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2日目 村の薬と迷い人
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今日は村から診療者がやってくる。
朝連絡用の鳩の手紙を読んだので、内容はわかっている。
薬を完成する手前までいくつか作っておくと、桟橋に船が近づいているのが見えたのでお出迎えに行く。
到着したのはいつも来る2人の夫婦だった。
バーナとティアラだ。
2人は村で私の作った薬を売って生活しているよう。
「あら!聖女様……お迎えなんていいのに………。」
「いえいえいつも助かっております。」
「そういえば、聖女様が外に出てしまうって噂があったのですが本当ですか?」
「最初はそう思っていましたがここに残ることにしました。」
「そうですか……ほっとしました。この村では薬を作れる人は貴方だけですから……。こちらを用意して貰えると助かります。」
「はい!鳩さんの手紙を受け取ったので把握しているので大丈夫です!」
私の報酬の木箱と使用済みの瓶が詰まった木箱、お金の代わりになる品々の袋。
干し肉や、乳製品、豆、砂糖、塩、小麦粉、野菜、果物なんかが入っている。
貰いすぎだよななんて私は口をひきつらせる。
私は木箱をひとつ受け取り、小屋の調合室に向かい残りの薬を調合して行く。
聖水と薬を調合した薬水を素早く混ぜ合わせると深い緑色からエメラルドグリーンの色に変わり、塩を少しづつ入れ溶けるとエメラルドグリーンから黄緑色に変わっていく。
変化が終わったら瓶に詰めて、木箱に並べて置いた瓶に専用の銀の柄杓1杯づつ入れていく。
入れ終われば栓をして次の木箱を用意して入れて、木箱3つ分出来た。
その他にもいくつか薬を作った、解呪のポーション、解毒のポーションなどだ。
ポーションを嫌う村人もいるだろうから、錠剤タイプも作っておいた。
ポーションは聖女にしか作れないがただの薬は一般人にも作れるから高くないだろうが、夫婦に頼まれなので作っている。
錠剤の薬はポーションで作る時に出てくるカスで出来るため手間はかかるが新たに用意するものは特にない。
そして調子に乗ったら、いつもより多めに作ってしまった。
一つだけ特別なポーションを作った。
全回復、解呪、解毒、全てを1本で済ませるポーションこちらは特別なので白い中身の見えない瓶に入れた。
「あらっ!?もう終わったの?ごめんなさいお部屋の掃除がまだ終わっていなくて……」
「私も掃除できるので大丈夫ですよ。お茶にしますか?」
「そうですわね!」
庭からフレッシュミントを取る。
レモングラス、スペアミントを適当に摘み取り洗うとポットに詰め込みライムの皮を包丁でけずって、一緒に入れればティアラが沸かしてくれたお湯をポットの中に入れて蒸らす。
「夫はここのミントティーが本当に楽しみみたいでね、いつも楽しみにしているのよ?私呼んできますね!」
「よろしくお願いします」
私は戸棚から焼いたシフォンケーキを取りだして切っていると外が騒がしくなった。
ティアラさんも走って部屋に入ってきた。
「外で誰かが倒れてます!」
「えっ?!」
私はポットの中身を別のポットに茶こして全て移して一緒に外に向かう。
湖の向こう側に黒い何かが確かに倒れていた。
私は湖を走って渡り、男を抱えてまた湖を渡ると夫婦は心配そうに覗き込んできた。
「この人魔獣の森から出てきましたよ…大丈夫かしら…」
「きっと疲れて寝ているだけですよ家の中で休ませてあげましょう。」
男を窓辺に置いてあるソファに寝かせて上着を脱がせる。
癒しの魔法で彼の体を癒したら、毛布をかける。
今までの繰り返しの人生でこんなこと1回もなかったことだ。
「ではお茶の続きをしましょう。そうそう!私クッキー焼いてきましたの!それも用意しますね!」
「そうですね!楽しみです。」
シフォンケーキを切って牛乳粉卵砂糖を泡立て器で混ぜながら火にかけてカスタードクリームを作り、ケーキにかからないようにケーキのとなりに添えていく。
カスタードの上にミントを乗せて、はちみつをたっぷりかけて机に持っていくと、ティアラさんはミントティーの用意をしてくれた。
今回のシフォンケーキは上手く焼けたからよかったなぁなんてニコニコしながら椅子に座ると目の前のバーナが少年のような表情でシフォンケーキをぱくりと1口放り入れた。
そしてミントティーをひとくち飲み、その後はちみつを足して飲んでいた。
男の人で甘いものを好む人はとても少なく珍しい。
私とティアラは向き合って笑ってしまった。
私がクッキーを口に含むとほろりとほどけるようなクッキーはとても美味しかった。
知らない男が私の家にいるのが嫌なのかティアラは村に連れていこうとしたが、私が面倒を見るよ通しきってなんとか返した。
何かあったら逃げるんだぞと、バーナに念を押され短剣を渡された。
夜の帳が降りて久しぶりの牛乳が届いたので、クリームシチューを作ることにした。
うさぎのクリームシチュー。
強めに振った塩を油で焼いて、じゃがいもと玉ねぎと人参と粉を炒めてクリームで伸ばして、シチューを作った。
久しぶりだったので2杯も食べてしまった。
この日男は目覚めることは無かった。
残り1094日
朝連絡用の鳩の手紙を読んだので、内容はわかっている。
薬を完成する手前までいくつか作っておくと、桟橋に船が近づいているのが見えたのでお出迎えに行く。
到着したのはいつも来る2人の夫婦だった。
バーナとティアラだ。
2人は村で私の作った薬を売って生活しているよう。
「あら!聖女様……お迎えなんていいのに………。」
「いえいえいつも助かっております。」
「そういえば、聖女様が外に出てしまうって噂があったのですが本当ですか?」
「最初はそう思っていましたがここに残ることにしました。」
「そうですか……ほっとしました。この村では薬を作れる人は貴方だけですから……。こちらを用意して貰えると助かります。」
「はい!鳩さんの手紙を受け取ったので把握しているので大丈夫です!」
私の報酬の木箱と使用済みの瓶が詰まった木箱、お金の代わりになる品々の袋。
干し肉や、乳製品、豆、砂糖、塩、小麦粉、野菜、果物なんかが入っている。
貰いすぎだよななんて私は口をひきつらせる。
私は木箱をひとつ受け取り、小屋の調合室に向かい残りの薬を調合して行く。
聖水と薬を調合した薬水を素早く混ぜ合わせると深い緑色からエメラルドグリーンの色に変わり、塩を少しづつ入れ溶けるとエメラルドグリーンから黄緑色に変わっていく。
変化が終わったら瓶に詰めて、木箱に並べて置いた瓶に専用の銀の柄杓1杯づつ入れていく。
入れ終われば栓をして次の木箱を用意して入れて、木箱3つ分出来た。
その他にもいくつか薬を作った、解呪のポーション、解毒のポーションなどだ。
ポーションを嫌う村人もいるだろうから、錠剤タイプも作っておいた。
ポーションは聖女にしか作れないがただの薬は一般人にも作れるから高くないだろうが、夫婦に頼まれなので作っている。
錠剤の薬はポーションで作る時に出てくるカスで出来るため手間はかかるが新たに用意するものは特にない。
そして調子に乗ったら、いつもより多めに作ってしまった。
一つだけ特別なポーションを作った。
全回復、解呪、解毒、全てを1本で済ませるポーションこちらは特別なので白い中身の見えない瓶に入れた。
「あらっ!?もう終わったの?ごめんなさいお部屋の掃除がまだ終わっていなくて……」
「私も掃除できるので大丈夫ですよ。お茶にしますか?」
「そうですわね!」
庭からフレッシュミントを取る。
レモングラス、スペアミントを適当に摘み取り洗うとポットに詰め込みライムの皮を包丁でけずって、一緒に入れればティアラが沸かしてくれたお湯をポットの中に入れて蒸らす。
「夫はここのミントティーが本当に楽しみみたいでね、いつも楽しみにしているのよ?私呼んできますね!」
「よろしくお願いします」
私は戸棚から焼いたシフォンケーキを取りだして切っていると外が騒がしくなった。
ティアラさんも走って部屋に入ってきた。
「外で誰かが倒れてます!」
「えっ?!」
私はポットの中身を別のポットに茶こして全て移して一緒に外に向かう。
湖の向こう側に黒い何かが確かに倒れていた。
私は湖を走って渡り、男を抱えてまた湖を渡ると夫婦は心配そうに覗き込んできた。
「この人魔獣の森から出てきましたよ…大丈夫かしら…」
「きっと疲れて寝ているだけですよ家の中で休ませてあげましょう。」
男を窓辺に置いてあるソファに寝かせて上着を脱がせる。
癒しの魔法で彼の体を癒したら、毛布をかける。
今までの繰り返しの人生でこんなこと1回もなかったことだ。
「ではお茶の続きをしましょう。そうそう!私クッキー焼いてきましたの!それも用意しますね!」
「そうですね!楽しみです。」
シフォンケーキを切って牛乳粉卵砂糖を泡立て器で混ぜながら火にかけてカスタードクリームを作り、ケーキにかからないようにケーキのとなりに添えていく。
カスタードの上にミントを乗せて、はちみつをたっぷりかけて机に持っていくと、ティアラさんはミントティーの用意をしてくれた。
今回のシフォンケーキは上手く焼けたからよかったなぁなんてニコニコしながら椅子に座ると目の前のバーナが少年のような表情でシフォンケーキをぱくりと1口放り入れた。
そしてミントティーをひとくち飲み、その後はちみつを足して飲んでいた。
男の人で甘いものを好む人はとても少なく珍しい。
私とティアラは向き合って笑ってしまった。
私がクッキーを口に含むとほろりとほどけるようなクッキーはとても美味しかった。
知らない男が私の家にいるのが嫌なのかティアラは村に連れていこうとしたが、私が面倒を見るよ通しきってなんとか返した。
何かあったら逃げるんだぞと、バーナに念を押され短剣を渡された。
夜の帳が降りて久しぶりの牛乳が届いたので、クリームシチューを作ることにした。
うさぎのクリームシチュー。
強めに振った塩を油で焼いて、じゃがいもと玉ねぎと人参と粉を炒めてクリームで伸ばして、シチューを作った。
久しぶりだったので2杯も食べてしまった。
この日男は目覚めることは無かった。
残り1094日
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