954 / 1,235
28章 事も無く
楽しい買い物
しおりを挟む
「これは、私には少し重たすぎるかと」
「オユキさん、これはどちらかと言えば切れ味と言うよりも、重さを使って」
では早速とばかりに入った、銀を取り扱う店舗。マリーア公爵が居を構える方向に伸びた場所、勿論全体的な雰囲気と言うのもそちらに依っている。公爵領で採れる銀と、王都で採れる銀。流石に違いは分からないのだが、流石と言えばいいのだろうか。以前領都で立ち寄った店は、確かに貴族向けの店舗ではあったのだろう。だが、こちらではさらに豊富な品揃え、王都に一時的に立ち寄る者たちがどれほど多いのかを思わせるほどに、既に装飾の施されている品が非常に多い。カトラリーに始まりゴブレット、アクセサリーの類まで。既に華奢な造りの鎖であったり、これまでに使っていたものは流石に少々痛みも出始めているからとトモエが普段使いするための鎖を伸長したりと。そういった物は、選び終わっている。今目の前に置かれているのは、それこそティータイム向けの物に加えて、ディナー用まで。
「いえ、私は、その」
「確かに、オユキさんであればそうなりますか」
そして、今はオユキのほうでもディナー向けの物を手に取っているのだが、そのうちの一つ。言ってしまえば、ナイフの重さが過剰だとそのように感じるのだ。勿論、回復が間に合っていないこともあるのだが、せっかくの機会でもあるからと。要は、これまで感じていた不満という程でもない、ちょっとしたことをこの機会に。今にしても、正直感じている不満、それをこの場で。トモエとしても、重さが無ければ難しい品なのだとそう言いかけるのだが、そもそもオユキは肉類をそこまで口にしない。アルノーが厨房にいる間は、特にオユキには薄い物ばかりが並べられることもある。それこそトモエや、アベルにアイリスが口にするような厚みを持った肉などを、オユキが己の手で切り分ける必要なが無いのも事実ではある。
「ただ、そうなると」
「ああ」
そういったことを、トモエとしても改めて考えた上で、それでも問題になりそうだと。こうしてあれこれと選んではいるものの、前提となっているのは下賜をするという事実。今後買い替えをまた行ったときに、オユキ用にと誂た軽めの食器であるとそこでまた厄介を生む。特にオユキの手に合わせた物を、重さを控えた物をとなるとデザートナイフが真っ先に候補に挙がる。そして、他の者たちがそれをテーブルナイフとしてあわされたカトラリーのセットを下げ渡すのかと、そういった話。
「で、あれば、そうですね。セットとしてはつけて頂く事としましょう。ただ、もう少し軽量な物を追加で」
「それしか、ありませんか」
「私がそちらを基本として使っても構いませんが」
「いえ、確かに不都合も多いと分かりますから」
トモエとしても、オユキの食事の内容を改善しようと考えているのだが、実際にはなかなかどころではなく難しいのだという理解もある。どうにも、この世界では食事で得る者と言うのがかつての世界に沿っていないといえばいいのだろうか。それこそ、種族などいくらでも存在しているためそれぞれと呼ぶしかないのだが、草食動物の特徴を持つ存在ですら好き嫌いでしかないと、そう断じられる範囲。生きていくために必要なはずの、不足すれば間違いなく身体に不調をきたすはずの栄養素。それらを加護で賄えそうだと言う事もある。このあたりについては、トモエにしても度々アルノーと話し込んではいるのだがなかなかに結論が出るような物でも無い。ある種人体実験と言えばいいのだろうか、そうした忌避すべき事柄でもあるため、あまり極端な事が出来ないのも事実。カナリアに頼むのも難しそうだと話してはいるため、いつかマルコにこの世界における医学書、特に栄養学に依ったものがあれば聞いてみようなどと結論らしい結論は出ているのだが。
「私としても、偏食だと理解はしているのですが、どうにも」
そして、そうしたトモエの不安が分かるからだろう。アルノーの細かな配慮に、勿論気が付いているからだろう。オユキとしても、背丈が、体重が欲しいなどと言っている以上今のままでよいなどとは考えていない。
「私もアルノーさんと話して、豆類を多くとはしているのですが」
「いえ、植物性ではそもそも不足もありますし、吸収効率も低いので」
いっそ、精製を。サプリメントとして。そんな事をオユキは考え始める。
「アマギあたりに頼めば、いえ、彼はそうした方面ではありませんでしたか」
「オユキさん、補助食品は、あくまで補助です」
そして、オユキのそんな考えを認めないのがトモエでもある。
「アルノーさんに頼んで、オユキさんでも食べやすい形としてゼラチン質とはしていますし」
「後は、魚の類であれば」
「そちらは、王都でも難しそうではあるのですよね」
それこそ、河沿いの町からしっかりと水路を引き込んで、釣り堀までをミズキリが作った始まりの町であれば、近頃はすっかりとおなじみの食材にはなってきている。勿論、これまで見た事も無い、干物で見る事のほうが多かったため、調理法の確立などはこれからではあるのだろう。好みの問題も色々と難しい。
「いっそ、とも思いますが」
「流石に、騎士の方々を動員して、私が食べる物をと頼むのは」
さて、それが許されるだろうかと考えて、ラズリアに視線を向けてみるのだが、こちらはやはり難しい顔。懲罰も兼ねてというのであれば、問題はなさそうなのだが、それ以外はと言う所でもあるのだろう。
「狩猟者ギルドに、依頼を出しますか」
「王都でそれを行うのも、また難しいといいますか」
それこそ、トモエかオユキの名前ではなく、ファンタズマ子爵家として依頼を出せば乗る者は多いだろう。だが、求めているのは日々の量でしかない。トモエはどうしたところで、魚介の類をこちらに来てからは多少は口にするのだが、それ以上に今の体に合うのは獣の肉。他の者達、一緒に暮らしている者達も多いのだが、そちらにまでとなると今度はアルノーに対してかかる負担がやはり過剰になる。
「そちらは、また色々と話してとしましょうか。正直、それに慣れてしまっては魔国での生活に不安もあります」
「それも、あるのですよね」
全く、元がイタリアだというのにあの国における食生活と言うのは、かなりオユキにとってつらい物があるのだ。気候も合わない、食事にしても。勿論、アルノーが色々と工夫を凝らしてくれているのはわかるのだが、果物の類も野菜の類も。どちらも非常に高価なものとなっている。神国のように、気軽に、それでも相応の金額を支払う必要はあるのだが、桁が一つ二つ変わるほどとなると流石に頭を抱えざるを得ない。それで、現状家が傾くのかと言われれば、それは無いと応えはするのだが。
「何にせよ、という物です。不足は嘆くばかりではなく、必要に応じて」
「そうした部分を含めての、加護なのでしょうね」
そうして話しながらも、一先ず買う物は決めてしまいそのままラズリアに後の事は任せてしまう。支払いなど、いよいよ自分たちでしなくなって、最早相応に経っている。王都の物価を考えれば、今購入している物にしてもこちらに来たばかりの頃には随分と高額だと感じていたには違いない。だというのに、今となっては、本当に気軽に変えてしまうのだから。
「オユキさんは、本当に上手く」
「どう、でしょうか。私ばかりと言うよりも」
そして、次にはどこに向かうのかと言えば、トモエからの要望もあって布と糸を追加でという話になっている。オユキのほうも、最早言われた物以外は用意するつもりもない。加えて銀食器の店だというのに、オユキはしっかりと自分が趣味に使うためにと色々と頼んでもいる。そういえば、ちょうど彫金をするための板や短杖も無くなっていたなとばかりに。取り扱いが無い、とは、なかなか言い出しにくいだろうと、それをいい事に、後からでも構わないから屋敷に届けるようにと。
「それにしても、糸はともかく布は十分にあった様に思うのですが」
「あれは、気軽に使っていい物ばかりではありませんよ。それに、基本としては」
「私とトモエさんの衣装を、ですか」
ただ、それにしても、既製品と言えばいいのだろうか、わざわざこちらから布を持ち込んで、そうした習慣がオユキにはないのだ。トモエのほうでは、娘たちと共に和装を仕立てるときなどは、反物を持ち込んでとしていたものだ。型が決まっており、柄を選ぶというのであればやはりその方が色々と話も早い。細かな採寸、それは勿論あるのだがそれにしても決まっている部分はトモエでも分かるようなものであり、自宅で軽く測ってではこの布で、この型で。それで随分と簡単に話が進む物ではある。こちらでも、まだそれを行ってはいないのだが、衣装を作ろうとそうした話が出るたびに布の販売者だけでなく針子たちもやってきているのだ。
「オユキさん」
「トモエさんであればともかく」
「それなのですが、この世界はこれから子供も増えるわけですから」
トモエとしても、正直言いにくい言葉ではある。オユキが気にしている、その自覚のある言葉。だからこそ、伝える事は本当に悩んでいたのだ。そして、オユキにしても、何処かそうした己を自覚している中で、認めてなるものかとばかりに、本当に気が付きたくないのだと言わんばかりに目を背けていたこととして。
それこそ、これから先イマノルとクララ、あの二人の間に生まれる子供、その性別によっては使ってくれと贈っても良いのだ。それこそ、なんだかんだと仲良くしている少年たちに、少年たちのこの先に生まれる子供にと贈っても良い。
「オユキ様、失礼します」
そして、そんなトモエの言葉が、本当に綺麗にオユキに届いてしまったのだろう。伝えるべきタイミングは、他でも良かったかもしれない、そんな事をトモエが考えるほどに。それこそ、屋敷に戻った後に、また二人の時間でとすればよかったのかもしれない。ただ、それを行うと決めてしまえば今も一先ずある物をとばかりに新たに調達したオユキの趣味のための道具、そちらに気がとられてしまっている以上はという物だ。これまでであれば、そうした物はなるべく後に回していたのだが、流石にどのように店舗が並んでいるかもわからぬ場所ではそれも難しい。
「カミトキ、そのように私を見られましても」
「オユキさん、これはどちらかと言えば切れ味と言うよりも、重さを使って」
では早速とばかりに入った、銀を取り扱う店舗。マリーア公爵が居を構える方向に伸びた場所、勿論全体的な雰囲気と言うのもそちらに依っている。公爵領で採れる銀と、王都で採れる銀。流石に違いは分からないのだが、流石と言えばいいのだろうか。以前領都で立ち寄った店は、確かに貴族向けの店舗ではあったのだろう。だが、こちらではさらに豊富な品揃え、王都に一時的に立ち寄る者たちがどれほど多いのかを思わせるほどに、既に装飾の施されている品が非常に多い。カトラリーに始まりゴブレット、アクセサリーの類まで。既に華奢な造りの鎖であったり、これまでに使っていたものは流石に少々痛みも出始めているからとトモエが普段使いするための鎖を伸長したりと。そういった物は、選び終わっている。今目の前に置かれているのは、それこそティータイム向けの物に加えて、ディナー用まで。
「いえ、私は、その」
「確かに、オユキさんであればそうなりますか」
そして、今はオユキのほうでもディナー向けの物を手に取っているのだが、そのうちの一つ。言ってしまえば、ナイフの重さが過剰だとそのように感じるのだ。勿論、回復が間に合っていないこともあるのだが、せっかくの機会でもあるからと。要は、これまで感じていた不満という程でもない、ちょっとしたことをこの機会に。今にしても、正直感じている不満、それをこの場で。トモエとしても、重さが無ければ難しい品なのだとそう言いかけるのだが、そもそもオユキは肉類をそこまで口にしない。アルノーが厨房にいる間は、特にオユキには薄い物ばかりが並べられることもある。それこそトモエや、アベルにアイリスが口にするような厚みを持った肉などを、オユキが己の手で切り分ける必要なが無いのも事実ではある。
「ただ、そうなると」
「ああ」
そういったことを、トモエとしても改めて考えた上で、それでも問題になりそうだと。こうしてあれこれと選んではいるものの、前提となっているのは下賜をするという事実。今後買い替えをまた行ったときに、オユキ用にと誂た軽めの食器であるとそこでまた厄介を生む。特にオユキの手に合わせた物を、重さを控えた物をとなるとデザートナイフが真っ先に候補に挙がる。そして、他の者たちがそれをテーブルナイフとしてあわされたカトラリーのセットを下げ渡すのかと、そういった話。
「で、あれば、そうですね。セットとしてはつけて頂く事としましょう。ただ、もう少し軽量な物を追加で」
「それしか、ありませんか」
「私がそちらを基本として使っても構いませんが」
「いえ、確かに不都合も多いと分かりますから」
トモエとしても、オユキの食事の内容を改善しようと考えているのだが、実際にはなかなかどころではなく難しいのだという理解もある。どうにも、この世界では食事で得る者と言うのがかつての世界に沿っていないといえばいいのだろうか。それこそ、種族などいくらでも存在しているためそれぞれと呼ぶしかないのだが、草食動物の特徴を持つ存在ですら好き嫌いでしかないと、そう断じられる範囲。生きていくために必要なはずの、不足すれば間違いなく身体に不調をきたすはずの栄養素。それらを加護で賄えそうだと言う事もある。このあたりについては、トモエにしても度々アルノーと話し込んではいるのだがなかなかに結論が出るような物でも無い。ある種人体実験と言えばいいのだろうか、そうした忌避すべき事柄でもあるため、あまり極端な事が出来ないのも事実。カナリアに頼むのも難しそうだと話してはいるため、いつかマルコにこの世界における医学書、特に栄養学に依ったものがあれば聞いてみようなどと結論らしい結論は出ているのだが。
「私としても、偏食だと理解はしているのですが、どうにも」
そして、そうしたトモエの不安が分かるからだろう。アルノーの細かな配慮に、勿論気が付いているからだろう。オユキとしても、背丈が、体重が欲しいなどと言っている以上今のままでよいなどとは考えていない。
「私もアルノーさんと話して、豆類を多くとはしているのですが」
「いえ、植物性ではそもそも不足もありますし、吸収効率も低いので」
いっそ、精製を。サプリメントとして。そんな事をオユキは考え始める。
「アマギあたりに頼めば、いえ、彼はそうした方面ではありませんでしたか」
「オユキさん、補助食品は、あくまで補助です」
そして、オユキのそんな考えを認めないのがトモエでもある。
「アルノーさんに頼んで、オユキさんでも食べやすい形としてゼラチン質とはしていますし」
「後は、魚の類であれば」
「そちらは、王都でも難しそうではあるのですよね」
それこそ、河沿いの町からしっかりと水路を引き込んで、釣り堀までをミズキリが作った始まりの町であれば、近頃はすっかりとおなじみの食材にはなってきている。勿論、これまで見た事も無い、干物で見る事のほうが多かったため、調理法の確立などはこれからではあるのだろう。好みの問題も色々と難しい。
「いっそ、とも思いますが」
「流石に、騎士の方々を動員して、私が食べる物をと頼むのは」
さて、それが許されるだろうかと考えて、ラズリアに視線を向けてみるのだが、こちらはやはり難しい顔。懲罰も兼ねてというのであれば、問題はなさそうなのだが、それ以外はと言う所でもあるのだろう。
「狩猟者ギルドに、依頼を出しますか」
「王都でそれを行うのも、また難しいといいますか」
それこそ、トモエかオユキの名前ではなく、ファンタズマ子爵家として依頼を出せば乗る者は多いだろう。だが、求めているのは日々の量でしかない。トモエはどうしたところで、魚介の類をこちらに来てからは多少は口にするのだが、それ以上に今の体に合うのは獣の肉。他の者達、一緒に暮らしている者達も多いのだが、そちらにまでとなると今度はアルノーに対してかかる負担がやはり過剰になる。
「そちらは、また色々と話してとしましょうか。正直、それに慣れてしまっては魔国での生活に不安もあります」
「それも、あるのですよね」
全く、元がイタリアだというのにあの国における食生活と言うのは、かなりオユキにとってつらい物があるのだ。気候も合わない、食事にしても。勿論、アルノーが色々と工夫を凝らしてくれているのはわかるのだが、果物の類も野菜の類も。どちらも非常に高価なものとなっている。神国のように、気軽に、それでも相応の金額を支払う必要はあるのだが、桁が一つ二つ変わるほどとなると流石に頭を抱えざるを得ない。それで、現状家が傾くのかと言われれば、それは無いと応えはするのだが。
「何にせよ、という物です。不足は嘆くばかりではなく、必要に応じて」
「そうした部分を含めての、加護なのでしょうね」
そうして話しながらも、一先ず買う物は決めてしまいそのままラズリアに後の事は任せてしまう。支払いなど、いよいよ自分たちでしなくなって、最早相応に経っている。王都の物価を考えれば、今購入している物にしてもこちらに来たばかりの頃には随分と高額だと感じていたには違いない。だというのに、今となっては、本当に気軽に変えてしまうのだから。
「オユキさんは、本当に上手く」
「どう、でしょうか。私ばかりと言うよりも」
そして、次にはどこに向かうのかと言えば、トモエからの要望もあって布と糸を追加でという話になっている。オユキのほうも、最早言われた物以外は用意するつもりもない。加えて銀食器の店だというのに、オユキはしっかりと自分が趣味に使うためにと色々と頼んでもいる。そういえば、ちょうど彫金をするための板や短杖も無くなっていたなとばかりに。取り扱いが無い、とは、なかなか言い出しにくいだろうと、それをいい事に、後からでも構わないから屋敷に届けるようにと。
「それにしても、糸はともかく布は十分にあった様に思うのですが」
「あれは、気軽に使っていい物ばかりではありませんよ。それに、基本としては」
「私とトモエさんの衣装を、ですか」
ただ、それにしても、既製品と言えばいいのだろうか、わざわざこちらから布を持ち込んで、そうした習慣がオユキにはないのだ。トモエのほうでは、娘たちと共に和装を仕立てるときなどは、反物を持ち込んでとしていたものだ。型が決まっており、柄を選ぶというのであればやはりその方が色々と話も早い。細かな採寸、それは勿論あるのだがそれにしても決まっている部分はトモエでも分かるようなものであり、自宅で軽く測ってではこの布で、この型で。それで随分と簡単に話が進む物ではある。こちらでも、まだそれを行ってはいないのだが、衣装を作ろうとそうした話が出るたびに布の販売者だけでなく針子たちもやってきているのだ。
「オユキさん」
「トモエさんであればともかく」
「それなのですが、この世界はこれから子供も増えるわけですから」
トモエとしても、正直言いにくい言葉ではある。オユキが気にしている、その自覚のある言葉。だからこそ、伝える事は本当に悩んでいたのだ。そして、オユキにしても、何処かそうした己を自覚している中で、認めてなるものかとばかりに、本当に気が付きたくないのだと言わんばかりに目を背けていたこととして。
それこそ、これから先イマノルとクララ、あの二人の間に生まれる子供、その性別によっては使ってくれと贈っても良いのだ。それこそ、なんだかんだと仲良くしている少年たちに、少年たちのこの先に生まれる子供にと贈っても良い。
「オユキ様、失礼します」
そして、そんなトモエの言葉が、本当に綺麗にオユキに届いてしまったのだろう。伝えるべきタイミングは、他でも良かったかもしれない、そんな事をトモエが考えるほどに。それこそ、屋敷に戻った後に、また二人の時間でとすればよかったのかもしれない。ただ、それを行うと決めてしまえば今も一先ずある物をとばかりに新たに調達したオユキの趣味のための道具、そちらに気がとられてしまっている以上はという物だ。これまでであれば、そうした物はなるべく後に回していたのだが、流石にどのように店舗が並んでいるかもわからぬ場所ではそれも難しい。
「カミトキ、そのように私を見られましても」
0
お気に入りに追加
455
あなたにおすすめの小説

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

称号は神を土下座させた男。
春志乃
ファンタジー
「真尋くん! その人、そんなんだけど一応神様だよ! 偉い人なんだよ!」
「知るか。俺は常識を持ち合わせないクズにかける慈悲を持ち合わせてない。それにどうやら俺は死んだらしいのだから、刑務所も警察も法も無い。今ここでこいつを殺そうが生かそうが俺の自由だ。あいつが居ないなら地獄に落ちても同じだ。なあ、そうだろう? ティーンクトゥス」
「す、す、す、す、す、すみませんでしたあぁあああああああ!」
これは、馬鹿だけど憎み切れない神様ティーンクトゥスの為に剣と魔法、そして魔獣たちの息づくアーテル王国でチートが過ぎる男子高校生・水無月真尋が無自覚チートの親友・鈴木一路と共に神様の為と言いながら好き勝手に生きていく物語。
主人公は一途に幼馴染(女性)を想い続けます。話はゆっくり進んでいきます。
※教会、神父、などが出てきますが実在するものとは一切関係ありません。
※対応できない可能性がありますので、誤字脱字報告は不要です。
※無断転載は厳に禁じます

転生したら神だった。どうすんの?
埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの?
人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

異世界でのんびり暮らしたい!?
日向墨虎
ファンタジー
前世は孫もいるおばちゃんが剣と魔法の異世界に転生した。しかも男の子。侯爵家の三男として成長していく。家族や周りの人たちが大好きでとても大切に思っている。家族も彼を溺愛している。なんにでも興味を持ち、改造したり創造したり、貴族社会の陰謀や事件に巻き込まれたりとやたらと忙しい。学校で仲間ができたり、冒険したりと本人はゆっくり暮らしたいのに・・・無理なのかなぁ?

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが……
アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。
そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。
実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。
剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。
アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)
いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。
---------
掲載は不定期になります。
追記
「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。
お知らせ
カクヨム様でも掲載中です。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる