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25章 次に備えて
いきなりの困難
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両国の王妃を前に、まぁ、問題なかろうと。そんな大言壮語をはいてそのすぐあと。では、せっかくですから試しに少しこの場で行ってみてはと、眠り始めた我が子をそっと寝台のわきに座る乳母役だろう相手に渡しながら王太子妃がつぶやけば。
「はて」
実に速やかに場が整えられるというものだ。王族教育はそもそも当然として、それ以前の淑女教育ですら受けきっている三人。生前は子供たちの服を繕うことも、こうして言い出しているオユキ本人の服をそうすることもあったトモエ。
「これは、随分と変わった針ですね」
そしてそんな三人にとっては当たり前の刺繍道具、それらを並べられて見ればオユキがただ首をかしげる。これは思っていたのと違いそうだぞと。オユキが生前使ったことがあると、そう考えている針よりも、長く太い。糸を通すための穴にしてもさんざんに難しいとそう言われていたものと比べれば、簡単そうだとそう思えるほどにサイズに合わせて大きな穴が開いている。
しげしげと、まさに初めて見るのだといわんばかりに観察するオユキの姿に、周囲からの視線が伴侶であるトモエに向かうものだがそればかりは不手際というわけでもない。そもそもオユキが言い出さなければこの機会というわけでもないのだから。
「普段の裁縫と、刺繍は趣が異なりますから」
「なるほど、用途に合わせた道具がこれと」
そして、いくらかついでとばかりに持ってこられた糸束を今度は手にしてそちらも物珍し気に。
「知識として、こうした形にまとまっているというのは知っていましたが、これをまずは糸球にするのでしたか」
「転がしやすく、次に糸が出しやすい。そして、球を作るときに糸の確認を」
「ほつれや、太さが均一であるか、そのあたりですか」
トモエが簡単に、なぜより合わせた糸の束から玉上にまとめるのかを話せばオユキもなるほどとうなずいて見せる。では、さっそくそれを今から行うのかと言われれば、やはり違うのだが。オユキはそれも気にせず、さっそくとばかりに手に取ってしげしげとみている。糸としては、生前にトモエもなじんでいる羊毛による毛糸や、化学繊維の類ともまた違う上質とわかる糸束ではあるのだが、それを実に無造作に。
「こちらを使って、縫い取りを行っていくのでしょうが、確か木枠のようなものも使っていたかと」
「そうですね。布地を張ってたわまぬ様にとする、そうした用途の道具です」
「であれば、別に必要ありませんか」
そして、随分と果断な選択を行うオユキに対して、信じられぬものを見たとばかりに周囲からの視線が集まる。気が付いているのだろうが、どうせ知らぬことではあるし、とりあえず今回だけだと割り切っているオユキはいよいよ痛痒を感じるものではない。半面、ナザレアが何やら覚悟を決めたような顔をして、固くこぶしを握ったりもしているのだが。
「あの、オユキ」
「試しにいくらか、そうしたくはありますが」
さて、ではこうしてせっかく道具が用意されたのだから、試しに少しくらいはここでとも思うのだが、生憎とオユキは今も体調がよくない。わずかに回復したとはいえ、それでも針仕事をできるほどの集中力が戻っているわけでもない。そうした判断によるものだったのだが、周囲はそれをやはり認めず。
「そうですね、体調も悪いというのであれば、ここで無理をすることもありませんが」
「ええ、私たちで簡単に縫い取りを行いますのでまずは一度見るとよいでしょう」
「ありがとうございます。では、よろしくお願いしますね」
砕けた言葉遣いに関しては、オユキの願いというよりも私的な場であるならばとさんざんに言われた結果として。高々子爵家に随分と過分なと、そうしたことをオユキは考え実際に口にしたりもしたのだが、子爵家という以上にそこに付随するものがあまりに大きすぎるのだとそう言われてしまえば仕方がない。かつての両親が、こちらに使徒として来ていたには違いなく、その子供であるオユキが巫女だというのならばやはり下にも置かぬ扱いを受けるのも、この世界の必然。
「トモエは、心得があるのですね」
「ええ、生前は娘や息子の繕い物などは私の仕事でもありましたから」
「そういえば、そうでしたね」
性別が逆になっているという話は、この場にいる二人には確かに伝えていた。ただ、王太子妃からてっきり話があるかと思えば、隣国の王妃がわずかに眉を持ち上げるあたり親子だからという甘えはないらしい。それは、王太子妃からか、はたまたどちらもか。親子としての交流はあるには違いないのだろうが、それこそ先ほど遊んでいたようなものがそうであるには違いなく、不安視する理由もなかろうが。
「と、言いますか、皆さん球にまとめないのですか」
「良いですの、オユキ。あちらは保管をしたり、少し長めの刺繍を行うときには良いものですが」
「ええ、こうして簡単に手習いとするための見本を縫取るとき程度であれば、やはり手間ですから」
いわれた言葉に、なるほどそういうものかとオユキとしては納得するしかない。
「それにしても、見慣れぬ針の動かし方ですね」
「オユキさん、これが基本的な刺繍の針の動かし方ですよ」
一つ進んでは、半分ほど戻って。繰り返し、徐々に進めていく縫い方に、随分と悠長なとそんなことを。
「良いですか、オユキさん。やるといった以上は」
「ええ、それが作法であるというのならば」
いわれたことは、守りますよと座ったままオユキが胸を張れば、周囲からはやはりどこかため息交じりに。そうして、簡単に話しながらもそれぞれが手を動かしていれば、早々に手習いとしての縫い取りが終わったものであるらしい。それぞれが完成品を、木枠に布地を張ることもなく、手にもって塗っていたにもかかわらずそれはそれは各々趣のある図案。
トモエの物は、オユキがこれを中央にとそう考えていると語った雪の結晶をさらに簡略化したものを。
この国の王妃は、やはり同じくオユキがこのようなものだと見せた図案からいくつかを選んで縫取って見せて。
王太子妃のほうは、これこそが初歩だといわんばかりにいくつかの色を使って花を象り。
隣国の王妃はらしいといえばいいのだろうか、オユキが意識を奪われていた魔術文字をこちらもまた随分と器用なことに短時間で縫取って見せている。それぞれに示されるものは、確かに様々。しかし、時間にして30分を少し超える程度であったことを考えれば、オユキの思い付きは早々に成就しそうなものだと一人うなずいている。
「オユキさん」
「何でしょうか」
「一度、ご自分でやられてから、日程を考えたほうがよいかと」
「それもそうですか」
なんだ、簡単ではないかとそうした感想を抱いたオユキに対して、トモエからしっかりと釘がさされる。それもそうだとばかりに頷いて。さて、オユキのほうは予定が決まったのだが、ではトモエはとオユキが視線を送れば。
「確か、王都にも鉱山がありましたよね」
「そういえば、そのような話でしたね」
さて、中に入るのに許可がいるのかどうかはわからないと、そうして視線を王家の者たちに送ってみれば。
「トモエが、採りに行きますの」
「はい。」
オユキが己の手で刺繍を担当するというのであれば、トモエはトモエで先ほど話に上がった貴石の類を探して回るのもよいだろうと、そう考えて。
「では、見つからない場合も考えてと、そう頼んでおきましょうか」
「そういえば、少し前になるのかしら。私からの紹介として商人たちが向かったでしょう」
「ええ、数人心得違いの者たちもいたようですが」
そういえば、下賜品としてだけでなく己らを売り込もうと随分と勝手な考えをしている様子の者たちも混ざっていた。あくまで喜んだのは、背後に見える気遣いがあればこそ。相応しい装飾を揃える事にしても、オユキが望んだというわけでもない。あくまで、それがどうやら必要らしいとそう理解したからこそようやくとしただけなのだ。
そこで、オユキやトモエの目を楽しませるためにと、あれこれと装飾を持ち込むのは構わない。むしろ、それをはじめから頼んだのだからそれを示されて嫌うというのは、さすがに筋違いとオユキも理解している。では、何が気に入らなかったのかといえば。
「ええ、こちらにも既に連絡が来ました」
「何があったのです」
王太子妃が、さて王妃が紹介したはずの人員が、なぜオユキとトモエの不興を買うのかと。さっぱり分からぬとばかりに、訪ねている。それに対して、オユキからではなく、王妃から、商人たちから同報告があったのか少し気になるからと。
「武器ですね、それらを持ち込んでしまったことを、持ち込まざるを得なかったことを、いたく反省していましたね」
「トモエも、オユキも好んでいるのだと、私はそう考えますが」
「ええ。好んでいるには違いないでしょう。ですが、何でもよいのかといえば」
確認するために、視線が向けられる。
「実用品としては、正直頼んで作ってくださる方がいますので」
そう、今のところウーヴェに、始まりの町にいるあの職人気質の人物以外に頼む気はさらさらない。彼にしても、日々の研鑽を絶やさず、一を聞いて十を知るといえばいいのか。オユキの、トモエの手を見てそれだけで今の状態であればなるほどこうした造りがよかろうと、そうした判断を行ってくれる相手だ。こちらで、陸にトモエやオユキが刀を、武器を振る姿を見もしていない相手からの商品などもはや買い上げる気がない。
「一応、卸売りをしてもよいのであればとは考えますが」
「オユキ、先の一件で既に王都からかなりの品が」
過日王都に来て、マリーア公爵とアベルとそろってたくらんだ結果として、王都から大量の武器を買って戻っていった。そのことに、ちくりと王妃から釘を刺される。さすがに次に同じことをする素振りがあれば、今度は止めて見せるつもりだとその目が確かに語っている。
「であれば、やはりこちらで求めることはありませんね」
「オユキ、だけではなくトモエも、ですか」
「私のほうは、美術品としての刀剣や鎧にも興味はあるのですが、王都で飾るのも楽しいだろうとは考えているのですが」
そう、王都の屋敷にしても十分以上の広さがあるし、トモエが、オユキが趣味のためにと一室を潰したところで何ら問題ない。
「はて」
実に速やかに場が整えられるというものだ。王族教育はそもそも当然として、それ以前の淑女教育ですら受けきっている三人。生前は子供たちの服を繕うことも、こうして言い出しているオユキ本人の服をそうすることもあったトモエ。
「これは、随分と変わった針ですね」
そしてそんな三人にとっては当たり前の刺繍道具、それらを並べられて見ればオユキがただ首をかしげる。これは思っていたのと違いそうだぞと。オユキが生前使ったことがあると、そう考えている針よりも、長く太い。糸を通すための穴にしてもさんざんに難しいとそう言われていたものと比べれば、簡単そうだとそう思えるほどにサイズに合わせて大きな穴が開いている。
しげしげと、まさに初めて見るのだといわんばかりに観察するオユキの姿に、周囲からの視線が伴侶であるトモエに向かうものだがそればかりは不手際というわけでもない。そもそもオユキが言い出さなければこの機会というわけでもないのだから。
「普段の裁縫と、刺繍は趣が異なりますから」
「なるほど、用途に合わせた道具がこれと」
そして、いくらかついでとばかりに持ってこられた糸束を今度は手にしてそちらも物珍し気に。
「知識として、こうした形にまとまっているというのは知っていましたが、これをまずは糸球にするのでしたか」
「転がしやすく、次に糸が出しやすい。そして、球を作るときに糸の確認を」
「ほつれや、太さが均一であるか、そのあたりですか」
トモエが簡単に、なぜより合わせた糸の束から玉上にまとめるのかを話せばオユキもなるほどとうなずいて見せる。では、さっそくそれを今から行うのかと言われれば、やはり違うのだが。オユキはそれも気にせず、さっそくとばかりに手に取ってしげしげとみている。糸としては、生前にトモエもなじんでいる羊毛による毛糸や、化学繊維の類ともまた違う上質とわかる糸束ではあるのだが、それを実に無造作に。
「こちらを使って、縫い取りを行っていくのでしょうが、確か木枠のようなものも使っていたかと」
「そうですね。布地を張ってたわまぬ様にとする、そうした用途の道具です」
「であれば、別に必要ありませんか」
そして、随分と果断な選択を行うオユキに対して、信じられぬものを見たとばかりに周囲からの視線が集まる。気が付いているのだろうが、どうせ知らぬことではあるし、とりあえず今回だけだと割り切っているオユキはいよいよ痛痒を感じるものではない。半面、ナザレアが何やら覚悟を決めたような顔をして、固くこぶしを握ったりもしているのだが。
「あの、オユキ」
「試しにいくらか、そうしたくはありますが」
さて、ではこうしてせっかく道具が用意されたのだから、試しに少しくらいはここでとも思うのだが、生憎とオユキは今も体調がよくない。わずかに回復したとはいえ、それでも針仕事をできるほどの集中力が戻っているわけでもない。そうした判断によるものだったのだが、周囲はそれをやはり認めず。
「そうですね、体調も悪いというのであれば、ここで無理をすることもありませんが」
「ええ、私たちで簡単に縫い取りを行いますのでまずは一度見るとよいでしょう」
「ありがとうございます。では、よろしくお願いしますね」
砕けた言葉遣いに関しては、オユキの願いというよりも私的な場であるならばとさんざんに言われた結果として。高々子爵家に随分と過分なと、そうしたことをオユキは考え実際に口にしたりもしたのだが、子爵家という以上にそこに付随するものがあまりに大きすぎるのだとそう言われてしまえば仕方がない。かつての両親が、こちらに使徒として来ていたには違いなく、その子供であるオユキが巫女だというのならばやはり下にも置かぬ扱いを受けるのも、この世界の必然。
「トモエは、心得があるのですね」
「ええ、生前は娘や息子の繕い物などは私の仕事でもありましたから」
「そういえば、そうでしたね」
性別が逆になっているという話は、この場にいる二人には確かに伝えていた。ただ、王太子妃からてっきり話があるかと思えば、隣国の王妃がわずかに眉を持ち上げるあたり親子だからという甘えはないらしい。それは、王太子妃からか、はたまたどちらもか。親子としての交流はあるには違いないのだろうが、それこそ先ほど遊んでいたようなものがそうであるには違いなく、不安視する理由もなかろうが。
「と、言いますか、皆さん球にまとめないのですか」
「良いですの、オユキ。あちらは保管をしたり、少し長めの刺繍を行うときには良いものですが」
「ええ、こうして簡単に手習いとするための見本を縫取るとき程度であれば、やはり手間ですから」
いわれた言葉に、なるほどそういうものかとオユキとしては納得するしかない。
「それにしても、見慣れぬ針の動かし方ですね」
「オユキさん、これが基本的な刺繍の針の動かし方ですよ」
一つ進んでは、半分ほど戻って。繰り返し、徐々に進めていく縫い方に、随分と悠長なとそんなことを。
「良いですか、オユキさん。やるといった以上は」
「ええ、それが作法であるというのならば」
いわれたことは、守りますよと座ったままオユキが胸を張れば、周囲からはやはりどこかため息交じりに。そうして、簡単に話しながらもそれぞれが手を動かしていれば、早々に手習いとしての縫い取りが終わったものであるらしい。それぞれが完成品を、木枠に布地を張ることもなく、手にもって塗っていたにもかかわらずそれはそれは各々趣のある図案。
トモエの物は、オユキがこれを中央にとそう考えていると語った雪の結晶をさらに簡略化したものを。
この国の王妃は、やはり同じくオユキがこのようなものだと見せた図案からいくつかを選んで縫取って見せて。
王太子妃のほうは、これこそが初歩だといわんばかりにいくつかの色を使って花を象り。
隣国の王妃はらしいといえばいいのだろうか、オユキが意識を奪われていた魔術文字をこちらもまた随分と器用なことに短時間で縫取って見せている。それぞれに示されるものは、確かに様々。しかし、時間にして30分を少し超える程度であったことを考えれば、オユキの思い付きは早々に成就しそうなものだと一人うなずいている。
「オユキさん」
「何でしょうか」
「一度、ご自分でやられてから、日程を考えたほうがよいかと」
「それもそうですか」
なんだ、簡単ではないかとそうした感想を抱いたオユキに対して、トモエからしっかりと釘がさされる。それもそうだとばかりに頷いて。さて、オユキのほうは予定が決まったのだが、ではトモエはとオユキが視線を送れば。
「確か、王都にも鉱山がありましたよね」
「そういえば、そのような話でしたね」
さて、中に入るのに許可がいるのかどうかはわからないと、そうして視線を王家の者たちに送ってみれば。
「トモエが、採りに行きますの」
「はい。」
オユキが己の手で刺繍を担当するというのであれば、トモエはトモエで先ほど話に上がった貴石の類を探して回るのもよいだろうと、そう考えて。
「では、見つからない場合も考えてと、そう頼んでおきましょうか」
「そういえば、少し前になるのかしら。私からの紹介として商人たちが向かったでしょう」
「ええ、数人心得違いの者たちもいたようですが」
そういえば、下賜品としてだけでなく己らを売り込もうと随分と勝手な考えをしている様子の者たちも混ざっていた。あくまで喜んだのは、背後に見える気遣いがあればこそ。相応しい装飾を揃える事にしても、オユキが望んだというわけでもない。あくまで、それがどうやら必要らしいとそう理解したからこそようやくとしただけなのだ。
そこで、オユキやトモエの目を楽しませるためにと、あれこれと装飾を持ち込むのは構わない。むしろ、それをはじめから頼んだのだからそれを示されて嫌うというのは、さすがに筋違いとオユキも理解している。では、何が気に入らなかったのかといえば。
「ええ、こちらにも既に連絡が来ました」
「何があったのです」
王太子妃が、さて王妃が紹介したはずの人員が、なぜオユキとトモエの不興を買うのかと。さっぱり分からぬとばかりに、訪ねている。それに対して、オユキからではなく、王妃から、商人たちから同報告があったのか少し気になるからと。
「武器ですね、それらを持ち込んでしまったことを、持ち込まざるを得なかったことを、いたく反省していましたね」
「トモエも、オユキも好んでいるのだと、私はそう考えますが」
「ええ。好んでいるには違いないでしょう。ですが、何でもよいのかといえば」
確認するために、視線が向けられる。
「実用品としては、正直頼んで作ってくださる方がいますので」
そう、今のところウーヴェに、始まりの町にいるあの職人気質の人物以外に頼む気はさらさらない。彼にしても、日々の研鑽を絶やさず、一を聞いて十を知るといえばいいのか。オユキの、トモエの手を見てそれだけで今の状態であればなるほどこうした造りがよかろうと、そうした判断を行ってくれる相手だ。こちらで、陸にトモエやオユキが刀を、武器を振る姿を見もしていない相手からの商品などもはや買い上げる気がない。
「一応、卸売りをしてもよいのであればとは考えますが」
「オユキ、先の一件で既に王都からかなりの品が」
過日王都に来て、マリーア公爵とアベルとそろってたくらんだ結果として、王都から大量の武器を買って戻っていった。そのことに、ちくりと王妃から釘を刺される。さすがに次に同じことをする素振りがあれば、今度は止めて見せるつもりだとその目が確かに語っている。
「であれば、やはりこちらで求めることはありませんね」
「オユキ、だけではなくトモエも、ですか」
「私のほうは、美術品としての刀剣や鎧にも興味はあるのですが、王都で飾るのも楽しいだろうとは考えているのですが」
そう、王都の屋敷にしても十分以上の広さがあるし、トモエが、オユキが趣味のためにと一室を潰したところで何ら問題ない。
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