What this game for

五味

文字の大きさ

大中小

10 / 14

Requirement: Define Who is

2

しおりを挟む

さてさて。こうしてさっきとは違う道に向かって歩いている。
なんというか、話の流れをそうして歩きながら思い出してみれば、他の人たちはこちら側にいない。そんな気もするんだけれど。
相も変わらず、まっすぐな道。倉庫だっていうんだから、もっとこう。ほら。
荷物を置くための部屋がたくさんある、そう思うんだけど。僕が寝ていた部屋以外、歩いて数分も立ってないけど、通路のどちらにも存在しない。
ついでに探すべき、見つけないといけないカード、それも見つかっていない。

「そもそも、全部がちゃんと置かれてるかも分からないしね。」

疑問として、僕でも分かることとしてそれがある。
完全にランダムだとして、最初に一枚ずつ。もし僕がもう一枚手に入れた事を話せば、それも考えに入れてくれたかもしれない。でも、今の所信頼できる相手がいない。
多分、これを知っている僕は、他の誰かが同じルールを知って、それを公開するまでは。きっと話すとまずい事になると、それくらいはわかる。ここから脱出しなきゃいけない。その為には、多分協力がいる。
でも、犯人探しが始まってしまったら、どうなるか分からない。
もし誰かが、明らかにそれを妨害するように動き始めたら。
その時にルールを公開して、その人を。

「その人を、どうすればいいんだろう。」

今行われているゲーム、多分その本番のここでは、殺したところで意味がない。
話し合いができる場所では、危害を加える事が禁止されている。

「あー、結局どうすればいいんだろう。」

あれこれと考えてはみるけど、結局分からない。

「いや、そもそもクリア条件だよね、それを探さなきゃ。」

今は生きているとはいえ、確かに殺されたんだ、一度は。二度目はごめん被りたい。

「あ、やっと別の部屋かな。」

それなりに、グダグダと考え事もしたし、ふらふらと歩いて。どれくらいの時間がたったのだろうか。当たり前のように時間を調べると言っていた人たち、そのすごさを改めて実感しながらも、見つけた扉を開ける。
ただ、まぁ、倉庫、それにふさわしい部屋がそこにはあった。
これまで歩いた道その長さが分かるくらいに、まぁ、広い。それが差幽含めればきっと倍。奥行にしても、ちょっと考えたくない位。

「これ、まさか一個づつ調べなきゃいけないとか、そういう事。」

そしてそこに人が二人くらい通れる間隔で並べられた棚。そこには箱が敷き詰められている。

「衣装ケース、に似てるけど。」

何と呼べばいいのかは分からないけど。一番近いもの、その一つをじっくり見てみれば、プラスチックらしい感触。触ってみればそんな感じ。自分の部屋に置いてある、そう思える、実際にあるかは思い出せない普段着を入れている入れ物によく似ている。
そして、何の気なしに空けてみれば、その中には、いよいよよく分からない物が入っている。

「あー、化学の授業で見たかも。」

褐色の瓶に、よくわからない事が書いてあるラベルが張ってある。それがそのケースの中にぎっしり詰まっている。流石にそんなものを見ても、何がなにやらわからない。
むしろ、危険な物、そうとしか思えず、その蓋をして他を開ける。
開けるつもりではあるんだけど。

「いや、これを一人は無理でしょ。」

そもそも何が入ってるか、一つ目から分からない物が出てきたんだ。なら、僕一人があれこれ見て回ったとして。ヒントがあったとしても見落とすだけになる。

「ここは誰か見つけたら、一緒にってお願いするのがいいかな。ここにカードがあっても探せそうにないし。」

それこそ時間切れが、８回、前野を入れれば７回。その回数がもう少し減れば、探すかもしれないけど。

「一応、通路くらいは。」

ただ、せっかく見つけた部屋だし、なにもしないというのもそう考えてしまう。こう、ほら。こっちにしても一応先はあるし、前に進んだ道もあるけど。二回同じ場所から始まってるんだから、次もそうかも。そう考えたら手前から順にとか、それが探索の鉄則みたいなところがあると思わないかな。

そんな言い訳を考えて、一応あれこれと、箱にしても半透明。白く曇ってるような、プラスチックらしいケースだけど、そこから中に何が入ってるかも見ながら、端から順に歩いていく。
こう、何か、そうしてみても規則があるようには見える。真ん中、入ってすぐのところは茶色の中身が見えていたけど端に行けば鼠色ばかりが目に入る。

「あー、中身が白くなければ、ぱっと見でカードも見つけられるのかもね。」

正直、棚は高い。天井も、手を伸ばして飛んだところで全然届かない。それくらいの高さなのだ。下から見上げるだけじゃ中を見る事も出来ない。
どれもこれも中にそれなりに物が入っているから、こう、棚をよじ登ってとか、そういうことは出来そうだけど。それをすれば、一体どれだけの時間がかかるのかもわからない。

「セオリー、と言うか、これまでやったのだと。こういう無駄に時間つかうギミックは無かったと思うけど。」

そう、制限時間があって、回数制限もある。運ゲーを仕掛けるにしても、厳しすぎる。
それだと、まぁ、プレイヤーは不満だらけになるだろうし。今、僕にしてもこれを調べろと言われたら投げ出したいとそう思う。
狩りに命がかかっていたとしても、これよりほかに、そんな事は思うくらいに。

しおりを挟む