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32章 闘技大会を控えて
新しい物
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ジャガイモを使った料理。その中でも、アルノーが賓客に対して出すのも問題が無いとしただろう物。グラタンとして、中に薄く切ったジャガイモを敷き詰めた上でふんだんにソースをかけ、その上に数種類のチーズをのせた上で焼き上げた料理。中には勿論ジャガイモ以外にもこちらで採れるであろう肉であったりも少量混ぜられているし、オユキには分からないように歯触りを変えるための野菜などもあれこれと足されている。ベシャメルソースにしても、色々と工夫が凝らされており小麦粉を軽く炒める段から大豆を挽いた粉迄も加え、乳にしても豆乳を一部置き換えとして使っている。だからだろうか、オユキは今のところアルノーが作る料理の中では、特にこれを好んでいる。
問題としては、アルノーにとっては彼の出身の郷土料理でもあり、アベルも好むような形、ニョッキを中に仕込んでというものについてはオユキがそこまで好まない事であろうか。
「これは、私も好きだわ」
「そうね。私も嫌いでは無いといったところかしら」
一先ず、食欲については落ち着きを見せたのだろう。というよりも、元来我欲を嫌う者たちの大元でもあるのだから、捧げものについては必要量が得られれば良いと言う事でもあるのだろう。暫くはそれこそ席が分けられていたものだが、一体どうした理屈か、今は酒食を殊更好む者たちとそれが当然とばかりに空間事入れ替えた上で会話についても聞こえないようにとなっている。あちらはあちらで、それこそ気が付けば少女たちはしっかりと側仕えとして駆り出されたうえで、少年たちも料理を運ぶ役目などを言いつかっている様子。まだまだ、食べ盛りだろうにとそんな事を考えもするのだが、そこはきちんと分けてと言う事なのだろう。神々が降りている間は食事に手を付ける事は無いと言わんばかりに視線を振り切って。
「御身が気に入ると言う事は、長く火を入れたということでしょうか」
「そうね、火の気配もかなり濃い物」
「とすると、調理法としてはコンプレになりますか。なかなか、アルノーさんには手間をかけているようですね」
「そうなのね。だからこそ、私たちにとっても喜ばしい料理になるのかしら」
いくつか種類のある中で、火を中迄完全に通すものの名前を挙げてみれば、異空と流離、冬と眠りからそれぞれに声が上がる。
「これと類似となると、デザートの類になってきますし」
「それも、興味があるわ」
「アルノーさんであれば、用意もあるかとは思いますが、これまでを考えると同じ系統の物を続けてとする事は無いかと」
テーマとでもいえばいいのだろうか。アルノーにしても、一門の物であり、きちんと食卓に並べる料理については、それもこうした正式な会で用意する物に関しては一貫した何かが存在している。それも、刺して食に興味を持たないオユキにしてもぼんやりと察するような。何処か特定の地域と言う訳では無く、メインとして用意する皿、それを楽しむための流れを作りつつも、きちんとした共通項があるのだ。それこそ、食材であったり、味の方向性、ひそかに下地として使われる味の方向性として。
今回の物については、やはり丸焼きが主体となっているからか、基本としては長時間の過熱を行うものが選ばれており、今回に関しては動物由来の脂肪を主体としている。ベシャメルソースにしても牛乳だけでなく、バターをふんだんに使うものであり、子牛を使って作り上げたストックを味の基軸としている。こちらに来てから、そこまで時間もたっていないというのに、一体どのようにとトモエは考えるものだがアルノーに言わせてみればそもそもスープストックなどについては神国から持ち込んだものを使っていることもありそこまで時間がかかるような料理でも無いとそう返ってくることだろう。はたから見れば、いよいよ謙遜以外の何物でもないのだが。
サラダにしても他種の葉物野菜を合わせて、さらに冬を感じさせるためだろう。彩に赤蕪の薄切りが散らされたうえでチーズだけでなくベーコンも加えられている。次に並べられたスープにしても、同様に細かい工夫がなされていたというものだ。コース仕立てではある物の、こうしてオユキが好む料理が並べられている以上は、というよりも今回の主賓となる者たちが肉を好むこともありそちらを早々に出したこともあるため、特段形式にこだわると言う事も無いのだろうが。
「そうなの、残念ね。貴女の思い描くものであれば、私も好みそうだけれど」
「私たちにしても、確かに基本として好むのは肉の類。ですが種族としてはやはり火の気配が強い物も、供え物として捧げられればうれしい物です」
「ええと、では、そのように伝えておきますね」
こうして、折に触れて色々と己の好みを神々は人に伝えてきたのだろう。そんな事を考えながらも、オユキはトモエの視線もあるためにきちんと食事の手を進める。並んで座っていたはずが、今となっては少し離れた位置に。どうにも、ここ暫くの話で好きな物を、体が求める物を主体として食べて問題が無いとそうした認識も得られたはずなのだが、そこは戦と武技の鍛錬とは枷だとそういう言葉を聞いてなのだろう。トモエはアルノーと話したうえで、オユキの料理に関してはやはり生前に馴染んだ栄養学を基本とするのだと決めたことであるらしい。今だけでなく、常々好き嫌いは構わないのだが、きちんと食べる様にとそうトモエが視線で訴えかけてくるというものだ。
「一先ず、今回の事に限らないけれど、貴女が私たちの種族に齎した切欠、生み出した流れ。私が、この世界で目を覚まそうとそう思えるだけの、生きた風を。それに対する褒美だけでなく、我が裔の後始末とでもいえばいいのかしら」
「私からも、あの子たちの種族の祖には伝えておくわ。貴女は純粋に氷の乙女と呼べる種族ではないけれど、それでも近いことに変わりは無い物。だから、こちらで暮らすあなたの手助けをするようにと。最初に話していたのは、用意していた助けについては他に取られてしまっている物ね」
そうして視線が向かう先では、何やらそれぞれの柱から側に置かれている異邦人が二人。アルノーについては、あまり熱心でないと言っていたからと言う訳でもないだろう。それこそ、料理を司る神等と言うのは間違いなく大量にいるために、そちらでもまた取り合いのようなものが発生しているには違いない。こちらに来たばかりのアルノーが、あまりにもはっきりとこちらの世界をさして評価を下したのだ。あまりにも、遊び心が足りていないと。
「一応、その。お言葉を返すようですが」
そして、冬と眠りの零した言葉に対して、オユキとしては思う所があるというものだ。
「幼子よ、冬と眠りの御方の言葉は正しい。その方も、妾にいうたじゃろう。その方は発現形質が人の物じゃと。あとは、そなたが力を使う度に氷の気配もある。妾たちの振るう力の様に、氷雪のそれとはまた異なるものじゃ」
「確かに、そのような物ではありますか。とすると、いよいよ」
「なに、こちらではいよいよもって珍しい物ではない。妾の娘にしても、そこなクレドとの間にもうけた子での。妾に似て、氷の乙女として明確に生を受けた物と、少々良人に寄っているものとがおる」
「こちらでは、母体が優勢だとそのように聞いた覚えが」
そこまで口に出して、オユキとしてはそれをはっきりと聞いたのは誰からだったかとどうにか記憶をたどろうと考えてみる。だが、こうしてやたらと降りてきた柱が多い事もあり、オユキも既にかなりの疲労を感じ始めてもいる。食事も進み、それこそ神々が戻るころには眠気に負ける事だろうと、改めて己に対して評価を下しながら。
「誰に聞いたのかは分からぬが、そこまでの性質を持つのは植物を祖に持つ者たちでも原初に作られた者たち、それもごく一部だけじゃ。この地に満ちる生命として、まずは数を増やし循環をと望まれたときに己を分かつという性質を持つ者たちが非常に都合が良かったというのもあってな」
「あの、それを知るセツナ様は」
「ゆうたであろう。妾もそれなりに長く生きておる」
平然と歴史、それもかつての区分に従っても古代と呼んで差し支えない程の遠い過去を、当然と語るこの相手。その人物が、果たしてどれほどを生きているのかと、是非ともはっきりと聞かせてもらいたいとそんな考えをオユキは視線に乗せるのだが、生憎と相手からは語る気は無いとばかりに。確かに、見た目は十分に若い相手、己の年齢を語る事に忌避感を覚えていても仕方がないかとも考える。そうなのだとしても、シグルドから婆と呼ばれて鷹揚に受け入れている以上は、そのあたり明確に自覚もありそうなものなのだが。
「何、答えられぬのじゃよ。流石に妾にしても、その方らの語る歳月とでも言えば良いのか、それが分からぬ。木々がその生を終えて、そうした数え方ですら望む物が偶にしておる程度じゃからの。それを言えば、我が良人の種族の交代とでも言えば良いのか。女王の代替わりで数得る方が早いとも思うのじゃが」
「俺たちにしても、人に比べればはるかに長いからな。それを指標にするのも、やはり難があるだろう。少なくとも、俺がセツナと出会ってからの世代交代でいえば二十を超えてはいるが」
では、その頃に出会ったのだとして、そこからの経過が分かるだけ。それも、オユキでも分かり易い暦ではなくいよいよもって尺度の分からぬものでしかない。改めて、種族差とでもいえばいいのだろうか、そのような物を久しぶりい突き付けられるものだと。
「氷の乙女の長は、確か四千年程前だったかしら」
「今の長はそうだな。一度代替わりをして、それ以来か」
そして、冬と眠りが、改めて口にした数字。そこに、知識と魔が付け加えた言葉。
オユキは、これで確信が得られたと、少なくとも、必要なだけの推察を積み上げ、周囲からの話を聞いたことで、最低限に踏み入れることが出来るようになったのだと、そんな確信を得るというものだ。存在していた、入れ子構造。オユキの記憶と、同じところもあれば、違う所もある。一度、はっきりと修正を受けたのだと、それを忘れていたのだと言わんばかりに手直しをされたと自覚した瞬間もあった。
「そのままではない、それも踏まえてですか」
問題としては、アルノーにとっては彼の出身の郷土料理でもあり、アベルも好むような形、ニョッキを中に仕込んでというものについてはオユキがそこまで好まない事であろうか。
「これは、私も好きだわ」
「そうね。私も嫌いでは無いといったところかしら」
一先ず、食欲については落ち着きを見せたのだろう。というよりも、元来我欲を嫌う者たちの大元でもあるのだから、捧げものについては必要量が得られれば良いと言う事でもあるのだろう。暫くはそれこそ席が分けられていたものだが、一体どうした理屈か、今は酒食を殊更好む者たちとそれが当然とばかりに空間事入れ替えた上で会話についても聞こえないようにとなっている。あちらはあちらで、それこそ気が付けば少女たちはしっかりと側仕えとして駆り出されたうえで、少年たちも料理を運ぶ役目などを言いつかっている様子。まだまだ、食べ盛りだろうにとそんな事を考えもするのだが、そこはきちんと分けてと言う事なのだろう。神々が降りている間は食事に手を付ける事は無いと言わんばかりに視線を振り切って。
「御身が気に入ると言う事は、長く火を入れたということでしょうか」
「そうね、火の気配もかなり濃い物」
「とすると、調理法としてはコンプレになりますか。なかなか、アルノーさんには手間をかけているようですね」
「そうなのね。だからこそ、私たちにとっても喜ばしい料理になるのかしら」
いくつか種類のある中で、火を中迄完全に通すものの名前を挙げてみれば、異空と流離、冬と眠りからそれぞれに声が上がる。
「これと類似となると、デザートの類になってきますし」
「それも、興味があるわ」
「アルノーさんであれば、用意もあるかとは思いますが、これまでを考えると同じ系統の物を続けてとする事は無いかと」
テーマとでもいえばいいのだろうか。アルノーにしても、一門の物であり、きちんと食卓に並べる料理については、それもこうした正式な会で用意する物に関しては一貫した何かが存在している。それも、刺して食に興味を持たないオユキにしてもぼんやりと察するような。何処か特定の地域と言う訳では無く、メインとして用意する皿、それを楽しむための流れを作りつつも、きちんとした共通項があるのだ。それこそ、食材であったり、味の方向性、ひそかに下地として使われる味の方向性として。
今回の物については、やはり丸焼きが主体となっているからか、基本としては長時間の過熱を行うものが選ばれており、今回に関しては動物由来の脂肪を主体としている。ベシャメルソースにしても牛乳だけでなく、バターをふんだんに使うものであり、子牛を使って作り上げたストックを味の基軸としている。こちらに来てから、そこまで時間もたっていないというのに、一体どのようにとトモエは考えるものだがアルノーに言わせてみればそもそもスープストックなどについては神国から持ち込んだものを使っていることもありそこまで時間がかかるような料理でも無いとそう返ってくることだろう。はたから見れば、いよいよ謙遜以外の何物でもないのだが。
サラダにしても他種の葉物野菜を合わせて、さらに冬を感じさせるためだろう。彩に赤蕪の薄切りが散らされたうえでチーズだけでなくベーコンも加えられている。次に並べられたスープにしても、同様に細かい工夫がなされていたというものだ。コース仕立てではある物の、こうしてオユキが好む料理が並べられている以上は、というよりも今回の主賓となる者たちが肉を好むこともありそちらを早々に出したこともあるため、特段形式にこだわると言う事も無いのだろうが。
「そうなの、残念ね。貴女の思い描くものであれば、私も好みそうだけれど」
「私たちにしても、確かに基本として好むのは肉の類。ですが種族としてはやはり火の気配が強い物も、供え物として捧げられればうれしい物です」
「ええと、では、そのように伝えておきますね」
こうして、折に触れて色々と己の好みを神々は人に伝えてきたのだろう。そんな事を考えながらも、オユキはトモエの視線もあるためにきちんと食事の手を進める。並んで座っていたはずが、今となっては少し離れた位置に。どうにも、ここ暫くの話で好きな物を、体が求める物を主体として食べて問題が無いとそうした認識も得られたはずなのだが、そこは戦と武技の鍛錬とは枷だとそういう言葉を聞いてなのだろう。トモエはアルノーと話したうえで、オユキの料理に関してはやはり生前に馴染んだ栄養学を基本とするのだと決めたことであるらしい。今だけでなく、常々好き嫌いは構わないのだが、きちんと食べる様にとそうトモエが視線で訴えかけてくるというものだ。
「一先ず、今回の事に限らないけれど、貴女が私たちの種族に齎した切欠、生み出した流れ。私が、この世界で目を覚まそうとそう思えるだけの、生きた風を。それに対する褒美だけでなく、我が裔の後始末とでもいえばいいのかしら」
「私からも、あの子たちの種族の祖には伝えておくわ。貴女は純粋に氷の乙女と呼べる種族ではないけれど、それでも近いことに変わりは無い物。だから、こちらで暮らすあなたの手助けをするようにと。最初に話していたのは、用意していた助けについては他に取られてしまっている物ね」
そうして視線が向かう先では、何やらそれぞれの柱から側に置かれている異邦人が二人。アルノーについては、あまり熱心でないと言っていたからと言う訳でもないだろう。それこそ、料理を司る神等と言うのは間違いなく大量にいるために、そちらでもまた取り合いのようなものが発生しているには違いない。こちらに来たばかりのアルノーが、あまりにもはっきりとこちらの世界をさして評価を下したのだ。あまりにも、遊び心が足りていないと。
「一応、その。お言葉を返すようですが」
そして、冬と眠りの零した言葉に対して、オユキとしては思う所があるというものだ。
「幼子よ、冬と眠りの御方の言葉は正しい。その方も、妾にいうたじゃろう。その方は発現形質が人の物じゃと。あとは、そなたが力を使う度に氷の気配もある。妾たちの振るう力の様に、氷雪のそれとはまた異なるものじゃ」
「確かに、そのような物ではありますか。とすると、いよいよ」
「なに、こちらではいよいよもって珍しい物ではない。妾の娘にしても、そこなクレドとの間にもうけた子での。妾に似て、氷の乙女として明確に生を受けた物と、少々良人に寄っているものとがおる」
「こちらでは、母体が優勢だとそのように聞いた覚えが」
そこまで口に出して、オユキとしてはそれをはっきりと聞いたのは誰からだったかとどうにか記憶をたどろうと考えてみる。だが、こうしてやたらと降りてきた柱が多い事もあり、オユキも既にかなりの疲労を感じ始めてもいる。食事も進み、それこそ神々が戻るころには眠気に負ける事だろうと、改めて己に対して評価を下しながら。
「誰に聞いたのかは分からぬが、そこまでの性質を持つのは植物を祖に持つ者たちでも原初に作られた者たち、それもごく一部だけじゃ。この地に満ちる生命として、まずは数を増やし循環をと望まれたときに己を分かつという性質を持つ者たちが非常に都合が良かったというのもあってな」
「あの、それを知るセツナ様は」
「ゆうたであろう。妾もそれなりに長く生きておる」
平然と歴史、それもかつての区分に従っても古代と呼んで差し支えない程の遠い過去を、当然と語るこの相手。その人物が、果たしてどれほどを生きているのかと、是非ともはっきりと聞かせてもらいたいとそんな考えをオユキは視線に乗せるのだが、生憎と相手からは語る気は無いとばかりに。確かに、見た目は十分に若い相手、己の年齢を語る事に忌避感を覚えていても仕方がないかとも考える。そうなのだとしても、シグルドから婆と呼ばれて鷹揚に受け入れている以上は、そのあたり明確に自覚もありそうなものなのだが。
「何、答えられぬのじゃよ。流石に妾にしても、その方らの語る歳月とでも言えば良いのか、それが分からぬ。木々がその生を終えて、そうした数え方ですら望む物が偶にしておる程度じゃからの。それを言えば、我が良人の種族の交代とでも言えば良いのか。女王の代替わりで数得る方が早いとも思うのじゃが」
「俺たちにしても、人に比べればはるかに長いからな。それを指標にするのも、やはり難があるだろう。少なくとも、俺がセツナと出会ってからの世代交代でいえば二十を超えてはいるが」
では、その頃に出会ったのだとして、そこからの経過が分かるだけ。それも、オユキでも分かり易い暦ではなくいよいよもって尺度の分からぬものでしかない。改めて、種族差とでもいえばいいのだろうか、そのような物を久しぶりい突き付けられるものだと。
「氷の乙女の長は、確か四千年程前だったかしら」
「今の長はそうだな。一度代替わりをして、それ以来か」
そして、冬と眠りが、改めて口にした数字。そこに、知識と魔が付け加えた言葉。
オユキは、これで確信が得られたと、少なくとも、必要なだけの推察を積み上げ、周囲からの話を聞いたことで、最低限に踏み入れることが出来るようになったのだと、そんな確信を得るというものだ。存在していた、入れ子構造。オユキの記憶と、同じところもあれば、違う所もある。一度、はっきりと修正を受けたのだと、それを忘れていたのだと言わんばかりに手直しをされたと自覚した瞬間もあった。
「そのままではない、それも踏まえてですか」
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