875 / 1,235
26章 魔国へ
オユキとしては
しおりを挟む
セシリアについて、はっきりときな臭い話を聞いたこともある。まだまだ準備に時間がかかりそうだと、どうにもそうした話であるらしい。しかし、先方としてはそれはそれは急いでいることだろう。
「成程、では、私たちが先に向かう事としましょう」
それを求められているらしい、ここまでの流れでオユキはそれをひしひしと感じている。随分と気やすく隣国の王妃がオユキの、ファンタズマ子爵家に訪れたことから初めて、ここまで己の周囲を固めるような、そうした振る舞いをするのは他に理由もなかろうと。ならば、公爵までもがそれを望むというのであれば多少の不安はあれど。
「そうしてもらえると、まぁ、助かるものが多い」
「さて、差し当って、初期の同行者をどうするのかと、そうした話になりますが」
さて、さっさと移動をすると決め込むのはいいのだが、そうなると同行者というのが難しい。アベルは、アイリスもなのだが流石にしばらくこちらに残っていなければならない。壮行式、要は風翼の門をそれぞれの使者が運ぶときにそれぞれに縁がある者がいるため、残っていなければならないだろう。他の人間、ルイスはどうかと言えばこちらは間違いなく未だ何も聞いてはいまい。そして、少年たちのほうもいつ始まりの町に戻ろうかとそうした話をしているのだから。
「シェリアにはついてきて貰うとして、後はカナリアさんと、彼女の頼むイリアさんですか」
「侍女については、タルヤも連れてとなるだろう」
「良いのですか」
「どうにも、それが良いだろうとそうした話もあってな。ローレンツ卿と、後はその方も知己を得たはずだが」
言われて、セグレ子爵夫人を思い出す。確かに、既に子爵家としてもはや維持もできないからと、そうした覚悟の話は聞いていはしたのだが。
「うむ。既に決まった。改易の話にしても、どうにも本人としてはすべてを神国に返すとそのような話でな。いらぬ横槍を避けるためにも」
「であれば、そうですか」
法律上と言えばいいのだろうか、現状間違いなく長らく夫婦としてあった老年の二人。加えて、そのうちの片方が長年の懸想を叶えついには一つの結果を得た相手と。間違いなく、その子供にしても一緒にと言う事になるのだろうが。
「オユキも、セグレ子爵夫人に学ぶところは多いでしょう」
「それは、ええ、先達として学ぶつもりはありますが」
「セグレ子爵夫人は、ああ見えて子爵家の一切を一人で取り仕切っていたこともあります」
「それは、カレンも喜びそうなものですが、そうなると色々難しいと言いますか」
「相談役と、そうしておくしかあるまいよ。後見の席は既に我が持って居る故な」
つまりは、カレンの助けとしてつける人員。生憎と、本来であれば自由であったはずのゲラルドはメイに任せなければならないことが多すぎるため、他の手配が必要になったとそう言う事らしい。では、ミズキリの手によって王都にとなったはずの人物はと言えば。
「言いたいことはわかるのだがな」
「その、ユフィさんは」
ユーフォリアの話が、ここに至って出ないのはさてどういった理屈かと。
「その方の手元に戻したい、それは本気でそう考えているのだが」
「ああ」
「そうなのだ、今戻してしまえば立ち行かぬことがあまりに増える」
ユーフォリアは、事調整という意味では群を抜いて優秀だ。そこから派生して、状況を整えるという行為に対しても、尋常ではない能力を見せる。いったい、どうやってと、まともな道具もなくどうやってそれだけの情報を処理するのかと以前にも訪ねてみたものだが、単純な日程管理程度は頭の中にカレンダーを置けば誰でもできるとそんな話が返ってきた。寧ろ相手からはオユキのように、ミズキリのように。先の目標に対して徹底してその到達を実現するための指標を積み上げていく思考法というのはどうなっているのかとそんなことを聞かれたものだ。
「本当に、申し訳ないとは思っているし、本人からも早くと言われているのだが」
「ユフィさんが、納得しての事であればとは思いますが」
「納得はしていると、そうした発言は本人からは一応得ている。その方に合わぬ様にというのも、本人からな」
要は、会ってしまえばとそう言う事であるらしい。
「その、私としましては」
「わかっているのだがな、正直取り上げすぎだということくらいな」
ミズキリも、国王陛下その人も。マリーア公爵だけではなく、ユーフォリアを己の部下として、抱え込みたい人間にそれはもう容赦のない圧をかけているらしい。ただ、それをはねのけてでも、寧ろそちらが既に主題になっているのだろうが、それでも今は手放せないとそうなってしまっているらしい。
「突然現れた異邦人、そんな者が今となっては両国の外交の中心、引いては今後の外交政策を担う組織の上から二番目、そんな話を聞いてその方はどう思うかね」
「ええと、ユフィさんは、こちらでもお元気なようで」
「そんな能力を一個人の、一子爵家の為に使いたいとそれはもう頻繁に零しておる」
有難いと思う反面、オユキとしては非常に期待が重いなと。トモエは、変わらないと笑ってはいるのだが、オユキからしてみれば此処までではなかったはずだとそんな印象。
「正直なところを言うのだがな」
「私たちの周囲の人員、ですか」
「うむ。取り上げたいと、そう考えるものがあまりに多い。その方らにしても、だな」
公爵の溜息は重く、公爵夫人にしても。
「トモエにしても、もはや言うまでも無い。先の狩猟においては、神国にはほとんど存在せぬ魔術、いや奇跡だったかを使い、随分と評価を上げた」
「オユキ、貴女にしてもです。巫女として、子爵家の女当主として教育がと」
「家を分けよと、そのような話ですか」
オユキは、ここまで公爵が抑えてくれていただろう雑音、想定の範囲ではあるそれを改めて口にされてやはり苛立ちが募る。
「そうした雑音の一切は我らがどうにかする、しかしそれ以外の部分ともなると」
「引き抜きという部分では、当人同士の納得があれば、まぁ、私としても納得は行きますが」
それこそ、ヴィルヘルミナにアルノーに、派手に目立つ存在が確かにいる。そして、そうした人員に対してオユキよりもよりよい条件をと提示して、当人がそれを受け入れるのであればオユキとしても否は無い。
「その方は、話し合いの場を与えるつもりがあるのかね」
「言われてみれば、確かにと言う所ですか」
そうであれば、話は変わるのだがと公爵が少しオユキに対して強めの口調で。要は、今人員を抱えているのはオユキだ。内実がどれだけ違ったとして、外からは当然そう見える。つまるところ、交渉相手はこの場合それぞれの個人ではなくオユキとなる。このあたりは、いよいよオユキの理解の外であったことでもあり、こうして言われてようやくという物だ。ヘッドハンティング、引き抜き工作、それらはこの世界ではあまりにも難しい。話を通さなければいけない相手というのが、どうしても大仰になりすぎる。
「オユキ、貴女が良しと言えば交渉に出てくるのはまずは王妃様からですよ」
「厄介な」
それに気が付いたオユキが、ではある程度場だけを用意して、それこそあとは当人たちでとする心算ではあったのだが。王妃からとなると、準備の手間もかかれば取り上げる代わりに補填をとそうした話にもなってくる。
「つまりは、今しばらくはとそう言う事か」
「ええ、その方が良いでしょう。成程、それもあって一度隣国に身をと言う事ですか。以前、リース伯爵夫人から少しだけ聞きましたが、今後はそうした余裕もと言う事ですか」
「人が増える、既に上限がない。マルコであったか、その方が頼んでいる相手は」
「ええ」
曰く、マルコと同じ眼を持つものはいないのだが、それでも似たことが出来ないものが居ないというわけではない。既に、妊娠者というのはこの王都でも、領都でもかなりの数に上っていると言う事らしい。貴族たちの中でも相応に、何より多いのは当然数の多い平民たち。経済活動を支える圧倒的多数が、既にそうなっているのだと。それに対する対策として、今も王都は魔物の討伐に関して、すぐにでも、可能な限り積極的にとお触れを出し、騎士団を動員してと忙しない。ただ、そうなると今度は医薬品の不足が加速して。やむなしとばかりに、未だに効果も明確にわかっていない癒しの奇跡が込められた水に頼ってとそれはそれはなかなかの悪循環と言う事らしい。それを改善するためにも、広域の殲滅ができるもの、要は魔術に長けた者たちというのが今は求められているらしい。日々の生産にしても、魔道具が、より便利な道具がなければとそれほどにこの国は今色々と慌てなければならない状況なのだと。
「理解はしていた、最低限の備えは行った、しかし現実はやはり」
「ええ、どうやらそれ以上と言う事なのでしょう」
「魂の薄い子供、それはどの程度となるのでしょうか」
「そればかりはわからぬよ、不安はないと、そのような話を、御言葉を頂いたとは聞いているのだが」
結局のところ、疑うわけではないのだが神々と人の尺度があまりに違う所に問題があるのだと。問題がない、それが何を差しているのかもいくらでも解釈の余地がある。人が協力して、現状もてるものを使ってどうにか解決できるのか、それとも。
「隣国だけかと思えば、神国も相応に」
そして、それがようやく理解できたとばかりにトモエが呟けば。
「問題など、何処にでもある。軽重を論ずることに、意味などあるまいよ」
「一応、存亡の危機ではなく、今後の発展の為に解消すべき課題と言えばいいのでしょうか」
「無論、舵取りを間違えれば民心は離れる、その結果など正直想像もしたくないのだがな」
「ですが、やらねばならぬでしょうとも。既に必要な手助けは、多くの加護を我が国は得たのですから」
最も問題となるだろう、飢え、それを解消するための手立ては存在している。それを求めて、王都とマリーア公爵領にかなりの人口が移動したという話もちらほらと聞いている。住居に関しても、幸い生前の世界と違って原材料は、そう原材料はどうとでもなる。
「隣国に、加工の手立てとなりそうな技術が既にあればいいのですが」
「ファルコも、今回はその方らに任せる。良く使ってくれ」
「あの、今は始まりの町で、彼が選んだ子たちと」
「それについては、既に指示も出している」
要は、後任を選んで、もしくはその中からも幾人かを連れてと。
「成程、では、私たちが先に向かう事としましょう」
それを求められているらしい、ここまでの流れでオユキはそれをひしひしと感じている。随分と気やすく隣国の王妃がオユキの、ファンタズマ子爵家に訪れたことから初めて、ここまで己の周囲を固めるような、そうした振る舞いをするのは他に理由もなかろうと。ならば、公爵までもがそれを望むというのであれば多少の不安はあれど。
「そうしてもらえると、まぁ、助かるものが多い」
「さて、差し当って、初期の同行者をどうするのかと、そうした話になりますが」
さて、さっさと移動をすると決め込むのはいいのだが、そうなると同行者というのが難しい。アベルは、アイリスもなのだが流石にしばらくこちらに残っていなければならない。壮行式、要は風翼の門をそれぞれの使者が運ぶときにそれぞれに縁がある者がいるため、残っていなければならないだろう。他の人間、ルイスはどうかと言えばこちらは間違いなく未だ何も聞いてはいまい。そして、少年たちのほうもいつ始まりの町に戻ろうかとそうした話をしているのだから。
「シェリアにはついてきて貰うとして、後はカナリアさんと、彼女の頼むイリアさんですか」
「侍女については、タルヤも連れてとなるだろう」
「良いのですか」
「どうにも、それが良いだろうとそうした話もあってな。ローレンツ卿と、後はその方も知己を得たはずだが」
言われて、セグレ子爵夫人を思い出す。確かに、既に子爵家としてもはや維持もできないからと、そうした覚悟の話は聞いていはしたのだが。
「うむ。既に決まった。改易の話にしても、どうにも本人としてはすべてを神国に返すとそのような話でな。いらぬ横槍を避けるためにも」
「であれば、そうですか」
法律上と言えばいいのだろうか、現状間違いなく長らく夫婦としてあった老年の二人。加えて、そのうちの片方が長年の懸想を叶えついには一つの結果を得た相手と。間違いなく、その子供にしても一緒にと言う事になるのだろうが。
「オユキも、セグレ子爵夫人に学ぶところは多いでしょう」
「それは、ええ、先達として学ぶつもりはありますが」
「セグレ子爵夫人は、ああ見えて子爵家の一切を一人で取り仕切っていたこともあります」
「それは、カレンも喜びそうなものですが、そうなると色々難しいと言いますか」
「相談役と、そうしておくしかあるまいよ。後見の席は既に我が持って居る故な」
つまりは、カレンの助けとしてつける人員。生憎と、本来であれば自由であったはずのゲラルドはメイに任せなければならないことが多すぎるため、他の手配が必要になったとそう言う事らしい。では、ミズキリの手によって王都にとなったはずの人物はと言えば。
「言いたいことはわかるのだがな」
「その、ユフィさんは」
ユーフォリアの話が、ここに至って出ないのはさてどういった理屈かと。
「その方の手元に戻したい、それは本気でそう考えているのだが」
「ああ」
「そうなのだ、今戻してしまえば立ち行かぬことがあまりに増える」
ユーフォリアは、事調整という意味では群を抜いて優秀だ。そこから派生して、状況を整えるという行為に対しても、尋常ではない能力を見せる。いったい、どうやってと、まともな道具もなくどうやってそれだけの情報を処理するのかと以前にも訪ねてみたものだが、単純な日程管理程度は頭の中にカレンダーを置けば誰でもできるとそんな話が返ってきた。寧ろ相手からはオユキのように、ミズキリのように。先の目標に対して徹底してその到達を実現するための指標を積み上げていく思考法というのはどうなっているのかとそんなことを聞かれたものだ。
「本当に、申し訳ないとは思っているし、本人からも早くと言われているのだが」
「ユフィさんが、納得しての事であればとは思いますが」
「納得はしていると、そうした発言は本人からは一応得ている。その方に合わぬ様にというのも、本人からな」
要は、会ってしまえばとそう言う事であるらしい。
「その、私としましては」
「わかっているのだがな、正直取り上げすぎだということくらいな」
ミズキリも、国王陛下その人も。マリーア公爵だけではなく、ユーフォリアを己の部下として、抱え込みたい人間にそれはもう容赦のない圧をかけているらしい。ただ、それをはねのけてでも、寧ろそちらが既に主題になっているのだろうが、それでも今は手放せないとそうなってしまっているらしい。
「突然現れた異邦人、そんな者が今となっては両国の外交の中心、引いては今後の外交政策を担う組織の上から二番目、そんな話を聞いてその方はどう思うかね」
「ええと、ユフィさんは、こちらでもお元気なようで」
「そんな能力を一個人の、一子爵家の為に使いたいとそれはもう頻繁に零しておる」
有難いと思う反面、オユキとしては非常に期待が重いなと。トモエは、変わらないと笑ってはいるのだが、オユキからしてみれば此処までではなかったはずだとそんな印象。
「正直なところを言うのだがな」
「私たちの周囲の人員、ですか」
「うむ。取り上げたいと、そう考えるものがあまりに多い。その方らにしても、だな」
公爵の溜息は重く、公爵夫人にしても。
「トモエにしても、もはや言うまでも無い。先の狩猟においては、神国にはほとんど存在せぬ魔術、いや奇跡だったかを使い、随分と評価を上げた」
「オユキ、貴女にしてもです。巫女として、子爵家の女当主として教育がと」
「家を分けよと、そのような話ですか」
オユキは、ここまで公爵が抑えてくれていただろう雑音、想定の範囲ではあるそれを改めて口にされてやはり苛立ちが募る。
「そうした雑音の一切は我らがどうにかする、しかしそれ以外の部分ともなると」
「引き抜きという部分では、当人同士の納得があれば、まぁ、私としても納得は行きますが」
それこそ、ヴィルヘルミナにアルノーに、派手に目立つ存在が確かにいる。そして、そうした人員に対してオユキよりもよりよい条件をと提示して、当人がそれを受け入れるのであればオユキとしても否は無い。
「その方は、話し合いの場を与えるつもりがあるのかね」
「言われてみれば、確かにと言う所ですか」
そうであれば、話は変わるのだがと公爵が少しオユキに対して強めの口調で。要は、今人員を抱えているのはオユキだ。内実がどれだけ違ったとして、外からは当然そう見える。つまるところ、交渉相手はこの場合それぞれの個人ではなくオユキとなる。このあたりは、いよいよオユキの理解の外であったことでもあり、こうして言われてようやくという物だ。ヘッドハンティング、引き抜き工作、それらはこの世界ではあまりにも難しい。話を通さなければいけない相手というのが、どうしても大仰になりすぎる。
「オユキ、貴女が良しと言えば交渉に出てくるのはまずは王妃様からですよ」
「厄介な」
それに気が付いたオユキが、ではある程度場だけを用意して、それこそあとは当人たちでとする心算ではあったのだが。王妃からとなると、準備の手間もかかれば取り上げる代わりに補填をとそうした話にもなってくる。
「つまりは、今しばらくはとそう言う事か」
「ええ、その方が良いでしょう。成程、それもあって一度隣国に身をと言う事ですか。以前、リース伯爵夫人から少しだけ聞きましたが、今後はそうした余裕もと言う事ですか」
「人が増える、既に上限がない。マルコであったか、その方が頼んでいる相手は」
「ええ」
曰く、マルコと同じ眼を持つものはいないのだが、それでも似たことが出来ないものが居ないというわけではない。既に、妊娠者というのはこの王都でも、領都でもかなりの数に上っていると言う事らしい。貴族たちの中でも相応に、何より多いのは当然数の多い平民たち。経済活動を支える圧倒的多数が、既にそうなっているのだと。それに対する対策として、今も王都は魔物の討伐に関して、すぐにでも、可能な限り積極的にとお触れを出し、騎士団を動員してと忙しない。ただ、そうなると今度は医薬品の不足が加速して。やむなしとばかりに、未だに効果も明確にわかっていない癒しの奇跡が込められた水に頼ってとそれはそれはなかなかの悪循環と言う事らしい。それを改善するためにも、広域の殲滅ができるもの、要は魔術に長けた者たちというのが今は求められているらしい。日々の生産にしても、魔道具が、より便利な道具がなければとそれほどにこの国は今色々と慌てなければならない状況なのだと。
「理解はしていた、最低限の備えは行った、しかし現実はやはり」
「ええ、どうやらそれ以上と言う事なのでしょう」
「魂の薄い子供、それはどの程度となるのでしょうか」
「そればかりはわからぬよ、不安はないと、そのような話を、御言葉を頂いたとは聞いているのだが」
結局のところ、疑うわけではないのだが神々と人の尺度があまりに違う所に問題があるのだと。問題がない、それが何を差しているのかもいくらでも解釈の余地がある。人が協力して、現状もてるものを使ってどうにか解決できるのか、それとも。
「隣国だけかと思えば、神国も相応に」
そして、それがようやく理解できたとばかりにトモエが呟けば。
「問題など、何処にでもある。軽重を論ずることに、意味などあるまいよ」
「一応、存亡の危機ではなく、今後の発展の為に解消すべき課題と言えばいいのでしょうか」
「無論、舵取りを間違えれば民心は離れる、その結果など正直想像もしたくないのだがな」
「ですが、やらねばならぬでしょうとも。既に必要な手助けは、多くの加護を我が国は得たのですから」
最も問題となるだろう、飢え、それを解消するための手立ては存在している。それを求めて、王都とマリーア公爵領にかなりの人口が移動したという話もちらほらと聞いている。住居に関しても、幸い生前の世界と違って原材料は、そう原材料はどうとでもなる。
「隣国に、加工の手立てとなりそうな技術が既にあればいいのですが」
「ファルコも、今回はその方らに任せる。良く使ってくれ」
「あの、今は始まりの町で、彼が選んだ子たちと」
「それについては、既に指示も出している」
要は、後任を選んで、もしくはその中からも幾人かを連れてと。
0
お気に入りに追加
455
あなたにおすすめの小説

称号は神を土下座させた男。
春志乃
ファンタジー
「真尋くん! その人、そんなんだけど一応神様だよ! 偉い人なんだよ!」
「知るか。俺は常識を持ち合わせないクズにかける慈悲を持ち合わせてない。それにどうやら俺は死んだらしいのだから、刑務所も警察も法も無い。今ここでこいつを殺そうが生かそうが俺の自由だ。あいつが居ないなら地獄に落ちても同じだ。なあ、そうだろう? ティーンクトゥス」
「す、す、す、す、す、すみませんでしたあぁあああああああ!」
これは、馬鹿だけど憎み切れない神様ティーンクトゥスの為に剣と魔法、そして魔獣たちの息づくアーテル王国でチートが過ぎる男子高校生・水無月真尋が無自覚チートの親友・鈴木一路と共に神様の為と言いながら好き勝手に生きていく物語。
主人公は一途に幼馴染(女性)を想い続けます。話はゆっくり進んでいきます。
※教会、神父、などが出てきますが実在するものとは一切関係ありません。
※対応できない可能性がありますので、誤字脱字報告は不要です。
※無断転載は厳に禁じます

転生したら神だった。どうすんの?
埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの?
人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

異世界でのんびり暮らしたい!?
日向墨虎
ファンタジー
前世は孫もいるおばちゃんが剣と魔法の異世界に転生した。しかも男の子。侯爵家の三男として成長していく。家族や周りの人たちが大好きでとても大切に思っている。家族も彼を溺愛している。なんにでも興味を持ち、改造したり創造したり、貴族社会の陰謀や事件に巻き込まれたりとやたらと忙しい。学校で仲間ができたり、冒険したりと本人はゆっくり暮らしたいのに・・・無理なのかなぁ?

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが……
アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。
そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。
実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。
剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。
アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)
いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。
---------
掲載は不定期になります。
追記
「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。
お知らせ
カクヨム様でも掲載中です。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

オタクおばさん転生する
ゆるりこ
ファンタジー
マンガとゲームと小説を、ゆるーく愛するおばさんがいぬの散歩中に異世界召喚に巻き込まれて転生した。
天使(見習い)さんにいろいろいただいて犬と共に森の中でのんびり暮そうと思っていたけど、いただいたものが思ったより強大な力だったためいろいろ予定が狂ってしまい、勇者さん達を回収しつつ奔走するお話になりそうです。
投稿ものんびりです。(なろうでも投稿しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる