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34章 王都での生活
緩やかに
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オユキの勘違いとでもいえばいいのだろうか。
夜の時間、トモエとゆっくりとという程でも無く、オユキがのぼせるまで湯船につかった後に。
二人で寝台に入り、肩を並べているところで、トモエからぽつりと言われたのだ。オユキは、王都まで向かうのに、どの程度の時間がかかると想定しているのかと。
そこで、オユキは、はっきりと門があるのだからさして時間はかからないだろうなどと応えたものだ。それが通るのは、始まりの町に戻ればという条件が付いているのだとそれを考えもせずに。そして、トモエから改めて指摘されてみれば、成程と気が付いたものだ。少年たちを始まりの町に送り、その足で領都に向かうつもりではあった。そして、領都でゆっくりと過ごした後に等と考えていた。それをするためには、どの程度の移動時間がかかるかも考慮せずに。
特に、今回に関しては、オユキが王都に向かう必要がある。戦と武技の神の名のもとに開かれる大会だ。そこで、神国の要する巫女がおらぬなどというのは、問題しかない。
改めて前公爵夫妻に日程の勘違いを伝えてみれば、そうだと思ったとばかりにため息をつかれ。移動の手配という程では無いのだが、まずは領都までとばかりに送り出された。領都では、これまた見事なまでに速やかにマリーア公爵の屋敷にまで通されてそこで宿泊する運びとなり、前公爵夫妻からの預かり物でもある手紙を渡したかと思えば、速やかに王都への移動が始まった。
ゆっくりと過ごそうなどと、一体どの口が言っていたのかとばかりに始まった移動に、オユキとしてはもはや何が言えるわけでも無く。道中、セツナには哀れな者を見るような視線で見られ。カナリアからは何やら同類を見る様に。ついでとばかりに、新しい同行者とでもいえばいいのだろうか、翼人種が幾人か一緒についてきてとなかなかに過剰な戦力での移動となった。
「一先ず、これでよいか」
「ええ。お手数かけました」
「何。我らにしてみれば、移動先のそれぞれに用意する物ではあるしな。流石に、一時逗留するからとはいえそこらの家をというのもなかなか難しい。いくつかの家との共用である事は事実だが」
「そういえば、こちらでは土地が余っているわけですからとも思いますが」
「壁の拡張は行わなければならんしな。その方に言う分には構わないかとも思うが、拠点から村落とするためには壁を作らねばならぬ。そして、そこにはやはりいくらかの制限、決まり事があってな」
「それは、なかなかに難儀な事ですね。私にしても、壁を作るのにどれだけの魔石がいると考えているのかと、アベルさんに言われましたが」
「特に初期の段階、規模の変更を行う際には、我としても考えたくはない程にな」
そこで、公爵はため息を。
どうにも、ここ暫く身の回りでこうしてため息を聞く機会が多いなと、そんな事を考えながら。今は、公爵が王都に入る前に色々と整えるための拠点を出て、いよいよ王都へと向かっている。当然、こちらの世界で門を使わぬ移動というのはどこまでも時間がかかるものであり、合間に他の公爵領内の町によっては思い出したとばかりにシェリアに頼んで巫女としての布告を出して。
布告がなぜ必要なのかといえば、今後新しくオユキが交流を持つつもりの氷の乙女と人狼というこれまでには領内にいなかったはずの種族について。さらには、武国の者たちの無法ぶりに呆れているのだとそうしたことをきちんと匂わせながら。要は、万一があれば領主としてマリーア公爵が容赦はせぬから安堵せよと、そうした話をして回っているのだ。
そうした手間をかける事で、今後のための布石として。
「領都については、流石に今しばらくかかる」
「町を、広げるのでしたか」
「うむ。今手狭と言う訳では無いのだが、我が公爵としてある間に改めて都市計画をせねばならぬだろうからな」
「今後の人口増加を考えてとするにしても、十分では」
「人だけであれば問題ないのだが、いくつかの炉が老朽化を訴えていることもある。さらには、生産量を上げるには、今よりも広い場が無ければという話でな」
「北側だけ、と言う事は出来ないのでしたか」
「ほう。アベルからでも聞いたのか。その通り、安息の守りについては形状が決まっておる。円か楕円といった形を持つのだが、持つからこそ」
「北側をとする場合は南もとなるわけですか。そして、現状南については」
加護の内に戻る前での間に、魔物が現れる様になって、相応に荒れている。オユキとしては、てっきりグレイハウンド程度から始まると考えていたのだが、当たり前のように周囲に現れる魔物すらかつての街中へと侵入を果たしていたらしい。門を守る騎士の仕事がどうなっていたのかというのは、考えるまでも無い。そもそも守るべき門、その内側から敵が現れてくるのだ。そうなってしまっては、維持などを望むべくもない。早々にその場を離れ、寧ろ魔物が近くまでを闊歩するようになった各区画を分ける壁、そこに用意された門を守るためにと回された。
セツナとカナリアに移動中は魔術の講習を受け、それが終わるころには騎士たちに囲まれる中で簡単にトモエと体を動かして。そして、食事の合間には公爵とそうした諸々の話を聞きながら。
王都での屋敷に関しては、そもそも要望に合う場所に作ってしまえば色々と難しい事があるのだと話されればオユキも納得をするしかない。王都で生活をする、というよりもトモエが王都を好む理由として色々と買い物が捗るからと言う事があるため、観光のためと考えれば、氷の乙女の暮らす里に送り出す品を手に入れるためだと考えれば、公爵から別邸を借り受ける事で納得するしかないというものだ。
「セツナ殿とは、どの程度話を詰められたのか」
「生憎と、門を潜らなかったことで、移動の負荷は格段に少ないという言葉は伺いましたがそれ以上の物は」
「求める物については、布が基本であったな」
「厚手の布、毛皮の類かとも考えていたのですが、どうにもその限りでは無い様で。後は、糸束や裁縫道具のあたりも言われています」
それを言うセツナが、何やら不可思議な方法で縫物を行っていたのだが、一応は必要らしいと。
「裁縫道具か、まぁ、そのあたりの細かい事は任せるとして」
「そう、ですね」
「我が領の特産では無い事が難点ではあるが、そちらについては王都にて貸し与える屋敷にまた商人たちを向かわせよう。運搬に関しては、その方が贔屓にしている」
「ホセさん、ですか。そちらは今はどことも知れぬ相手ですし、門を使うので」
「その方が使うとなれば、否やは無かろうが」
「必要な魔石については、トモエと私が間違いなく」
「闘技大会があるにはあるが、確かにウニルに屋敷を作るまでの期間を考えれば、その方が都合も良いか」
門を得られることを前提に。それについては、トモエにも苦笑いをされている物だが、何時の間にやらすっかりと納得を得られた。オユキがそうであるように、トモエにしてもどうやら夜のうちに神々に呼ばれることがあるようで。そこで何か明確に約束を得られたのだろう。
こちらに来て、トモエとオユキが得られている加護。それが確かに他の者たちに比べてあまりにも多い理由とでもいえばいいのだろうか。それは夜毎とまではいわないのだが、定期的に呼び出されてはそこで色々と言われていることもある。使命はあくまでも一連として、こうして呼び出されて受ける物にしてもその一環であるには違いない。
そして、呼び出される度にというのも芸が無いからとオユキが確かめたこととして。オユキに与えられた使命とは何なのか。それをきちんと確認したのだ。
トモエに与えられた使命については、明確にないのだとそうした保証を改めて月と安息から、トモエとオユキを選んだのだと、勝ち取ったのだといつぞやに言われた相手から明確に言葉を得られた。それに安堵したのも束の間、オユキに使命として与えられている物は各神殿に既に用意されている門を設置する事。神々としては、実に都合がいいと評されるものを使命として与えられている。要は、オユキが望むに違いない両親から得られるもの、かつて両親がこちらに残したトモエとオユキにあてた手紙が報酬として各神殿にあるのだから。
そして、風翼の礎をオユキが得るためには、オユキに与えるためにまた越えなければならないものが存在しているのだと。本当に、都合のいいように使われるものだと。
「風翼の礎は、門を通せないとそういう話でもありますから」
「となると、王都から運ぶことになるな。その方は、どうするつもりかね」
「武国の者達がどうするか次第、でしょうか」
「我らが、国内でいいようにさせるとでも」
「どうにも、そうした理屈が分からぬ者たちが多いようですから」
「王都では、さして問題が起こっていないと、そうした話を聞いているのだがな」
「程度の低い者たちを、他に向けたと言う事なのでしょう。今も王都にいる者たちは、闘技大会に向けて刃を研ぐことに余念が無いでしょうから」
そうして話しながらも、オユキはただただため息を。周囲から聞くことが多いなどと考えていたものだが、オユキ自身振り返ってみればと言うものだ。
「どうにも、ここ暫く。こうしてため息をつくことが増えてきました」
「その方もか」
「公爵様も、ええ、身の回りにいる相手にしても」
改めて考えてみれば、こうして思わずとばかりにため息を零さないのは少年達くらいだろうか。そちらにしても、少女たちのほうは何やら年に似合わぬ遠い目をすることも多いのだが。
「あの子たちは、もう王都についているのでしょうね」
「闘技大会に出場すると、そう聞いてはいるのだが」
「公爵様は、何か懸念が」
「あの者らは、今年が成人であるからな。いや、その方に分かり易く言うのならば」
「いえ、数え年と言う事でしょう。かつての国では、廃れ始めていた習慣ではありますが」
要は、新年祭で成人した者たちは、ぎりぎりで年少者の部に含まれるのだ。
「来年には、今年の結果を見た上で下の物が上に挑むくらいは許可されればと思いますが」
「まずは、トモエを説得してからにしてくれ。その方の意見を退ける時に、あの者の名を使わねばならなくなるからな」
夜の時間、トモエとゆっくりとという程でも無く、オユキがのぼせるまで湯船につかった後に。
二人で寝台に入り、肩を並べているところで、トモエからぽつりと言われたのだ。オユキは、王都まで向かうのに、どの程度の時間がかかると想定しているのかと。
そこで、オユキは、はっきりと門があるのだからさして時間はかからないだろうなどと応えたものだ。それが通るのは、始まりの町に戻ればという条件が付いているのだとそれを考えもせずに。そして、トモエから改めて指摘されてみれば、成程と気が付いたものだ。少年たちを始まりの町に送り、その足で領都に向かうつもりではあった。そして、領都でゆっくりと過ごした後に等と考えていた。それをするためには、どの程度の移動時間がかかるかも考慮せずに。
特に、今回に関しては、オユキが王都に向かう必要がある。戦と武技の神の名のもとに開かれる大会だ。そこで、神国の要する巫女がおらぬなどというのは、問題しかない。
改めて前公爵夫妻に日程の勘違いを伝えてみれば、そうだと思ったとばかりにため息をつかれ。移動の手配という程では無いのだが、まずは領都までとばかりに送り出された。領都では、これまた見事なまでに速やかにマリーア公爵の屋敷にまで通されてそこで宿泊する運びとなり、前公爵夫妻からの預かり物でもある手紙を渡したかと思えば、速やかに王都への移動が始まった。
ゆっくりと過ごそうなどと、一体どの口が言っていたのかとばかりに始まった移動に、オユキとしてはもはや何が言えるわけでも無く。道中、セツナには哀れな者を見るような視線で見られ。カナリアからは何やら同類を見る様に。ついでとばかりに、新しい同行者とでもいえばいいのだろうか、翼人種が幾人か一緒についてきてとなかなかに過剰な戦力での移動となった。
「一先ず、これでよいか」
「ええ。お手数かけました」
「何。我らにしてみれば、移動先のそれぞれに用意する物ではあるしな。流石に、一時逗留するからとはいえそこらの家をというのもなかなか難しい。いくつかの家との共用である事は事実だが」
「そういえば、こちらでは土地が余っているわけですからとも思いますが」
「壁の拡張は行わなければならんしな。その方に言う分には構わないかとも思うが、拠点から村落とするためには壁を作らねばならぬ。そして、そこにはやはりいくらかの制限、決まり事があってな」
「それは、なかなかに難儀な事ですね。私にしても、壁を作るのにどれだけの魔石がいると考えているのかと、アベルさんに言われましたが」
「特に初期の段階、規模の変更を行う際には、我としても考えたくはない程にな」
そこで、公爵はため息を。
どうにも、ここ暫く身の回りでこうしてため息を聞く機会が多いなと、そんな事を考えながら。今は、公爵が王都に入る前に色々と整えるための拠点を出て、いよいよ王都へと向かっている。当然、こちらの世界で門を使わぬ移動というのはどこまでも時間がかかるものであり、合間に他の公爵領内の町によっては思い出したとばかりにシェリアに頼んで巫女としての布告を出して。
布告がなぜ必要なのかといえば、今後新しくオユキが交流を持つつもりの氷の乙女と人狼というこれまでには領内にいなかったはずの種族について。さらには、武国の者たちの無法ぶりに呆れているのだとそうしたことをきちんと匂わせながら。要は、万一があれば領主としてマリーア公爵が容赦はせぬから安堵せよと、そうした話をして回っているのだ。
そうした手間をかける事で、今後のための布石として。
「領都については、流石に今しばらくかかる」
「町を、広げるのでしたか」
「うむ。今手狭と言う訳では無いのだが、我が公爵としてある間に改めて都市計画をせねばならぬだろうからな」
「今後の人口増加を考えてとするにしても、十分では」
「人だけであれば問題ないのだが、いくつかの炉が老朽化を訴えていることもある。さらには、生産量を上げるには、今よりも広い場が無ければという話でな」
「北側だけ、と言う事は出来ないのでしたか」
「ほう。アベルからでも聞いたのか。その通り、安息の守りについては形状が決まっておる。円か楕円といった形を持つのだが、持つからこそ」
「北側をとする場合は南もとなるわけですか。そして、現状南については」
加護の内に戻る前での間に、魔物が現れる様になって、相応に荒れている。オユキとしては、てっきりグレイハウンド程度から始まると考えていたのだが、当たり前のように周囲に現れる魔物すらかつての街中へと侵入を果たしていたらしい。門を守る騎士の仕事がどうなっていたのかというのは、考えるまでも無い。そもそも守るべき門、その内側から敵が現れてくるのだ。そうなってしまっては、維持などを望むべくもない。早々にその場を離れ、寧ろ魔物が近くまでを闊歩するようになった各区画を分ける壁、そこに用意された門を守るためにと回された。
セツナとカナリアに移動中は魔術の講習を受け、それが終わるころには騎士たちに囲まれる中で簡単にトモエと体を動かして。そして、食事の合間には公爵とそうした諸々の話を聞きながら。
王都での屋敷に関しては、そもそも要望に合う場所に作ってしまえば色々と難しい事があるのだと話されればオユキも納得をするしかない。王都で生活をする、というよりもトモエが王都を好む理由として色々と買い物が捗るからと言う事があるため、観光のためと考えれば、氷の乙女の暮らす里に送り出す品を手に入れるためだと考えれば、公爵から別邸を借り受ける事で納得するしかないというものだ。
「セツナ殿とは、どの程度話を詰められたのか」
「生憎と、門を潜らなかったことで、移動の負荷は格段に少ないという言葉は伺いましたがそれ以上の物は」
「求める物については、布が基本であったな」
「厚手の布、毛皮の類かとも考えていたのですが、どうにもその限りでは無い様で。後は、糸束や裁縫道具のあたりも言われています」
それを言うセツナが、何やら不可思議な方法で縫物を行っていたのだが、一応は必要らしいと。
「裁縫道具か、まぁ、そのあたりの細かい事は任せるとして」
「そう、ですね」
「我が領の特産では無い事が難点ではあるが、そちらについては王都にて貸し与える屋敷にまた商人たちを向かわせよう。運搬に関しては、その方が贔屓にしている」
「ホセさん、ですか。そちらは今はどことも知れぬ相手ですし、門を使うので」
「その方が使うとなれば、否やは無かろうが」
「必要な魔石については、トモエと私が間違いなく」
「闘技大会があるにはあるが、確かにウニルに屋敷を作るまでの期間を考えれば、その方が都合も良いか」
門を得られることを前提に。それについては、トモエにも苦笑いをされている物だが、何時の間にやらすっかりと納得を得られた。オユキがそうであるように、トモエにしてもどうやら夜のうちに神々に呼ばれることがあるようで。そこで何か明確に約束を得られたのだろう。
こちらに来て、トモエとオユキが得られている加護。それが確かに他の者たちに比べてあまりにも多い理由とでもいえばいいのだろうか。それは夜毎とまではいわないのだが、定期的に呼び出されてはそこで色々と言われていることもある。使命はあくまでも一連として、こうして呼び出されて受ける物にしてもその一環であるには違いない。
そして、呼び出される度にというのも芸が無いからとオユキが確かめたこととして。オユキに与えられた使命とは何なのか。それをきちんと確認したのだ。
トモエに与えられた使命については、明確にないのだとそうした保証を改めて月と安息から、トモエとオユキを選んだのだと、勝ち取ったのだといつぞやに言われた相手から明確に言葉を得られた。それに安堵したのも束の間、オユキに使命として与えられている物は各神殿に既に用意されている門を設置する事。神々としては、実に都合がいいと評されるものを使命として与えられている。要は、オユキが望むに違いない両親から得られるもの、かつて両親がこちらに残したトモエとオユキにあてた手紙が報酬として各神殿にあるのだから。
そして、風翼の礎をオユキが得るためには、オユキに与えるためにまた越えなければならないものが存在しているのだと。本当に、都合のいいように使われるものだと。
「風翼の礎は、門を通せないとそういう話でもありますから」
「となると、王都から運ぶことになるな。その方は、どうするつもりかね」
「武国の者達がどうするか次第、でしょうか」
「我らが、国内でいいようにさせるとでも」
「どうにも、そうした理屈が分からぬ者たちが多いようですから」
「王都では、さして問題が起こっていないと、そうした話を聞いているのだがな」
「程度の低い者たちを、他に向けたと言う事なのでしょう。今も王都にいる者たちは、闘技大会に向けて刃を研ぐことに余念が無いでしょうから」
そうして話しながらも、オユキはただただため息を。周囲から聞くことが多いなどと考えていたものだが、オユキ自身振り返ってみればと言うものだ。
「どうにも、ここ暫く。こうしてため息をつくことが増えてきました」
「その方もか」
「公爵様も、ええ、身の回りにいる相手にしても」
改めて考えてみれば、こうして思わずとばかりにため息を零さないのは少年達くらいだろうか。そちらにしても、少女たちのほうは何やら年に似合わぬ遠い目をすることも多いのだが。
「あの子たちは、もう王都についているのでしょうね」
「闘技大会に出場すると、そう聞いてはいるのだが」
「公爵様は、何か懸念が」
「あの者らは、今年が成人であるからな。いや、その方に分かり易く言うのならば」
「いえ、数え年と言う事でしょう。かつての国では、廃れ始めていた習慣ではありますが」
要は、新年祭で成人した者たちは、ぎりぎりで年少者の部に含まれるのだ。
「来年には、今年の結果を見た上で下の物が上に挑むくらいは許可されればと思いますが」
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