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28章 事も無く
店舗を眺めながら
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「王都は、流石と言う所でしょうか」
以前に訪れたのは、確かまた違う場所であったのではないかとそんなぼんやりとした記憶。市場による前にと、かつての世界にあったようなガラス窓。十分な透明度を持ったそれらがしっかりとはめられ、石造りであるというのに本当に器用に作られている。こちらでは、重機など望むべくもなく、しかし人がその代わりをして作っていったのだろうと思えば、本当に感慨深いものだと。オユキはそんな事を考えながらも、ゆるりと進むカミトキの背に揺られながら店先に、ガラス越しによく見える様にと並べられた商品を眺めていく。
「領都の時は、歩いてとしていましたが」
「ええ、僅か一年程、その間に色々と変わったものです」
「良い方向に、そう信じたくはありますが」
だが、どうだろうか。
オユキのほうで、他に方法が無いのかと検討してみればやはり今となっては多少は思いつく。だが、当時の己であればと考えたときに、何故そこで他を思いつかなかったのかと考えたときに。作為があったのだろうと、結論としてはやはりそこに向かうのだ。結局は、あの少年たちとの出会い。そこで、トモエが何かを見出す時間をオユキが用意してしまった。そこから先は、本当に転がり落ちる様にと言えばいいのだろうか。
「早々に目をつけられたといいますか」
「あれは、仕方のない事だといいたくはありますが」
そして、アベルから間違いなく報告が言っているのだろう。何やら侍女たちにしても訳知り顔で頷いたりなどしている。事を起こすのは、これまで切欠となる事を起こしてきたのはオユキではなく、トモエではあるのだ。
「そう、ですね。つい、と言いましょうか」
「本当にまずいと考えれば、私も止めはしたのですが」
当時は、いよいよオユキにしても知らぬ事ばかりではあったのだ。よもや、高々問いかけ程度。本当に、その程度の事に、まさか当事者が等と本気で考えたものだ。そして、そこで大人しくしていればよかったのだろうが、熱に浮かされたような子供たちの視線に、トモエが随分と楽しそうであるからと。オユキとしても、場を整える事を選んでしまった。今更後悔はないのだが、その時の選択の結果が、今と言う状況を作ったのもただ事実。
「おや」
「これは、領都の品ともまた趣が違いますね」
さて、侍女たちは外に、特にこうして衆目がある場では主人の会話に口をはさむことがない。それこそ、尋ねれば答えが返ってくるのだろうが、今はそれを行うような時でもない。懐かしさと言えば、初めてこうして侍女たちを連れて買い物をした領都、その時には服飾についてシェリアに意見を求めたなとそうしたこと。
「思い返してみれば、領都で見たあの箱のようなもの」
「確かに、魔国で似た物を今回多く見ましたね」
かつては、箱を並べてこれらはいったい何かと、ただそう疑問に思うだけで流していたものだが。魔道具である以上は、物によっては取り出してしまえば一気に劣化が進むものが多い。それこそ、短杖として魔術文字が彫られていないものを販売しているのであればまだ良い。だが、そこに既に刻まれたものであるのなら、外に出してしまえば物によっては直ちに劣化が始まる。
「商品として並べるのが難しい」
「ですが、分かる者たちにとってはと言う事なのでしょう」
実際に、よく見てみれば中にどういった商品が入っているのか、その説明位は書いてあるだろう。
「オユキさん」
「いえ、流石に本場と言いますか」
「では、ここは」
「トモエさんは、銀食器など見なくとも」
トモエのほうが、ではここは飛ばして他をとそんな事を言い出すのを、オユキが止める。足をと言うよりも、センヨウが止まったのがトモエが興味を引かれている証拠でもある。
「ですが、今となっては」
「ああ」
トモエとしても気になるのは確かなのだが、言ってしまえばオユキの服と同じように。使わぬ食器もかなり増えてきているのではないかと、そちらが気がかりではあるらしい。本当によく調べたというよりも、領都でしっかりと着けられた護衛たちからの報告の結果か、事あるごとにマリーア公爵から下賜される品に含まれている。トモエもオユキも、既にかなりの量があるとそれは把握している。アルノーが、と言うよりもここ暫くはそれこそ侍女たちが席に合わせて使う物を、本来であればゲラルドやカレンの仕事なのだろうが、選んでおり常に違うと分かる物が食卓に並んでいる。数度、同じような物は、戦と武技の聖印で飾られたものは出てくるのだが、それにしても手にしてみれば僅かな差異を感じる物。
「シェリア」
「構わないかと。銀食器であれば、公爵の麾下として下賜をするにしても」
「だ、そうですトモエさん」
ならば、そのようにとばかりにオユキが言えば、やはり気になっていたのかトモエもすっかりとその気になったらしい。センヨウからひらりと降りて、手綱を完全に従騎士然と振る舞っている騎士に預ける。流石に、この周囲のどこに厩があるのかまでは、土地勘のない中では色々と難しい。
「カミトキ、ではまた少し後に」
オユキのほうでも、あまり背に乗ることが出来ていない己の乗馬に声をかける。すっかりと機嫌を直しているのか、オユキの言葉に、シェリアに抱えられて背から降りたオユキに軽く鼻を鳴らしながら頭を寄せてくる。シェリアに抱えられているからだろう。高さが揃っているため、普段よりもずいぶん楽だとそんな様子を隠しもしないそんな乗馬の鼻先を撫でて。
「では、品を見せて頂くとしましょうか」
「オユキさんは、どう考えますか」
「そう、ですね」
トモエの聞いていること、それを少しオユキとしても考えてみる。
「構わないでしょう。そうした店舗を選んでいただけているでしょうから」
要は、前回屋敷に呼びつけていこう、トモエとオユキが特別にとした相手はいなかった。持ち込まれた物、それにしても気に入らなかったのかと言われれば、そのような事も無い。だが、次の商品を求めることが無かった。その事実に加えて、こうしてふらりと足を運んだ先の店舗に立ち寄って。そこで品を買い上げて戻る事があれば、かつて屋敷に来た者たちに対して隔意があるとまではいわないのだが、満足のいく品を用意できなかったとそう示すことにはならないかと、トモエはそれを気にしている。
ただ、オユキからいえる事と言うのは、そもそも道案内を任せた者たちが、そのあたり気にしていないとは思えないとその様な事を口にしてみれば。
「あの、シェリア」
「申し訳ございません、少々お待ちいただけますか」
ただ、何やら慌てたような気配が走ったため、それもシェリアまでも。確認をと思って聞いてみれば、そのような反応が返ってくるため、流石に不安にもなる。特に、今つけられている者たちはそのあたり、政治的な部分でトモエとオユキよりも気が回ると考えていたのだが。
「オユキさん、そこは、その」
「いえ、確かにそうですか。失念していましたね」
しかし、今つけられている者たちの考える政治に、貴族社会以外の部分と言うのはやはりあまり含まれていないのだ。だからこそ、トモエが気にしたと言う事もあるのだろう。そして、問題ないだろうと考えたオユキと、そのあたりも踏まえて不安だと考えたトモエとの差。
「問題ないようです」
「店内に入った形跡は、ありませんでしたが」
「凡そ、この通りに関しては」
つまりは、しっかりと消毒が終わっていると言う事らしい。昨日の川下り、そこでオユキに向けた敵意、それに対しての反応の結果、浮かんでしまった戦と武技の示す光。それらに対応した一部が、今もしっかりとと言う事なのだろう。ただ、そのあたりについては、オユキとしても色々と安静があるといえばいいのだろうか。一先ずは、オユキの意志でそのような結果になっているとそう聞こえるように話はした。実際、それに関してもそこまで間違っているわけではない。これがトモエであれば、己以外の全てを潜在的な敵だと考えるそうした精神性が本当に容赦なくとなるだろう。そう、誤解されるように振る舞ってはいる。
「ご安心ください、オユキ様」
「シェリア」
「理解は、ありますとも。今は、御身を守るためにと着けられている者たちにしても」
「ああ、成程。通りで少し覚えのある」
オユキは入れ替えの結果として、魔国に向かったのかと、どちらかと言えばその流れを望んでいたのだが。どうやら、ここ暫くの振る舞いがしっかりと聞いているらしい。
「意外と言いますか、甘やかされているといいますか」
「オユキさん、今の自分を振り返って」
「少々、過剰とその様に」
トモエから、当然の配慮だと言わんばかりに言葉をかけられるのだが。オユキにとってみては、高々一代限りの子爵家当主に対して、随分な配慮だとそうとしか思えない。何度言われても、どうしても慣れないのだ。
「トモエさん」
「仕方のない人ですね」
どれだけ周囲に護衛が付いたとして、こうして配慮をされたとして。トモエに向ける以上の何かを、信頼を、オユキが置く事は無いのだと。トモエにしても、それは理解しているからこそ、苦笑いと共に受け入れるしかない。こうした部分も、トモエは嫌いではないのだから。
「おや」
店先で、話し込み始めたからだろう。店内にいたはずの人間が、なかなか入ってこない客にいったい何事かと気になったのだろうか。少し厚さのあるガラス、並べられた商品。その手入れを、確認をと言った素振りで様子を見に来たかと思えば、顔色を変えてすぐに引っ込んでいく。なかなかに過剰な反応だとは思うのだが、そうされるだけの事をした記憶もあるため、仕方が無いとそう見るしかないところもある。
「私達、と言うよりも」
「そういえば、シェリアにラズリアも、でしたか」
それぞれについている侍女を見て、何やら慌てた気配があるとトモエがそのように口にすれば。
「原因の追究は、それこそ商品を選ぶときにでも行えばよいでしょう」
しかし、トモエとオユキの視線による追及で、特にこうして外にいる間にどうこうなるよなそのような手合いではない。寧ろ、どこか誇らしげにしているあたりいよいよ確認を行って回ったのか、以前屋敷に来た相手に対して手ひどくやったのか。
「トモエさん、この後は糸や布も見に行きましょうか」
「そうですね。それは、確かに楽しみですね」
以前に訪れたのは、確かまた違う場所であったのではないかとそんなぼんやりとした記憶。市場による前にと、かつての世界にあったようなガラス窓。十分な透明度を持ったそれらがしっかりとはめられ、石造りであるというのに本当に器用に作られている。こちらでは、重機など望むべくもなく、しかし人がその代わりをして作っていったのだろうと思えば、本当に感慨深いものだと。オユキはそんな事を考えながらも、ゆるりと進むカミトキの背に揺られながら店先に、ガラス越しによく見える様にと並べられた商品を眺めていく。
「領都の時は、歩いてとしていましたが」
「ええ、僅か一年程、その間に色々と変わったものです」
「良い方向に、そう信じたくはありますが」
だが、どうだろうか。
オユキのほうで、他に方法が無いのかと検討してみればやはり今となっては多少は思いつく。だが、当時の己であればと考えたときに、何故そこで他を思いつかなかったのかと考えたときに。作為があったのだろうと、結論としてはやはりそこに向かうのだ。結局は、あの少年たちとの出会い。そこで、トモエが何かを見出す時間をオユキが用意してしまった。そこから先は、本当に転がり落ちる様にと言えばいいのだろうか。
「早々に目をつけられたといいますか」
「あれは、仕方のない事だといいたくはありますが」
そして、アベルから間違いなく報告が言っているのだろう。何やら侍女たちにしても訳知り顔で頷いたりなどしている。事を起こすのは、これまで切欠となる事を起こしてきたのはオユキではなく、トモエではあるのだ。
「そう、ですね。つい、と言いましょうか」
「本当にまずいと考えれば、私も止めはしたのですが」
当時は、いよいよオユキにしても知らぬ事ばかりではあったのだ。よもや、高々問いかけ程度。本当に、その程度の事に、まさか当事者が等と本気で考えたものだ。そして、そこで大人しくしていればよかったのだろうが、熱に浮かされたような子供たちの視線に、トモエが随分と楽しそうであるからと。オユキとしても、場を整える事を選んでしまった。今更後悔はないのだが、その時の選択の結果が、今と言う状況を作ったのもただ事実。
「おや」
「これは、領都の品ともまた趣が違いますね」
さて、侍女たちは外に、特にこうして衆目がある場では主人の会話に口をはさむことがない。それこそ、尋ねれば答えが返ってくるのだろうが、今はそれを行うような時でもない。懐かしさと言えば、初めてこうして侍女たちを連れて買い物をした領都、その時には服飾についてシェリアに意見を求めたなとそうしたこと。
「思い返してみれば、領都で見たあの箱のようなもの」
「確かに、魔国で似た物を今回多く見ましたね」
かつては、箱を並べてこれらはいったい何かと、ただそう疑問に思うだけで流していたものだが。魔道具である以上は、物によっては取り出してしまえば一気に劣化が進むものが多い。それこそ、短杖として魔術文字が彫られていないものを販売しているのであればまだ良い。だが、そこに既に刻まれたものであるのなら、外に出してしまえば物によっては直ちに劣化が始まる。
「商品として並べるのが難しい」
「ですが、分かる者たちにとってはと言う事なのでしょう」
実際に、よく見てみれば中にどういった商品が入っているのか、その説明位は書いてあるだろう。
「オユキさん」
「いえ、流石に本場と言いますか」
「では、ここは」
「トモエさんは、銀食器など見なくとも」
トモエのほうが、ではここは飛ばして他をとそんな事を言い出すのを、オユキが止める。足をと言うよりも、センヨウが止まったのがトモエが興味を引かれている証拠でもある。
「ですが、今となっては」
「ああ」
トモエとしても気になるのは確かなのだが、言ってしまえばオユキの服と同じように。使わぬ食器もかなり増えてきているのではないかと、そちらが気がかりではあるらしい。本当によく調べたというよりも、領都でしっかりと着けられた護衛たちからの報告の結果か、事あるごとにマリーア公爵から下賜される品に含まれている。トモエもオユキも、既にかなりの量があるとそれは把握している。アルノーが、と言うよりもここ暫くはそれこそ侍女たちが席に合わせて使う物を、本来であればゲラルドやカレンの仕事なのだろうが、選んでおり常に違うと分かる物が食卓に並んでいる。数度、同じような物は、戦と武技の聖印で飾られたものは出てくるのだが、それにしても手にしてみれば僅かな差異を感じる物。
「シェリア」
「構わないかと。銀食器であれば、公爵の麾下として下賜をするにしても」
「だ、そうですトモエさん」
ならば、そのようにとばかりにオユキが言えば、やはり気になっていたのかトモエもすっかりとその気になったらしい。センヨウからひらりと降りて、手綱を完全に従騎士然と振る舞っている騎士に預ける。流石に、この周囲のどこに厩があるのかまでは、土地勘のない中では色々と難しい。
「カミトキ、ではまた少し後に」
オユキのほうでも、あまり背に乗ることが出来ていない己の乗馬に声をかける。すっかりと機嫌を直しているのか、オユキの言葉に、シェリアに抱えられて背から降りたオユキに軽く鼻を鳴らしながら頭を寄せてくる。シェリアに抱えられているからだろう。高さが揃っているため、普段よりもずいぶん楽だとそんな様子を隠しもしないそんな乗馬の鼻先を撫でて。
「では、品を見せて頂くとしましょうか」
「オユキさんは、どう考えますか」
「そう、ですね」
トモエの聞いていること、それを少しオユキとしても考えてみる。
「構わないでしょう。そうした店舗を選んでいただけているでしょうから」
要は、前回屋敷に呼びつけていこう、トモエとオユキが特別にとした相手はいなかった。持ち込まれた物、それにしても気に入らなかったのかと言われれば、そのような事も無い。だが、次の商品を求めることが無かった。その事実に加えて、こうしてふらりと足を運んだ先の店舗に立ち寄って。そこで品を買い上げて戻る事があれば、かつて屋敷に来た者たちに対して隔意があるとまではいわないのだが、満足のいく品を用意できなかったとそう示すことにはならないかと、トモエはそれを気にしている。
ただ、オユキからいえる事と言うのは、そもそも道案内を任せた者たちが、そのあたり気にしていないとは思えないとその様な事を口にしてみれば。
「あの、シェリア」
「申し訳ございません、少々お待ちいただけますか」
ただ、何やら慌てたような気配が走ったため、それもシェリアまでも。確認をと思って聞いてみれば、そのような反応が返ってくるため、流石に不安にもなる。特に、今つけられている者たちはそのあたり、政治的な部分でトモエとオユキよりも気が回ると考えていたのだが。
「オユキさん、そこは、その」
「いえ、確かにそうですか。失念していましたね」
しかし、今つけられている者たちの考える政治に、貴族社会以外の部分と言うのはやはりあまり含まれていないのだ。だからこそ、トモエが気にしたと言う事もあるのだろう。そして、問題ないだろうと考えたオユキと、そのあたりも踏まえて不安だと考えたトモエとの差。
「問題ないようです」
「店内に入った形跡は、ありませんでしたが」
「凡そ、この通りに関しては」
つまりは、しっかりと消毒が終わっていると言う事らしい。昨日の川下り、そこでオユキに向けた敵意、それに対しての反応の結果、浮かんでしまった戦と武技の示す光。それらに対応した一部が、今もしっかりとと言う事なのだろう。ただ、そのあたりについては、オユキとしても色々と安静があるといえばいいのだろうか。一先ずは、オユキの意志でそのような結果になっているとそう聞こえるように話はした。実際、それに関してもそこまで間違っているわけではない。これがトモエであれば、己以外の全てを潜在的な敵だと考えるそうした精神性が本当に容赦なくとなるだろう。そう、誤解されるように振る舞ってはいる。
「ご安心ください、オユキ様」
「シェリア」
「理解は、ありますとも。今は、御身を守るためにと着けられている者たちにしても」
「ああ、成程。通りで少し覚えのある」
オユキは入れ替えの結果として、魔国に向かったのかと、どちらかと言えばその流れを望んでいたのだが。どうやら、ここ暫くの振る舞いがしっかりと聞いているらしい。
「意外と言いますか、甘やかされているといいますか」
「オユキさん、今の自分を振り返って」
「少々、過剰とその様に」
トモエから、当然の配慮だと言わんばかりに言葉をかけられるのだが。オユキにとってみては、高々一代限りの子爵家当主に対して、随分な配慮だとそうとしか思えない。何度言われても、どうしても慣れないのだ。
「トモエさん」
「仕方のない人ですね」
どれだけ周囲に護衛が付いたとして、こうして配慮をされたとして。トモエに向ける以上の何かを、信頼を、オユキが置く事は無いのだと。トモエにしても、それは理解しているからこそ、苦笑いと共に受け入れるしかない。こうした部分も、トモエは嫌いではないのだから。
「おや」
店先で、話し込み始めたからだろう。店内にいたはずの人間が、なかなか入ってこない客にいったい何事かと気になったのだろうか。少し厚さのあるガラス、並べられた商品。その手入れを、確認をと言った素振りで様子を見に来たかと思えば、顔色を変えてすぐに引っ込んでいく。なかなかに過剰な反応だとは思うのだが、そうされるだけの事をした記憶もあるため、仕方が無いとそう見るしかないところもある。
「私達、と言うよりも」
「そういえば、シェリアにラズリアも、でしたか」
それぞれについている侍女を見て、何やら慌てた気配があるとトモエがそのように口にすれば。
「原因の追究は、それこそ商品を選ぶときにでも行えばよいでしょう」
しかし、トモエとオユキの視線による追及で、特にこうして外にいる間にどうこうなるよなそのような手合いではない。寧ろ、どこか誇らしげにしているあたりいよいよ確認を行って回ったのか、以前屋敷に来た相手に対して手ひどくやったのか。
「トモエさん、この後は糸や布も見に行きましょうか」
「そうですね。それは、確かに楽しみですね」
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