底辺冒険者だけど魔法を極めてみることにした ~無能スキルから神スキルに進化した【魔法創造】と【アイテム作成】で無双する~

蒼乃白兎

文字の大きさ
上 下
10 / 32

10話 VSキングフロッグ

しおりを挟む
 さて、カッコつけたは良いもののどうしたもんか。
 ソニアは地面に倒れたまま立ち上がれそうにない様子だ。
 というか、俺が来て安心したのか、気絶している。


 つまり俺はキングフロッグを一人で倒さなきゃいけない。


 ……なるほど。

 これはだな……。

 ……ちょっと予想外です。

 あれ、ソニア立ち上がれないの?
 嘘、マジで?
 前衛がいないとき、後衛はどうやって戦えばいいんですか?
 キングフロッグの討伐推奨レベル120だけど、俺勝てるの?

「ベロォンッ」

 キングフロッグが長い舌を伸ばしてきた。

「おっと、危ねぇ……!」

 ……やれやれ、一人でやるしかないようだな。
 なに、これもカッコつけた代償だ。
 これぐらい乗り越えてやるさ。

「ふぅ……」

 呼吸を整えて、まずは落ち着こう。


 俺のレベルが40に対してキングフロッグの討伐推奨レベルは120。
 攻撃を貰ったら致命傷は免れない。
 貰ってから戦況を立て直せる自信もない。
 
 つまり、攻撃を貰った瞬間、勝機は途絶える。

 常に相手の動きを見て、自分が有利になるように動き続けることを徹底しなければ、まず勝利は見えてこないだろう。 

 とりあえず、攻撃を仕掛ける。
 ここで大事なのは、攻撃を当てることよりも、相手の攻撃を貰わないことだ。

「《火槍》」

「ベロォンッ」

「うおっ!?」

 詠唱を中断してキングフロッグの舌を避ける。
 そうか、詠唱中は止まっていなきゃいけないのか。
 詠唱時間は4秒。
 なんとかその時間を稼がなきゃいけない。

「……は? 無理だろ」

 俺は自然と声が出た。

「ベロォンッ」

「──くそっ!」

 こいつ、ちょっとは空気読んで攻撃やめろよな……!
 やっとの思いでキングフロッグの舌を避ける。
 攻撃手段がないため、避け続る。
 そして俺はその最中に考える。
 キングフロッグを倒す方法を。


 ……そういえば、ある冒険者が言ってたな。


『キングフロッグの体表は弾力性が強くて、攻撃が通りにくい。だから弱点である腹を狙うと良いんだが……これが中々難しくてなぁ』


 冒険者ギルドで食事をしているとき、ふと聞こえてきた言葉だった。
 それを何故かこの土壇場で思い出すことが出来た。

 よし、運には恵まれている。
 後はキングフロッグの腹を狙えば良いんだが、何も思いつかん。
 一撃もらえば終わりの状況でキングフロッグの攻撃を避け続けるのもいつまで持つか分からない。

 ……いやいや、考えを止めるな。
 思いつかないで済ませたら、全てが終わる。

 今、問題となっているのは二つ。

 詠唱時間が稼げないこと。
 キングフロッグを倒すには弱点である腹を狙わなければいけないこと。

 詠唱時間を稼ぐ方法は一度目は有効かもしれないが、二度目はキングフロッグも対策してくる可能性がある。
 だから同時にこの問題二つを解決する方法を考えなければいけない。
 ……くそ、考えがまとまらない。
 身体の震えも止まらなければ、嫌な汗もかいている。

 ……緊張で喉がカラカラだ。
 ここに入る前に《飲水》で水でも飲んでおけば良かったな。

 ……ん? 
 水……。

 そうか、これなら──!

 後はキングフロッグをどう騙すか、だな。


「くそ、MPが足りねえ」

 そう言って、俺は【アイテムボックス(極小)】から[MP回復薬]を取り出して、飲もうとする。

「ゲコォッ!」

 キングフロッグは後脚で飛び跳ねて、突撃してきた。

「おまっ──! そんなはええのかよ!」

 しかも見たことなかった攻撃手段ってそんなの無しだろ!
 なんとか俺はギリギリで避けることができた。

 [MP回復薬]の中身は床にこぼれてしまって、飲むことが出来ない。

 俺はその後、何度も[MP回復薬]を飲もうと試みる。

 しかし、その度にキングフロッグは突撃してくる。

 ──この展開でいい。

 俺はこれを望んでいた。


「はぁ……はぁ……」


 しばらく[MP回復薬]を無駄にしながら、キングフロッグの攻撃を避けていると、息が切れてきた。
 スタミナもそろそろ底を尽きる。
 避けるのもここらが限界だな。


 ──だが、もう十分だ。
 
 お前を倒す準備は整った。


 俺は再び[MP回復薬]を取り出し、
 この動作に入るとき、キングフロッグは後脚に力を大きく溜める。
 そして俺は[MP回復薬]を持つ手を大きく振りかぶった。

 そう、俺はお前がどのタイミングで突進するか見極めていたのさ。
 わざと[MP回復薬]を飲むフリをしてな。

 このタイミングだろ?

 見つけるためにこっちは命懸けだったからな。

 間違えないさ。

 突進と同時に俺は[MP回復薬]をキングフロッグの目に向けて投げた。

「ゲコォ!?」

 よし、キングフロッグの目に[MP回復薬]が直撃して、瓶が割れた。
 中に入った液体と瓶の欠片でキングフロッグはしばらくの間、目を開けることが出来ない。

 俺は駆け出した。
 そして、滑り込む。

 地面には、先ほどこぼした[MP回復薬]の液体がばら撒かれていた。

 その液体上にキングフロッグがやってくるように誘導させてもらったぜ。

 俺は液体の上を滑って詠唱する。

「《火槍》」

 液体の上を滑っている間は、勢いだけで動ける。
 詠唱している間は動かなければ良いのだから、この状態でも詠唱は継続される。


 そして、キングフロッグのちょうど腹の下で4秒が経過する。


「くらえぇっ!」


 火槍が弱点である腹に直撃し、そのままキングフロッグを身体を貫いた。


 そのまま俺は滑って行き、液体がなくなると、地面を転がった。

 振り返ると、キングフロッグは地面に倒れて動かなくなっていた。

 ……なんとか勝てたみたいだな。


「ハァ~~~、カッコつけるのも楽じゃねーな……」


 力が抜けて、俺は地面に崩れて落ちて、仰向けになった。


『自身よりも強い敵を倒ししたため、経験値が加算されました』

『レベルが30上がりました』

『[フォイルのダンジョン踏破者]の称号を獲得しました』



「……は?」


 頭の中に流れたメッセージの内容を聞いて、驚いた。
 えっ、30もレベル上がったの?
 あと称号ってなんだ……?
 ステータスを開く。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ロア・フォイル 19歳 男 
 称号:[フォイルのダンジョン踏破者]
 レベル:70
 HP:370/370 MP:320/320
 攻撃力:80
 防御力:65
 ユニークスキル:【アイテム作成】【魔法創造】
 魔法:《生活魔法》《火槍》《アイテムボックス(極小)》

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 マジで30レベル上がってるし、称号も新しく付いてる……。

 てか、なんだよこの称号。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 称号[フォイルのダンジョン踏破者]
 ランク:E
 効果:HP+100
 説明:全てのフォイルのダンジョンボスを撃破した者が獲得出来る称号。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 HP+100……?
 たしかにHPはかなり高くなっていた。
 レベルが上がった際の上昇値だけでは済まされないぐらいに。
 ちゃんとプラスされているっぽいな。

 しかし、ダンジョンボスを撃破していけば称号を貰えたりすることがあるのか。
 なるほど、覚えておこう。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

神様に貰ったスキルで世界を救う? ~8割方プライベートで使ってごめんなさい~

三太丸太
ファンタジー
多種族が平和に暮らす世界<ミリテリア>。 ある日、神様から人々に『別世界<フォーステリア>の魔物がミリテリアを侵略しようとしている』と啓示があった。 動揺する人々に、神様は剣術や魔法などのスキルを与えていった。 かつての神話の様に、魔物に対抗する手段として。 中でも主人公ヴィトは、見た魔法やスキルをそのまま使える“模倣(コピー)”と、イメージで魔法が作り出せる”魔法創造(クリエイトマジック)“というスキルを授かった。 そのスキルで人々を、世界を守ってほしいという言葉と共に。 同様に力を授かった仲間と共に、ミリテリアを守るため奮闘する日々が始まる。 『何となく』で魔法を作り出し、たまに自分の魔法で死にかけるヴィト。 『あ、あれいいな』で人の技を完璧にパクるヴィト。 神様から授かった力を、悪戯に使うヴィト。 こっそり快適生活の為にも使うヴィト。 魔物討伐も大事だけれど、やっぱり生活も大事だもの。 『便利な力は使わないと勿体ないよね! 練習にもなるし!』 徐々に開き直りながらも、来るべき日に備えてゆく。 そんなヴィトとゆかいな仲間たちが織成す物語。 ★基本的に進行はゆっくりですごめんなさい(´・ω・`) ★どうしたら読んでもらえるかなと実験的にタイトルや校正を変えたり、加筆修正したりして投稿してみています。 ★内容は同じです!

スキルを得られない特殊体質の少年。祠を直したらユニークスキルもらえた(なんで??)

屯神 焔
ファンタジー
 魔法が存在し、魔物が跋扈し、人々が剣を磨き戦う世界、『ミリオン』  この世界では自身の強さ、もしくは弱さを知られる『ステータス』が存在する。  そして、どんな人でも、亜人でも、動物でも、魔物でも、生まれつきスキルを授かる。  それは、平凡か希少か、1つか2つ以上か、そういった差はあれ不変の理だ。  しかし、この物語の主人公、ギル・フィオネットは、スキルを授からなかった。  正確には、どんなスキルも得られない体質だったのだ。  そんな彼は、田舎の小さな村で生まれ暮らしていた。  スキルを得られない体質の彼を、村は温かく迎え・・・はしなかった。  迫害はしなかったが、かといって歓迎もしなかった。  父親は彼の体質を知るや否や雲隠れし、母は長年の無理がたたり病気で亡くなった。  一人残された彼は、安い賃金で雑用をこなし、その日暮らしを続けていた。  そんな彼の唯一の日課は、村のはずれにある古びた小さな祠の掃除である。  毎日毎日、少しずつ、汚れをふき取り、欠けてしまった所を何とか直した。  そんなある日。  『ありがとう。君のおかげで私はここに取り残されずに済んだ。これは、せめてものお礼だ。君の好きなようにしてくれてかまわない。本当に、今までありがとう。』  「・・・・・・え?」  祠に宿っていた、太古の時代を支配していた古代龍が、感謝の言葉と祠とともに消えていった。  「祠が消えた?」  彼は、朝起きたばかりで寝ぼけていたため、最後の「ありがとう」しか聞こえていなかった。  「ま、いっか。」  この日から、彼の生活は一変する。

戦闘力のないハズレ才能【翻訳】で古代魔導書を読み漁っていたら世界最強になってました

蒼乃白兎
ファンタジー
 魔法貴族アルデハイム家で生まれた者は5歳のときに才能適性が鑑定される。  魔法の才能が期待される中、長男のノアの才能は【翻訳】という魔法に一切関係のない才能だった。  この一件からアルデハイム家は魔法の才能がないノアを蔑み、冷遇していた。  しかし、ノアは【翻訳】の才能のおかげでアルデハイム家の隠し書庫を発見。  隠し書庫には現代魔法とは比べものにならないほど強力な古代魔法が記された書物が蔵書されていた。  ノアは一人で古代魔導書を読み漁り、沢山の古代魔法を身につけ──無自覚のうちに世界最強の魔法使いになっていた。  そして成人したノアは実家を追い出され、昔から興味のあった冒険者になるのだった。  これは【翻訳】の天才が世界中を旅して、古代魔法で周囲を驚かせながら無双してしまう物語である。

俺の召喚魔術が特殊な件〜留年3年目から始まる、いずれ最強の召喚術士の成り上がり〜

あおぞら
ファンタジー
 2050年、地球にのちにダンジョンと呼ばれる次元の裂け目が開いた。  そこから大量のモンスターが溢れ出し、人類は1度滅亡の危機に立たされた。  しかし人類は、ダンジョンが発生したことによって誕生した、空気中の物質、《マナ》を発見し、《魔導バングル》と言う物を発明し、そのバングルに《マナ》を通すことによって、この世界の伝承や神話から召喚獣を呼び出せる様になり、その力を使ってモンスターに対抗できる様になった。  時は流れて2250年。  地球では魔術と化学の共存が当たり前になった時代。  そんな中、主人公である八条降魔は国立召喚術士育成学園都市に入学した。  この学園の生徒はまず、精霊や妖精などのスピリットや、鬼、狼、竜などの神話や伝承の生き物を召喚し契約する。  他の生徒が続々と成功させていく中で、降魔だけは、何も召喚することができなかった。  そのせいで何年も留年を繰り返してしまう。  しかしそれにはある理由があって———  これは学園を3年留年してから始まる、いずれ最強になる召喚術士の物語。    

レジェンドテイマー ~異世界に召喚されて勇者じゃないから棄てられたけど、絶対に元の世界に帰ると誓う男の物語~

裏影P
ファンタジー
【2022/9/1 一章二章大幅改稿しました。三章作成中です】 宝くじで一等十億円に当選した運河京太郎は、突然異世界に召喚されてしまう。 異世界に召喚された京太郎だったが、京太郎は既に百人以上召喚されているテイマーというクラスだったため、不要と判断されてかえされることになる。 元の世界に帰してくれると思っていた京太郎だったが、その先は死の危険が蔓延る異世界の森だった。 そこで出会った瀕死の蜘蛛の魔物と遭遇し、運よくテイムすることに成功する。 大精霊のウンディーネなど、個性溢れすぎる尖った魔物たちをテイムしていく京太郎だが、自分が元の世界に帰るときにテイムした魔物たちのことや、突然降って湧いた様な強大な力や、伝説級のスキルの存在に葛藤していく。 持っている力に振り回されぬよう、京太郎自身も力に負けない精神力を鍛えようと決意していき、絶対に元の世界に帰ることを胸に、テイマーとして異世界を生き延びていく。 ※カクヨム・小説家になろうにて同時掲載中です。

その無能、実は世界最強の魔法使い 〜無能と蔑まれ、貴族家から追い出されたが、ギフト《転生者》が覚醒して前世の能力が蘇った〜

蒼乃白兎
ファンタジー
15歳になると、人々は女神様からギフトを授かる。  しかし、アルマはギフトを何も授かることは出来ず、実家の伯爵家から無能と蔑まれ、追い出されてしまう。  だが実はアルマはギフトを授からなかった訳では無かった。  アルマは既にギフト《転生者》を所持していたのだ──。  実家から追い出された直後にギフト《転生者》が発動し、アルマは前世の能力を取り戻す。  その能力はあまりにも大きく、アルマは一瞬にして世界最強の魔法使いになってしまった。  なにせアルマはギフト《転生者》の能力を最大限に発揮するために、一度目の人生を全て魔法の探究に捧げていたのだから。  無能と蔑まれた男の大逆転が今、始まる。  アルマは前世で極めた魔法を利用し、実家を超える大貴族へと成り上がっていくのだった。

家族に無能と追放された冒険者、実は街に出たら【万能チート】すぎた、理由は家族がチート集団だったから

ハーーナ殿下
ファンタジー
 冒険者を夢見る少年ハリトは、幼い時から『無能』と言われながら厳しい家族に鍛えられてきた。無能な自分は、このままではダメになってしまう。一人前の冒険者なるために、思い切って家出。辺境の都市国家に向かう。  だが少年は自覚していなかった。家族は【天才魔道具士】の父、【聖女】の母、【剣聖】の姉、【大魔導士】の兄、【元勇者】の祖父、【元魔王】の祖母で、自分が彼らの万能の才能を受け継いでいたことを。  これは自分が無能だと勘違いしていた少年が、滅亡寸前の小国を冒険者として助け、今までの努力が実り、市民や冒険者仲間、騎士、大商人や貴族、王女たちに認められ、大活躍していく逆転劇である。

女神様、もっと早く祝福が欲しかった。

しゃーりん
ファンタジー
アルーサル王国には、女神様からの祝福を授かる者がいる。…ごくたまに。 今回、授かったのは6歳の王女であり、血縁の判定ができる魔力だった。 女神様は国に役立つ魔力を授けてくれる。ということは、血縁が乱れてるってことか? 一人の倫理観が異常な男によって、国中の貴族が混乱するお話です。ご注意下さい。

処理中です...