951 / 1,235
28章 事も無く
休日の過ごし方
しおりを挟む
こうしてゆっくりと船で水路を下る時間を得るまでの間に、勿論それなりに日数は経過している。ヴィルヘルミナをはじめ、カリンにアルノーまでもが魔国から戻って来ている。ついでとばかりに、一部の人員が入れ替える必要もあったため、それ相応の時間が。そこまでの間に、一度神殿に、そんな話が出ていたのだがそれも結局は後回しに。では、空いた時間で雨と虹を仕上げるか等と考えていたのも束の間。オユキがはっきりと好んでいないと、それを表に出していることもあり、トモエが少々強引に引き取った。これに関しては、何も言われていないものである以上巫女であるオユキがやる必要などないだろうと。ならば、代わりにトモエがやっても構わないはずだという理屈で。言われて、確かにと思う所もありそちらは預けてしまう事にした。
オユキよりも、遥かに針仕事に慣れているからだろう。ナザレアと揃って、随分と簡単にされた図案ではなく、いくつかの候補を新たに選んで加えた上で。完成までは、オユキの予定よりももうしばらくかかりそうだと、そういう話になったこともある。では、空いた時間に、少なくとも一日の内数時間程度は座ってできる作業を行う時間が空いたのだ。さて、何をしたものかと考えているところにカナリアがふらりと現れた。検分の終わった書籍と魔道具を返そうとばかりに。
「なかなかに楽しい時間ですから」
「なかなか、ではないでしょうに」
すっと、寄せられる視線から顔をそむけるオユキに、トモエからは苦笑いと共にそう告げるしかない。
オユキはそうしたことを好んでいる、それを確かにトモエは知っていた。生前、歯止めが多少は聞いていたのはやはり仕事の疲れであったり、それこそトモエとの鍛錬の時間。だが、こちらではそれがほとんどない。鍛錬にしても、一人で歩き回れぬ今の状態では、少々動いただけで息が上がり短刀しか持ち上げられぬような、そんな状態になってしまう今では、やはり色々と難しい。勿論、日に数時間、トモエにとって最低限としている時間を使う鍛錬。それを見学する時間をオユキとしてもきちんと持っている。トモエとしても、ならばこの機会にとばかりにオユキの参考とするための動きを大部分は行っている。それを眺めながらも、オユキはやはり思考の海にも沈んでいる。
トモエを、トモエがオユキの為にと動いて、それをオユキが見過ごす事は無い。きちんとそれを確認しながらもあれこれと考えては、屋敷に戻ってカナリアの監督の下、せっせと彫金に励んでいるのだ。トモエとしては、屋内で、所かまわず行われると金属の破片がそこらに散るので是非とも専用の部屋でとも思う。さらには、オユキは一応子爵家の当主として、体が動かぬこともあって、ここ暫くは本当にあれこれと着せられている。外行き、神職としての装いとしてすっかりと定着しつつある和装だけでなく、洋装も。そのどれもに、銀の破片が、やすりで磨く工程もあるからだろう。細かい金属の破片をしっかりと服に着けている。カナリアのほうは、流石に同じ屋敷で暮らしているとはいっても他人である以上、部屋が異なる以上はそこまで気にならない。だが、オユキとトモエは寝台を共有していることもあり流石に細かな破片の感触と言うのは気になるという物だ。
加えて、本来であればせっかくの休日。少しは外に等とそんなことを一体どの口が言っていたのかと。
「オユキ、貴女」
「少しは王都を見て回る、そうでは無かったのですか」
さて、トモエがどこかオユキを責めるような、そんな視線を送ったからだろう。敏い者たちが、随分と敏感にここ暫くの間何があったのかと、それに気が付いた。実際に、ナザレアにしてもその心算でオユキを着飾ってはいたのだ。
「そういえば、そのような事もありましたね」
通りで、ここ暫くトモエがどことなく不機嫌だったわけだと、オユキはようやく納得する。そして、今のこの場はこれまで同様トモエがオユキのそうした振る舞いに対して抱えていた不満を。楽しみにしていたのにと、そんな不満をぶつける場ではあるらしい。
「ええと、でしたら、その」
「楽しそうでしたから」
ただ、トモエにしても随分と久しぶりにオユキが楽しそうだったから。だからこそ、言い出しにくいというよりも。
「これまで、随分と私に付き合って頂きましたから」
「その、トモエさんも一緒に」
「いえ、私は正直」
実際に、オユキからトモエも誘われはしたのだ。カナリアのほうも、魔術文字の勉強、要は魔術の習得の助けにもなる文字への理解が深まるからと。そんな話をされもした。だが、オユキが針仕事を好まぬ様に、トモエとしても銀の板に向き合って、そこに只管に文字を彫り込むような作業と言うのは好きではない。それを愉しむオユキを眺めながら、それこそかつてもそうであったように繕い物を進めて。そんな時間を、同じ空間で過ごす方がやはりいくらか楽しいという物だ。最も、そうしている間は、オユキのほうはトモエではなくすっかりとカナリアと意気投合してあれこれと話をすることを楽しんでいる。二人そろって、向かい合って。両者とも、手元には紙を置いてそれにあれこれと書きつけながら。そして、オユキのほうで疲労がたまってきたと見るや、シェリアが半ば強制的にその場を終わらせてオユキを連れ出していく。残された物、机の上に投げ出されたままになったものについては、かつてと違ってトモエではなくラズリアがため息と共に片付けるのが、ここ暫くトモエがよく見る光景になっている。
「それに、やはり楽し気にしているオユキさんから話を聞くのも」
「ええと」
「ええ、生前とやはりそこは変わりません。一緒に楽しむ、それも良い物でしょうが」
「違いますからね、やはり」
繰り返し、かつて何度も確認したこととして。
「相変わらず、仲の良い事」
「ええ、それだけは胸を張って」
そこについては、揶揄われたところでオユキはいまさらという物だ。誇りこそすれ、怯む余地などそこにはない。
「おや」
そうして、ゆるゆると話していたからだろうか。船の速度もそれに合わせる様に落ちているとそう流れる水の感触から感じていた。ただ、既に数時間声を張り上げていたからだろう。ヴィルヘルミナの歌も終わりを迎える。
「流石に、長い時間でしたか」
「さて、それこそ本人に尋ねてみなければわかりませんが」
そんな話をしていれば、拡張された空間から今も響く音楽を背後に従えて、歌姫がそのままふわりと進み出てくる。
「ボーツリートはお気に召しまして」
そして、簡単に拍手で迎えればそれが当然とばかりに優雅に頭を下げて。
「ええ、お見事でした。と、言いますか、いくつかは耳慣れぬものもありましたが」
「ヴィルヘルミナさんは、名前からドイツ圏と思っていましたが、そちらにもあるのですね」
「ええ、勿論ですわ。かの国ばかりが有名ではありますが、そちらにも確か」
そして、軽くヴィルヘルミナが口ずさむ。今も奏でられている音楽とは、全く合わぬからだろう。一節を歌い上げただけですぐにやめてしまう。確かに、いつぞやに観光の折に川下りなどを楽しんだ時、その時に聞いた覚えがあるなとオユキとしては軽く記憶を漁っては見るのだが。
「最上川舟歌、ですか。本当に、色々と」
「ええ、それだけしか私にはありませんもの」
トモエがさらりと民謡の名を口に出せば、ヴィルヘルミナのほうでもそれが当然と。
「本当に、よくもまぁ」
「貴女方も、己の流派だけではなく随分と手広くと、そう報告を受けていますが」
「確かに、言われてみればそのような物なのかもしれませんね」
ヴィルヘルミナをほめそやす言葉を、トモエとオユキで並べていれば公爵夫人から、一体どの口がその様な事を言っているのかと。確かに、皆伝として流派を納めたトモエについては、本当に過去にあった数多の流派もそれが当然とばかりに知識を修めている。はたから見れば、どちらもどちらと、そう言われて当然という物なのだろう。それを身につけた側からしてみれば、自然と、それこそ学んでいくうちに当然と身についたとそう応えるしかないものなのだが。
「要は、歴史にしてもと、そういう話ですか」
「あら、随分と難しい話をされていたのね」
「そうでもない、いえ、こう街並みの来歴を強請っていたのですが」
「それは、私も是非ともお伺いしたいものだわ」
歌姫としても、少し喉元に手を当てて。そんな様子を見せている。自分の体を楽器としなければならない、そうした物である以上は、寧ろ楽隊に負けぬだけの声量を、音を響かせていたこともありかなりの疲労が、負担があったのは事実なのだろう。本人に言わせてみれば、喉を振るわせるのは当然なのだが、肺や体、己の内側で反響させたものを外に、そうした答えが返ってくるのだが。
「私も、いくつか気になる建物が」
「あら。では、歌の返礼に、お応えしましょうか」
そして、歌姫が望むからと、王妃にしても公爵夫人にしても、彼女の歌にそれだけの価値を見出したと言う事なのだろう。体が冷えて中に入ってきた、そのはずではあるのだが一息ついて、温かい飲み物を少し楽しんだことで改めて表に出るつもりになったらしい。常春とはいえ、豊穣祭が近い季節、つまりは夏が近い事もある。少しの休憩で十分体が温まると言う事も合うのだろう。
「オユキは、そうですね、先に少し」
「確かに、素足のままと言う訳にもいきませんか」
船の中央に空いている、水の流れを感じるための空間、そこに足を下ろす以上は、当然靴などはいている訳も無い。トモエと並んで、足湯のような状況で過ごしていることもある。このまま表にとしてしまう、それは流石に問題もあるとオユキも理解できているしトモエはともかく侍女たちがまず許しはしない。
「では、オユキさん」
「ええ、ラズリア」
オユキとしても、自分で立ち上がることが出来る程度にはなっているのだが、どうにもこの場にいる者たちは過保護な者達ばかり。自分で立ち上がろうなどと、そうした素振りを見せれば軽く咳払いなどが聞こえてくるという物だ。ならば、そうした振る舞いをさせぬ様にと、初めからオユキとしても諦めて。
「では、トモエ様はオユキ様の後に」
「いえ、私はオユキさんと違って自分で用意もできますから」
「あの、私も流石に履物をはくくらいであれば」
オユキよりも、遥かに針仕事に慣れているからだろう。ナザレアと揃って、随分と簡単にされた図案ではなく、いくつかの候補を新たに選んで加えた上で。完成までは、オユキの予定よりももうしばらくかかりそうだと、そういう話になったこともある。では、空いた時間に、少なくとも一日の内数時間程度は座ってできる作業を行う時間が空いたのだ。さて、何をしたものかと考えているところにカナリアがふらりと現れた。検分の終わった書籍と魔道具を返そうとばかりに。
「なかなかに楽しい時間ですから」
「なかなか、ではないでしょうに」
すっと、寄せられる視線から顔をそむけるオユキに、トモエからは苦笑いと共にそう告げるしかない。
オユキはそうしたことを好んでいる、それを確かにトモエは知っていた。生前、歯止めが多少は聞いていたのはやはり仕事の疲れであったり、それこそトモエとの鍛錬の時間。だが、こちらではそれがほとんどない。鍛錬にしても、一人で歩き回れぬ今の状態では、少々動いただけで息が上がり短刀しか持ち上げられぬような、そんな状態になってしまう今では、やはり色々と難しい。勿論、日に数時間、トモエにとって最低限としている時間を使う鍛錬。それを見学する時間をオユキとしてもきちんと持っている。トモエとしても、ならばこの機会にとばかりにオユキの参考とするための動きを大部分は行っている。それを眺めながらも、オユキはやはり思考の海にも沈んでいる。
トモエを、トモエがオユキの為にと動いて、それをオユキが見過ごす事は無い。きちんとそれを確認しながらもあれこれと考えては、屋敷に戻ってカナリアの監督の下、せっせと彫金に励んでいるのだ。トモエとしては、屋内で、所かまわず行われると金属の破片がそこらに散るので是非とも専用の部屋でとも思う。さらには、オユキは一応子爵家の当主として、体が動かぬこともあって、ここ暫くは本当にあれこれと着せられている。外行き、神職としての装いとしてすっかりと定着しつつある和装だけでなく、洋装も。そのどれもに、銀の破片が、やすりで磨く工程もあるからだろう。細かい金属の破片をしっかりと服に着けている。カナリアのほうは、流石に同じ屋敷で暮らしているとはいっても他人である以上、部屋が異なる以上はそこまで気にならない。だが、オユキとトモエは寝台を共有していることもあり流石に細かな破片の感触と言うのは気になるという物だ。
加えて、本来であればせっかくの休日。少しは外に等とそんなことを一体どの口が言っていたのかと。
「オユキ、貴女」
「少しは王都を見て回る、そうでは無かったのですか」
さて、トモエがどこかオユキを責めるような、そんな視線を送ったからだろう。敏い者たちが、随分と敏感にここ暫くの間何があったのかと、それに気が付いた。実際に、ナザレアにしてもその心算でオユキを着飾ってはいたのだ。
「そういえば、そのような事もありましたね」
通りで、ここ暫くトモエがどことなく不機嫌だったわけだと、オユキはようやく納得する。そして、今のこの場はこれまで同様トモエがオユキのそうした振る舞いに対して抱えていた不満を。楽しみにしていたのにと、そんな不満をぶつける場ではあるらしい。
「ええと、でしたら、その」
「楽しそうでしたから」
ただ、トモエにしても随分と久しぶりにオユキが楽しそうだったから。だからこそ、言い出しにくいというよりも。
「これまで、随分と私に付き合って頂きましたから」
「その、トモエさんも一緒に」
「いえ、私は正直」
実際に、オユキからトモエも誘われはしたのだ。カナリアのほうも、魔術文字の勉強、要は魔術の習得の助けにもなる文字への理解が深まるからと。そんな話をされもした。だが、オユキが針仕事を好まぬ様に、トモエとしても銀の板に向き合って、そこに只管に文字を彫り込むような作業と言うのは好きではない。それを愉しむオユキを眺めながら、それこそかつてもそうであったように繕い物を進めて。そんな時間を、同じ空間で過ごす方がやはりいくらか楽しいという物だ。最も、そうしている間は、オユキのほうはトモエではなくすっかりとカナリアと意気投合してあれこれと話をすることを楽しんでいる。二人そろって、向かい合って。両者とも、手元には紙を置いてそれにあれこれと書きつけながら。そして、オユキのほうで疲労がたまってきたと見るや、シェリアが半ば強制的にその場を終わらせてオユキを連れ出していく。残された物、机の上に投げ出されたままになったものについては、かつてと違ってトモエではなくラズリアがため息と共に片付けるのが、ここ暫くトモエがよく見る光景になっている。
「それに、やはり楽し気にしているオユキさんから話を聞くのも」
「ええと」
「ええ、生前とやはりそこは変わりません。一緒に楽しむ、それも良い物でしょうが」
「違いますからね、やはり」
繰り返し、かつて何度も確認したこととして。
「相変わらず、仲の良い事」
「ええ、それだけは胸を張って」
そこについては、揶揄われたところでオユキはいまさらという物だ。誇りこそすれ、怯む余地などそこにはない。
「おや」
そうして、ゆるゆると話していたからだろうか。船の速度もそれに合わせる様に落ちているとそう流れる水の感触から感じていた。ただ、既に数時間声を張り上げていたからだろう。ヴィルヘルミナの歌も終わりを迎える。
「流石に、長い時間でしたか」
「さて、それこそ本人に尋ねてみなければわかりませんが」
そんな話をしていれば、拡張された空間から今も響く音楽を背後に従えて、歌姫がそのままふわりと進み出てくる。
「ボーツリートはお気に召しまして」
そして、簡単に拍手で迎えればそれが当然とばかりに優雅に頭を下げて。
「ええ、お見事でした。と、言いますか、いくつかは耳慣れぬものもありましたが」
「ヴィルヘルミナさんは、名前からドイツ圏と思っていましたが、そちらにもあるのですね」
「ええ、勿論ですわ。かの国ばかりが有名ではありますが、そちらにも確か」
そして、軽くヴィルヘルミナが口ずさむ。今も奏でられている音楽とは、全く合わぬからだろう。一節を歌い上げただけですぐにやめてしまう。確かに、いつぞやに観光の折に川下りなどを楽しんだ時、その時に聞いた覚えがあるなとオユキとしては軽く記憶を漁っては見るのだが。
「最上川舟歌、ですか。本当に、色々と」
「ええ、それだけしか私にはありませんもの」
トモエがさらりと民謡の名を口に出せば、ヴィルヘルミナのほうでもそれが当然と。
「本当に、よくもまぁ」
「貴女方も、己の流派だけではなく随分と手広くと、そう報告を受けていますが」
「確かに、言われてみればそのような物なのかもしれませんね」
ヴィルヘルミナをほめそやす言葉を、トモエとオユキで並べていれば公爵夫人から、一体どの口がその様な事を言っているのかと。確かに、皆伝として流派を納めたトモエについては、本当に過去にあった数多の流派もそれが当然とばかりに知識を修めている。はたから見れば、どちらもどちらと、そう言われて当然という物なのだろう。それを身につけた側からしてみれば、自然と、それこそ学んでいくうちに当然と身についたとそう応えるしかないものなのだが。
「要は、歴史にしてもと、そういう話ですか」
「あら、随分と難しい話をされていたのね」
「そうでもない、いえ、こう街並みの来歴を強請っていたのですが」
「それは、私も是非ともお伺いしたいものだわ」
歌姫としても、少し喉元に手を当てて。そんな様子を見せている。自分の体を楽器としなければならない、そうした物である以上は、寧ろ楽隊に負けぬだけの声量を、音を響かせていたこともありかなりの疲労が、負担があったのは事実なのだろう。本人に言わせてみれば、喉を振るわせるのは当然なのだが、肺や体、己の内側で反響させたものを外に、そうした答えが返ってくるのだが。
「私も、いくつか気になる建物が」
「あら。では、歌の返礼に、お応えしましょうか」
そして、歌姫が望むからと、王妃にしても公爵夫人にしても、彼女の歌にそれだけの価値を見出したと言う事なのだろう。体が冷えて中に入ってきた、そのはずではあるのだが一息ついて、温かい飲み物を少し楽しんだことで改めて表に出るつもりになったらしい。常春とはいえ、豊穣祭が近い季節、つまりは夏が近い事もある。少しの休憩で十分体が温まると言う事も合うのだろう。
「オユキは、そうですね、先に少し」
「確かに、素足のままと言う訳にもいきませんか」
船の中央に空いている、水の流れを感じるための空間、そこに足を下ろす以上は、当然靴などはいている訳も無い。トモエと並んで、足湯のような状況で過ごしていることもある。このまま表にとしてしまう、それは流石に問題もあるとオユキも理解できているしトモエはともかく侍女たちがまず許しはしない。
「では、オユキさん」
「ええ、ラズリア」
オユキとしても、自分で立ち上がることが出来る程度にはなっているのだが、どうにもこの場にいる者たちは過保護な者達ばかり。自分で立ち上がろうなどと、そうした素振りを見せれば軽く咳払いなどが聞こえてくるという物だ。ならば、そうした振る舞いをさせぬ様にと、初めからオユキとしても諦めて。
「では、トモエ様はオユキ様の後に」
「いえ、私はオユキさんと違って自分で用意もできますから」
「あの、私も流石に履物をはくくらいであれば」
0
お気に入りに追加
456
あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。

魔道具作ってたら断罪回避できてたわw
かぜかおる
ファンタジー
転生して魔法があったからそっちを楽しんで生きてます!
って、あれまあ私悪役令嬢だったんですか(笑)
フワッと設定、ざまあなし、落ちなし、軽〜く読んでくださいな。

前世の記憶さん。こんにちは。
満月
ファンタジー
断罪中に前世の記憶を思い出し主人公が、ハチャメチャな魔法とスキルを活かして、人生を全力で楽しむ話。
周りはそんな主人公をあたたかく見守り、時には被害を被り···それでも皆主人公が大好きです。
主に前半は冒険をしたり、料理を作ったりと楽しく過ごしています。時折シリアスになりますが、基本的に笑える内容になっています。
恋愛は当分先に入れる予定です。
主人公は今までの時間を取り戻すかのように人生を楽しみます!もちろんこの話はハッピーエンドです!
小説になろう様にも掲載しています。

モブな私の学園生活
結々花
ファンタジー
白山 椿(現在ミルフィー)は、異世界のモブに転生した。
ミルフィーは、学園に就職し生徒がおこす出来事を目撃。なんとなく助けたり、助けなかったりする物語。
ミルフィー「あれっ?これ乙女ゲームのイベントに似てないか?」
同僚「何やってんですか、あんた」

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。


称号は神を土下座させた男。
春志乃
ファンタジー
「真尋くん! その人、そんなんだけど一応神様だよ! 偉い人なんだよ!」
「知るか。俺は常識を持ち合わせないクズにかける慈悲を持ち合わせてない。それにどうやら俺は死んだらしいのだから、刑務所も警察も法も無い。今ここでこいつを殺そうが生かそうが俺の自由だ。あいつが居ないなら地獄に落ちても同じだ。なあ、そうだろう? ティーンクトゥス」
「す、す、す、す、す、すみませんでしたあぁあああああああ!」
これは、馬鹿だけど憎み切れない神様ティーンクトゥスの為に剣と魔法、そして魔獣たちの息づくアーテル王国でチートが過ぎる男子高校生・水無月真尋が無自覚チートの親友・鈴木一路と共に神様の為と言いながら好き勝手に生きていく物語。
主人公は一途に幼馴染(女性)を想い続けます。話はゆっくり進んでいきます。
※教会、神父、などが出てきますが実在するものとは一切関係ありません。
※対応できない可能性がありますので、誤字脱字報告は不要です。
※無断転載は厳に禁じます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる