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妖精の力
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とりあえず、ガーディアンゴーレムを【アイテムボックス】にしまう。
構成されているミスリルはかなり有用なものだ。
これを売ればお金にもなるし、加工して武器や防具や魔導具も作れる。
後は妖精を解放してあげるだけだ。
俺は来た道を引き返し、妖精が住む家に戻ってきた。
人差し指の第二関節で小さな家の扉を優しくコンコン、とノックする。
『ゴーレムを倒してきたよ』
そう言うと、先ほどの妖精が恐る恐る姿を現した。
『本当ですか……?』
『うん。もうここから出られるよ』
信じてもらうために《アイテムボックス》から動作停止したゴーレムを取り出した。
それを見た妖精は目を丸くした。
そして、しばらくゴーレムを見つめた後に妖精は俺を見た。
妖精の表情がぱぁっと明るくなった。
『ありがとうございますっ!』
勢いよくお辞儀をして、小さな家の中に戻って行った。
そして他の妖精を引き連れて、総勢5人の妖精が現れた。
『『『『『私達を助けていただき、ありがとうございます!』』』』』
妖精全員が一斉に頭を下げて、お礼を述べていた。
『気にしないで。俺も助けたくて助けた訳だからさ』
『神様……! ありがとう!』
そう言って、妖精達は俺を神様と呼び、何度も感謝の言葉が飛んできた。
『ははは、大袈裟だよ。俺はノアっていう名前があるんだからさ』
『『『『『ノア様! ノア様!』』』』』
妖精達はとても喜んでくれていた。
その姿を見て、助けてあげることが出来て本当に良かったと思う。
『……なんて言っておるのか分からんが、ノアが感謝されておるのは分かるな』
妖精の言語が分からないファフニールはそんな感想を漏らしていた。
◇
妖精達を連れて、巨木の根元にある《次元の狭間》に飛び込んだ。
移動先は暗い場所だが、壁に青い炎が灯されていた。
壁を触ると、魔鉱石だと分かった。
よく見ると、壁には古代文字(ルーン)が刻まれていた。
「へぇ、《炬火(きょか)》の古代魔術か……」
辺りを照らす青い炎は古代魔術によるものだった。
『こ、ここはどこ……?』
『怖い……』
『森に帰りたいよぉ……』
妖精達はこの場所に怯えていた。
森に帰るまでは安心できないな。
「……す、すごい。いきなり人と妖精と子竜が現れた」
背後から女性の声がした。
振り向くと、白衣を着た女性が腰を抜かしていた。
……なぜ、白衣?
「だ、大丈夫ですか?」
俺は手を差し伸べた。
「ええ、大丈夫! そんなことより! 貴方たちは一体何者なの? これは本当にすごいことだわ! まさか探索していた古代遺跡からいきなり現れるなんてもうビックリ! ねえねえ、どこから来たの? 古代種の生き残りだったりするのかしら!」
女性は目を輝かせながら俺の手を両手で握っていた。
「お、落ち着いてください。俺はただの冒険者で此処が一体どこなのかも分かっていませんから」
「えー! 冒険者! でも、さっき古代文字をちゃんと読んでいたわよね!? なんか呟いていたし! 凄いわ! まさか古代文字が読めるなんて!」
一人で勝手に話を進める人だった。
なぜか俺が古代文字を読めると思っているらしい。
まぁ読めるけども……。
「冒険者をやっているって言ってたわよね? 名前はなんて言うのかしら? もしかして、かなり有名で高位の冒険者だったりする? ちなみに私は魔導具技師にして考古学者のユンよ。これからよろしくね」
白衣の女性はユンという名前らしい。
話がどんどん進んでいく。
一応俺も自己紹介をしておくか……。
「俺はF級冒険者のノアです。ここは一体どこなんですか?」
それと、この場所がどこかも聞いておきたい。
分かれば《空間転移》でルベループに戻ることが出来るから。
「F級冒険者!? 意外だわ……! でも、その方が謎めいていて素敵ね。それからここはラスデア王国王都リードルフの東にある古代文明の遺跡よ」
王都リードルフの東にある古代文明の遺跡か。
まさか、ここでも古代文字(ルーン)が使われているとはな。
もしかして、世界各地の解明されていない遺跡にも古代文字が使われていたりするのだろうか。
そう思うと、とてもワクワクしてくるが、今は妖精達を森に返してあげることが先決だ。
早く安心させてあげたい。
ただ、ルベループの森まで《空間転移》をするとなると、かなりの魔力が必要になるが、やるしかない。
「分かりました。ありがとうございます。ユンさんとはまたどこかでお会いできるかもしれませんね」
そう言ってから俺は《空間転移》を使おうとした。
「え、ちょ、ちょっと待って! ここに突然現れたように、また突然消えていくつもり!?」
「あ、はい」
なんと察しが良いことか。
「お願いします! どこで活動しているのか教えて下さい! そして一緒に古代遺跡を探索しましょう!」
俺もこの古代遺跡には興味を持ったから、面白そうな提案だと思った。
「ぜひぜひ。今はルベループで活動しています。多分まだしばらくいるので、ユンさんが本当にそう思ってくれているなら、ルベループの冒険者ギルドを訪ねてください」
「分かった! 早速ルベループに向かうとするわ!」
「では、また会いましょう──《空間転移》」
ルベループの森まで一気に移動すると、頭がぐらっと揺れた。
視界が回って、俺はその場で倒れてしまった。
「あ、あれ……?」
鼻から血が流れている。
起きようにも思うように身体が動かない。
まずい……どうやら古代魔法を使い過ぎたせいで魔力が枯渇してしまったらしい。
今日でかなりの魔法を使って、最後に長距離の《空間転移》は流石に無茶だったか……。
身体が重く、めちゃくちゃ気持ちが悪い。
くそ、早く妖精の花をカールさんのもとに届けなきゃいけないのに……!
『『『『『ノア様っ!』』』』』
妖精がそう叫んで、俺の周りを飛び回った。
キラキラとした青色に輝く粉が舞い落ちてくる。
『今、ノア様を助けます……!』
『助けてもらった恩はここで返さないと……!』
『みんな! ノア様を絶対に助けるんだ!』
妖精達は舞い続けている。
少しずつだけど、魔力が回復してきているような感覚。
この青色に輝く粉は魔力を回復する効果があるらしい。
ある程度まで魔力が回復すると、身体の重さと気持ち悪さは薄れていった。
身体を起こすと、
『よかった! ノア様が起き上がった!』
『やった! やった!』
妖精達は俺の周りで喜んでいた。
『今度は助けられちゃったね』
『はい……! ノア様に助けられて、ここで死なせてしまっては本当に後悔してもし切れませんでしたから……!』
そう言って、妖精は涙を拭った。
でもその表情には笑みを浮かべていた。
構成されているミスリルはかなり有用なものだ。
これを売ればお金にもなるし、加工して武器や防具や魔導具も作れる。
後は妖精を解放してあげるだけだ。
俺は来た道を引き返し、妖精が住む家に戻ってきた。
人差し指の第二関節で小さな家の扉を優しくコンコン、とノックする。
『ゴーレムを倒してきたよ』
そう言うと、先ほどの妖精が恐る恐る姿を現した。
『本当ですか……?』
『うん。もうここから出られるよ』
信じてもらうために《アイテムボックス》から動作停止したゴーレムを取り出した。
それを見た妖精は目を丸くした。
そして、しばらくゴーレムを見つめた後に妖精は俺を見た。
妖精の表情がぱぁっと明るくなった。
『ありがとうございますっ!』
勢いよくお辞儀をして、小さな家の中に戻って行った。
そして他の妖精を引き連れて、総勢5人の妖精が現れた。
『『『『『私達を助けていただき、ありがとうございます!』』』』』
妖精全員が一斉に頭を下げて、お礼を述べていた。
『気にしないで。俺も助けたくて助けた訳だからさ』
『神様……! ありがとう!』
そう言って、妖精達は俺を神様と呼び、何度も感謝の言葉が飛んできた。
『ははは、大袈裟だよ。俺はノアっていう名前があるんだからさ』
『『『『『ノア様! ノア様!』』』』』
妖精達はとても喜んでくれていた。
その姿を見て、助けてあげることが出来て本当に良かったと思う。
『……なんて言っておるのか分からんが、ノアが感謝されておるのは分かるな』
妖精の言語が分からないファフニールはそんな感想を漏らしていた。
◇
妖精達を連れて、巨木の根元にある《次元の狭間》に飛び込んだ。
移動先は暗い場所だが、壁に青い炎が灯されていた。
壁を触ると、魔鉱石だと分かった。
よく見ると、壁には古代文字(ルーン)が刻まれていた。
「へぇ、《炬火(きょか)》の古代魔術か……」
辺りを照らす青い炎は古代魔術によるものだった。
『こ、ここはどこ……?』
『怖い……』
『森に帰りたいよぉ……』
妖精達はこの場所に怯えていた。
森に帰るまでは安心できないな。
「……す、すごい。いきなり人と妖精と子竜が現れた」
背後から女性の声がした。
振り向くと、白衣を着た女性が腰を抜かしていた。
……なぜ、白衣?
「だ、大丈夫ですか?」
俺は手を差し伸べた。
「ええ、大丈夫! そんなことより! 貴方たちは一体何者なの? これは本当にすごいことだわ! まさか探索していた古代遺跡からいきなり現れるなんてもうビックリ! ねえねえ、どこから来たの? 古代種の生き残りだったりするのかしら!」
女性は目を輝かせながら俺の手を両手で握っていた。
「お、落ち着いてください。俺はただの冒険者で此処が一体どこなのかも分かっていませんから」
「えー! 冒険者! でも、さっき古代文字をちゃんと読んでいたわよね!? なんか呟いていたし! 凄いわ! まさか古代文字が読めるなんて!」
一人で勝手に話を進める人だった。
なぜか俺が古代文字を読めると思っているらしい。
まぁ読めるけども……。
「冒険者をやっているって言ってたわよね? 名前はなんて言うのかしら? もしかして、かなり有名で高位の冒険者だったりする? ちなみに私は魔導具技師にして考古学者のユンよ。これからよろしくね」
白衣の女性はユンという名前らしい。
話がどんどん進んでいく。
一応俺も自己紹介をしておくか……。
「俺はF級冒険者のノアです。ここは一体どこなんですか?」
それと、この場所がどこかも聞いておきたい。
分かれば《空間転移》でルベループに戻ることが出来るから。
「F級冒険者!? 意外だわ……! でも、その方が謎めいていて素敵ね。それからここはラスデア王国王都リードルフの東にある古代文明の遺跡よ」
王都リードルフの東にある古代文明の遺跡か。
まさか、ここでも古代文字(ルーン)が使われているとはな。
もしかして、世界各地の解明されていない遺跡にも古代文字が使われていたりするのだろうか。
そう思うと、とてもワクワクしてくるが、今は妖精達を森に返してあげることが先決だ。
早く安心させてあげたい。
ただ、ルベループの森まで《空間転移》をするとなると、かなりの魔力が必要になるが、やるしかない。
「分かりました。ありがとうございます。ユンさんとはまたどこかでお会いできるかもしれませんね」
そう言ってから俺は《空間転移》を使おうとした。
「え、ちょ、ちょっと待って! ここに突然現れたように、また突然消えていくつもり!?」
「あ、はい」
なんと察しが良いことか。
「お願いします! どこで活動しているのか教えて下さい! そして一緒に古代遺跡を探索しましょう!」
俺もこの古代遺跡には興味を持ったから、面白そうな提案だと思った。
「ぜひぜひ。今はルベループで活動しています。多分まだしばらくいるので、ユンさんが本当にそう思ってくれているなら、ルベループの冒険者ギルドを訪ねてください」
「分かった! 早速ルベループに向かうとするわ!」
「では、また会いましょう──《空間転移》」
ルベループの森まで一気に移動すると、頭がぐらっと揺れた。
視界が回って、俺はその場で倒れてしまった。
「あ、あれ……?」
鼻から血が流れている。
起きようにも思うように身体が動かない。
まずい……どうやら古代魔法を使い過ぎたせいで魔力が枯渇してしまったらしい。
今日でかなりの魔法を使って、最後に長距離の《空間転移》は流石に無茶だったか……。
身体が重く、めちゃくちゃ気持ちが悪い。
くそ、早く妖精の花をカールさんのもとに届けなきゃいけないのに……!
『『『『『ノア様っ!』』』』』
妖精がそう叫んで、俺の周りを飛び回った。
キラキラとした青色に輝く粉が舞い落ちてくる。
『今、ノア様を助けます……!』
『助けてもらった恩はここで返さないと……!』
『みんな! ノア様を絶対に助けるんだ!』
妖精達は舞い続けている。
少しずつだけど、魔力が回復してきているような感覚。
この青色に輝く粉は魔力を回復する効果があるらしい。
ある程度まで魔力が回復すると、身体の重さと気持ち悪さは薄れていった。
身体を起こすと、
『よかった! ノア様が起き上がった!』
『やった! やった!』
妖精達は俺の周りで喜んでいた。
『今度は助けられちゃったね』
『はい……! ノア様に助けられて、ここで死なせてしまっては本当に後悔してもし切れませんでしたから……!』
そう言って、妖精は涙を拭った。
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