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第33話 公爵家の全財産奪取後

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俺と暗部前隊長のケントジジイが牧場にある領主の部屋で話をしている。

俺が1人がけのソファーに座って、隣のソファーに聖騎士リン、向かいのソファーにジジイが腰を降ろす。

テーブルには、紅茶とお菓子。

ひと仕事終えて帰って来た俺達が、休憩を兼ねて雑談してるって感じ。

「ところで、教主レンとは話が着いたのか?」

「孫のノワの話よりそちらが先でしたね。ですが、その話は皆と一緒に報告も兼ねてお話ししましょう。紹介したい者もおりますので・・・。」

「分かった。幹部を集めてくれ、会議室集合だな。」

「ノワも時期に帰って来るでしょう。その後にお呼びしますので、それまでごゆっくりしてて下さい。」

「公爵家の全財産を持ってくるのに、時間が掛からないのか?」

「想定し準備をしておりましたので、時間は掛かりません。ノワも張り切っておりましたので、存外に早く帰って来るかも知れません。」

「そうか。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

準備が出来たと、コボルトが呼びに来たので、俺とリンは会議室に向かった。

会議室には、ジジイとノワ、コボルトのコボルとコウキとコボオ、オークのオクオが立って出迎える・・・。

ん?

初めての顔が2人。

1人がジャガー獣人の女性。
大柄だが美しい顔立ち、ノワに似ているので、恐らくノワの母だな。

と言う事は隣のもう1人はノワの父か、ガッシリした体格で迫力のある顔。隙の無い佇まい、かなり強そうだ。

「タクミだ。宜しく。」
ノワの父と思われる男に右手を出す。

男女は跪き臣下の礼を取る。
「タクミ様、お初にお目にかかります。暗部隊長でノワの父ヤマトです。この度、暗部はタクミ様の配下に入る事になりましたので、宜しくお願い致します。」

「ノワの母ミズキです。宜しくお願いします。ノワがお世話になり有難う御座いました。」

やはりノワの両親だったか、ジジイの息子が暗部の現隊長なんだな。

「此方こそ宜しく。」

空振った右手を慌てて戻す俺・・・。

「聖騎士リンです。」
リンは俺の後ろから自己紹介した。

「先ずは腰掛けて、話をしよう。」
そう言って、会議室の楕円形のテーブルの誕生席に座る俺。

俺の後ろにリンが立つ。

皆もそれぞれ椅子に腰掛けた。

「ノワ、ご苦労様。その顔を見ると無事に公爵家の財産を持って来れた様だね。あまりにも早くて驚いたよ。」

ノワはニンマリと笑い。
「はい。隠し財産以外にも、騎士隊の武具庫より武具も根刮ぎ持って来ました。」

「おお、それは凄く助かるよ。武具は後程オクオに渡してくれ。」

「畏まりました。倉庫に一時保管しておりましたので、後程オクオ殿に引き渡します。」
満面の笑みのノワ。

「さて、次はジジイの報告を聞こうか?」

「教主レンと通信の魔道具で話す事が出来ました。」

「おお!そんなのがあるんだ。」

「はい。通信の魔道具は手元に幾つか御座いますので、後程お渡し致します。
教主レンは聖騎士隊を率いて、此方に合流するとの事です。」

「おお!それは心強い。」
ヤマトとリンは嬉しそうだ。

しかし、コボオ、コボル、コウキ、オクオ、ミズキ、ノワの亜人達は微妙な顔だ。

「ふむ。教主レンの思惑も直接確認したい。後でその通信の魔道具で確認しよう。」

「畏まりました。教主レンに、此方の事情を説明したところ、使途様の国造りに是非参加したいとの事でした。」

「ふむ。」

俺が・・国を造る気は無いけどね。

「私は領主としての経験がないので、教主レンが合流するのであれば、領主を任せる事をお勧めします。」

「ふむ。レンが合流後、話を聞いてから判断しよう。それまでは、ジジイが領主代行として管理してくれ。」

「はい。畏まりました。」

その時、ミズキが突然口を開いた。

「タクミ様、大切な事を確認させて下さい!我々はタクミ様がここに亜人の国を作ると言う認識でおりますが、認識はあっておりますか!」

亜人の皆が、俺の顔を期待の目で見詰めた。
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