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26章 魔国へ
レモ
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トモエとオユキが混ざった上で、今後の方針についていったい誰にこの場の監督を押し付けるのか、それを話し合っているころ。一先ず傭兵ギルド、狩猟者ギルドの両ギルドの立ち上げを引き取るとルイスが渋々ながら承諾した物の、やはり政治面はどうにもならぬという話。上司であったアベルのほうでも、そちらに関しては用意が流石に傭兵ではと言う評価もあり、結局はルイスのルイスの補佐が必要になるとそういう話になった。
「ファルコが連れているのは」
「あの、流石にファルコ君も不慣れですし、その彼から取り上げるというのはマリーア公の麾下として、私は反対しますが」
「そういやお前はそうだったな」
そもそも、こうして魔国に向かってきているのも建前としては王家の指示によるものなのだが、そこでどういった行動をとるのかと言われれば。
「はい。こうして他国との縁を得る、そのきっかけを作ってそれで良しとはしませんよ」
「そうですね。是非とも、我が領により多くの利益をとしてほしい物です」
そして、何やら初代国王と明確な不和を、王家とも下手をすれば抱えている人物からそれでよいのだと。どうにも、安息の祈りを抱えて領土を切り取った時に、その名を冠する神の神殿までも切り取ったのだ。そのあたりも、色々と突っ込んで聞いてみたいと思わないではないのだが。流石に、今は。オユキがこうして、シェリアに抱えられて移動をしなければならないありさまであるうちは、トモエが許さぬだろうと。
「公爵領が富めば、結果として神国もとなるわけですし」
「何か勘違いがあると思えば、そこか」
「勘違い、ですか」
貴族がいる。王がいる。ならばこの世界はと言うよりも、神国で採用されている政治形態はそういった物だろうと、オユキは考えている。そもそも、ギルドにしても国の期間だと聞いた以上は、税制と言うのは間違いなく神国に還元されるためにあるのではないかとそう考えての事ではあるのだが。
「税として納められても、王都まで運ぶのがなかなか大変でな」
「そのために、傭兵ギルドがあるのでは」
「じゃぁ聞くんだが、硬貨を大量に馬車に詰め込んで、それで運ぶつもりなのか」
言われた言葉に少し考えて、オユキはただ首を振る。それは、正直現実的では無いと。硬貨、金属でできたものを例えば樽なり袋なり。それに大量に詰め込んで、さらにそれを馬車に押し込んで。重量は尋常の物ではないし、それで運べる量などたかが知れている。硬貨の最大単位は百ペセ。勿論、すべての魔物がそれを落とすわけではなく、最小単位の一ペセから。そんなものを運ぶなどそれこそかつての世界でも非常に厄介なものなのだ。
「その、為替が確かあったかと」
「為替ってのは、結局現物があればこそなんだよな。勿論、国に対する信頼、ギルドに対する信頼ってのもあるにはあるんだが、一斉に交換をと言われたときにいや、それは無いんだが」
「そうですね、ある程度以上は交換できなければその時点で」
そう、信頼は地に落ちる。
そうなってしまえば、為替という物の価値がまぁ根底から揺らぐことになる。それを望まぬというのであれば、それこそ実際に税収として運ぶしかないのだが。
「言いたいことはわかるが、まぁ、現実的じゃない。一応各地の公爵だな、そこにある程度ため込むというのが今のところの国法だ」
「輸送の手段は、いえ、騎士が遠征をするとなると」
「ああ、傭兵だけじゃ流石に難しいからな。騎士団の一部が毎度動員されて、新人たちに担がせて馬車の護衛もしながら、それはもう年に二度の大仕事だな」
一応は、それを選んでもいるらしいが、当然その程度でどうにかなる物でもない。そもそも、こちらに来た当初にしてもそれなりに長い、背丈のある草が一面を覆う草原。そこに転がる物でも硬貨と認識できるほどのサイズがあるのだ。加えて、トモエとオユキのテコ入れによって今は公爵領と王都の両方で取引も活発になっているはず。特に町の周りにいるような魔物を狙う手合いであれば、そもそも為替を求めたりはしない。種々の魔物からの収集品、それらを一旦買い取る狩猟者ギルドからはかなり愉快な勢いで硬貨が流出しているに違いない。
「確か、硬貨にしても、領主で」
「オユキ」
「オユキさん」
色々と考え事を始めたオユキが、己の記憶をたどりながら口に出そうとしたことを、間違いなくそれを知っている二人から制止される。どうやら、また宜しくないことを、権能に触れる部分を口にしようとしたらしく。随分と胡乱な視線がオユキに向くのだが。
「ええと、昔聞いたことがある、その程度ですから」
「まぁ、ミズキリと長くよろしくやってたらしいからな」
「ミズキリさんですか。あの人も、随分といらぬことを知っているのですよね。一度とは思う物の、ルーリエラが側に居るため私からも手を出しにくいのですよね」
そう、ミリアムが随分と重々しくため息をつく。
「ミリアムさんは、ルーリエラさんについて、何か」
「ああ、知らない人も多いのは仕方ないでしょうが」
どうやらミリアムはルーリエラの正体に関して、何かの知識があるらしいのだが。
「申し訳ございません。ファルコ様がお戻りになったのですが」
「ほう。いや、戻ったのであれば、私たちに断らずとも」
「いえ、それが、アルゼオ公爵令息を」
ミリアムが何かを語るために、恐らくミズキリという人間と、明確に距離をとるだけの何かに関して口を開く前に、間がいいのか悪いのか。
「連れて帰ってきたとなると、成程。予想ができることはいくつかありますか」
「そうですね。オユキさんは、マリーア公から何も聞いていないのですか」
「ええ、とくには。いえ、先ごろ果たせなかったことを改めて、そうした話位は聞いていますが」
ただ、それにしても先代アルゼオ公爵がこちらに来てから、本人が多少の否定を、気が進まぬとそうした振る舞いをしたとして、それでも全くこちらに足を運ばないと言う訳にもいかない。彼にしても、内々ではと言えばいいのだろうか。マリーア公爵に対して、トモエとオユキの魔国での世話役を申し出ている様子ではある。実際に、どのような会話があったかまではなかなかわかりはしないのだが。
「オユキさん」
「連れて来たのであれば、ええ、通すしかないものでしょう」
「まぁ、それもそうか。他に客間もあったかとは思うのだが」
「用意が間に合っているのであれば、そうですね。そちらに通していただいて、私とアベルさんで向かいますか」
アベルから言われた言葉に、どうにもミリアムとルイスは別にしてい置きたいと、そうした意図が見える。こちらはこちらで何やら書類を話しながらもめくっているし、そうしながらも書き物もしているあたり確かに忙しそうではあるからと。
「そうしていただけると、助かります」
「だな、流石に公爵の令息とはいえ、このあたりの情報は見られると面倒だ」
「面倒になるのは、こちらでは無くてアルゼオ公子息ですけど」
部外秘の情報がごまんとあり、こうした場に来てしまえば気にするなと言っても無理がある。そして、彼が見たいと望めばこの二人としてはもはや巻き込みたい以上は、と言う所らしい。
「では、そうしましょうか。手配は任せます。あとは、私たちとしても最低限は整えましょうか」
「まぁ、一応は公爵子息でもあるからな。盛装はいるか」
一先ず客間に案内を頼んだうえで、少し待たせる理由としてオユキがそんなことを言えば。周囲からは、何やらようやくかとそんな視線が。どうにも、このまま着の身着のままで向かうと思われていたらしく、それこそこの場に通してしまえと、そんなことを言い出すと思われていたらしい。
「あの、流石にこうして時間が取れるなら私としても最低限の身嗜み位は」
「そりゃそうかもしれんが、なんとなくだな」
そんなことを気にしないように見えていたと、アベルから言われるのだが。
「全く、そこまで見くびられていたとは」
「では、オユキ様」
そうして、シェリアに声をかけられたため、座らされていたオユキがそのまま頷けば、シェリアに速やかに回収される。
「では、トモエさん」
「あの、オユキさん、流石にそれは」
そして、それが当然とばかりにオユキがトモエを誘えば、トモエからは苦笑い。
「その、オユキさん、一応は子女ですから。既婚でと言うのは理解しているのですが」
「そういや、確かお前ら領都でも」
さて、ミリアムとルイスから何やら恐ろしい物を見たかのような視線を向けられているし、抱えているシェリアの手に思いのほか力が入っているのをオユキとしては感じるため。
「いえ、トモエさんはアルゼオ公爵令息との話し合いに参加するのかどうかと」
そんなオユキの突然の軌道修正に、勿論トモエは気が付いているのだが。
「そうですね、私が参加してもあまり良い事にはならないでしょうし」
「いえ、トモエさんの人を見る目には信頼を置いていますから」
「次回以降で、恐らく問題ないでしょう。そういえば、名前も聞いていませんでしたが」
改めて、トモエからそう言われて。オユキとして、以前魔国に向かっているときにファルコと同席した時に確か聞いた覚えがあると。
「確か、レモ様でしたか」
「その、オユキさん、ミドルネームなどは」
「言われていたようにも思うのですが、どうにも記憶に残っておらず」
そのあたりはどうだっただろうか。オユキとしては聞いたかと言われれば、聞いたような。そうでは無いと言われれば、そうでもないような。当時も、ミドルネームと言えばいいのだろうか、どうやらどうしたつながりがあるのかを表す名前であったと理解はしていたはずであり、相応に重要な部分だと知ってはいたはずなのだが。
「アルゼオ公の奥方は、確かフォンタナ公の縁者から迎えていたか」
「そうなのですか」
「となると、いや、魔国ではまたミドルネームの扱いも少々違うから難しいか」
「神国では、母方と言えばいいのか、女系としての名前を継いでいるのですよね」
そう、オユキが自分の中にあるそこそこに確度の高い事を確かめれば。
「一部例外はあるが、基本はそうだな」
「例外と言うのは、花精の方であったり」
「あとは、獣精種と木精もだな。他にもいるだろうが、少なくとも人の中ではそうなっているな」
「ファルコが連れているのは」
「あの、流石にファルコ君も不慣れですし、その彼から取り上げるというのはマリーア公の麾下として、私は反対しますが」
「そういやお前はそうだったな」
そもそも、こうして魔国に向かってきているのも建前としては王家の指示によるものなのだが、そこでどういった行動をとるのかと言われれば。
「はい。こうして他国との縁を得る、そのきっかけを作ってそれで良しとはしませんよ」
「そうですね。是非とも、我が領により多くの利益をとしてほしい物です」
そして、何やら初代国王と明確な不和を、王家とも下手をすれば抱えている人物からそれでよいのだと。どうにも、安息の祈りを抱えて領土を切り取った時に、その名を冠する神の神殿までも切り取ったのだ。そのあたりも、色々と突っ込んで聞いてみたいと思わないではないのだが。流石に、今は。オユキがこうして、シェリアに抱えられて移動をしなければならないありさまであるうちは、トモエが許さぬだろうと。
「公爵領が富めば、結果として神国もとなるわけですし」
「何か勘違いがあると思えば、そこか」
「勘違い、ですか」
貴族がいる。王がいる。ならばこの世界はと言うよりも、神国で採用されている政治形態はそういった物だろうと、オユキは考えている。そもそも、ギルドにしても国の期間だと聞いた以上は、税制と言うのは間違いなく神国に還元されるためにあるのではないかとそう考えての事ではあるのだが。
「税として納められても、王都まで運ぶのがなかなか大変でな」
「そのために、傭兵ギルドがあるのでは」
「じゃぁ聞くんだが、硬貨を大量に馬車に詰め込んで、それで運ぶつもりなのか」
言われた言葉に少し考えて、オユキはただ首を振る。それは、正直現実的では無いと。硬貨、金属でできたものを例えば樽なり袋なり。それに大量に詰め込んで、さらにそれを馬車に押し込んで。重量は尋常の物ではないし、それで運べる量などたかが知れている。硬貨の最大単位は百ペセ。勿論、すべての魔物がそれを落とすわけではなく、最小単位の一ペセから。そんなものを運ぶなどそれこそかつての世界でも非常に厄介なものなのだ。
「その、為替が確かあったかと」
「為替ってのは、結局現物があればこそなんだよな。勿論、国に対する信頼、ギルドに対する信頼ってのもあるにはあるんだが、一斉に交換をと言われたときにいや、それは無いんだが」
「そうですね、ある程度以上は交換できなければその時点で」
そう、信頼は地に落ちる。
そうなってしまえば、為替という物の価値がまぁ根底から揺らぐことになる。それを望まぬというのであれば、それこそ実際に税収として運ぶしかないのだが。
「言いたいことはわかるが、まぁ、現実的じゃない。一応各地の公爵だな、そこにある程度ため込むというのが今のところの国法だ」
「輸送の手段は、いえ、騎士が遠征をするとなると」
「ああ、傭兵だけじゃ流石に難しいからな。騎士団の一部が毎度動員されて、新人たちに担がせて馬車の護衛もしながら、それはもう年に二度の大仕事だな」
一応は、それを選んでもいるらしいが、当然その程度でどうにかなる物でもない。そもそも、こちらに来た当初にしてもそれなりに長い、背丈のある草が一面を覆う草原。そこに転がる物でも硬貨と認識できるほどのサイズがあるのだ。加えて、トモエとオユキのテコ入れによって今は公爵領と王都の両方で取引も活発になっているはず。特に町の周りにいるような魔物を狙う手合いであれば、そもそも為替を求めたりはしない。種々の魔物からの収集品、それらを一旦買い取る狩猟者ギルドからはかなり愉快な勢いで硬貨が流出しているに違いない。
「確か、硬貨にしても、領主で」
「オユキ」
「オユキさん」
色々と考え事を始めたオユキが、己の記憶をたどりながら口に出そうとしたことを、間違いなくそれを知っている二人から制止される。どうやら、また宜しくないことを、権能に触れる部分を口にしようとしたらしく。随分と胡乱な視線がオユキに向くのだが。
「ええと、昔聞いたことがある、その程度ですから」
「まぁ、ミズキリと長くよろしくやってたらしいからな」
「ミズキリさんですか。あの人も、随分といらぬことを知っているのですよね。一度とは思う物の、ルーリエラが側に居るため私からも手を出しにくいのですよね」
そう、ミリアムが随分と重々しくため息をつく。
「ミリアムさんは、ルーリエラさんについて、何か」
「ああ、知らない人も多いのは仕方ないでしょうが」
どうやらミリアムはルーリエラの正体に関して、何かの知識があるらしいのだが。
「申し訳ございません。ファルコ様がお戻りになったのですが」
「ほう。いや、戻ったのであれば、私たちに断らずとも」
「いえ、それが、アルゼオ公爵令息を」
ミリアムが何かを語るために、恐らくミズキリという人間と、明確に距離をとるだけの何かに関して口を開く前に、間がいいのか悪いのか。
「連れて帰ってきたとなると、成程。予想ができることはいくつかありますか」
「そうですね。オユキさんは、マリーア公から何も聞いていないのですか」
「ええ、とくには。いえ、先ごろ果たせなかったことを改めて、そうした話位は聞いていますが」
ただ、それにしても先代アルゼオ公爵がこちらに来てから、本人が多少の否定を、気が進まぬとそうした振る舞いをしたとして、それでも全くこちらに足を運ばないと言う訳にもいかない。彼にしても、内々ではと言えばいいのだろうか。マリーア公爵に対して、トモエとオユキの魔国での世話役を申し出ている様子ではある。実際に、どのような会話があったかまではなかなかわかりはしないのだが。
「オユキさん」
「連れて来たのであれば、ええ、通すしかないものでしょう」
「まぁ、それもそうか。他に客間もあったかとは思うのだが」
「用意が間に合っているのであれば、そうですね。そちらに通していただいて、私とアベルさんで向かいますか」
アベルから言われた言葉に、どうにもミリアムとルイスは別にしてい置きたいと、そうした意図が見える。こちらはこちらで何やら書類を話しながらもめくっているし、そうしながらも書き物もしているあたり確かに忙しそうではあるからと。
「そうしていただけると、助かります」
「だな、流石に公爵の令息とはいえ、このあたりの情報は見られると面倒だ」
「面倒になるのは、こちらでは無くてアルゼオ公子息ですけど」
部外秘の情報がごまんとあり、こうした場に来てしまえば気にするなと言っても無理がある。そして、彼が見たいと望めばこの二人としてはもはや巻き込みたい以上は、と言う所らしい。
「では、そうしましょうか。手配は任せます。あとは、私たちとしても最低限は整えましょうか」
「まぁ、一応は公爵子息でもあるからな。盛装はいるか」
一先ず客間に案内を頼んだうえで、少し待たせる理由としてオユキがそんなことを言えば。周囲からは、何やらようやくかとそんな視線が。どうにも、このまま着の身着のままで向かうと思われていたらしく、それこそこの場に通してしまえと、そんなことを言い出すと思われていたらしい。
「あの、流石にこうして時間が取れるなら私としても最低限の身嗜み位は」
「そりゃそうかもしれんが、なんとなくだな」
そんなことを気にしないように見えていたと、アベルから言われるのだが。
「全く、そこまで見くびられていたとは」
「では、オユキ様」
そうして、シェリアに声をかけられたため、座らされていたオユキがそのまま頷けば、シェリアに速やかに回収される。
「では、トモエさん」
「あの、オユキさん、流石にそれは」
そして、それが当然とばかりにオユキがトモエを誘えば、トモエからは苦笑い。
「その、オユキさん、一応は子女ですから。既婚でと言うのは理解しているのですが」
「そういや、確かお前ら領都でも」
さて、ミリアムとルイスから何やら恐ろしい物を見たかのような視線を向けられているし、抱えているシェリアの手に思いのほか力が入っているのをオユキとしては感じるため。
「いえ、トモエさんはアルゼオ公爵令息との話し合いに参加するのかどうかと」
そんなオユキの突然の軌道修正に、勿論トモエは気が付いているのだが。
「そうですね、私が参加してもあまり良い事にはならないでしょうし」
「いえ、トモエさんの人を見る目には信頼を置いていますから」
「次回以降で、恐らく問題ないでしょう。そういえば、名前も聞いていませんでしたが」
改めて、トモエからそう言われて。オユキとして、以前魔国に向かっているときにファルコと同席した時に確か聞いた覚えがあると。
「確か、レモ様でしたか」
「その、オユキさん、ミドルネームなどは」
「言われていたようにも思うのですが、どうにも記憶に残っておらず」
そのあたりはどうだっただろうか。オユキとしては聞いたかと言われれば、聞いたような。そうでは無いと言われれば、そうでもないような。当時も、ミドルネームと言えばいいのだろうか、どうやらどうしたつながりがあるのかを表す名前であったと理解はしていたはずであり、相応に重要な部分だと知ってはいたはずなのだが。
「アルゼオ公の奥方は、確かフォンタナ公の縁者から迎えていたか」
「そうなのですか」
「となると、いや、魔国ではまたミドルネームの扱いも少々違うから難しいか」
「神国では、母方と言えばいいのか、女系としての名前を継いでいるのですよね」
そう、オユキが自分の中にあるそこそこに確度の高い事を確かめれば。
「一部例外はあるが、基本はそうだな」
「例外と言うのは、花精の方であったり」
「あとは、獣精種と木精もだな。他にもいるだろうが、少なくとも人の中ではそうなっているな」
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