2 / 3
第2話 変な人を見る目で俺を見ないで!
しおりを挟む
「それにしてもVRのときと比べて、あまり目立った変化は無いな」
改めて俺はVRMMOの技術の高さに感服する。
DSOに酷似している世界に来たわけだが、細かいところ以外はVRMMOの中と一緒なのだ。
元の世界に帰ることを目的にしているとはいえ、この状況は正直とてもワクワクする。
社会復帰のためにDSOから身を引いていたが、こんな世界にやってきてしまったら帰りたくなくなってしまうかもしれない。
「って、いかんいかん! 俺はちゃんと元の世界に戻って親孝行するんだ。企業に入社も出来そうだったしな」
周りからの視線を感じて俺はハッ、と正気を取り戻した。
何かヤバイ人を見るよう視線だ。
あっ、それもそうか。
今の俺はスーツ姿。
この世界にスーツなんてものは存在しないので、例えるならこの姿は現実世界で若者のいない田舎でコスプレをしているようなものだ。
「スキルの前にまずは服装をなんとかしないとな……」
DSOでは服はNPCが売っているもの以外にプレイヤーが自作したものを着用することが出来る。
VRMMO内では、この世界よりも奇抜な格好をしたプレイヤーで溢れており、NPCが経営する服屋を利用するプレイヤーは初心者以外だとあまり多くなかった。
そのせいで少し忘れかけていたのだが、この始まりの街でも服屋は存在する。
この世界に馴染める色々な服が置かれていることだろう。
早速行ってみるか。
◇
服屋に到着した俺は真っ先にスーツを店主に見せた。
「この服を買い取ってもらいたいんですけど」
「そ、その着ている服をかい? 見たこと無いなぁ……」
「ええ、見たことはないでしょうね。これは上質なウール素材を使ったスーツと呼ばれる服です。遠い東の国で着られている服ですので、まだこの辺りでは着ている方をあまり見かけませんね」
「なるほど……じゃあひとまず査定させてもらってもいいかな?」
「はい。是非お願いします」
査定の結果、俺はスーツ、ワイシャツ、ネクタイ、革靴、この4点を7万ソウルで買い取ってもらった。
このスーツ一式を約4万円で購入した訳だが、まさか7万ソウルで売れるとはな。
DSO内での通貨の単位はソウルで価値は円と変わらない。
1円 = 1ソウル である。
やっぱり交渉はしてみるものだな。
需要と供給が日本とこの世界では全く異なっているため、7万ソウルが妥当かどうかはよく分からんが、7万ソウルあればとりあえず困らんだろう。
それから俺は15000ソウルを消費して紺色のシャツと深い緑色のズボンと靴を買った。
まさにNPCのような格好である。
もともと俺は派手な顔つきをしておらず、どちらかといえば地味で少し冴えない感じ。
うん、どう見ても俺の姿はNPCにしか見えない。
喜べばいいのか、それとも悲しむべきなのか……。
気にしたら負けかもしれない。
さて、脱不審者も出来たところでステータスの確認だ。
人差し指を伸ばして、横にスライドする。
DSOは従来のMMORPGにあるシステムは宙に浮かぶ透明なパネルで操作、確認が出来た。
このパネルは、どこにでも判定があるため、場所を選ばず、使用することが出来る。
例えるなら、実体を持たない、どこでも使える超万能なスマホって感じ。
使用感がまんまスマホなので、透明のパネルは『仮想スマホ』と呼ばれる。
だから多くのプレイヤーは宙を指でなぞって操作しているのだが……。
「むむ、何も出ないかぁー」
少しそんな気もしていたが、実際に何も出て来ないとなると、いよいよここがゲームではなく、現実だと確信した。
ただ、ステータスは違う方法で見ることが出来る。
転職の神殿に行き、神官からステータスを鑑定してもらう方法。
それかスキル【鑑定】を手に入れ、自分自身を鑑定する方法。
この二つの方法が挙げられる。
まぁ現状では転職の神殿に行くしかなさそうだ。
ステータスを確認した後は盗賊に転職しよう。
てっとり早く強くなるには盗賊が最適解だ。
しかし、そう答えるプレイヤーは俺ぐらいなものだろう。
盗賊にはとんでもない隠しスキルがあるのだが、これを知る人はかなり少ない。
スキルの発見者はとんでもない値段で情報を売っていたので、購入できたのは超上位プレイヤーだけだった。
そして、スキルの入手難易度もかなり高く、入手できずに購入して損をしたプレイヤーがほとんだ。
結局、DSO時代でそのスキルを入手出来たのは俺一人だけだったのだから。
改めて俺はVRMMOの技術の高さに感服する。
DSOに酷似している世界に来たわけだが、細かいところ以外はVRMMOの中と一緒なのだ。
元の世界に帰ることを目的にしているとはいえ、この状況は正直とてもワクワクする。
社会復帰のためにDSOから身を引いていたが、こんな世界にやってきてしまったら帰りたくなくなってしまうかもしれない。
「って、いかんいかん! 俺はちゃんと元の世界に戻って親孝行するんだ。企業に入社も出来そうだったしな」
周りからの視線を感じて俺はハッ、と正気を取り戻した。
何かヤバイ人を見るよう視線だ。
あっ、それもそうか。
今の俺はスーツ姿。
この世界にスーツなんてものは存在しないので、例えるならこの姿は現実世界で若者のいない田舎でコスプレをしているようなものだ。
「スキルの前にまずは服装をなんとかしないとな……」
DSOでは服はNPCが売っているもの以外にプレイヤーが自作したものを着用することが出来る。
VRMMO内では、この世界よりも奇抜な格好をしたプレイヤーで溢れており、NPCが経営する服屋を利用するプレイヤーは初心者以外だとあまり多くなかった。
そのせいで少し忘れかけていたのだが、この始まりの街でも服屋は存在する。
この世界に馴染める色々な服が置かれていることだろう。
早速行ってみるか。
◇
服屋に到着した俺は真っ先にスーツを店主に見せた。
「この服を買い取ってもらいたいんですけど」
「そ、その着ている服をかい? 見たこと無いなぁ……」
「ええ、見たことはないでしょうね。これは上質なウール素材を使ったスーツと呼ばれる服です。遠い東の国で着られている服ですので、まだこの辺りでは着ている方をあまり見かけませんね」
「なるほど……じゃあひとまず査定させてもらってもいいかな?」
「はい。是非お願いします」
査定の結果、俺はスーツ、ワイシャツ、ネクタイ、革靴、この4点を7万ソウルで買い取ってもらった。
このスーツ一式を約4万円で購入した訳だが、まさか7万ソウルで売れるとはな。
DSO内での通貨の単位はソウルで価値は円と変わらない。
1円 = 1ソウル である。
やっぱり交渉はしてみるものだな。
需要と供給が日本とこの世界では全く異なっているため、7万ソウルが妥当かどうかはよく分からんが、7万ソウルあればとりあえず困らんだろう。
それから俺は15000ソウルを消費して紺色のシャツと深い緑色のズボンと靴を買った。
まさにNPCのような格好である。
もともと俺は派手な顔つきをしておらず、どちらかといえば地味で少し冴えない感じ。
うん、どう見ても俺の姿はNPCにしか見えない。
喜べばいいのか、それとも悲しむべきなのか……。
気にしたら負けかもしれない。
さて、脱不審者も出来たところでステータスの確認だ。
人差し指を伸ばして、横にスライドする。
DSOは従来のMMORPGにあるシステムは宙に浮かぶ透明なパネルで操作、確認が出来た。
このパネルは、どこにでも判定があるため、場所を選ばず、使用することが出来る。
例えるなら、実体を持たない、どこでも使える超万能なスマホって感じ。
使用感がまんまスマホなので、透明のパネルは『仮想スマホ』と呼ばれる。
だから多くのプレイヤーは宙を指でなぞって操作しているのだが……。
「むむ、何も出ないかぁー」
少しそんな気もしていたが、実際に何も出て来ないとなると、いよいよここがゲームではなく、現実だと確信した。
ただ、ステータスは違う方法で見ることが出来る。
転職の神殿に行き、神官からステータスを鑑定してもらう方法。
それかスキル【鑑定】を手に入れ、自分自身を鑑定する方法。
この二つの方法が挙げられる。
まぁ現状では転職の神殿に行くしかなさそうだ。
ステータスを確認した後は盗賊に転職しよう。
てっとり早く強くなるには盗賊が最適解だ。
しかし、そう答えるプレイヤーは俺ぐらいなものだろう。
盗賊にはとんでもない隠しスキルがあるのだが、これを知る人はかなり少ない。
スキルの発見者はとんでもない値段で情報を売っていたので、購入できたのは超上位プレイヤーだけだった。
そして、スキルの入手難易度もかなり高く、入手できずに購入して損をしたプレイヤーがほとんだ。
結局、DSO時代でそのスキルを入手出来たのは俺一人だけだったのだから。
0
お気に入りに追加
151
あなたにおすすめの小説
システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
死んだのに異世界に転生しました!
drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。
この物語は異世界テンプレ要素が多いです。
主人公最強&チートですね
主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください!
初めて書くので
読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。
それでもいいという方はどうぞ!
(本編は完結しました)
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜
月風レイ
ファンタジー
グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。
それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。
と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。
洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。
カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。
女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません
青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。
だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。
女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。
途方に暮れる主人公たち。
だが、たった一つの救いがあった。
三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。
右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。
圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。
双方の利害が一致した。
※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております
異世界転生したら何でも出来る天才だった。
桂木 鏡夜
ファンタジー
高校入学早々に大型トラックに跳ねられ死ぬが気がつけば自分は3歳の可愛いらしい幼児に転生していた。
だが等本人は前世で特に興味がある事もなく、それは異世界に来ても同じだった。
そんな主人公アルスが何故俺が異世界?と自分の存在意義を見いだせずにいるが、10歳になり必ず受けなければならない学校の入学テストで思わぬ自分の才能に気づくのであった。
===========================
始めから強い設定ですが、徐々に強くなっていく感じになっております。
成長チートと全能神
ハーフ
ファンタジー
居眠り運転の車から20人の命を救った主人公,神代弘樹は実は全能神と魂が一緒だった。人々の命を救った彼は全能神の弟の全智神に成長チートをもらって伯爵の3男として転生する。成長チートと努力と知識と加護で最速で進化し無双する。
戦い、商業、政治、全てで彼は無双する!!
____________________________
質問、誤字脱字など感想で教えてくださると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる