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34章 王都での生活
食事の場
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少年たちと軽くというには難しい話を終えて。終えてというよりも、トモエからオユキにしてもかなり難しいと考える話を、依頼を振られてしまいそちらへの対応に頭を悩ませていたからか。それ以外にも、考えなければならないこともただでさえ多いというのに、そんな事を考えながらも。
「オユキは、随分と機嫌が良いようですが」
だが、珍しくという程ではないにしろ、トモエの我儘なのだ。こればかりは、叶えなければ己の存在意義とでもいえばいいのだろうか。己が確かに立脚している土台、そこに傷を入れるような真似になるからとそれはもう真剣に。結論としては、とでもいえばいいのだろうか。現状の延長線上で方が付くとでもいえばいいのだろうか。儀礼用とする以上は、つまりリース伯爵家として、そろいの物を持たせるのだとそうした理屈を通すことが出来る。それを起点に、いくらか考えた上で、この後の場でどうにか通して見せようとオユキはそんな事を考えて。
「トモエが作ったものに加えて、そちらのリース伯子女が目をかけた者たちによるものもあるからではないか」
「そう、だと良いのですが」
根回し用の、というよりも嘆願とでもいえばいいのだろうか、それを行うための手紙も要しなければとオユキがそう考えたこともあり、少年たちは揃ってトモエがアルノーの手伝いにと連れて行った。此処で、ユーフォリアやカレンがいればそちらに用意を頼むのだが、生憎とどちらも王城に向かったきり。戻ってこれないのは、主にオユキが言い出した鞘の、美術品としての鞘を求める会を開くためにと今も奔走しているだけなのだが。
そして、カレンよりも、散々に馴染んだユーフォリアがいるからこそ、オユキは少々そこに甘えが出る。かつては、今も。そのあたり、トモエは気分のいい物ではないため早々に少年たちと連れ立って、オユキの前から下がっていった。せっかく、こちらに来てからは珍しくという程でも無いのだが、トモエがオユキに甘えてそれをオユキが喜んでいるのだ。そんなところに、別の相手に色々と頼んでと、トモエには出来ない事を頼んでとそうした話を聞いて落ち込む必要はないとばかりに。そして、アルノーの手伝いのついでに加えて、今となっては懐かしささえ覚える席、それを今一度用意するのも良いだろうとトモエが考えたこともある。
「何にせよ、ここ暫く我らにしても屋敷に勤める者たちに話しているのだが」
「ええ。何分、移動が立て込んだ後には、私にしても」
「日々の事として、どうにか体を動かす時間位は持ちたくはあるのだがな」
「あなたはここ暫く、といいますか」
「領都であればまだしも、こうして王都に来てしまえば避けられぬこともやはり多い」
今は、公爵夫妻も招いたうえで、かなりの人数が一堂に会して食事を摂っている。異邦人二人はいよいよ客人扱いのクレドとセツナに合わせて少年たちと共に。そちらの席には、勿論トモエもいるため、相応に賑やかに食事を進めている。紙包み、オユキにしてもホイルに包んで焼く料理がとそうした話をした時に、アルノーから類似というよりも、本来であればこうした形の料理なのだとそうした説明を受けた。彼にしても、当然の如く心得がありというよりも有名なレシピでもあるため知識はあった。しかし、必要な道具が無いのだとそうした説明をされたトモエとオユキが蜜蝋を使った紙で良いのではないかとそうした話をしたのが最初。しかし、問題としては融点が低いのだと、それでどうにも思ったような香りや味にはならぬのだとそうした話がアルノーから。
では、どのように決着を見たのかといえば、魔術で解決が出来ぬかとカナリアに相談したことから。そもそも、魔術を扱うものであり、オユキと同じく学究の徒である彼女がそもそも融点とは何かと首をかしげたところから。
こちらの世界には、魔術などというかつての物理法則に照らし合わせれば、いよいよもって理外の法則が存在している。紙を溶かした蜜蝋に浸して作る。当然、そこには一度融かすという工程が含まれているのだが、彼女にしてみればそれにしても問題が無いのだと。融けるのが、状態の変更が嫌ならばそれが起こらないようにすればよいではないかと、何を言われているのかが分からないとそうした風情でいわれたのだ。
異邦人が揃って何を言っているのかと、話を聞いていた侍女にしてもよく分からぬとばかりにカナリアに実演を求めてみたところいくつか、特殊と呼ぶにも問題がある紙が用意されることになった。今回はそれらを使ってと言う事も無く、蝋引きされた紙を、本来であれば融けてしまうはずの蝋だけを説けないようにとしたものを使って。さらには、同じものばかりというのも問題があるからと違う具材を放り込んであるポトフ。カナリアを厨房に引き込んだ結果と言う事も無いのだろうが、こちらにも魔国から持ち帰ってこられたいくつかの魔道具を使って用意された冷製の皿まで。
「どうにも、食事となると暖かい物ばかりと考えてはおったが」
「そういえば、こちらでは毒見のような習慣は無いのですね」
「人を害するほどにとなれば、気が付くことのほうが多いからな」
「毒というのならば、凡そ口に入れる物が全てとなりますから少し難しい区別にはなりますので」
確かに、毒等と言うのは全て摂取量次第となっている。日々口にするもの、人が口にするほとんどの物に致死量というのは存在している。勿論、それが現実的な、一般的に摂取が可能な量かどうかはさておいて。ともすれば、こちらではいよいよ関係が無いのだが、空気ですら。
「それは、良い事なのでしょうね」
「そちらでは」
「ええ。高貴な方々にとっては、毒見というのは当然の」
「それは、何とも」
揃って、紙包みはまだ用意されておらず。前菜として出された、オユキは口に運んでも何か全く思いつかなかったつけ汁に浸された白身の魚と、色とりどりの野菜を口に運びながら少し葡萄酒なども嗜んで。そして、続いて出てきたのが少女たちの手によるというよりも、少し手伝った程度ではあるだろうが、トマトだろう色味と酸味をかんじる冷製のスープ。それを、公爵夫妻とオユキ、カナリアといつの間にやらやって来ていたアイリスが揃って口に運んでいる。
「それにしても、相も変わらず見事な物だな。良ければと、ついつい考えてしまうが」
「アルノーさんにしても、今自分が下働きとしている子たちについては」
「今後の去就とでも言えば良いのか。あの者が良しとして、望むのであればとの事ではあったな」
「今のままでも、十年は先になると、そう言われてしまいましたが」
「そのあたりの短縮は難しいでしょうから、習いに向かわせるというのは」
「あの者とは違って、こちらの料理人というのは基本として移動を好まぬものが多くてな」
「確かに、道中でとなれば色々と不便を感じるでしょうし、身体能力の問題もありますか」
「それに、移動の最中となれば料理以外にはない物」
「空間の拡張、いえ、成程そこまで含めてですか」
確かに、居住性が上がる前であれば、揃って我慢することもできたのかもしれない。だが、それが解決する、少なくともそれが可能な立場の者たちがおり、料理人等と言うのを連れ歩くのはそういった者達。上がった居住性、その一部か、もしくは料理人たちに向けて期待も生まれるというものだろう。事実、トモエは間違いなく色々と頼む。
「ままなりませんね」
「うむ。我としても、少し話をしてみたのだがでは、習うべき相手がどの程度王都にいてくれるのかと問われればな」
「さらには、弟子入りとしてついていっても構わないのかと、そこまで言われてしまうと」
「よもや、これまで取りまとめを任せていたものまでもが望んでいるとなると、色々と難しくてな」
「それは、その」
「あの者よりも下にいる者、それをつけて送り出したとして戻ってきたならば、立場を入れ替えるとまで言われてしまってな」
「私達でも分かるほど、そうであるのならあの者たちはいったいどこまで理解が及んでいるのか」
作らぬ者たち、細かく調整をすることを選ばない者たちでも、理解が及ぶほどに違いがある。では、実際に作る者たちにとっては、何処までの事が分かるというのか。スープに続いて、前菜と被るのではないかとは思ったが、此処でパピヨットをと言う事であるらしい。それぞれの前に閉じ方にしてもきちんと気を使って、折り目も華やかに。メインとなる者以外の部分にも、飾りとしてのソースに加えて、魚とキノコに合わせるためだろう。種々の野菜などが彩り豊かに添えられている。
「ふむ」
「これは、どのように」
「パピヨットと呼ばれる、こちらでは蝋引きした紙で包んで蒸し焼きにする料理です。中については、コースの順番通りでしょうから、魚とキノコ。解放した状態で焼いてしまえば香りというのは食材の持つ成分ですから」
本当に、不思議な事だと思うのだが。
他では、こうした成分というのが通用しない。だが、料理に関しては問題が無く。あまりにも粗雑にと言う事は無く、かつての世界で、少なくともゲームで理解できる範囲で。それで設計がなされたと言う事は、明確に区分が用意されているはずなのだ。それこそ、カテゴリとして食材だとか。そのような物は、少なくともかつての頃には見ることもできなかったのだが。
「紙で、包んで、ですか」
この辺り、調べた結果として知らないだろうと判断しての事だろう。公爵夫妻に、今回の席で最も高位である相手に合わせる形で、既に開かれて用意されている。なかなかに出てこない類の料理ではあるため、オユキとしてもうろ覚えではある。この辺りは、後でトモエに尋ねてみるか、もしくはこちらの世界で自然と発生するのを待つのか。どちらかにすればよいだろうと考えながらも。
「ふむ。確かに、常とはかなり違うか」
「ええ、香りが随分と豊かですね。他の品に比べてしまうと、少し」
公爵夫人がそこで口を閉ざしたのは、用意した相手がだれか気が付いたからだろう。これまでは、コースが進んでメインに差し掛かるころには辟易とした雰囲気を持っていたオユキが、珍しく嬉しそうなのだから。確かに、他の品に比べて完成度というのは一段落ちているには違いない。だからこそ、これを一体だれが用意したのか、それにも想像がつくというものだ。先ほどまで口にしていたスープと同様に。
「オユキは、随分と機嫌が良いようですが」
だが、珍しくという程ではないにしろ、トモエの我儘なのだ。こればかりは、叶えなければ己の存在意義とでもいえばいいのだろうか。己が確かに立脚している土台、そこに傷を入れるような真似になるからとそれはもう真剣に。結論としては、とでもいえばいいのだろうか。現状の延長線上で方が付くとでもいえばいいのだろうか。儀礼用とする以上は、つまりリース伯爵家として、そろいの物を持たせるのだとそうした理屈を通すことが出来る。それを起点に、いくらか考えた上で、この後の場でどうにか通して見せようとオユキはそんな事を考えて。
「トモエが作ったものに加えて、そちらのリース伯子女が目をかけた者たちによるものもあるからではないか」
「そう、だと良いのですが」
根回し用の、というよりも嘆願とでもいえばいいのだろうか、それを行うための手紙も要しなければとオユキがそう考えたこともあり、少年たちは揃ってトモエがアルノーの手伝いにと連れて行った。此処で、ユーフォリアやカレンがいればそちらに用意を頼むのだが、生憎とどちらも王城に向かったきり。戻ってこれないのは、主にオユキが言い出した鞘の、美術品としての鞘を求める会を開くためにと今も奔走しているだけなのだが。
そして、カレンよりも、散々に馴染んだユーフォリアがいるからこそ、オユキは少々そこに甘えが出る。かつては、今も。そのあたり、トモエは気分のいい物ではないため早々に少年たちと連れ立って、オユキの前から下がっていった。せっかく、こちらに来てからは珍しくという程でも無いのだが、トモエがオユキに甘えてそれをオユキが喜んでいるのだ。そんなところに、別の相手に色々と頼んでと、トモエには出来ない事を頼んでとそうした話を聞いて落ち込む必要はないとばかりに。そして、アルノーの手伝いのついでに加えて、今となっては懐かしささえ覚える席、それを今一度用意するのも良いだろうとトモエが考えたこともある。
「何にせよ、ここ暫く我らにしても屋敷に勤める者たちに話しているのだが」
「ええ。何分、移動が立て込んだ後には、私にしても」
「日々の事として、どうにか体を動かす時間位は持ちたくはあるのだがな」
「あなたはここ暫く、といいますか」
「領都であればまだしも、こうして王都に来てしまえば避けられぬこともやはり多い」
今は、公爵夫妻も招いたうえで、かなりの人数が一堂に会して食事を摂っている。異邦人二人はいよいよ客人扱いのクレドとセツナに合わせて少年たちと共に。そちらの席には、勿論トモエもいるため、相応に賑やかに食事を進めている。紙包み、オユキにしてもホイルに包んで焼く料理がとそうした話をした時に、アルノーから類似というよりも、本来であればこうした形の料理なのだとそうした説明を受けた。彼にしても、当然の如く心得がありというよりも有名なレシピでもあるため知識はあった。しかし、必要な道具が無いのだとそうした説明をされたトモエとオユキが蜜蝋を使った紙で良いのではないかとそうした話をしたのが最初。しかし、問題としては融点が低いのだと、それでどうにも思ったような香りや味にはならぬのだとそうした話がアルノーから。
では、どのように決着を見たのかといえば、魔術で解決が出来ぬかとカナリアに相談したことから。そもそも、魔術を扱うものであり、オユキと同じく学究の徒である彼女がそもそも融点とは何かと首をかしげたところから。
こちらの世界には、魔術などというかつての物理法則に照らし合わせれば、いよいよもって理外の法則が存在している。紙を溶かした蜜蝋に浸して作る。当然、そこには一度融かすという工程が含まれているのだが、彼女にしてみればそれにしても問題が無いのだと。融けるのが、状態の変更が嫌ならばそれが起こらないようにすればよいではないかと、何を言われているのかが分からないとそうした風情でいわれたのだ。
異邦人が揃って何を言っているのかと、話を聞いていた侍女にしてもよく分からぬとばかりにカナリアに実演を求めてみたところいくつか、特殊と呼ぶにも問題がある紙が用意されることになった。今回はそれらを使ってと言う事も無く、蝋引きされた紙を、本来であれば融けてしまうはずの蝋だけを説けないようにとしたものを使って。さらには、同じものばかりというのも問題があるからと違う具材を放り込んであるポトフ。カナリアを厨房に引き込んだ結果と言う事も無いのだろうが、こちらにも魔国から持ち帰ってこられたいくつかの魔道具を使って用意された冷製の皿まで。
「どうにも、食事となると暖かい物ばかりと考えてはおったが」
「そういえば、こちらでは毒見のような習慣は無いのですね」
「人を害するほどにとなれば、気が付くことのほうが多いからな」
「毒というのならば、凡そ口に入れる物が全てとなりますから少し難しい区別にはなりますので」
確かに、毒等と言うのは全て摂取量次第となっている。日々口にするもの、人が口にするほとんどの物に致死量というのは存在している。勿論、それが現実的な、一般的に摂取が可能な量かどうかはさておいて。ともすれば、こちらではいよいよ関係が無いのだが、空気ですら。
「それは、良い事なのでしょうね」
「そちらでは」
「ええ。高貴な方々にとっては、毒見というのは当然の」
「それは、何とも」
揃って、紙包みはまだ用意されておらず。前菜として出された、オユキは口に運んでも何か全く思いつかなかったつけ汁に浸された白身の魚と、色とりどりの野菜を口に運びながら少し葡萄酒なども嗜んで。そして、続いて出てきたのが少女たちの手によるというよりも、少し手伝った程度ではあるだろうが、トマトだろう色味と酸味をかんじる冷製のスープ。それを、公爵夫妻とオユキ、カナリアといつの間にやらやって来ていたアイリスが揃って口に運んでいる。
「それにしても、相も変わらず見事な物だな。良ければと、ついつい考えてしまうが」
「アルノーさんにしても、今自分が下働きとしている子たちについては」
「今後の去就とでも言えば良いのか。あの者が良しとして、望むのであればとの事ではあったな」
「今のままでも、十年は先になると、そう言われてしまいましたが」
「そのあたりの短縮は難しいでしょうから、習いに向かわせるというのは」
「あの者とは違って、こちらの料理人というのは基本として移動を好まぬものが多くてな」
「確かに、道中でとなれば色々と不便を感じるでしょうし、身体能力の問題もありますか」
「それに、移動の最中となれば料理以外にはない物」
「空間の拡張、いえ、成程そこまで含めてですか」
確かに、居住性が上がる前であれば、揃って我慢することもできたのかもしれない。だが、それが解決する、少なくともそれが可能な立場の者たちがおり、料理人等と言うのを連れ歩くのはそういった者達。上がった居住性、その一部か、もしくは料理人たちに向けて期待も生まれるというものだろう。事実、トモエは間違いなく色々と頼む。
「ままなりませんね」
「うむ。我としても、少し話をしてみたのだがでは、習うべき相手がどの程度王都にいてくれるのかと問われればな」
「さらには、弟子入りとしてついていっても構わないのかと、そこまで言われてしまうと」
「よもや、これまで取りまとめを任せていたものまでもが望んでいるとなると、色々と難しくてな」
「それは、その」
「あの者よりも下にいる者、それをつけて送り出したとして戻ってきたならば、立場を入れ替えるとまで言われてしまってな」
「私達でも分かるほど、そうであるのならあの者たちはいったいどこまで理解が及んでいるのか」
作らぬ者たち、細かく調整をすることを選ばない者たちでも、理解が及ぶほどに違いがある。では、実際に作る者たちにとっては、何処までの事が分かるというのか。スープに続いて、前菜と被るのではないかとは思ったが、此処でパピヨットをと言う事であるらしい。それぞれの前に閉じ方にしてもきちんと気を使って、折り目も華やかに。メインとなる者以外の部分にも、飾りとしてのソースに加えて、魚とキノコに合わせるためだろう。種々の野菜などが彩り豊かに添えられている。
「ふむ」
「これは、どのように」
「パピヨットと呼ばれる、こちらでは蝋引きした紙で包んで蒸し焼きにする料理です。中については、コースの順番通りでしょうから、魚とキノコ。解放した状態で焼いてしまえば香りというのは食材の持つ成分ですから」
本当に、不思議な事だと思うのだが。
他では、こうした成分というのが通用しない。だが、料理に関しては問題が無く。あまりにも粗雑にと言う事は無く、かつての世界で、少なくともゲームで理解できる範囲で。それで設計がなされたと言う事は、明確に区分が用意されているはずなのだ。それこそ、カテゴリとして食材だとか。そのような物は、少なくともかつての頃には見ることもできなかったのだが。
「紙で、包んで、ですか」
この辺り、調べた結果として知らないだろうと判断しての事だろう。公爵夫妻に、今回の席で最も高位である相手に合わせる形で、既に開かれて用意されている。なかなかに出てこない類の料理ではあるため、オユキとしてもうろ覚えではある。この辺りは、後でトモエに尋ねてみるか、もしくはこちらの世界で自然と発生するのを待つのか。どちらかにすればよいだろうと考えながらも。
「ふむ。確かに、常とはかなり違うか」
「ええ、香りが随分と豊かですね。他の品に比べてしまうと、少し」
公爵夫人がそこで口を閉ざしたのは、用意した相手がだれか気が付いたからだろう。これまでは、コースが進んでメインに差し掛かるころには辟易とした雰囲気を持っていたオユキが、珍しく嬉しそうなのだから。確かに、他の品に比べて完成度というのは一段落ちているには違いない。だからこそ、これを一体だれが用意したのか、それにも想像がつくというものだ。先ほどまで口にしていたスープと同様に。
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