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26章 魔国へ
押し付け
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「では、よろしくお願いしますね」
「ほかに適任はいませんし」
「俺にしても、その心算で選んだからな」
そしてここ暫くの事もあり、やはり装飾を外してしまえば途端にオユキも体調を崩すのだからと早々に寝台に放り込まれることになった。当然そうなれば、眠気というのは常々感じていることもありオユキは速やかに眠りにつくことになる。トモエにしてもそれに合わせて眠ってみれば、明けて翌日。朝食の席に一同が会した時にオユキがルイスをみてそう告げれば同じ結論を得ただろう者たちが一も二も無く賛同する。
「おい」
そして、ルイスにしてもかなり嫌な予感を覚えているのだろう。何が決まったのかはわからないといった顔ではあるのだが、ここでそのまま流されるわけにはいかぬとばかりにすぐに食って掛かる。
「同意は得られたようですね」
「ああ、有難いことだ」
「本当ですね」
しかし、押し付ける先を決めた者たちが、そんなルイスの言葉に当然取り合うはずもない。ただ、互いに合意が形成できているようで何よりだとそんな話を勝手にして、後は流すだけ。また何か面倒をと言いたげなアイリスの視線も合わせて流し、何のことやらわからぬと首をかしげるファルコに対して、リュディヴィエーヌが何やらそっと話をしていたりもする。アルマに関しては、ある程度知っている流れなのだろう、本人としても行商から男爵にとそんなことを言っていた以上はこうした押しつけというのを散々に見てきたのだろうから。今この場にいる中で、上位の、侍女を含めず上位の者たちがこうして決まったのだと実に朗らかに話しているさまは、彼女にとっては苦々しい記憶では会うのだろうが。
「いや、説明位は流石にしろよ、お前ら」
「説明、ですか」
さて、誰が一番角なくできるのか。それを考えたときに、適任は一人しかおらぬとミリアムとオユキの間で今度は早々に同じ結論に達する。
「では、アベルさん。良しなに」
「元上司ですし、イマノルを選んだのはアベルとも聞いています。説明がなされていなかったというのであれば、ええ、それを行うべきでしょう」
そして、次の押し付け先を決めて、後は知らぬ顔。しかして、余計な時間を空ければ、間違いなく巻き込まれるだろうと考えて。
「ミリアム様は、こちらではどのように」
「そうですね、一先ずは狩猟者ギルドの仕組みづくり、その前段階を調査するために派遣された、そのように」
「畏まりました、では、この先はミリアムさんと」
「ええ、助かります。公然の事ではありますが、やはり今となっては望まぬことではありますから」
さて、その言葉に何故始まりの町にとは思うのだが。
「おそらく話しても伝わらないでしょうが、いえ、もしかすれば」
「理由があっての事、ですか」
「はい。私が離れるというのも、相応に障りがある事ですから。」
「それは、木精があの町から離れることで、不都合がと言う事ですか」
今一つ、要領を得ない言葉、それを考えて質問を返してみれば。
「私だから、ですね。アーサーも同じと言えばいいのでしょうが」
「あの方は、いよいよ初代陛下とは考えていますが」
ポロリと、ミリアムが公然の秘密であったのなら、同様にあの気のいい門番にしてもそうでは無いかと。先だってトモエがオユキに貸与されていた槍を水と癒しに返した。それからしばらくして、あの人物はこれまで剣を基本としていたはずが何やらまた随分と飾り気のない槍を持ったりもしている。
「やっぱり、気が付きますよね、異邦人の方は。姿はすっかりと変えているのですけど」
「その、申し訳ないのですが」
あまりにも、と言えばいいのだろうか。
水と癒しの神殿があり、そこにアーサーなる名前を持つ人物がいる。マビノギオンを読まぬ者たちにしても、少し詳しい物であればすぐに脳裏をよぎるだろう。建国王、建国神話としてあまりにも類型は多いのだが、近くに湖まで作る予定があった等という話まで聞いてしまえば疑うなという方が無理がある。
少しはどうにかと、そんなミリアムの様子ではあるしこうして話している内容はあまり他の者たちに聞こえていないのも事実であるらしい。理解ができている、明らかに耳を傾けているのは王族として当然知らされているだろうアベル、それと何やらオユキと同じ括りにされ始めているアイリス。ファルコも、彼の連れてきている少女たちも。ルイスに至っては、それが当然とばかりにもはや認識も怪しいものだ。こうしてトモエとオユキ、ミリアムが話しているというのに意識が向いていない。彼であれば、間違いなくそんなことをする訳も無いというのに。
「と、すると」
「水と癒しの女神様の事を考えていますか」
「その、似つかわしい意匠を考えよと、そう言われていまして」
「ええと、使命として、そう言われたと言う事ですか」
ミリアムから、また何かを始めるつもりかとそうした警戒も感じるのだが、心外だとそういうしかないものでもある。そもそも明確に使命であったり、試練として与えられたのかと言われれば、その差もわかっていないのだから。これまでの事の中、明確にそう言われたのは戦と武技の神から最初のお使いを言われたことくらい。基本的に、言わずともそう考えるだろうとわかっての事だと、そうした予想はあるにはあるのだが。
「いえ、話がそれてしまいましたが、初代陛下、初代マリーア公爵。そんなお二人が、ロザリア司教も含めて、あの町を大事にというのは」
「マリーア公爵領ではなく、それこそアルゼオ領と今は既に失われた、離反してしまった公爵領、その二つから。当時はまだあった、侯爵領の二つ、伯爵領を七つ切り取って新たな公爵領として確立したわけなのですが」
「それは、また」
如何に王家の姫とはいえ、それは正直さぞ反感を買ったことだろう。
「ええ、それはそれは当時は大変でしたとも。如何に色々と学んだとはいえ、所詮は机上の空論」
そして、ミリアムが昔を、激動の時代であったはずの昔を偲んで。
「本当に、苦労したんですよ。ブルーノと共に、戦力を糾合して、名ばかりの領となり始めていた場所に魔物が近寄れぬ拠点を作って。下手を打てば、始まりの町すら失われる、そうなりそうな時代でしたから」
「時代、時代ですか。よもやとは思いますが」
「ええ、異邦からそれはもうたくさんの方が一度に来た時期も含めて、です」
だとすれば、この人物は間違いなくそれ以前からこの世界にいたことになる。
「その、私の姿を知る異邦の方というのはやはり限られていましたから」
「つまりは、記憶がと」
「本当に、大変でした」
それまでは薄い自意識とでもいう物は確かに持っていた。だが、ある日を境に、あまりに突然にすべてが明確になったのだと。城の奥で日々を当然のように享受していた、そんな者であったはずが突然に意識がはっきりとした。そんな話から始まる、これまでは推測でしかなかったことについて。
ミリアム、本人が言うには、ゲーム時代には既にあった存在。それは初代国王その人も変わらず。
曰く、これまでであれば己の行動というのは、明確な指針が存在していたのだと。それが、意識がはっきりとしたときには、同時に、あまりに突然に失われたのだと。そうなってしまえば、やはり色々と無理が出てくる。これまでは、システム的な都合で解消され続けていた部分。あまりにも足りない人員、日々に行わなければならないはずの業務。そうした設定の上でだけ存在し、自然と回っていた部分というのが突然、あまりにもいびつな形でこの世界に。物流も、以前からシステム的にはそうした概念が実装はされていたのだが現実になってしまえば、それもあまりに不足が出てくることになったのだと。
「当時の陛下は、その、かつての世界の設定として、実に多くの人との関係もありましたから」
「確か、数年に一度新たに離宮をとその様な事がありましたか」
「本人としては、意識の薄い時代であったこともあり明確な自意識を持たれた時には正直、かなりの戸惑いがあったとか。私の母にしても、もう森に帰ってしまいましたし」
全く、自由な気質は木精の悪い癖だと、そうミリアムがただ零す。本人にしてもそうした存在だとは聞いているのだが、確かにルーリエラに以前言われたような特徴がみられない。花精だとそう言われた方がまだ納得は行くのだが。
「私も、普段は隠していますから。オユキさんも、デズモントから渡されたでしょう」
流石に、ここで外すことはしませんがと服の下に今も身に着けているのだと簡単に身振りで示したうえで。
「いえ、そうした話は今後としましょうか、どうやら今となっては届くようですし」
「さて、正確に全てが、それはどうかはわかりませんが」
恐らく、こうしてオユキがこれまでは間違いなく気が付かなかっただろう話、それを聞き取る事ができるようになっているのは魔国の王妃によって奇跡を与えられているからだろう。
「そうですね、隠すべきことは隠しておいた方がよいでしょう」
「おや」
「相応になれていれば、やはり見るだけでわかる類の物です。トモエさんも、オユキさんを経由することで理解はできているでしょう」
「私も、そうですね。はい、これまでは間違いなく聞き取れなかっただろうことが」
どちらかと言えば、ミリアムについても気が付いたのはトモエが先ではあるのだ。二人に与えられた功績、創造神からの物。それがどうした効果を持っているのか。不可分であり、常に並び立つように。要は、しっかりと共有がされる類の物ではあるらしい。余剰の功績にしても、経験にしても。実際には、それぞれの物ではあるのだが。
「それにしても、一応トモエさん、そうですねオユキさんがトモエさんであったときに、一度はお会いしているというのに」
そして、あまりにも意外なといえばいいのだろうか。
「その、確かに先ほどまでの話を聞いていればとは思いますが」
「覚えていない、と。全く、私が受付にいたからこそ、本来であれば未成年のオユキさん、異邦人とはいえ外に出てもよいとしたのですが」
「私が、未成年、ですか」
一応は、こちらに来た時には十五歳と、そんな設定にはなっていたはず。トモエのほうはそれこそ二十歳となってもいた。
「こちらの成人は、十六からですよ」
「ほかに適任はいませんし」
「俺にしても、その心算で選んだからな」
そしてここ暫くの事もあり、やはり装飾を外してしまえば途端にオユキも体調を崩すのだからと早々に寝台に放り込まれることになった。当然そうなれば、眠気というのは常々感じていることもありオユキは速やかに眠りにつくことになる。トモエにしてもそれに合わせて眠ってみれば、明けて翌日。朝食の席に一同が会した時にオユキがルイスをみてそう告げれば同じ結論を得ただろう者たちが一も二も無く賛同する。
「おい」
そして、ルイスにしてもかなり嫌な予感を覚えているのだろう。何が決まったのかはわからないといった顔ではあるのだが、ここでそのまま流されるわけにはいかぬとばかりにすぐに食って掛かる。
「同意は得られたようですね」
「ああ、有難いことだ」
「本当ですね」
しかし、押し付ける先を決めた者たちが、そんなルイスの言葉に当然取り合うはずもない。ただ、互いに合意が形成できているようで何よりだとそんな話を勝手にして、後は流すだけ。また何か面倒をと言いたげなアイリスの視線も合わせて流し、何のことやらわからぬと首をかしげるファルコに対して、リュディヴィエーヌが何やらそっと話をしていたりもする。アルマに関しては、ある程度知っている流れなのだろう、本人としても行商から男爵にとそんなことを言っていた以上はこうした押しつけというのを散々に見てきたのだろうから。今この場にいる中で、上位の、侍女を含めず上位の者たちがこうして決まったのだと実に朗らかに話しているさまは、彼女にとっては苦々しい記憶では会うのだろうが。
「いや、説明位は流石にしろよ、お前ら」
「説明、ですか」
さて、誰が一番角なくできるのか。それを考えたときに、適任は一人しかおらぬとミリアムとオユキの間で今度は早々に同じ結論に達する。
「では、アベルさん。良しなに」
「元上司ですし、イマノルを選んだのはアベルとも聞いています。説明がなされていなかったというのであれば、ええ、それを行うべきでしょう」
そして、次の押し付け先を決めて、後は知らぬ顔。しかして、余計な時間を空ければ、間違いなく巻き込まれるだろうと考えて。
「ミリアム様は、こちらではどのように」
「そうですね、一先ずは狩猟者ギルドの仕組みづくり、その前段階を調査するために派遣された、そのように」
「畏まりました、では、この先はミリアムさんと」
「ええ、助かります。公然の事ではありますが、やはり今となっては望まぬことではありますから」
さて、その言葉に何故始まりの町にとは思うのだが。
「おそらく話しても伝わらないでしょうが、いえ、もしかすれば」
「理由があっての事、ですか」
「はい。私が離れるというのも、相応に障りがある事ですから。」
「それは、木精があの町から離れることで、不都合がと言う事ですか」
今一つ、要領を得ない言葉、それを考えて質問を返してみれば。
「私だから、ですね。アーサーも同じと言えばいいのでしょうが」
「あの方は、いよいよ初代陛下とは考えていますが」
ポロリと、ミリアムが公然の秘密であったのなら、同様にあの気のいい門番にしてもそうでは無いかと。先だってトモエがオユキに貸与されていた槍を水と癒しに返した。それからしばらくして、あの人物はこれまで剣を基本としていたはずが何やらまた随分と飾り気のない槍を持ったりもしている。
「やっぱり、気が付きますよね、異邦人の方は。姿はすっかりと変えているのですけど」
「その、申し訳ないのですが」
あまりにも、と言えばいいのだろうか。
水と癒しの神殿があり、そこにアーサーなる名前を持つ人物がいる。マビノギオンを読まぬ者たちにしても、少し詳しい物であればすぐに脳裏をよぎるだろう。建国王、建国神話としてあまりにも類型は多いのだが、近くに湖まで作る予定があった等という話まで聞いてしまえば疑うなという方が無理がある。
少しはどうにかと、そんなミリアムの様子ではあるしこうして話している内容はあまり他の者たちに聞こえていないのも事実であるらしい。理解ができている、明らかに耳を傾けているのは王族として当然知らされているだろうアベル、それと何やらオユキと同じ括りにされ始めているアイリス。ファルコも、彼の連れてきている少女たちも。ルイスに至っては、それが当然とばかりにもはや認識も怪しいものだ。こうしてトモエとオユキ、ミリアムが話しているというのに意識が向いていない。彼であれば、間違いなくそんなことをする訳も無いというのに。
「と、すると」
「水と癒しの女神様の事を考えていますか」
「その、似つかわしい意匠を考えよと、そう言われていまして」
「ええと、使命として、そう言われたと言う事ですか」
ミリアムから、また何かを始めるつもりかとそうした警戒も感じるのだが、心外だとそういうしかないものでもある。そもそも明確に使命であったり、試練として与えられたのかと言われれば、その差もわかっていないのだから。これまでの事の中、明確にそう言われたのは戦と武技の神から最初のお使いを言われたことくらい。基本的に、言わずともそう考えるだろうとわかっての事だと、そうした予想はあるにはあるのだが。
「いえ、話がそれてしまいましたが、初代陛下、初代マリーア公爵。そんなお二人が、ロザリア司教も含めて、あの町を大事にというのは」
「マリーア公爵領ではなく、それこそアルゼオ領と今は既に失われた、離反してしまった公爵領、その二つから。当時はまだあった、侯爵領の二つ、伯爵領を七つ切り取って新たな公爵領として確立したわけなのですが」
「それは、また」
如何に王家の姫とはいえ、それは正直さぞ反感を買ったことだろう。
「ええ、それはそれは当時は大変でしたとも。如何に色々と学んだとはいえ、所詮は机上の空論」
そして、ミリアムが昔を、激動の時代であったはずの昔を偲んで。
「本当に、苦労したんですよ。ブルーノと共に、戦力を糾合して、名ばかりの領となり始めていた場所に魔物が近寄れぬ拠点を作って。下手を打てば、始まりの町すら失われる、そうなりそうな時代でしたから」
「時代、時代ですか。よもやとは思いますが」
「ええ、異邦からそれはもうたくさんの方が一度に来た時期も含めて、です」
だとすれば、この人物は間違いなくそれ以前からこの世界にいたことになる。
「その、私の姿を知る異邦の方というのはやはり限られていましたから」
「つまりは、記憶がと」
「本当に、大変でした」
それまでは薄い自意識とでもいう物は確かに持っていた。だが、ある日を境に、あまりに突然にすべてが明確になったのだと。城の奥で日々を当然のように享受していた、そんな者であったはずが突然に意識がはっきりとした。そんな話から始まる、これまでは推測でしかなかったことについて。
ミリアム、本人が言うには、ゲーム時代には既にあった存在。それは初代国王その人も変わらず。
曰く、これまでであれば己の行動というのは、明確な指針が存在していたのだと。それが、意識がはっきりとしたときには、同時に、あまりに突然に失われたのだと。そうなってしまえば、やはり色々と無理が出てくる。これまでは、システム的な都合で解消され続けていた部分。あまりにも足りない人員、日々に行わなければならないはずの業務。そうした設定の上でだけ存在し、自然と回っていた部分というのが突然、あまりにもいびつな形でこの世界に。物流も、以前からシステム的にはそうした概念が実装はされていたのだが現実になってしまえば、それもあまりに不足が出てくることになったのだと。
「当時の陛下は、その、かつての世界の設定として、実に多くの人との関係もありましたから」
「確か、数年に一度新たに離宮をとその様な事がありましたか」
「本人としては、意識の薄い時代であったこともあり明確な自意識を持たれた時には正直、かなりの戸惑いがあったとか。私の母にしても、もう森に帰ってしまいましたし」
全く、自由な気質は木精の悪い癖だと、そうミリアムがただ零す。本人にしてもそうした存在だとは聞いているのだが、確かにルーリエラに以前言われたような特徴がみられない。花精だとそう言われた方がまだ納得は行くのだが。
「私も、普段は隠していますから。オユキさんも、デズモントから渡されたでしょう」
流石に、ここで外すことはしませんがと服の下に今も身に着けているのだと簡単に身振りで示したうえで。
「いえ、そうした話は今後としましょうか、どうやら今となっては届くようですし」
「さて、正確に全てが、それはどうかはわかりませんが」
恐らく、こうしてオユキがこれまでは間違いなく気が付かなかっただろう話、それを聞き取る事ができるようになっているのは魔国の王妃によって奇跡を与えられているからだろう。
「そうですね、隠すべきことは隠しておいた方がよいでしょう」
「おや」
「相応になれていれば、やはり見るだけでわかる類の物です。トモエさんも、オユキさんを経由することで理解はできているでしょう」
「私も、そうですね。はい、これまでは間違いなく聞き取れなかっただろうことが」
どちらかと言えば、ミリアムについても気が付いたのはトモエが先ではあるのだ。二人に与えられた功績、創造神からの物。それがどうした効果を持っているのか。不可分であり、常に並び立つように。要は、しっかりと共有がされる類の物ではあるらしい。余剰の功績にしても、経験にしても。実際には、それぞれの物ではあるのだが。
「それにしても、一応トモエさん、そうですねオユキさんがトモエさんであったときに、一度はお会いしているというのに」
そして、あまりにも意外なといえばいいのだろうか。
「その、確かに先ほどまでの話を聞いていればとは思いますが」
「覚えていない、と。全く、私が受付にいたからこそ、本来であれば未成年のオユキさん、異邦人とはいえ外に出てもよいとしたのですが」
「私が、未成年、ですか」
一応は、こちらに来た時には十五歳と、そんな設定にはなっていたはず。トモエのほうはそれこそ二十歳となってもいた。
「こちらの成人は、十六からですよ」
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