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26章 魔国へ
積もる
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ミリアムの独白からすぐに。トモエはオユキと連れ立って今を辞去することとした。勿論、話し合うべき事は多くあり、それが許されるかと言われれば難しい部分もある。だが、流石にオユキがいては居間にはさらなる惨状を引き起こすことになるからと。
トモエとしては、正直過去を知ったところでどうと思う事も無い。だが、オユキは違う。特に今となっては明確に与えられた功績があるからだろう。己の能力が何に根差しているかを知ったからだろう。こうして夫婦の寝室に連れて帰ってみれば、実に分かりやすく部屋が冬に閉ざされる。氷が室内を覆い、外からの侵入を拒絶するかのように。トモエに対して何もないのは、つまりそういう事なのだろうと嬉しく思う物ではあるし、シェリアにしてもその周囲はちゃんと氷雪の範囲外となっているあたり心を許しているのだとわかりやすい。
「オユキさん」
さて、ここで気にするなといくら声をかけたところで。
「少し、話をしませんか」
だからこそ、トモエは話を聞こうとオユキを誘う。
「先ほどのミリアム様の話ですが、やはり一方的とは考えてしまいます」
「そう、ですね。そうかもしれません。ですが」
「ええ、当時を知っている方、それがもはやいないというのも事実なのでしょう」
トモエの思う所を、慰めになど決してならないのだとしても。降り積もる思いは、吐き出してしまった方がいのだから。特にオユキの場合は。
「ですが、どうでしょう。そうした思いを持つ方ばかりが残っているのだとすれば」
「ええ、そうした可能性ももちろんあります」
ただ、トモエとしても納得がいかないところがいくつかある。
「せめて、アーサーさんにも話を聞いてみるのが良いでしょう。どうにも、あの方とミリアムさん、この二人が共通の思いでいるとは思えません」
「そうでしょうか」
「ええ。恐らくというほど不確かなものではなく、私としてはそちらに自信があります」
門番と呼ばれる者たちが、さてどれだけ希少な存在なのか。以前にもオユキと話したのだが、オユキはやはり判断が早く時間が無いと考えてとかく決断を急ぎすぎるきらいがある。いくつもの可能性を考えての事ではあるのだろう。それをもとにこうした発言があればと、常に考えているからだろう。生き急いでいる、そうした部分はこうした時にどうしても出てくる。全く、くれぐれも気を付けてほしいものだと、トモエとしてはそう考えるのだがミリアムは以前あの場にいたのかどうか。こうして事あるごとに、過去の残滓に触れるたびに。過去にばかり目を向ける己の伴侶が、片翼が心を揺らす。
「だからと言う訳ではありません。ミリアムさんのいう言葉にしても、彼女から見た事実ではあるのでしょう」
だが、甘言を弄したところで、トモエが下手な慰めを言えば。これが他人であればまだいい。オユキはあくまで一つの意見と、そう判断して過度な期待は抱くまい。だが、トモエが口にするとなればやはり話が違う。オユキは、トモエの言葉であればよほどのことがない限り、オユキの中でそれが違うのだと確かなものがない限りは信じてしまう。だからこそ、トモエは己の発言に気を付ける。このあたりは、いよいよ子供を相手にする時と同じような、そうした感覚を確かにトモエとしては覚えるものだ。周囲から、今が見た目相応と、そう言われるだけの理由はこのあたりだろうと。愛らしいと思えるのは、まぁ、トモエだからと言うしかないのだが。
「そうなのでしょうね」
「はい。やはり、長年積もった思い、それを基本として来られた方と言うのは難しい物ですから」
それに関しては、お互い様だ。
「どうしてもと、そう考えるのであれば」
「ええ、詳しく聞く必要はあるのでしょう、ですが、そうですね」
こうしてトモエと話しているうちに、少し落ち着いたのだろう。今となっては室内がなかなかに惨状を呈してはいるのだが、それでも悪化することはなくなった。これまでであれば、己の内面が外に影響を与える事、それに対して何かを思うそぶりを見せることもままあったのだが、もはやそれを取り繕う事も無い。このあたりに関しては、何某かの作用があった結果ではなく、生前からの部分。オユキが取り繕うような真似をするのは、長い時間をかけた結果としていよいよ他人と、その認識を向けている相手だけ。こうして、身内だと、その認識がある相手に対しては、要は甘えを見せているだけではある。このあたりを、幼いと、自律が足りぬとそうして責める者もいるのだろうが。
「そう、ですね。両親の手紙の事もあります」
「はい。私のお会いしたことのない方々ですが、思う所があるのだと、謝罪が随分と」
「そうですね、私に対してばかりではなく」
そう。今回の事にしても、オユキには予想がついていたには違いない。
オユキにあてた手紙、そこに書かれていたことはあまりにも多い。基本はオユキへの謝罪、過去に合った事への謝罪。それが多くあった初回の手紙とは違って、二つ目の手紙には間に合わなかったこと、それに関する話がやはり多く書かれていた。トモエからしてみれば、それは少々独善的とは思うものだ。間違いなく、これを読んだオユキならそれを行うと分かった上で書いたとしか思えない事。我が子よりも、この世界をとそうとしか思えないオユキの両親が把握している問題点に関して。
曰く、この世界にはとにかく問題が多いのだと。過去プレイヤーの利便性の為にと省略せざるを得なかった部分が、とにかく牙をむいているのだと。プレイヤー数が増えた、多くの人がこの世界を楽しんで、没頭して。世界観にそぐわぬと断った多くもあれば、ゲームとしての都合を優先せざるを得なかったことも多かったのだと。生憎とプレイヤーではなかったトモエには、全くもって想像がつかない事ばかりではあるのだがオユキにとっては理解ができる事柄であったらしい。
「オユキさんは、どちらを優先したいですか」
だからこそ、トモエとしては尋ねてみるしかない。
オユキがどちらを選ぶのか、それには想像がついてはいるのだが、オユキの言葉を聞くのが大事な時間でもある。
「私は」
「はい」
揺れる瞳で、オユキはトモエを見返す。周囲に引き起こした現状は気が付いてはいるのだが、そちらに関しては己の意志でもどうにもならぬことと。特に、冬と眠りに功績を与えられたからだろう。今となっては、もはや己の中から何かが失われる感覚すらない。ただただ、それが当然とばかりに周囲の環境を変える。己の名の由来、それと同じような存在になってきている。マナとやらに馴染んだからなのか、それともまた別の理由によるものか。そうした理解は無いのだが、それでも己の内面が外に、それで周囲がひるむならばと。
「両親の遺したものを」
「わかりました」
そう、オユキが優先したいと考えるのは、やはりそちら。この世界を独立したものとするために、過去の歪を、ゲームが現実にとなった時に生まれる異常を可能な限り減らそうと。使徒としてこちらに招かれた過去の、この世界の基盤となる物を作った者たち。その中でも、相応に意見が分かれたらしい。自分たちは、ゲームをつく多のだと。決して現実となる物を想定して作ったわけではないからと。それもまた一つの事実ではある。何も、成ってしまったからとそれに責任を感じる必要などない。責任を感じてしまうのは、なんとも血縁を感じることではあるのだが。
「であれば、私もそうしましょう」
「トモエさん」
「構いませんとも。少なくとも、神殿を見て回る、それも叶うのでしょうから」
そう、オユキが両親の遺した願いにこたえたとして、そのためにはやはり方々に出向く必要が出てくる。そして、そのためにはとにかく各神殿に風翼の門を置かなければならない。
「時間が、やはり足りません」
「伸ばすことは、お互い望みはしないでしょうとも」
「はい。とにもかくにも、急いでとっかかりとなる事だけでも作らねばなりません」
気分が紛れたのか、一度決めてしまったからか。
「今回の事、魔国にばかり正直時間を使うわけにはいきませんね」
「それは、他の、例えば」
「いえ、武国とテトラポダ、こちらはいよいよ門が開くまでは置かねばなりません。」
「では、魔国の次、そこはどこだと」
「近場でしょうね、華と恋の神殿のある国、フラレンシアに」
オユキとしては、色々と気がかりなことがある。こうして、色々と増えた加護。少なくとも神国に明確に与えられた、上限の撤廃と言う事実。それに対して、何かを行うのだとすればまずはそちらにと。
細かい事情はさておき、とにかくそちらに一度と言えばいいのだろうか。これまでがあり、そうしたことが問題にならないと考えて軽く見ている者たちが多すぎる現状。それをどうにかするためにも、歯止めをかけるためにも。加えて、そっと確かめてほしいと言われていることの中に、神国でそういったことを望めば、つまりは結果が出るのだろうかとそうした疑問すら方々から出ているらしい。要は、華と恋の国ではなく、神国にそうした物を求める流れが生まれる。生まれてしまう。オユキとしても、オユキに話を持ってきた王太子にしても流石にそれは望んでいない。
「また、色々と分かりやすいですね」
「ええと、確かに理由は多くありますが」
「いいえ、オユキさんがそれが良いと考えたのならば、それでよい事でしょう。確か、この国からも近いのでしょう」
位置的には、華の国は魔国からも近かったはずではある。オユキが確か、魔国に向かうときに一度華の国を抜けるのかとそうした話をしていたはずだと思い出しながら。
「はい。近場を埋めると言えば聞こえは悪いのですが」
「いえ、それも必要なのでしょう。ただ、私としては気になることがいくつかあるのですが」
「風翼の門、私以外に得られる方が出てこない、それについてですか」
そう、風翼の門として今はオユキだけが、トモエとオユキによってしか得られていないものがある。実際には、もっと細かくとそれが叶うはずだとそうした話も聞いている。だというのに、神殿を繋ぐ物以外が、始まりの町と言う一つの例外を除いて未だに存在していない。
「神職の方々にとは思うのですが、どうにもそれも難しい様子」
トモエとしては、正直過去を知ったところでどうと思う事も無い。だが、オユキは違う。特に今となっては明確に与えられた功績があるからだろう。己の能力が何に根差しているかを知ったからだろう。こうして夫婦の寝室に連れて帰ってみれば、実に分かりやすく部屋が冬に閉ざされる。氷が室内を覆い、外からの侵入を拒絶するかのように。トモエに対して何もないのは、つまりそういう事なのだろうと嬉しく思う物ではあるし、シェリアにしてもその周囲はちゃんと氷雪の範囲外となっているあたり心を許しているのだとわかりやすい。
「オユキさん」
さて、ここで気にするなといくら声をかけたところで。
「少し、話をしませんか」
だからこそ、トモエは話を聞こうとオユキを誘う。
「先ほどのミリアム様の話ですが、やはり一方的とは考えてしまいます」
「そう、ですね。そうかもしれません。ですが」
「ええ、当時を知っている方、それがもはやいないというのも事実なのでしょう」
トモエの思う所を、慰めになど決してならないのだとしても。降り積もる思いは、吐き出してしまった方がいのだから。特にオユキの場合は。
「ですが、どうでしょう。そうした思いを持つ方ばかりが残っているのだとすれば」
「ええ、そうした可能性ももちろんあります」
ただ、トモエとしても納得がいかないところがいくつかある。
「せめて、アーサーさんにも話を聞いてみるのが良いでしょう。どうにも、あの方とミリアムさん、この二人が共通の思いでいるとは思えません」
「そうでしょうか」
「ええ。恐らくというほど不確かなものではなく、私としてはそちらに自信があります」
門番と呼ばれる者たちが、さてどれだけ希少な存在なのか。以前にもオユキと話したのだが、オユキはやはり判断が早く時間が無いと考えてとかく決断を急ぎすぎるきらいがある。いくつもの可能性を考えての事ではあるのだろう。それをもとにこうした発言があればと、常に考えているからだろう。生き急いでいる、そうした部分はこうした時にどうしても出てくる。全く、くれぐれも気を付けてほしいものだと、トモエとしてはそう考えるのだがミリアムは以前あの場にいたのかどうか。こうして事あるごとに、過去の残滓に触れるたびに。過去にばかり目を向ける己の伴侶が、片翼が心を揺らす。
「だからと言う訳ではありません。ミリアムさんのいう言葉にしても、彼女から見た事実ではあるのでしょう」
だが、甘言を弄したところで、トモエが下手な慰めを言えば。これが他人であればまだいい。オユキはあくまで一つの意見と、そう判断して過度な期待は抱くまい。だが、トモエが口にするとなればやはり話が違う。オユキは、トモエの言葉であればよほどのことがない限り、オユキの中でそれが違うのだと確かなものがない限りは信じてしまう。だからこそ、トモエは己の発言に気を付ける。このあたりは、いよいよ子供を相手にする時と同じような、そうした感覚を確かにトモエとしては覚えるものだ。周囲から、今が見た目相応と、そう言われるだけの理由はこのあたりだろうと。愛らしいと思えるのは、まぁ、トモエだからと言うしかないのだが。
「そうなのでしょうね」
「はい。やはり、長年積もった思い、それを基本として来られた方と言うのは難しい物ですから」
それに関しては、お互い様だ。
「どうしてもと、そう考えるのであれば」
「ええ、詳しく聞く必要はあるのでしょう、ですが、そうですね」
こうしてトモエと話しているうちに、少し落ち着いたのだろう。今となっては室内がなかなかに惨状を呈してはいるのだが、それでも悪化することはなくなった。これまでであれば、己の内面が外に影響を与える事、それに対して何かを思うそぶりを見せることもままあったのだが、もはやそれを取り繕う事も無い。このあたりに関しては、何某かの作用があった結果ではなく、生前からの部分。オユキが取り繕うような真似をするのは、長い時間をかけた結果としていよいよ他人と、その認識を向けている相手だけ。こうして、身内だと、その認識がある相手に対しては、要は甘えを見せているだけではある。このあたりを、幼いと、自律が足りぬとそうして責める者もいるのだろうが。
「そう、ですね。両親の手紙の事もあります」
「はい。私のお会いしたことのない方々ですが、思う所があるのだと、謝罪が随分と」
「そうですね、私に対してばかりではなく」
そう。今回の事にしても、オユキには予想がついていたには違いない。
オユキにあてた手紙、そこに書かれていたことはあまりにも多い。基本はオユキへの謝罪、過去に合った事への謝罪。それが多くあった初回の手紙とは違って、二つ目の手紙には間に合わなかったこと、それに関する話がやはり多く書かれていた。トモエからしてみれば、それは少々独善的とは思うものだ。間違いなく、これを読んだオユキならそれを行うと分かった上で書いたとしか思えない事。我が子よりも、この世界をとそうとしか思えないオユキの両親が把握している問題点に関して。
曰く、この世界にはとにかく問題が多いのだと。過去プレイヤーの利便性の為にと省略せざるを得なかった部分が、とにかく牙をむいているのだと。プレイヤー数が増えた、多くの人がこの世界を楽しんで、没頭して。世界観にそぐわぬと断った多くもあれば、ゲームとしての都合を優先せざるを得なかったことも多かったのだと。生憎とプレイヤーではなかったトモエには、全くもって想像がつかない事ばかりではあるのだがオユキにとっては理解ができる事柄であったらしい。
「オユキさんは、どちらを優先したいですか」
だからこそ、トモエとしては尋ねてみるしかない。
オユキがどちらを選ぶのか、それには想像がついてはいるのだが、オユキの言葉を聞くのが大事な時間でもある。
「私は」
「はい」
揺れる瞳で、オユキはトモエを見返す。周囲に引き起こした現状は気が付いてはいるのだが、そちらに関しては己の意志でもどうにもならぬことと。特に、冬と眠りに功績を与えられたからだろう。今となっては、もはや己の中から何かが失われる感覚すらない。ただただ、それが当然とばかりに周囲の環境を変える。己の名の由来、それと同じような存在になってきている。マナとやらに馴染んだからなのか、それともまた別の理由によるものか。そうした理解は無いのだが、それでも己の内面が外に、それで周囲がひるむならばと。
「両親の遺したものを」
「わかりました」
そう、オユキが優先したいと考えるのは、やはりそちら。この世界を独立したものとするために、過去の歪を、ゲームが現実にとなった時に生まれる異常を可能な限り減らそうと。使徒としてこちらに招かれた過去の、この世界の基盤となる物を作った者たち。その中でも、相応に意見が分かれたらしい。自分たちは、ゲームをつく多のだと。決して現実となる物を想定して作ったわけではないからと。それもまた一つの事実ではある。何も、成ってしまったからとそれに責任を感じる必要などない。責任を感じてしまうのは、なんとも血縁を感じることではあるのだが。
「であれば、私もそうしましょう」
「トモエさん」
「構いませんとも。少なくとも、神殿を見て回る、それも叶うのでしょうから」
そう、オユキが両親の遺した願いにこたえたとして、そのためにはやはり方々に出向く必要が出てくる。そして、そのためにはとにかく各神殿に風翼の門を置かなければならない。
「時間が、やはり足りません」
「伸ばすことは、お互い望みはしないでしょうとも」
「はい。とにもかくにも、急いでとっかかりとなる事だけでも作らねばなりません」
気分が紛れたのか、一度決めてしまったからか。
「今回の事、魔国にばかり正直時間を使うわけにはいきませんね」
「それは、他の、例えば」
「いえ、武国とテトラポダ、こちらはいよいよ門が開くまでは置かねばなりません。」
「では、魔国の次、そこはどこだと」
「近場でしょうね、華と恋の神殿のある国、フラレンシアに」
オユキとしては、色々と気がかりなことがある。こうして、色々と増えた加護。少なくとも神国に明確に与えられた、上限の撤廃と言う事実。それに対して、何かを行うのだとすればまずはそちらにと。
細かい事情はさておき、とにかくそちらに一度と言えばいいのだろうか。これまでがあり、そうしたことが問題にならないと考えて軽く見ている者たちが多すぎる現状。それをどうにかするためにも、歯止めをかけるためにも。加えて、そっと確かめてほしいと言われていることの中に、神国でそういったことを望めば、つまりは結果が出るのだろうかとそうした疑問すら方々から出ているらしい。要は、華と恋の国ではなく、神国にそうした物を求める流れが生まれる。生まれてしまう。オユキとしても、オユキに話を持ってきた王太子にしても流石にそれは望んでいない。
「また、色々と分かりやすいですね」
「ええと、確かに理由は多くありますが」
「いいえ、オユキさんがそれが良いと考えたのならば、それでよい事でしょう。確か、この国からも近いのでしょう」
位置的には、華の国は魔国からも近かったはずではある。オユキが確か、魔国に向かうときに一度華の国を抜けるのかとそうした話をしていたはずだと思い出しながら。
「はい。近場を埋めると言えば聞こえは悪いのですが」
「いえ、それも必要なのでしょう。ただ、私としては気になることがいくつかあるのですが」
「風翼の門、私以外に得られる方が出てこない、それについてですか」
そう、風翼の門として今はオユキだけが、トモエとオユキによってしか得られていないものがある。実際には、もっと細かくとそれが叶うはずだとそうした話も聞いている。だというのに、神殿を繋ぐ物以外が、始まりの町と言う一つの例外を除いて未だに存在していない。
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