底辺冒険者だけど魔法を極めてみることにした ~無能スキルから神スキルに進化した【魔法創造】と【アイテム作成】で無双する~

蒼乃白兎

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01話 【アイテム作成】の進化

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 ザシュッ!
 ザシュッ!

 青色のスライムを2体を倒した。
 そしてスライムから魔石を回収して、一息つく。

「ふぅ……」

 地べたに座りながら俺は自身のステータス画面を開いた。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ロア・フォイル 19歳 男 
 レベル:49
 HP:200/200 MP:250/250
 攻撃力:60
 防御力:45
 ユニークスキル:【アイテム作成】

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「HPは減ってないな。よし、それじゃあ次の階層へ進もう」

 前方の階段を降りていき、ダンジョン攻略を再開する。

 俺が今攻略しているダンジョンは『フォイルのダンジョン』というFランクダンジョンだ。
 フォイル村にあるダンジョンだから、フォイルのダンジョン。
 そして俺はフォイル村出身のロアだから、ロア・フォイル。

 お察しの通り、フォイル村は小さな村で、そこに住む俺の身分もかなり低い。
 職が無いからこうやって誰でも出来る冒険者をしている訳だが、1年続けても実力は底辺だ。


 なぜ? と思うだろう。


 ユニークスキル【アイテム作成】は一見、冒険者に向いてそうなスキル名だ。
 だが、このスキルは明らかな欠陥を抱えている。
 何故ならアイテムを作成するには、レベルと引き換えにする必要があるからだ。

 例えば、

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 [紙] 消費レベル:1
 [蝋燭] 消費レベル:2
 [ロープ] 消費レベル:3
 [HP回復薬] 消費レベル:10
 [銅の剣] 消費レベル:15

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 そう、こんな感じで俺はアイテムを作成することが出来る。
 これでアイテム屋を開けるのなら、俺は商人として成功を収めれたかもしれない。

 しかし、アイテム屋を開く資金も無ければ、お店に並べるだけのアイテムを作成する時間もかなりかかるため、その夢は儚く散った。

 参考までに、俺がレベル1からレベル10に上げるまでに一週間ぐらいかかる。
 何故なら雑魚モンスターしか倒せないため、貰える経験値が少なすぎるのだ。


 そして悲しいことに、何もユニークスキルを持たない普通の人ならレベルを上げるだけである程度は強くなることが出来る。



 普通は、レベルが上がったときにスキルポイントというものが貰える。
 スキルポイントを使えば、スキルの取得やスキルのレベルを上げることが出来る。

 だが俺は【アイテム作成】を所持しているせいか、スキルポイントを得ることが出来ない。
 だからレベルが上がっても他の人に比べて、全くと言っていいほど強くならなかったのだ。

 ちなみに魔法を覚える際もスキルポイントが使える。
 しかし、魔法系統のユニークスキルを持っていないと強力な魔法を覚えることは出来ないらしい。

 なので、戦闘に縁がない人はレベルが上がったとき、生活魔法をメインに取得するみたいだ。


 しかし俺はレベル上げ問題を解決すれば、金を稼げるようになるのでは? と考えたこともあった。
 レベルさえ上がれば【アイテム作成】がちゃんと機能してくれる。


 つまり『パーティ』を組むことが出来れば、経験値は分配され、一人よりも効率よくレベルを上げることが出来るのだ。


「(利点や計画を説明)……このように【アイテム作成】を上手く利用することが出来れば、価値の高いアイテムを量産することが可能だ! どうだ、パーティを組まないか?」

「組まない。確かにお前をパーティに入れれば金は稼げるかもしれないが、そんなことをしなくても戦える奴を加えれば、倒せるモンスターの質が上がり、経験値と金、両方稼げる」


 その通りなのだ。
 俺はそれを敢えて説明しなかったというのに、俺に騙されるパーティはいなかった。

「ロアは無能だ」という前提があるため、もともと聞く耳持たれていないのだと思う。
 俺がスキルポイントを得られないのは周知の事実なのだ。

 ……と、まぁそんな経緯があり、俺は【アイテム作成】を使うことなく、レベル上げに励むようになった。
 俺とパーティを組む者はいなく、個人の実力も低いため、倒せるモンスターは低ランクだけだ。

 モンスターを倒して、少ない小銭を稼いで、なんとか生きていく。

 その生活を1年続けて、やっと49レベル。

 あまり高いレベルではないが、というよりもかなり低い部類だが、それでもモンスターは楽に倒せるようになってきている。
 その分、必要な経験値を低ランクモンスターでは全く稼げず、レベルが全然上がらなくなっている。

「次で最下層、か」

 1年間を振り返っている内に俺は『フォイルのダンジョン』の最下層の直前まで辿り着いた。
 いつもならここで引き返す。
 何故ならダンジョンの最下層には、ボスモンスターが出現しているため俺一人では危険だ。

「死んだら死んだで後悔する事はないな」

 俺は夢も希望もないこの生活とおさらばしたかった。
 もし今日俺が『フォイルのダンジョン』のボスを倒すことが出来れば、ほんの少しだけ希望が見えて来る。
 そうなれば俺はまた、これからの生活に耐えることが出来る。

 俺が死ねば──そこで終わり。
 この生活をやめる、という望みが果たされる。
 最善の解決策とは言えないがな。

 ただ、これから危険の伴う命懸けの戦いをしようと言うのに、心は自分でも驚くほど落ち着いていた。

 階段を降りていく。

 降りた先には、結界がある。
 結果を超えると、もう後戻りは出来ない。

 ダンジョンボスを倒して転移結晶に触れる。
 もしくは[転移石]を使う。

 この2つの方法以外で最下層のボスの間から出ることは出来ないのだ。
 生憎だが、貧乏人の俺は[転移石]など持っているはずもない。

 
 俺は躊躇うことなく、結界の中に入って行く。


 その先にいるのは骸骨剣士だ。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【骸骨剣士】 
 推奨討伐レベル:50
 ランク:E
 《フォイルのダンジョンボス》

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 推奨討伐レベルは俺とほとんど変わらない。
 ……もしかすると勝てるかもしれない。

 俺は駆け出し、骸骨剣士に斬りかかった。
 奴の持つ武器は粗悪な剣だ。
 刃こぼれもしている。
 しかし魔法効果が掛かっているのか、見かけよりも切れ味が鋭い。

 対する俺の武器は15レベル消費して作成した『銅の剣』だ。
 苦労して稼いだ15レベル。
 お前なんかに負けられねぇ!

 骸骨剣士の攻撃が頬や腕をかすめる。
 HPが段々と減っていく。

 俺の攻撃も骸骨剣士に直撃する。

 ……くっ、骸骨剣と実力が拮抗している。
 ギリギリの戦いだ。

 だがな、俺は地道に1年間頑張ってきた重みがある。
 身についた技術なんてもんは素人に毛が生えた程度。
 でも俺は絶対に負けない!
 お前に勝って、希望を手に入れる!

「うおおおおおおオオオォォォォ!」

 ズバッ!

 俺の剣が骨を切り裂き、骸骨剣士の首を刎ねた。
 骸骨剣士は操り人形の糸が切れたように、地面に崩れ落ちた。
 骨を切り裂いた衝撃で手がじんじんと痛い。

「1年間頑張ってやっとFランクダンジョン踏破か……。はは、こうして報われるなら案外悪くねーな」

 俺はそう呟くと、一気に緊張感が無くなって、どさっと地面に座り込んだ。


『レベルが上がりました』


 頭の中で神の声が響き渡る。

 お、レベルが上がったようだ。
 Eランクのモンスターだからな。
 今まで狩ってきたFランクのモンスターとは経験値量が違うか。

 しかし、これで50レベルか。
 区切りが良いな。




『【アイテム作成】が【魔法創造】に進化します』




 聞きなれないワードが頭の中に響き渡った。




 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ロア・フォイル 19歳 男 
 レベル:50
 HP:210/210、MP:260/260
 攻撃力:60
 防御力:45
 ユニークスキル:【アイテム作成】【魔法創造】

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