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26章 魔国へ
オユキとしては
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セシリアについて、はっきりときな臭い話を聞いたこともある。まだまだ準備に時間がかかりそうだと、どうにもそうした話であるらしい。しかし、先方としてはそれはそれは急いでいることだろう。
「成程、では、私たちが先に向かう事としましょう」
それを求められているらしい、ここまでの流れでオユキはそれをひしひしと感じている。随分と気やすく隣国の王妃がオユキの、ファンタズマ子爵家に訪れたことから初めて、ここまで己の周囲を固めるような、そうした振る舞いをするのは他に理由もなかろうと。ならば、公爵までもがそれを望むというのであれば多少の不安はあれど。
「そうしてもらえると、まぁ、助かるものが多い」
「さて、差し当って、初期の同行者をどうするのかと、そうした話になりますが」
さて、さっさと移動をすると決め込むのはいいのだが、そうなると同行者というのが難しい。アベルは、アイリスもなのだが流石にしばらくこちらに残っていなければならない。壮行式、要は風翼の門をそれぞれの使者が運ぶときにそれぞれに縁がある者がいるため、残っていなければならないだろう。他の人間、ルイスはどうかと言えばこちらは間違いなく未だ何も聞いてはいまい。そして、少年たちのほうもいつ始まりの町に戻ろうかとそうした話をしているのだから。
「シェリアにはついてきて貰うとして、後はカナリアさんと、彼女の頼むイリアさんですか」
「侍女については、タルヤも連れてとなるだろう」
「良いのですか」
「どうにも、それが良いだろうとそうした話もあってな。ローレンツ卿と、後はその方も知己を得たはずだが」
言われて、セグレ子爵夫人を思い出す。確かに、既に子爵家としてもはや維持もできないからと、そうした覚悟の話は聞いていはしたのだが。
「うむ。既に決まった。改易の話にしても、どうにも本人としてはすべてを神国に返すとそのような話でな。いらぬ横槍を避けるためにも」
「であれば、そうですか」
法律上と言えばいいのだろうか、現状間違いなく長らく夫婦としてあった老年の二人。加えて、そのうちの片方が長年の懸想を叶えついには一つの結果を得た相手と。間違いなく、その子供にしても一緒にと言う事になるのだろうが。
「オユキも、セグレ子爵夫人に学ぶところは多いでしょう」
「それは、ええ、先達として学ぶつもりはありますが」
「セグレ子爵夫人は、ああ見えて子爵家の一切を一人で取り仕切っていたこともあります」
「それは、カレンも喜びそうなものですが、そうなると色々難しいと言いますか」
「相談役と、そうしておくしかあるまいよ。後見の席は既に我が持って居る故な」
つまりは、カレンの助けとしてつける人員。生憎と、本来であれば自由であったはずのゲラルドはメイに任せなければならないことが多すぎるため、他の手配が必要になったとそう言う事らしい。では、ミズキリの手によって王都にとなったはずの人物はと言えば。
「言いたいことはわかるのだがな」
「その、ユフィさんは」
ユーフォリアの話が、ここに至って出ないのはさてどういった理屈かと。
「その方の手元に戻したい、それは本気でそう考えているのだが」
「ああ」
「そうなのだ、今戻してしまえば立ち行かぬことがあまりに増える」
ユーフォリアは、事調整という意味では群を抜いて優秀だ。そこから派生して、状況を整えるという行為に対しても、尋常ではない能力を見せる。いったい、どうやってと、まともな道具もなくどうやってそれだけの情報を処理するのかと以前にも訪ねてみたものだが、単純な日程管理程度は頭の中にカレンダーを置けば誰でもできるとそんな話が返ってきた。寧ろ相手からはオユキのように、ミズキリのように。先の目標に対して徹底してその到達を実現するための指標を積み上げていく思考法というのはどうなっているのかとそんなことを聞かれたものだ。
「本当に、申し訳ないとは思っているし、本人からも早くと言われているのだが」
「ユフィさんが、納得しての事であればとは思いますが」
「納得はしていると、そうした発言は本人からは一応得ている。その方に合わぬ様にというのも、本人からな」
要は、会ってしまえばとそう言う事であるらしい。
「その、私としましては」
「わかっているのだがな、正直取り上げすぎだということくらいな」
ミズキリも、国王陛下その人も。マリーア公爵だけではなく、ユーフォリアを己の部下として、抱え込みたい人間にそれはもう容赦のない圧をかけているらしい。ただ、それをはねのけてでも、寧ろそちらが既に主題になっているのだろうが、それでも今は手放せないとそうなってしまっているらしい。
「突然現れた異邦人、そんな者が今となっては両国の外交の中心、引いては今後の外交政策を担う組織の上から二番目、そんな話を聞いてその方はどう思うかね」
「ええと、ユフィさんは、こちらでもお元気なようで」
「そんな能力を一個人の、一子爵家の為に使いたいとそれはもう頻繁に零しておる」
有難いと思う反面、オユキとしては非常に期待が重いなと。トモエは、変わらないと笑ってはいるのだが、オユキからしてみれば此処までではなかったはずだとそんな印象。
「正直なところを言うのだがな」
「私たちの周囲の人員、ですか」
「うむ。取り上げたいと、そう考えるものがあまりに多い。その方らにしても、だな」
公爵の溜息は重く、公爵夫人にしても。
「トモエにしても、もはや言うまでも無い。先の狩猟においては、神国にはほとんど存在せぬ魔術、いや奇跡だったかを使い、随分と評価を上げた」
「オユキ、貴女にしてもです。巫女として、子爵家の女当主として教育がと」
「家を分けよと、そのような話ですか」
オユキは、ここまで公爵が抑えてくれていただろう雑音、想定の範囲ではあるそれを改めて口にされてやはり苛立ちが募る。
「そうした雑音の一切は我らがどうにかする、しかしそれ以外の部分ともなると」
「引き抜きという部分では、当人同士の納得があれば、まぁ、私としても納得は行きますが」
それこそ、ヴィルヘルミナにアルノーに、派手に目立つ存在が確かにいる。そして、そうした人員に対してオユキよりもよりよい条件をと提示して、当人がそれを受け入れるのであればオユキとしても否は無い。
「その方は、話し合いの場を与えるつもりがあるのかね」
「言われてみれば、確かにと言う所ですか」
そうであれば、話は変わるのだがと公爵が少しオユキに対して強めの口調で。要は、今人員を抱えているのはオユキだ。内実がどれだけ違ったとして、外からは当然そう見える。つまるところ、交渉相手はこの場合それぞれの個人ではなくオユキとなる。このあたりは、いよいよオユキの理解の外であったことでもあり、こうして言われてようやくという物だ。ヘッドハンティング、引き抜き工作、それらはこの世界ではあまりにも難しい。話を通さなければいけない相手というのが、どうしても大仰になりすぎる。
「オユキ、貴女が良しと言えば交渉に出てくるのはまずは王妃様からですよ」
「厄介な」
それに気が付いたオユキが、ではある程度場だけを用意して、それこそあとは当人たちでとする心算ではあったのだが。王妃からとなると、準備の手間もかかれば取り上げる代わりに補填をとそうした話にもなってくる。
「つまりは、今しばらくはとそう言う事か」
「ええ、その方が良いでしょう。成程、それもあって一度隣国に身をと言う事ですか。以前、リース伯爵夫人から少しだけ聞きましたが、今後はそうした余裕もと言う事ですか」
「人が増える、既に上限がない。マルコであったか、その方が頼んでいる相手は」
「ええ」
曰く、マルコと同じ眼を持つものはいないのだが、それでも似たことが出来ないものが居ないというわけではない。既に、妊娠者というのはこの王都でも、領都でもかなりの数に上っていると言う事らしい。貴族たちの中でも相応に、何より多いのは当然数の多い平民たち。経済活動を支える圧倒的多数が、既にそうなっているのだと。それに対する対策として、今も王都は魔物の討伐に関して、すぐにでも、可能な限り積極的にとお触れを出し、騎士団を動員してと忙しない。ただ、そうなると今度は医薬品の不足が加速して。やむなしとばかりに、未だに効果も明確にわかっていない癒しの奇跡が込められた水に頼ってとそれはそれはなかなかの悪循環と言う事らしい。それを改善するためにも、広域の殲滅ができるもの、要は魔術に長けた者たちというのが今は求められているらしい。日々の生産にしても、魔道具が、より便利な道具がなければとそれほどにこの国は今色々と慌てなければならない状況なのだと。
「理解はしていた、最低限の備えは行った、しかし現実はやはり」
「ええ、どうやらそれ以上と言う事なのでしょう」
「魂の薄い子供、それはどの程度となるのでしょうか」
「そればかりはわからぬよ、不安はないと、そのような話を、御言葉を頂いたとは聞いているのだが」
結局のところ、疑うわけではないのだが神々と人の尺度があまりに違う所に問題があるのだと。問題がない、それが何を差しているのかもいくらでも解釈の余地がある。人が協力して、現状もてるものを使ってどうにか解決できるのか、それとも。
「隣国だけかと思えば、神国も相応に」
そして、それがようやく理解できたとばかりにトモエが呟けば。
「問題など、何処にでもある。軽重を論ずることに、意味などあるまいよ」
「一応、存亡の危機ではなく、今後の発展の為に解消すべき課題と言えばいいのでしょうか」
「無論、舵取りを間違えれば民心は離れる、その結果など正直想像もしたくないのだがな」
「ですが、やらねばならぬでしょうとも。既に必要な手助けは、多くの加護を我が国は得たのですから」
最も問題となるだろう、飢え、それを解消するための手立ては存在している。それを求めて、王都とマリーア公爵領にかなりの人口が移動したという話もちらほらと聞いている。住居に関しても、幸い生前の世界と違って原材料は、そう原材料はどうとでもなる。
「隣国に、加工の手立てとなりそうな技術が既にあればいいのですが」
「ファルコも、今回はその方らに任せる。良く使ってくれ」
「あの、今は始まりの町で、彼が選んだ子たちと」
「それについては、既に指示も出している」
要は、後任を選んで、もしくはその中からも幾人かを連れてと。
「成程、では、私たちが先に向かう事としましょう」
それを求められているらしい、ここまでの流れでオユキはそれをひしひしと感じている。随分と気やすく隣国の王妃がオユキの、ファンタズマ子爵家に訪れたことから初めて、ここまで己の周囲を固めるような、そうした振る舞いをするのは他に理由もなかろうと。ならば、公爵までもがそれを望むというのであれば多少の不安はあれど。
「そうしてもらえると、まぁ、助かるものが多い」
「さて、差し当って、初期の同行者をどうするのかと、そうした話になりますが」
さて、さっさと移動をすると決め込むのはいいのだが、そうなると同行者というのが難しい。アベルは、アイリスもなのだが流石にしばらくこちらに残っていなければならない。壮行式、要は風翼の門をそれぞれの使者が運ぶときにそれぞれに縁がある者がいるため、残っていなければならないだろう。他の人間、ルイスはどうかと言えばこちらは間違いなく未だ何も聞いてはいまい。そして、少年たちのほうもいつ始まりの町に戻ろうかとそうした話をしているのだから。
「シェリアにはついてきて貰うとして、後はカナリアさんと、彼女の頼むイリアさんですか」
「侍女については、タルヤも連れてとなるだろう」
「良いのですか」
「どうにも、それが良いだろうとそうした話もあってな。ローレンツ卿と、後はその方も知己を得たはずだが」
言われて、セグレ子爵夫人を思い出す。確かに、既に子爵家としてもはや維持もできないからと、そうした覚悟の話は聞いていはしたのだが。
「うむ。既に決まった。改易の話にしても、どうにも本人としてはすべてを神国に返すとそのような話でな。いらぬ横槍を避けるためにも」
「であれば、そうですか」
法律上と言えばいいのだろうか、現状間違いなく長らく夫婦としてあった老年の二人。加えて、そのうちの片方が長年の懸想を叶えついには一つの結果を得た相手と。間違いなく、その子供にしても一緒にと言う事になるのだろうが。
「オユキも、セグレ子爵夫人に学ぶところは多いでしょう」
「それは、ええ、先達として学ぶつもりはありますが」
「セグレ子爵夫人は、ああ見えて子爵家の一切を一人で取り仕切っていたこともあります」
「それは、カレンも喜びそうなものですが、そうなると色々難しいと言いますか」
「相談役と、そうしておくしかあるまいよ。後見の席は既に我が持って居る故な」
つまりは、カレンの助けとしてつける人員。生憎と、本来であれば自由であったはずのゲラルドはメイに任せなければならないことが多すぎるため、他の手配が必要になったとそう言う事らしい。では、ミズキリの手によって王都にとなったはずの人物はと言えば。
「言いたいことはわかるのだがな」
「その、ユフィさんは」
ユーフォリアの話が、ここに至って出ないのはさてどういった理屈かと。
「その方の手元に戻したい、それは本気でそう考えているのだが」
「ああ」
「そうなのだ、今戻してしまえば立ち行かぬことがあまりに増える」
ユーフォリアは、事調整という意味では群を抜いて優秀だ。そこから派生して、状況を整えるという行為に対しても、尋常ではない能力を見せる。いったい、どうやってと、まともな道具もなくどうやってそれだけの情報を処理するのかと以前にも訪ねてみたものだが、単純な日程管理程度は頭の中にカレンダーを置けば誰でもできるとそんな話が返ってきた。寧ろ相手からはオユキのように、ミズキリのように。先の目標に対して徹底してその到達を実現するための指標を積み上げていく思考法というのはどうなっているのかとそんなことを聞かれたものだ。
「本当に、申し訳ないとは思っているし、本人からも早くと言われているのだが」
「ユフィさんが、納得しての事であればとは思いますが」
「納得はしていると、そうした発言は本人からは一応得ている。その方に合わぬ様にというのも、本人からな」
要は、会ってしまえばとそう言う事であるらしい。
「その、私としましては」
「わかっているのだがな、正直取り上げすぎだということくらいな」
ミズキリも、国王陛下その人も。マリーア公爵だけではなく、ユーフォリアを己の部下として、抱え込みたい人間にそれはもう容赦のない圧をかけているらしい。ただ、それをはねのけてでも、寧ろそちらが既に主題になっているのだろうが、それでも今は手放せないとそうなってしまっているらしい。
「突然現れた異邦人、そんな者が今となっては両国の外交の中心、引いては今後の外交政策を担う組織の上から二番目、そんな話を聞いてその方はどう思うかね」
「ええと、ユフィさんは、こちらでもお元気なようで」
「そんな能力を一個人の、一子爵家の為に使いたいとそれはもう頻繁に零しておる」
有難いと思う反面、オユキとしては非常に期待が重いなと。トモエは、変わらないと笑ってはいるのだが、オユキからしてみれば此処までではなかったはずだとそんな印象。
「正直なところを言うのだがな」
「私たちの周囲の人員、ですか」
「うむ。取り上げたいと、そう考えるものがあまりに多い。その方らにしても、だな」
公爵の溜息は重く、公爵夫人にしても。
「トモエにしても、もはや言うまでも無い。先の狩猟においては、神国にはほとんど存在せぬ魔術、いや奇跡だったかを使い、随分と評価を上げた」
「オユキ、貴女にしてもです。巫女として、子爵家の女当主として教育がと」
「家を分けよと、そのような話ですか」
オユキは、ここまで公爵が抑えてくれていただろう雑音、想定の範囲ではあるそれを改めて口にされてやはり苛立ちが募る。
「そうした雑音の一切は我らがどうにかする、しかしそれ以外の部分ともなると」
「引き抜きという部分では、当人同士の納得があれば、まぁ、私としても納得は行きますが」
それこそ、ヴィルヘルミナにアルノーに、派手に目立つ存在が確かにいる。そして、そうした人員に対してオユキよりもよりよい条件をと提示して、当人がそれを受け入れるのであればオユキとしても否は無い。
「その方は、話し合いの場を与えるつもりがあるのかね」
「言われてみれば、確かにと言う所ですか」
そうであれば、話は変わるのだがと公爵が少しオユキに対して強めの口調で。要は、今人員を抱えているのはオユキだ。内実がどれだけ違ったとして、外からは当然そう見える。つまるところ、交渉相手はこの場合それぞれの個人ではなくオユキとなる。このあたりは、いよいよオユキの理解の外であったことでもあり、こうして言われてようやくという物だ。ヘッドハンティング、引き抜き工作、それらはこの世界ではあまりにも難しい。話を通さなければいけない相手というのが、どうしても大仰になりすぎる。
「オユキ、貴女が良しと言えば交渉に出てくるのはまずは王妃様からですよ」
「厄介な」
それに気が付いたオユキが、ではある程度場だけを用意して、それこそあとは当人たちでとする心算ではあったのだが。王妃からとなると、準備の手間もかかれば取り上げる代わりに補填をとそうした話にもなってくる。
「つまりは、今しばらくはとそう言う事か」
「ええ、その方が良いでしょう。成程、それもあって一度隣国に身をと言う事ですか。以前、リース伯爵夫人から少しだけ聞きましたが、今後はそうした余裕もと言う事ですか」
「人が増える、既に上限がない。マルコであったか、その方が頼んでいる相手は」
「ええ」
曰く、マルコと同じ眼を持つものはいないのだが、それでも似たことが出来ないものが居ないというわけではない。既に、妊娠者というのはこの王都でも、領都でもかなりの数に上っていると言う事らしい。貴族たちの中でも相応に、何より多いのは当然数の多い平民たち。経済活動を支える圧倒的多数が、既にそうなっているのだと。それに対する対策として、今も王都は魔物の討伐に関して、すぐにでも、可能な限り積極的にとお触れを出し、騎士団を動員してと忙しない。ただ、そうなると今度は医薬品の不足が加速して。やむなしとばかりに、未だに効果も明確にわかっていない癒しの奇跡が込められた水に頼ってとそれはそれはなかなかの悪循環と言う事らしい。それを改善するためにも、広域の殲滅ができるもの、要は魔術に長けた者たちというのが今は求められているらしい。日々の生産にしても、魔道具が、より便利な道具がなければとそれほどにこの国は今色々と慌てなければならない状況なのだと。
「理解はしていた、最低限の備えは行った、しかし現実はやはり」
「ええ、どうやらそれ以上と言う事なのでしょう」
「魂の薄い子供、それはどの程度となるのでしょうか」
「そればかりはわからぬよ、不安はないと、そのような話を、御言葉を頂いたとは聞いているのだが」
結局のところ、疑うわけではないのだが神々と人の尺度があまりに違う所に問題があるのだと。問題がない、それが何を差しているのかもいくらでも解釈の余地がある。人が協力して、現状もてるものを使ってどうにか解決できるのか、それとも。
「隣国だけかと思えば、神国も相応に」
そして、それがようやく理解できたとばかりにトモエが呟けば。
「問題など、何処にでもある。軽重を論ずることに、意味などあるまいよ」
「一応、存亡の危機ではなく、今後の発展の為に解消すべき課題と言えばいいのでしょうか」
「無論、舵取りを間違えれば民心は離れる、その結果など正直想像もしたくないのだがな」
「ですが、やらねばならぬでしょうとも。既に必要な手助けは、多くの加護を我が国は得たのですから」
最も問題となるだろう、飢え、それを解消するための手立ては存在している。それを求めて、王都とマリーア公爵領にかなりの人口が移動したという話もちらほらと聞いている。住居に関しても、幸い生前の世界と違って原材料は、そう原材料はどうとでもなる。
「隣国に、加工の手立てとなりそうな技術が既にあればいいのですが」
「ファルコも、今回はその方らに任せる。良く使ってくれ」
「あの、今は始まりの町で、彼が選んだ子たちと」
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