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36章 忙しなく過行く
楽しい時間
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「ふむ。これらは、ウニルでも手に入るのか」
「ウニル、魔国との交易をこれから行うと決まっている町ですか。規模が分かりませんし、採取者たちの使う道具が十分にあるかが問題ですが」
「確かに、な。こちらで改めて調べて、必要とあれば」
「採取者たちの練度の問題もあるでしょうし、実際には調査をせねばわからないでしょうが」
「調査のためには、こちらと同じ道具、同じ人員で試すのが最善かと思いますが。門を使えば、短期間での移動もできますから」
オユキは歩き疲れてと言う訳でもなく、買い物に熱を上げる者たちにいよいよついていくことが出来なくなって、早々に炭火の熾っている焼き場の近くに併設されている食卓に腰を下ろしている。そして、そんなオユキを見かけて、というよりも瓶詰の説明が終わった段階でトモエにとってお役御免となったエスコバル伯爵を伴って。そして、初めから興味が無いと言う訳でもないのだろうが、買い物に関してはすっかりと使用人と奥方に任せているのだろう公爵その人。
以前に手に入れた食材、それを殊更喜んだのは今も始まりの町で頑張っているメイだった。だが、その時に彼女は特産と呼べるものが出来たと、それを喜んでいた。
「始まりの町で狩猟際、それを初めて行ったときにはアンギラでしたか、ああしたものも手に入ったこともあります。今回の品の中にあるかどうかは」
「ほう。いや、リース伯から報告が上がっておったか。その後の漁獲までは、流石に」
マリーア公爵がそうつぶやけば、彼を補佐する人間だろう、その人物がそっと彼に耳打ちをする。
「成程、狩猟際はそれにしても特別と言う事か。採取が果たして狩猟の領分か、いや、それに関してはまた考えるべきことだな」
「狩猟際、ですか。あれに関しては、私たちのほうでもなかなかに難しい扱いに」
「仕方あるまい、来歴を考えれば商品として軽々に扱う訳にもいかぬ」
「それは理解していますが、相場に多少なりとも影響がある以上は」
「それに関しては、流石に私達だけで話す事でも無いでしょう。というよりも、魔石が手に入らないというのも大きいのかとは思いますが」
狩猟際において、何よりも問題視されるのは魔石が手に入らない事。しかし、日々の糧、食肉という意味ではあまりにも十分な品が手に入るのだ。それこそ、暫くの間は狩に出なくても済むほどに。済んでしまうほどに。しかし、領主としてはそれも困るのだ。特に、狩猟者たちに依存せざるを得ない、領地としての戦力、騎士を十分に揃えられない領主にとっては。
幸い、そうした弱小と呼ぶのはどうかとオユキも思うのだが、そう呼ぶしかない領主にはやはり頭を抱える事になってしまう。そうした話し合いをする以上は、現場からの、そうした境遇にあるものたちの声を拾わなければならない。少なくとも、オユキはそう考えている。
幸い、新年祭も近く、そうした者たちにしても代理に己の領地を任せて王都に足を運んでいることだろう。特に、今度ばかりはあまりにも明確な変化がある。次期当主に任せるのか、それとも本人が来るのか。そのあたりはそれぞれの判断になるのだろうが。
「さて、御話し合いも構いませんが、せっかくの機会です。一先ずの品がいくらか用意出来ましたので」
「ふむ。てっきり、焼くものと思ったが」
「まずは、瓶詰にされた物からが良いかと。時間も良い時間ですから、正式な順としたくはありますがこのような流れですからね」
お茶にのんびりと口をつけて、話し合いを行っていた席にまずはとばかりにアルノーがいくつかの果物を凍らせて削ったもの、ソルベと呼ぶのかグラニテと呼ぶのか。もしくは、全く異なる名前があるのかオユキにはわからないが。シロップ漬けにされていた果実、それを丸ごと凍らせて削ったものが並べられて。
「オユキさんは、どちらの品からが良いですか」
「トモエさんが買い求めている物は、トモエさんが用意してくれるでしょうから」
「では、そのようにしましょうか。牡蠣にしても、今回は前回と違ってよい物もありますし、他にもイカに、なじみのあるエスカルゴも。揚げ物をはじめ、以前お好みだったブイヤベースも仕立てましょうか」
「そう、ですね。ブイヤベースに関しては、トモエさんに頼んでいる物と種類としては近しい物になるので」
「ああ、そうした物ですか。確か、そのためには海藻などもいるのでしたか」
「先ほど見た限りではそれらしい乾物があるとのことでしたから、私はそちらを待つとしてお客人方も既に大勢御待ちのようですから」
セツナとクレドの二人に加えて、いつの間にやらその数を増やしている翼人種たち。加えて、あまりにも食欲に忠実な狐の祖霊。下手をすれば、翼人種たちの創造神、こちらでは異空と流離までもが降りてくるかもしれない。
「と、言いますか」
「言ってくれるな。巫女が多い場、それもあっての事なのではあろうが」
「お噂には聞いていましたが」
「お望みであれば、と言う訳でもありませんが、先の陛下の折にも戦と武技の神に足を運んでいただきましたし、そうですね、公爵様から改めてお酒の用意でも行って頂けるのであれば」
「彼の神がそれをお望みとあれば、否やはないが、さすがにもう少し料理が進んでからのほうが良いのではないか」
言われてみれば、確かにその通り。呼んでおいて、供する者の用意が無い、それではアルノーにしても立つ瀬はなかろう。あの、あまりにも食欲に忠実な狐の祖霊に関しては、どちらが継いでかは分からないのだが、アイリスにあれこれと話すこともあるのだろう。極地の獣、その特性も併せ持つこともあってか、セツナとクレドも同じ席に呼んで何やら話し込んでいる様子でもあるのだ。
いよいよ、氷の乙女が苦手とする炎、そうした特性も持っているはずだというのに、氷雪としての色も併せ持つ存在。さらにはそこから離れた豊穣すら加護として与えられる、そんなでたらめな。あまりにも広範な。神等そんなものだと言われれば、確かに、そうなのかもしれないが。
「私としては、そうですね。直接連なる相手をとも思うのですが」
オユキとしては、せっかくこうしてオユキが好む物があるのだ。トモエの用意した、それがあの神に対してはあまり意味の無い事だろうとは思うのだが、それでもと。
「あら、いいのかしら」
「ええ。こうして、私が喜ばしいと思うもの、それを供えるのも良いかと。どうしても、教会にとするのも難しいですから」
「そうした魔道具もあるし、貴女が私に連なる魔術文字、それに対してもう少し理解を深めれば問題ないのだけれど」
「あの、セツナ様に一応習ってはいるのですが、どうにも」
「まぁ、あちらには無いものね。貴女がこちらに来て居る時には、いよいよ興味を持っていなかったわけだし」
まったくと、ため息をつく冬と眠り。
「本日は、雷と輝きの神は」
「前にも話したと思うけれど、こちらで貴女が目立っていることもあるし、あの子が姉たる月と安息の妹なのだと広げているの。少しは、こちらに私の意志でも降りる事は出来るようになっているわよ。まぁ、色々と、私が忙しくしていると言う事もあって、難しい場合も多いけれど」
「切り離しで、確か忙しくされている神の中に名が挙がっていましたか」
流石に、随分と前の事でありその頃はいよいよ己に関係の無い事として流していた類の話。それを今になって思い返そうとしては見るのだが、オユキはどうにもそのあたり定かではない。
そして、オユキとよく似た色合いの人物が現れたからだろう。それも、突然に。見知った相手が幾人かいるため、侍女たちというよりも、いよいよオユキの側に侍ることの多い者たちが、着々と準備を整えて。
「柘榴が、お好みでしたか」
「特に好きではあるけれど、冬の果物はどれも好きよ。他にも、まぁ色々あるけれど私ばかりがというのも、色々障りがあるから貴女に任せるわ」
「とは言われましても、私はそこまで御身の逸話に詳しいわけではないのですよね」
さて、そうして話している間にも、冬と眠りの前には彩りよく種々の果物を凍らせ、砕いたものが並べられる。一体どこからとオユキとしては気になるのだが、柄が細く、それでも細工が施された美しい匙も添えて。
「あの人も、水の物は好きだから、あちらの用意が終わったころに」
「では、そのように」
どうやら、前菜とでもいえばいいのか、こうした氷菓を食前に楽しむというよりもいよいよ主食にしようと考える者たち。そこに混ざるほど、あの人物も酔狂ではないと言う事であるらしい。確かに、好き嫌いは分かれる、というよりも生前のオユキはどうしたところこの手の物が苦手だったこともある。
「さて、屋敷に常備してある食材とも合わせて、まずはオードブルから」
「マリネになるかとも思いましたが、確かに少し時間が足りませんか」
用意されたのは、輪切りにされたトマトの上に炒めた魚介と野菜、それらを薄く並べてパン粉をかけてオーブンで軽くあぶったもの。さらに上からは、オリーブオイルでもかけているのだろうか、もしくは酢の類か。実際には、どちらもを合わせたドレッシングをとしているのだが。
「あら、華やかね」
「ええ、アルノーには本当に頭が下がります」
「あちらのほうと一緒にとなると、そうね、確かにこうした物は難しいかしら」
「嫌いでは無いでしょうが、どちらかといえば量をお望みになるでしょうからね」
冬と眠りの視線が向かう先には、既にゆで上げた甲殻類を手づかみで殻ごと咀嚼する獣たち。
対して、こちらの席にいるのは、カトラリーを手に、小さなサイズに切り分けて口に運んでいく者たち。どちらがと言う事は無いのだが、侍女たちからもオユキはあちらの食欲に忠実な者達の席には加わってくれるなとそう言われていることもある。セツナに関してはクレドが喜んでいるのが何よりではあるのだろうが、彼女自身が食べる物を甲斐甲斐しくクレドが用意していることもある。あちらでも、十分に口に運ぶことが出来るだろう。オユキも、トモエが側にいればと言う事はあるかもしれないが、トモエもどちらかといえば過去の事もあり他に食欲旺盛な者達がいれば我慢をするというよりも、今はあれこれと手に持っている食材、それの調理を行う事もあって基本的に側にはいないという難しさがあるのだが。
「ウニル、魔国との交易をこれから行うと決まっている町ですか。規模が分かりませんし、採取者たちの使う道具が十分にあるかが問題ですが」
「確かに、な。こちらで改めて調べて、必要とあれば」
「採取者たちの練度の問題もあるでしょうし、実際には調査をせねばわからないでしょうが」
「調査のためには、こちらと同じ道具、同じ人員で試すのが最善かと思いますが。門を使えば、短期間での移動もできますから」
オユキは歩き疲れてと言う訳でもなく、買い物に熱を上げる者たちにいよいよついていくことが出来なくなって、早々に炭火の熾っている焼き場の近くに併設されている食卓に腰を下ろしている。そして、そんなオユキを見かけて、というよりも瓶詰の説明が終わった段階でトモエにとってお役御免となったエスコバル伯爵を伴って。そして、初めから興味が無いと言う訳でもないのだろうが、買い物に関してはすっかりと使用人と奥方に任せているのだろう公爵その人。
以前に手に入れた食材、それを殊更喜んだのは今も始まりの町で頑張っているメイだった。だが、その時に彼女は特産と呼べるものが出来たと、それを喜んでいた。
「始まりの町で狩猟際、それを初めて行ったときにはアンギラでしたか、ああしたものも手に入ったこともあります。今回の品の中にあるかどうかは」
「ほう。いや、リース伯から報告が上がっておったか。その後の漁獲までは、流石に」
マリーア公爵がそうつぶやけば、彼を補佐する人間だろう、その人物がそっと彼に耳打ちをする。
「成程、狩猟際はそれにしても特別と言う事か。採取が果たして狩猟の領分か、いや、それに関してはまた考えるべきことだな」
「狩猟際、ですか。あれに関しては、私たちのほうでもなかなかに難しい扱いに」
「仕方あるまい、来歴を考えれば商品として軽々に扱う訳にもいかぬ」
「それは理解していますが、相場に多少なりとも影響がある以上は」
「それに関しては、流石に私達だけで話す事でも無いでしょう。というよりも、魔石が手に入らないというのも大きいのかとは思いますが」
狩猟際において、何よりも問題視されるのは魔石が手に入らない事。しかし、日々の糧、食肉という意味ではあまりにも十分な品が手に入るのだ。それこそ、暫くの間は狩に出なくても済むほどに。済んでしまうほどに。しかし、領主としてはそれも困るのだ。特に、狩猟者たちに依存せざるを得ない、領地としての戦力、騎士を十分に揃えられない領主にとっては。
幸い、そうした弱小と呼ぶのはどうかとオユキも思うのだが、そう呼ぶしかない領主にはやはり頭を抱える事になってしまう。そうした話し合いをする以上は、現場からの、そうした境遇にあるものたちの声を拾わなければならない。少なくとも、オユキはそう考えている。
幸い、新年祭も近く、そうした者たちにしても代理に己の領地を任せて王都に足を運んでいることだろう。特に、今度ばかりはあまりにも明確な変化がある。次期当主に任せるのか、それとも本人が来るのか。そのあたりはそれぞれの判断になるのだろうが。
「さて、御話し合いも構いませんが、せっかくの機会です。一先ずの品がいくらか用意出来ましたので」
「ふむ。てっきり、焼くものと思ったが」
「まずは、瓶詰にされた物からが良いかと。時間も良い時間ですから、正式な順としたくはありますがこのような流れですからね」
お茶にのんびりと口をつけて、話し合いを行っていた席にまずはとばかりにアルノーがいくつかの果物を凍らせて削ったもの、ソルベと呼ぶのかグラニテと呼ぶのか。もしくは、全く異なる名前があるのかオユキにはわからないが。シロップ漬けにされていた果実、それを丸ごと凍らせて削ったものが並べられて。
「オユキさんは、どちらの品からが良いですか」
「トモエさんが買い求めている物は、トモエさんが用意してくれるでしょうから」
「では、そのようにしましょうか。牡蠣にしても、今回は前回と違ってよい物もありますし、他にもイカに、なじみのあるエスカルゴも。揚げ物をはじめ、以前お好みだったブイヤベースも仕立てましょうか」
「そう、ですね。ブイヤベースに関しては、トモエさんに頼んでいる物と種類としては近しい物になるので」
「ああ、そうした物ですか。確か、そのためには海藻などもいるのでしたか」
「先ほど見た限りではそれらしい乾物があるとのことでしたから、私はそちらを待つとしてお客人方も既に大勢御待ちのようですから」
セツナとクレドの二人に加えて、いつの間にやらその数を増やしている翼人種たち。加えて、あまりにも食欲に忠実な狐の祖霊。下手をすれば、翼人種たちの創造神、こちらでは異空と流離までもが降りてくるかもしれない。
「と、言いますか」
「言ってくれるな。巫女が多い場、それもあっての事なのではあろうが」
「お噂には聞いていましたが」
「お望みであれば、と言う訳でもありませんが、先の陛下の折にも戦と武技の神に足を運んでいただきましたし、そうですね、公爵様から改めてお酒の用意でも行って頂けるのであれば」
「彼の神がそれをお望みとあれば、否やはないが、さすがにもう少し料理が進んでからのほうが良いのではないか」
言われてみれば、確かにその通り。呼んでおいて、供する者の用意が無い、それではアルノーにしても立つ瀬はなかろう。あの、あまりにも食欲に忠実な狐の祖霊に関しては、どちらが継いでかは分からないのだが、アイリスにあれこれと話すこともあるのだろう。極地の獣、その特性も併せ持つこともあってか、セツナとクレドも同じ席に呼んで何やら話し込んでいる様子でもあるのだ。
いよいよ、氷の乙女が苦手とする炎、そうした特性も持っているはずだというのに、氷雪としての色も併せ持つ存在。さらにはそこから離れた豊穣すら加護として与えられる、そんなでたらめな。あまりにも広範な。神等そんなものだと言われれば、確かに、そうなのかもしれないが。
「私としては、そうですね。直接連なる相手をとも思うのですが」
オユキとしては、せっかくこうしてオユキが好む物があるのだ。トモエの用意した、それがあの神に対してはあまり意味の無い事だろうとは思うのだが、それでもと。
「あら、いいのかしら」
「ええ。こうして、私が喜ばしいと思うもの、それを供えるのも良いかと。どうしても、教会にとするのも難しいですから」
「そうした魔道具もあるし、貴女が私に連なる魔術文字、それに対してもう少し理解を深めれば問題ないのだけれど」
「あの、セツナ様に一応習ってはいるのですが、どうにも」
「まぁ、あちらには無いものね。貴女がこちらに来て居る時には、いよいよ興味を持っていなかったわけだし」
まったくと、ため息をつく冬と眠り。
「本日は、雷と輝きの神は」
「前にも話したと思うけれど、こちらで貴女が目立っていることもあるし、あの子が姉たる月と安息の妹なのだと広げているの。少しは、こちらに私の意志でも降りる事は出来るようになっているわよ。まぁ、色々と、私が忙しくしていると言う事もあって、難しい場合も多いけれど」
「切り離しで、確か忙しくされている神の中に名が挙がっていましたか」
流石に、随分と前の事でありその頃はいよいよ己に関係の無い事として流していた類の話。それを今になって思い返そうとしては見るのだが、オユキはどうにもそのあたり定かではない。
そして、オユキとよく似た色合いの人物が現れたからだろう。それも、突然に。見知った相手が幾人かいるため、侍女たちというよりも、いよいよオユキの側に侍ることの多い者たちが、着々と準備を整えて。
「柘榴が、お好みでしたか」
「特に好きではあるけれど、冬の果物はどれも好きよ。他にも、まぁ色々あるけれど私ばかりがというのも、色々障りがあるから貴女に任せるわ」
「とは言われましても、私はそこまで御身の逸話に詳しいわけではないのですよね」
さて、そうして話している間にも、冬と眠りの前には彩りよく種々の果物を凍らせ、砕いたものが並べられる。一体どこからとオユキとしては気になるのだが、柄が細く、それでも細工が施された美しい匙も添えて。
「あの人も、水の物は好きだから、あちらの用意が終わったころに」
「では、そのように」
どうやら、前菜とでもいえばいいのか、こうした氷菓を食前に楽しむというよりもいよいよ主食にしようと考える者たち。そこに混ざるほど、あの人物も酔狂ではないと言う事であるらしい。確かに、好き嫌いは分かれる、というよりも生前のオユキはどうしたところこの手の物が苦手だったこともある。
「さて、屋敷に常備してある食材とも合わせて、まずはオードブルから」
「マリネになるかとも思いましたが、確かに少し時間が足りませんか」
用意されたのは、輪切りにされたトマトの上に炒めた魚介と野菜、それらを薄く並べてパン粉をかけてオーブンで軽くあぶったもの。さらに上からは、オリーブオイルでもかけているのだろうか、もしくは酢の類か。実際には、どちらもを合わせたドレッシングをとしているのだが。
「あら、華やかね」
「ええ、アルノーには本当に頭が下がります」
「あちらのほうと一緒にとなると、そうね、確かにこうした物は難しいかしら」
「嫌いでは無いでしょうが、どちらかといえば量をお望みになるでしょうからね」
冬と眠りの視線が向かう先には、既にゆで上げた甲殻類を手づかみで殻ごと咀嚼する獣たち。
対して、こちらの席にいるのは、カトラリーを手に、小さなサイズに切り分けて口に運んでいく者たち。どちらがと言う事は無いのだが、侍女たちからもオユキはあちらの食欲に忠実な者達の席には加わってくれるなとそう言われていることもある。セツナに関してはクレドが喜んでいるのが何よりではあるのだろうが、彼女自身が食べる物を甲斐甲斐しくクレドが用意していることもある。あちらでも、十分に口に運ぶことが出来るだろう。オユキも、トモエが側にいればと言う事はあるかもしれないが、トモエもどちらかといえば過去の事もあり他に食欲旺盛な者達がいれば我慢をするというよりも、今はあれこれと手に持っている食材、それの調理を行う事もあって基本的に側にはいないという難しさがあるのだが。
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