1,195 / 1,235
36章 忙しなく過行く
逸心
しおりを挟む
佇まいには、やはり怪我を負っていた期間が出ている。突然に回復したからだ、本人にしても自覚はあるのだろうが、肉体にしても少々若返っている。神々の奇跡、戦と武技の持つ奇跡の何たる事か。そして、それを願った人のみに、容赦なく過ぎたることを叶えるからと対価を求める存在の恐ろしい事か。
これまでであれば、トモエには確かに分かったのだ。オユキが受ける負荷というのが。それが、どうだ。今こうしている間にも、それが伝わってこない。感覚で、常にオユキに向けているトモエの感覚で明らかに過剰な負荷をオユキが受けているのが分かる。こちらに来てから、ほとんど初めてといってもいい事なのだ。オユキが己の欲のためだけに神々に願うと言う事が。だからこそ、そこには一切の容赦が存在していない。過去の鍛錬、それに頼る様に。オユキが、突然に消失しただろう感覚、それを調整するためと言わんばかりに突然の脱力を行った。そして、感覚が残っている方の足に、明らかに体重を移した。片方の腕にしても、二の腕の先から感覚が無いのかだらりと下がっている。力が入っていれば、少しでも意識が向けばその様な事にはなるまいといった状態。オユキ自身も感じているのだろうが、何よりもトモエがオユキに長くその状態であることを認められそうもない。
だからこそ、目の前の相手に対してはっきりと苛立ち交じりの意識を向ける。
喜ぶのは構わない。勿論、確認をしてくれても良い。だが、それはあくまでオユキの犠牲の上に、今も苦しむオユキの上で成り立っているのだと言う事をトモエは想い知らさねばならない。今後に関しては、間違いなくトモエ主導で箝口令を敷くことだろう。レジス候の鍛錬の段階が進んだ時に、どうしても望む必要があるのかもしれない。その度に、こちらにとっては確かに重要だと、現状伝えることが出来るのが目の前の相手だけだとしても。トモエは、そこで覚悟を問うのだろう。その度に、オユキにさっさと手放せと、レジス候の家督など早々に投げ捨ててしまえと話すことになるのだろう、そう考えて。
「名乗りは、要りますか」
「是非も無し」
「では、先手は譲りましょう」
「成程、拙はその程度と」
「治ったばかり、感覚のずれもある。その程度の相手です、貴方は、やはり。受けるのは、向かい合うのは流派としての正しさ、流れの作り方、それを後継に見せるため、そうででしょう」
目的の勘違いをされては困ると、新ためてトモエは宣言する。
確かに、トモエが望んだ状況ではある。正直な所、こちらに来てからと言うものトモエが真っ当に相手をしようという相手はいないのだ。魔物にしても、向かい合って切り捨てるのは楽しい。オユキと向き合っている時間は、やはり楽しい。だが、過去のように、かつてのようにトモエの背中に氷柱を突き立てるような、そのような感覚を得ることが無いのだ。それを得るためには、まずは過剰な護衛を排して、この、何処までも甘やかされている状況を排してとしなければならない。もしくは、オユキのように、トモエに比べてはるかに感情豊かなオユキがそうするように激発して見せるしかないのだが。生憎と、そこまで行えるほどにトモエの感情というのは強い物でも無い。オユキに向ける者、己の子供に向ける物。それ以上の物を、他の誰かに向けることが出来るほどにはいまだになっていない。何処まで行っても、過去の事があり、苦手なのだ、トモエは。
「拙と、その流派に。いや、今となっては、それを名乗るのも確かに拙には不足がありますか」
そして、一度確かめる様に、槍の穂先を、作り物の穂先を下げた上で、軽くしごいてトモエに向かう。一部の動作に感じる滑らかさ、しかし、それ以外の部分に見える、あまりにもぎこちない動き。それが虚だというのならば、まだ良い。だが、明らかに違うと分かるからこそ、トモエとしてもどこか心の奥底に落胆が浮かぶ。
カツナガが、オユキに対して間違いなく望むことは分かっている。そして、そのためにトモエを打倒して見せようなどと考えているのも理解が出来る。相手の流派は確かに秘匿されている物が多い。トモエにしても、喜佐雄は見覚えているのだが、細部に至るまでは分からない。彼自身が、レジス候の家に伝わっている物と己の物、それは名こそ一部を同じくしているのだが別物だと語る様に。
「しかしながら、技の伝授の為に、それを願うとすれば」
「許しませんよ」
「許さざるを得ない、そのような状況を」
「それが叶うというのならば、それを叶えられるというのであれば、試されるが良いでしょう」
互いに、己を懸けている物が掌中にあるのだから。
此処から先は、こうして作る言葉など間早不要。先手を譲る、そうトモエは言葉を作った。気当たり、位置取り、そうした物まで譲る気は無いのだが、少なくとも、一歩を踏み込んで槍を突き出せば、それくらいの間合いには常に身を置く様にしている。下段に構えた槍、柄を己の頭上に向けて伸ばすように構える、独特な構え。トモエが見知ったものとはまた違う、明らかにトモエを警戒しているからこそと分かるあまりにも守備的な構えに対して、容赦なく。
相手が、トモエの思惑を、技量を図るかのように突き出す槍を、まずはとばかりに容赦なく打ち据えて、その場で止める。確かに、杖術や槍術の技として使うもの、手の内で滑らせて、威力を増すという方法がそこにはある。だが、こちらであれば、結局のところその程度は加護の過多で方が付くとまではいわないのだが、トモエにとっては、出がけをねじ伏せることが出来る程度の物でしかない。
カツナガにしてみれば、驚きという以上にやりにくく感じる事だろう。そもそも、相手に対して流派としての基本。手数を増やし、十の技を、刺突に薙ぎ払いを駆使して、相手を追い詰めるための手管を伝えよとそうして話しているというのに、そもそもの出だしを潰されるのだ。勿論、それ以外の手段を選べるというのならば、他を行う事も出来ただろう。だが、この場は、オユキが願い実現しているこの場は、少なくともそうした前提が重要なのだから。
オユキは、確かにトモエが楽しめる様にと願ってくれていることだろう。実際には、細かい条件があるには違いない。それが、どれほどの事か理解が及んでいるのは、カツナガだけだろう。そして、少なくとも明確に言われていることもあるのだろう。トモエを楽しませろと、オユキが望んだのは、現状オユキに不可能になってしまったそれをカツナガに行わせるという大前提があるのだと言わんばかりに。
確かに、トモエにしても、こちらに来てから久しく見なかった技の冴え、気を抜けば、そんな事を考えてしまう程の一振り、一突き、そうした物に対処をしなければならない。考え事を、一度手ひどくあしらったこともあり、慣らしを行いながらも、だからこそ次にと動くたびに調整が進んでさらに鮮やかになる相手の技を見ながらも。やはり、オユキと向かい合うときにだけ訪れる、トモエの集中の形がここにはない。
十手詰め、それを行うのが最も大切だと理解している。だが、あまりにも悠長なと、どうしてもそう考えてしまう。カツナガは、トモエから見れば、あまりにも遅すぎる。手元を隠す、手元の操作から分からないようにする、その程度の工夫も今はおぼついていない。トモエが、それを見て判断していると分かっての事か、徐々に思い出すように、そうした手練手管も知っているのだとばかりに、改善されていく。だが、徐々に治っていくと言う事は、つまりその様子がトモエには観察できてしまうと言う事。
既に、幾度トモエに向けて様々な角度から襲い来る刃の対処を行っただろうか。目に見えているのは、只のタンポ槍。直槍でしかないのだが、それでも一応はトモエの記憶にある相手の流派、それが至上としているのかは定かではないのだが合わせる形で。トモエの記憶では、中ほどから枝分かれした物が付いていたからと、どのあたりにあったのかと尋ねる様に掌中の木で出来た太刀を操る。
オユキは、どうにもこうして遊んでいるからだろうか、指導のような形を取ることが、オユキの記憶にある指導のような形を取ることが難しいからだろうか。はたまた、現状のオユキにそうしたことまで気を回す余裕がなくなってしまっているからだろうか。これまでに感じなかったほどの、かつてに散々に望んでいた視線というのが確かにトモエに注がれているのが、オユキからの感情が向けられているのがよく分かる。だが、それを喜んでいるのは、短い時間だけにしておこうとそう考えて、最期に一度見せねばならないだろうと考えて。
「手練手管、レジス候に見せるべき最低限は、そちらでは終わったでしょう」
「違い、ありませんな」
確かに、オユキがここまでの負荷を得るようなものでなければ、確かに楽しい時間であったには違いないのだ。
目の前のカツナガが見せる技の冴えというのは、今の時点でのオユキを優に超えている。十手詰め、先の先を潰すことが、後の先をとるのだと掲げる流派の至上命題、それが届かぬほどの冴えを見せていたこともある。間に合わない時には、きちんと間合いを空けて、そうした選択をトモエがとらざるを得ない程の技の冴えであったのは、事実。これまでには、オユキの努力に対して大上段に構えてと言う事は無かったのだが、それでも対応ができるのだと見せてしまっていたのだと改めて反省をしながら。
確かに、こうしてカツナガと向かい合っている時間というのは、オユキに対する物とは違う。オユキと相対するときに、互いに決める決着の位置が違うのだから、当然の事ではある。そして、トモエとオユキの間にあるものと同じ位置にこの相手を置いた時には、そもそも最初で終わっているのだと、そうした事実がどこまでも存在している。
この辺り、わかってくれと考えるのは、トモエの傲慢なのだろうと、そんな事を考えながら終わらせるためにと一切の容赦なくトモエが動く。槍を、長柄の武器を使う以上、最も気を付けなければいけないもの。振り方が単調になり、どうしても気軽に方向を変えることが出来ないからこそ生まれてしまう隙をつくための、渡技、飛び込み技。
僅かに上体を逸らして相手の槍の穂先を躱わしながら、その勢いを助長するように己の太刀を打ち付けて。そして、そのまま柄を統べる様に、身をかがめながらも相手の懐に飛び込んで、同を薙ぐ。
これまでであれば、トモエには確かに分かったのだ。オユキが受ける負荷というのが。それが、どうだ。今こうしている間にも、それが伝わってこない。感覚で、常にオユキに向けているトモエの感覚で明らかに過剰な負荷をオユキが受けているのが分かる。こちらに来てから、ほとんど初めてといってもいい事なのだ。オユキが己の欲のためだけに神々に願うと言う事が。だからこそ、そこには一切の容赦が存在していない。過去の鍛錬、それに頼る様に。オユキが、突然に消失しただろう感覚、それを調整するためと言わんばかりに突然の脱力を行った。そして、感覚が残っている方の足に、明らかに体重を移した。片方の腕にしても、二の腕の先から感覚が無いのかだらりと下がっている。力が入っていれば、少しでも意識が向けばその様な事にはなるまいといった状態。オユキ自身も感じているのだろうが、何よりもトモエがオユキに長くその状態であることを認められそうもない。
だからこそ、目の前の相手に対してはっきりと苛立ち交じりの意識を向ける。
喜ぶのは構わない。勿論、確認をしてくれても良い。だが、それはあくまでオユキの犠牲の上に、今も苦しむオユキの上で成り立っているのだと言う事をトモエは想い知らさねばならない。今後に関しては、間違いなくトモエ主導で箝口令を敷くことだろう。レジス候の鍛錬の段階が進んだ時に、どうしても望む必要があるのかもしれない。その度に、こちらにとっては確かに重要だと、現状伝えることが出来るのが目の前の相手だけだとしても。トモエは、そこで覚悟を問うのだろう。その度に、オユキにさっさと手放せと、レジス候の家督など早々に投げ捨ててしまえと話すことになるのだろう、そう考えて。
「名乗りは、要りますか」
「是非も無し」
「では、先手は譲りましょう」
「成程、拙はその程度と」
「治ったばかり、感覚のずれもある。その程度の相手です、貴方は、やはり。受けるのは、向かい合うのは流派としての正しさ、流れの作り方、それを後継に見せるため、そうででしょう」
目的の勘違いをされては困ると、新ためてトモエは宣言する。
確かに、トモエが望んだ状況ではある。正直な所、こちらに来てからと言うものトモエが真っ当に相手をしようという相手はいないのだ。魔物にしても、向かい合って切り捨てるのは楽しい。オユキと向き合っている時間は、やはり楽しい。だが、過去のように、かつてのようにトモエの背中に氷柱を突き立てるような、そのような感覚を得ることが無いのだ。それを得るためには、まずは過剰な護衛を排して、この、何処までも甘やかされている状況を排してとしなければならない。もしくは、オユキのように、トモエに比べてはるかに感情豊かなオユキがそうするように激発して見せるしかないのだが。生憎と、そこまで行えるほどにトモエの感情というのは強い物でも無い。オユキに向ける者、己の子供に向ける物。それ以上の物を、他の誰かに向けることが出来るほどにはいまだになっていない。何処まで行っても、過去の事があり、苦手なのだ、トモエは。
「拙と、その流派に。いや、今となっては、それを名乗るのも確かに拙には不足がありますか」
そして、一度確かめる様に、槍の穂先を、作り物の穂先を下げた上で、軽くしごいてトモエに向かう。一部の動作に感じる滑らかさ、しかし、それ以外の部分に見える、あまりにもぎこちない動き。それが虚だというのならば、まだ良い。だが、明らかに違うと分かるからこそ、トモエとしてもどこか心の奥底に落胆が浮かぶ。
カツナガが、オユキに対して間違いなく望むことは分かっている。そして、そのためにトモエを打倒して見せようなどと考えているのも理解が出来る。相手の流派は確かに秘匿されている物が多い。トモエにしても、喜佐雄は見覚えているのだが、細部に至るまでは分からない。彼自身が、レジス候の家に伝わっている物と己の物、それは名こそ一部を同じくしているのだが別物だと語る様に。
「しかしながら、技の伝授の為に、それを願うとすれば」
「許しませんよ」
「許さざるを得ない、そのような状況を」
「それが叶うというのならば、それを叶えられるというのであれば、試されるが良いでしょう」
互いに、己を懸けている物が掌中にあるのだから。
此処から先は、こうして作る言葉など間早不要。先手を譲る、そうトモエは言葉を作った。気当たり、位置取り、そうした物まで譲る気は無いのだが、少なくとも、一歩を踏み込んで槍を突き出せば、それくらいの間合いには常に身を置く様にしている。下段に構えた槍、柄を己の頭上に向けて伸ばすように構える、独特な構え。トモエが見知ったものとはまた違う、明らかにトモエを警戒しているからこそと分かるあまりにも守備的な構えに対して、容赦なく。
相手が、トモエの思惑を、技量を図るかのように突き出す槍を、まずはとばかりに容赦なく打ち据えて、その場で止める。確かに、杖術や槍術の技として使うもの、手の内で滑らせて、威力を増すという方法がそこにはある。だが、こちらであれば、結局のところその程度は加護の過多で方が付くとまではいわないのだが、トモエにとっては、出がけをねじ伏せることが出来る程度の物でしかない。
カツナガにしてみれば、驚きという以上にやりにくく感じる事だろう。そもそも、相手に対して流派としての基本。手数を増やし、十の技を、刺突に薙ぎ払いを駆使して、相手を追い詰めるための手管を伝えよとそうして話しているというのに、そもそもの出だしを潰されるのだ。勿論、それ以外の手段を選べるというのならば、他を行う事も出来ただろう。だが、この場は、オユキが願い実現しているこの場は、少なくともそうした前提が重要なのだから。
オユキは、確かにトモエが楽しめる様にと願ってくれていることだろう。実際には、細かい条件があるには違いない。それが、どれほどの事か理解が及んでいるのは、カツナガだけだろう。そして、少なくとも明確に言われていることもあるのだろう。トモエを楽しませろと、オユキが望んだのは、現状オユキに不可能になってしまったそれをカツナガに行わせるという大前提があるのだと言わんばかりに。
確かに、トモエにしても、こちらに来てから久しく見なかった技の冴え、気を抜けば、そんな事を考えてしまう程の一振り、一突き、そうした物に対処をしなければならない。考え事を、一度手ひどくあしらったこともあり、慣らしを行いながらも、だからこそ次にと動くたびに調整が進んでさらに鮮やかになる相手の技を見ながらも。やはり、オユキと向かい合うときにだけ訪れる、トモエの集中の形がここにはない。
十手詰め、それを行うのが最も大切だと理解している。だが、あまりにも悠長なと、どうしてもそう考えてしまう。カツナガは、トモエから見れば、あまりにも遅すぎる。手元を隠す、手元の操作から分からないようにする、その程度の工夫も今はおぼついていない。トモエが、それを見て判断していると分かっての事か、徐々に思い出すように、そうした手練手管も知っているのだとばかりに、改善されていく。だが、徐々に治っていくと言う事は、つまりその様子がトモエには観察できてしまうと言う事。
既に、幾度トモエに向けて様々な角度から襲い来る刃の対処を行っただろうか。目に見えているのは、只のタンポ槍。直槍でしかないのだが、それでも一応はトモエの記憶にある相手の流派、それが至上としているのかは定かではないのだが合わせる形で。トモエの記憶では、中ほどから枝分かれした物が付いていたからと、どのあたりにあったのかと尋ねる様に掌中の木で出来た太刀を操る。
オユキは、どうにもこうして遊んでいるからだろうか、指導のような形を取ることが、オユキの記憶にある指導のような形を取ることが難しいからだろうか。はたまた、現状のオユキにそうしたことまで気を回す余裕がなくなってしまっているからだろうか。これまでに感じなかったほどの、かつてに散々に望んでいた視線というのが確かにトモエに注がれているのが、オユキからの感情が向けられているのがよく分かる。だが、それを喜んでいるのは、短い時間だけにしておこうとそう考えて、最期に一度見せねばならないだろうと考えて。
「手練手管、レジス候に見せるべき最低限は、そちらでは終わったでしょう」
「違い、ありませんな」
確かに、オユキがここまでの負荷を得るようなものでなければ、確かに楽しい時間であったには違いないのだ。
目の前のカツナガが見せる技の冴えというのは、今の時点でのオユキを優に超えている。十手詰め、先の先を潰すことが、後の先をとるのだと掲げる流派の至上命題、それが届かぬほどの冴えを見せていたこともある。間に合わない時には、きちんと間合いを空けて、そうした選択をトモエがとらざるを得ない程の技の冴えであったのは、事実。これまでには、オユキの努力に対して大上段に構えてと言う事は無かったのだが、それでも対応ができるのだと見せてしまっていたのだと改めて反省をしながら。
確かに、こうしてカツナガと向かい合っている時間というのは、オユキに対する物とは違う。オユキと相対するときに、互いに決める決着の位置が違うのだから、当然の事ではある。そして、トモエとオユキの間にあるものと同じ位置にこの相手を置いた時には、そもそも最初で終わっているのだと、そうした事実がどこまでも存在している。
この辺り、わかってくれと考えるのは、トモエの傲慢なのだろうと、そんな事を考えながら終わらせるためにと一切の容赦なくトモエが動く。槍を、長柄の武器を使う以上、最も気を付けなければいけないもの。振り方が単調になり、どうしても気軽に方向を変えることが出来ないからこそ生まれてしまう隙をつくための、渡技、飛び込み技。
僅かに上体を逸らして相手の槍の穂先を躱わしながら、その勢いを助長するように己の太刀を打ち付けて。そして、そのまま柄を統べる様に、身をかがめながらも相手の懐に飛び込んで、同を薙ぐ。
0
お気に入りに追加
449
あなたにおすすめの小説
暇つぶし転生~お使いしながらぶらり旅~
暇人太一
ファンタジー
仲良し3人組の高校生とともに勇者召喚に巻き込まれた、30歳の病人。
ラノベの召喚もののテンプレのごとく、おっさんで病人はお呼びでない。
結局雑魚スキルを渡され、3人組のパシリとして扱われ、最後は儀式の生贄として3人組に殺されることに……。
そんなおっさんの前に厳ついおっさんが登場。果たして病人のおっさんはどうなる!?
この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。
神に同情された転生者物語
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。
すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。
悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。
ラフィリアード家の恐るべき子供たち
秋吉美寿
ファンタジー
英雄と女神と呼ばれるラフィリアード家の子として生まれたジーンとリミアの双子たちと彼らと関わる人間たちとの物語。
「転生」「生まれ変わり」「誓い」「魔法」「精霊の宿りし”月の石”」
類い稀なる美貌と知性!そして膨大な魔力を身に秘めた双子たちの憧れ、『普通の学園生活』を過ごさんと自分達のことを知る人もいないような異国へ留学を決意する。
二人は身分もその姿さへ偽り学園生活を始めるのだった。
鑑定能力で恩を返す
KBT
ファンタジー
どこにでもいる普通のサラリーマンの蔵田悟。
彼ははある日、上司の悪態を吐きながら深酒をし、目が覚めると見知らぬ世界にいた。
そこは剣と魔法、人間、獣人、亜人、魔物が跋扈する異世界フォートルードだった。
この世界には稀に異世界から《迷い人》が転移しており、悟もその1人だった。
帰る方法もなく、途方に暮れていた悟だったが、通りすがりの商人ロンメルに命を救われる。
そして稀少な能力である鑑定能力が自身にある事がわかり、ブロディア王国の公都ハメルンの裏通りにあるロンメルの店で働かせてもらう事になった。
そして、ロンメルから店の番頭を任された悟は《サト》と名前を変え、命の恩人であるロンメルへの恩返しのため、商店を大きくしようと鑑定能力を駆使して、海千山千の商人達や荒くれ者の冒険者達を相手に日夜奮闘するのだった。
婚約破棄騒動に巻き込まれたモブですが……
こうじ
ファンタジー
『あ、終わった……』王太子の取り巻きの1人であるシューラは人生が詰んだのを感じた。王太子と公爵令嬢の婚約破棄騒動に巻き込まれた結果、全てを失う事になってしまったシューラ、これは元貴族令息のやり直しの物語である。
オタクおばさん転生する
ゆるりこ
ファンタジー
マンガとゲームと小説を、ゆるーく愛するおばさんがいぬの散歩中に異世界召喚に巻き込まれて転生した。
天使(見習い)さんにいろいろいただいて犬と共に森の中でのんびり暮そうと思っていたけど、いただいたものが思ったより強大な力だったためいろいろ予定が狂ってしまい、勇者さん達を回収しつつ奔走するお話になりそうです。
投稿ものんびりです。(なろうでも投稿しています)
公爵令嬢はジャンクフードが食べたい
菜花村
ファンタジー
『第1回スターダスト ノベル大賞』
【審査員奨励賞】受賞
☆電子書籍化決定☆
研究室で4連続徹夜で研究をしていたはずなのに、気付いたら異世界の少女になっていた⁉︎
ジャンクフード大好きな原田輝行 37歳と、好奇心旺盛な公爵令嬢 フランドール・フィアンマ 5歳。
似た者同士の二人(一人)が、剣と魔法の世界でジャンクフードを食べるために、力を合わせて数々の困難を乗り越えていく物語。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる