変だぞ!」
「……ん?タカヒコ……さん?」
「おま、なんで泣いてんだよ?!泣きやめってよしよし。」
私は泣いていたようで袖で涙を拭うと、ギンな小さな体を使って一生懸命よしよししてくれた。
ギンは何かを届けてくれていた訳ではなかったが「心配だから」といってタカヒコのところから来てくれたようだ。
本当はクッキーが食べたいだけだったようだが……。
夜なのでフレッシュハーブをまたギンに持って行ってもらう。
今日はレモングラス、アップルミント、ファンネル、ラベンダーの蕾を入れた。
「またな!」
「タカヒコさんによろしく。」
「おうっ!」
寂しいものだ。
レモンの木を撫でながら雲がかかった星を見る。
残り1087日
その場所には、スモモの木、サルナシの木、レモンの木、ローリエ、桑の木、なんかが植わっている。
もともと貴族だった曾祖母が自分の趣味のために建てられたと言われるこの家果物がたくさん生えている。
曾祖母はどこかの国のお姫様だったとか何とか…祖母は曾祖母が森の中に隠した宝と言われ、母はどうして生まれたのか、私はどうして生まれたのかよく分からない。
父親はもちろん祖父も分からない。
私が1ミリも気にならなかったのには、母に愛情持って育てられたからだろう。
繰り返しの人生の中で王族と招き入れられた時があった。
その人生も悲惨だったものだ。
思い出すだけでも鳥肌が…。
「おーいシュリー?来たぞー?」
「ギン?こっちに来たの?」
「ああ!これ!タカヒコからだぞー!」
渡されたものは瓶と、瓶の中には根っこまで綺麗に現れた真っ白い小さな鈴蘭の苗だった。
手紙がまきつけてあったので紐を解いてみると一言だけ、「君に似た花があったので送らせてもらう」と書いてあった。
とても嬉しくなった。
ふとタカヒコの顔を思い出して、瓶を抱き抱える。
「おーおー?なんかあいつに届けるかー?」
「そうね…。どうしようかしら?……そうだわ!」
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手紙を書いた。
特に何か書いた訳では無いが朝に焼いたクッキーを4.5枚入れてあげた。
ギンは受け取るとすぐにランタンに飛び込んで行った。
私は鈴蘭を家の前の植木鉢に植えて、ヒールと豊穣の祝福を施すと少しだけしおれていた鈴蘭とても元気になった。
果樹園の収穫ができそうなサルナシと、レモンを収穫していく。
こちらのレモンは曾祖母が貼った結界のおかげでいつでも収穫できる。
曾祖母の貼った結界は今はもう文献すら残っていない昔の高技術な結界だ。
レモンの木をとてもとても大切にされていたよう。
レモンの木の周りはとても暖かい海の気候を思い出し、香りも磯のかおりがする気がする。
「貴方は主人がいなくて寂しいでしょ?私も1人で寂しい…」
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私は彼を泣いて引き止めたが彼はどこかに行ってしまった。
そして私は誰かに両脇を抱えられて、どこかに連れさらわれ、鳥籠の中に幽閉されて毎日泣いて過ごした。
鳥籠の中で泣きながら大切にレモンを育てた。
変わった夢だ。
「シュリー!こんなとこで寝たら大変だぞ!」
「……ん?タカヒコ……さん?」
「おま、なんで泣いてんだよ?!泣きやめってよしよし。」
私は泣いていたようで袖で涙を拭うと、ギンな小さな体を使って一生懸命よしよししてくれた。
ギンは何かを届けてくれていた訳ではなかったが「心配だから」といってタカヒコのところから来てくれたようだ。
本当はクッキーが食べたいだけだったようだが……。
夜なのでフレッシュハーブをまたギンに持って行ってもらう。
今日はレモングラス、アップルミント、ファンネル、ラベンダーの蕾を入れた。
「またな!」
「タカヒコさんによろしく。」
「おうっ!」
寂しいものだ。
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