826 / 1,235
24章 王都はいつも
繰り返し
しおりを挟む
カリンを相手取って新しい武器をトモエが馴染ませ、カレンが外出するとそう話し、フスカとマルコが連れ立って始まりの町に帰るのだというのを見送って。そうしている最中に、トモエの腕にも痒痛が走りまたオユキが無理をしているのだろうと、そう思えば徐々に痛みまで。つまりは、アベルとの話し合いの結果、そうした時間を得ているのだろうと内心で忸怩たる物を抱えながらも、ただ時を過ごす。
シェリアがトモエの様子を伺っており、屋敷の中で何かが起こったと気が付いているのだろう。随分とそちらを気にするそぶりを見せるのを視線だけで窘めながら、トモエの方でも己の心を鎮めるためにとただ太刀を振るう。その時間の、なんと無為を感じる事か。己との対話、それすらも出来ぬほどに。ただ己の伴侶の痛みだと分かる物を感じながらも、それを無視するためにと刃を振るうこの時間。トモエが、そんな事を考えていれば、事が片付いたのだろう。慌てた様子で表に出てきたカナリアに呼ばれ、室内に戻ってみれば。
「すまなかった。」
「オユキさんが、納得しての事だったのでしょう。」
客間でオユキが倒れたと、そんな話を聞かされて。直ぐにでもとトモエは願っているのだが、そこにアベルが割って入ることになった。確かに、彼にしてみれば、客間に置かれた二つの見覚えのある巨大な箱。ガラスにも見えるし、確かに透明感はあるのだが中が見える事は無く、またそこから先も当然見る事が出来ない。つまりは、アベルとの話し合いが確かにあり、理由と、覚悟を持って立ち向かった結果として確かにオユキが、アベルが得た物なのだろう。
「言い訳の仕様もない。」
「ええ、ですから構いませんとも。」
「しかし。」
「謝罪をと言うのであれば、どうぞオユキさん本人に。私からは、オユキさんが決めた事と、それ以上の何かがあるわけではありませんから。」
粛々と、そのような物ともまた違う。オユキが納得したうえで行った事であり、そこでトモエが介在できない事態であったのならば、その責任は全てオユキに帰属する。確かに、今こうしてトモエは苛立っているし、それを察したアベルがただこうしてトモエに謝罪を繰り返しているのだろうが。謝る位であれば、早々に立ち去りトモエの邪魔をしてくれるなと割と本気でそんな事を考えている。
「いよいよ、私の我儘にオユキ殿を付き合わせたのだ。」
「こうして得た物を見れば、ある程度の想像は付きますとも。要は、武国に何かの成果をと、それをアベルさんも願いオユキさんが受け入れたのでしょう。」
どうしてこうなったのか、何故そこまで急ぐのか。そうしたことはわからない。ただ、此処に厳然とした結果があり己を使い果たすつもりのオユキがそれを良しとしたのであれば、ある程度の想像は付く。
「オユキさんにそのつもりが無かったとはいえ、ですが、アベルさんから頼まれたのならとそう考えての事でしょう。」
「トモエ卿は、本当にそれで。」
「構いませんとも。いえ、勿論私の選択における天秤と言うのが大いに傾いては行きますが、それをこの世界では良しとして、それをオユキさんが受け入れているのでしょう。」
古来巫女とは如何なる者か。
「ならば、私はただその瞬間に選択を行いましょう。」
そして、それが今後も変わることなく、ただただオユキに負担を強いるだけだというのならば、トモエは容赦なく決断を下す。今ではない、この先に。何となれば、あまりにも目に余るようなら、その時を待たずとも。今こうしてトモエに対して謝罪をしている相手にしても、あの場にはいたはずなのだ。そこで神々の前で語ったことを、確かに聞いたはずなのだ。だというのに、それでもと。
結局のところ、この人物も優先順位が異なっている。
トモエの大事を、大事にする相手ではない。
だからこそ、トモエが完全に信頼することが無い。
アベルにしても、それをわかっているからこそ、こうしてただトモエの前で頭を下げて、武器を遠くに投げてとしているのだろう。いっそ、この場でトモエに切りつけられても、打擲されたところで構いはしないと。ただ、やはりトモエはそこに興味を持てない。意味を見いだせない。
「分かっては、いるのだ。」
「そうなのでしょう。ですが、人それぞれに優先順位と言う者はありますから。」
「理解はしても、納得はしないと、まさにそのような。」
「ええ。理解はします。実のところ納得もしています。ですが、それをオユキさんに向ける事を、私が絶対に良しとしない、ただ、それだけです。」
トモエは、それを絶対に譲りはしない。例え、この世界のありとあらゆるものがそれを望んだところで、トモエはただふざけるなと返すだろう。万が一そんな事があれば、神々さえもそれを望むのであれば、トモエはその時にこそ定められた刻限よりも早く手を下す。ただ、それだけだ。そして、その後はトモエ自身も己に対して刃を振るうだろう。オユキはトモエがいなければと言い、それを仕方が無いとトモエは言って見せたが、それはトモエこそそうなのだから。今更、己の伴侶がいない状況で、恋焦がれた相手がいない世界で生きて行くつもりなど毛頭ない。先に残してしまった事こそ悔やみはした、いっそともにと死の間際にまで迷い、それでも己の生んだ子供たちの為にとかつてのオユキにそれを望んだ。
オユキがそれを守ってくれたことは嬉しく思う。誇らしく思う。恐らく自分であれば。
「ですから、どうか気を付けてください。」
「ああ。」
だから、こうしてトモエからも頼むのだ。己が、そうした決断を下さなくても済む様にと。オユキに対して、オユキが納得するだけの理屈をもって、あの身を糧に何かの奇跡をと望むような真似はさせてくれるなと。
それを繰り返した時には、誰もが望まぬ結果しか待っていないのだから。
「後は、申し訳ないが頼む。それと、これを。」
「ええ。分かりました。」
そして、アベルが取り出した書簡をトモエがオユキの代わりに受け取る。この手紙は、さてどういったものだろうか、オユキであれば想像もつくのだろうが、やはりトモエには分からない。とはいえ。
「これで、一つ返したとしておきましょう。」
書簡を出すためにと差し出された手を取って、軽く技を仕掛ける。直ぐに違和感にかが付いたのだろう。なにかがあってはと考えて、無理に制動を懸けたのだろう。それで動きが止まり関節が固まるのだから、猶の事極め技と言うのはかけやすい。床に転がしたアベルに、本来であればそのまま首を踏んだりもするのだがそこまではせずに、ただてから零れる書簡だけを抜き取って。
「シェリア。」
「ええ。後の事は、どうぞお任せください。」
そして、床に転がした相手をそのままに、トモエは早速とばかりにオユキが寝かされているだろう寝室に向かう。似たような事があった時には、前にも暫く寝込んでいた。明日の狩りを、オユキは楽しみにしていたはずだ。それが、もしかしたら参加できないかもしれない、そんな状況にまで成っている事だろう。
「あの人は、一体何をオユキさんに突きつけたのでしょうか。」
たどり着いた先では、静かに眠るオユキの姿。先に、アベルに呼び止められたため仕方なく先に様子を見る事を頼んだカナリアが、今もオユキの横で静かに様子を見ている。
「トモエさん。」
「いえ、詮無い事を言いました。オユキさんの容態は。」
「また、マナの枯渇です。今度は、またも重度の。」
「全く、オユキさんは本当に。」
何度でも、トモエに心配をかけて。申し訳なさそうにしながらも、それでもオユキが正しいと思えば、何度でも行う事だろう。
「心配ばかりかけて、それで今は満足そうに寝ているのですから。」
「あの、重度の枯渇ですから。いえ、その割に先の頃に比べれば、表情は少し穏やかでしょうか。」
「ええ。楽しい時間が、何かの思い付きを得る時間ではあったのでしょう。」
実際に、どうした会話が交わされたのかは流石に分かるようなものではない。だが、そこで何かあったのだろう。オユキの求める物は、風翼の門などではない。なにか、この世界を盤石にするために必要な、そうした切欠であったり契機であったり。若しくは、何かの進捗が解るだけの情報か。
「オユキさんは、こうして繰り返すのでしょうか。」
「ええ。間違いなく。今後も、何度となく。」
「それで、トモエさんは本当にいいんですか。」
「良くはありません。ですが、オユキさんがそれを望むのなら、やはり止められる物ではありません。」
カナリアと、オユキの間にという訳ではなく、並ぶようにしてオユキの眠る寝台の傍らにナザレアが用意していた椅子に腰かける。それこそ、側についていたはずのこの侍女に対して何故止めなかったのか等と言った所でどうにもならないのはトモエもよく理解している。シェリアは、間違いなくオユキを優先してくれる。しかし、それ以外の侍女と言うのはやはり違う。借りた人材であり、そこから言い含められている事が、それ以外の何かが優先なのだ。タルヤにしても、ローレンツとの間に子宝を得てからは、以前に比べてトモエの方を優先するようなそんなそぶりを見せてはいるのだが、そちらはいよいよこの神国のほぼ最大戦力。そんな人物がトモエとオユキを、一子爵家を優先するというのは流石に気が引ける。
「トモエさんでも、ですか。」
「私が止めるとなれば、それはかなり過激な手段になりますから。」
「それは、その、一応は私も医師ですからやめて欲しいのですが。」
カナリアが、オユキの様子をじっくりと見ていたカナリアが一度目を閉じて頭を振る。
「オユキさんの容態ですが。」
「聞きましょう。」
「ようやく、私も分かるようになりました。族長の残した焔の残りが。」
そして、カナリアが軽く指を振って見せればその指を追いかける様に、ここ数日すっかりと見慣れた色合いが。
「カナリアさんも、扱えるようになったんですね。」
「流石に、この程度で族長様の扱う炎と同じではありませんが。」
「ですが、これでカナリアさんも一つ進展ですか。」
「ええ。祖にもお目通りが叶い、そこで言われた言葉を考えてみれば。」
このようにと、そう言いながらカナリアが翼を広げ、その隙間から火の粉を散らす。
シェリアがトモエの様子を伺っており、屋敷の中で何かが起こったと気が付いているのだろう。随分とそちらを気にするそぶりを見せるのを視線だけで窘めながら、トモエの方でも己の心を鎮めるためにとただ太刀を振るう。その時間の、なんと無為を感じる事か。己との対話、それすらも出来ぬほどに。ただ己の伴侶の痛みだと分かる物を感じながらも、それを無視するためにと刃を振るうこの時間。トモエが、そんな事を考えていれば、事が片付いたのだろう。慌てた様子で表に出てきたカナリアに呼ばれ、室内に戻ってみれば。
「すまなかった。」
「オユキさんが、納得しての事だったのでしょう。」
客間でオユキが倒れたと、そんな話を聞かされて。直ぐにでもとトモエは願っているのだが、そこにアベルが割って入ることになった。確かに、彼にしてみれば、客間に置かれた二つの見覚えのある巨大な箱。ガラスにも見えるし、確かに透明感はあるのだが中が見える事は無く、またそこから先も当然見る事が出来ない。つまりは、アベルとの話し合いが確かにあり、理由と、覚悟を持って立ち向かった結果として確かにオユキが、アベルが得た物なのだろう。
「言い訳の仕様もない。」
「ええ、ですから構いませんとも。」
「しかし。」
「謝罪をと言うのであれば、どうぞオユキさん本人に。私からは、オユキさんが決めた事と、それ以上の何かがあるわけではありませんから。」
粛々と、そのような物ともまた違う。オユキが納得したうえで行った事であり、そこでトモエが介在できない事態であったのならば、その責任は全てオユキに帰属する。確かに、今こうしてトモエは苛立っているし、それを察したアベルがただこうしてトモエに謝罪を繰り返しているのだろうが。謝る位であれば、早々に立ち去りトモエの邪魔をしてくれるなと割と本気でそんな事を考えている。
「いよいよ、私の我儘にオユキ殿を付き合わせたのだ。」
「こうして得た物を見れば、ある程度の想像は付きますとも。要は、武国に何かの成果をと、それをアベルさんも願いオユキさんが受け入れたのでしょう。」
どうしてこうなったのか、何故そこまで急ぐのか。そうしたことはわからない。ただ、此処に厳然とした結果があり己を使い果たすつもりのオユキがそれを良しとしたのであれば、ある程度の想像は付く。
「オユキさんにそのつもりが無かったとはいえ、ですが、アベルさんから頼まれたのならとそう考えての事でしょう。」
「トモエ卿は、本当にそれで。」
「構いませんとも。いえ、勿論私の選択における天秤と言うのが大いに傾いては行きますが、それをこの世界では良しとして、それをオユキさんが受け入れているのでしょう。」
古来巫女とは如何なる者か。
「ならば、私はただその瞬間に選択を行いましょう。」
そして、それが今後も変わることなく、ただただオユキに負担を強いるだけだというのならば、トモエは容赦なく決断を下す。今ではない、この先に。何となれば、あまりにも目に余るようなら、その時を待たずとも。今こうしてトモエに対して謝罪をしている相手にしても、あの場にはいたはずなのだ。そこで神々の前で語ったことを、確かに聞いたはずなのだ。だというのに、それでもと。
結局のところ、この人物も優先順位が異なっている。
トモエの大事を、大事にする相手ではない。
だからこそ、トモエが完全に信頼することが無い。
アベルにしても、それをわかっているからこそ、こうしてただトモエの前で頭を下げて、武器を遠くに投げてとしているのだろう。いっそ、この場でトモエに切りつけられても、打擲されたところで構いはしないと。ただ、やはりトモエはそこに興味を持てない。意味を見いだせない。
「分かっては、いるのだ。」
「そうなのでしょう。ですが、人それぞれに優先順位と言う者はありますから。」
「理解はしても、納得はしないと、まさにそのような。」
「ええ。理解はします。実のところ納得もしています。ですが、それをオユキさんに向ける事を、私が絶対に良しとしない、ただ、それだけです。」
トモエは、それを絶対に譲りはしない。例え、この世界のありとあらゆるものがそれを望んだところで、トモエはただふざけるなと返すだろう。万が一そんな事があれば、神々さえもそれを望むのであれば、トモエはその時にこそ定められた刻限よりも早く手を下す。ただ、それだけだ。そして、その後はトモエ自身も己に対して刃を振るうだろう。オユキはトモエがいなければと言い、それを仕方が無いとトモエは言って見せたが、それはトモエこそそうなのだから。今更、己の伴侶がいない状況で、恋焦がれた相手がいない世界で生きて行くつもりなど毛頭ない。先に残してしまった事こそ悔やみはした、いっそともにと死の間際にまで迷い、それでも己の生んだ子供たちの為にとかつてのオユキにそれを望んだ。
オユキがそれを守ってくれたことは嬉しく思う。誇らしく思う。恐らく自分であれば。
「ですから、どうか気を付けてください。」
「ああ。」
だから、こうしてトモエからも頼むのだ。己が、そうした決断を下さなくても済む様にと。オユキに対して、オユキが納得するだけの理屈をもって、あの身を糧に何かの奇跡をと望むような真似はさせてくれるなと。
それを繰り返した時には、誰もが望まぬ結果しか待っていないのだから。
「後は、申し訳ないが頼む。それと、これを。」
「ええ。分かりました。」
そして、アベルが取り出した書簡をトモエがオユキの代わりに受け取る。この手紙は、さてどういったものだろうか、オユキであれば想像もつくのだろうが、やはりトモエには分からない。とはいえ。
「これで、一つ返したとしておきましょう。」
書簡を出すためにと差し出された手を取って、軽く技を仕掛ける。直ぐに違和感にかが付いたのだろう。なにかがあってはと考えて、無理に制動を懸けたのだろう。それで動きが止まり関節が固まるのだから、猶の事極め技と言うのはかけやすい。床に転がしたアベルに、本来であればそのまま首を踏んだりもするのだがそこまではせずに、ただてから零れる書簡だけを抜き取って。
「シェリア。」
「ええ。後の事は、どうぞお任せください。」
そして、床に転がした相手をそのままに、トモエは早速とばかりにオユキが寝かされているだろう寝室に向かう。似たような事があった時には、前にも暫く寝込んでいた。明日の狩りを、オユキは楽しみにしていたはずだ。それが、もしかしたら参加できないかもしれない、そんな状況にまで成っている事だろう。
「あの人は、一体何をオユキさんに突きつけたのでしょうか。」
たどり着いた先では、静かに眠るオユキの姿。先に、アベルに呼び止められたため仕方なく先に様子を見る事を頼んだカナリアが、今もオユキの横で静かに様子を見ている。
「トモエさん。」
「いえ、詮無い事を言いました。オユキさんの容態は。」
「また、マナの枯渇です。今度は、またも重度の。」
「全く、オユキさんは本当に。」
何度でも、トモエに心配をかけて。申し訳なさそうにしながらも、それでもオユキが正しいと思えば、何度でも行う事だろう。
「心配ばかりかけて、それで今は満足そうに寝ているのですから。」
「あの、重度の枯渇ですから。いえ、その割に先の頃に比べれば、表情は少し穏やかでしょうか。」
「ええ。楽しい時間が、何かの思い付きを得る時間ではあったのでしょう。」
実際に、どうした会話が交わされたのかは流石に分かるようなものではない。だが、そこで何かあったのだろう。オユキの求める物は、風翼の門などではない。なにか、この世界を盤石にするために必要な、そうした切欠であったり契機であったり。若しくは、何かの進捗が解るだけの情報か。
「オユキさんは、こうして繰り返すのでしょうか。」
「ええ。間違いなく。今後も、何度となく。」
「それで、トモエさんは本当にいいんですか。」
「良くはありません。ですが、オユキさんがそれを望むのなら、やはり止められる物ではありません。」
カナリアと、オユキの間にという訳ではなく、並ぶようにしてオユキの眠る寝台の傍らにナザレアが用意していた椅子に腰かける。それこそ、側についていたはずのこの侍女に対して何故止めなかったのか等と言った所でどうにもならないのはトモエもよく理解している。シェリアは、間違いなくオユキを優先してくれる。しかし、それ以外の侍女と言うのはやはり違う。借りた人材であり、そこから言い含められている事が、それ以外の何かが優先なのだ。タルヤにしても、ローレンツとの間に子宝を得てからは、以前に比べてトモエの方を優先するようなそんなそぶりを見せてはいるのだが、そちらはいよいよこの神国のほぼ最大戦力。そんな人物がトモエとオユキを、一子爵家を優先するというのは流石に気が引ける。
「トモエさんでも、ですか。」
「私が止めるとなれば、それはかなり過激な手段になりますから。」
「それは、その、一応は私も医師ですからやめて欲しいのですが。」
カナリアが、オユキの様子をじっくりと見ていたカナリアが一度目を閉じて頭を振る。
「オユキさんの容態ですが。」
「聞きましょう。」
「ようやく、私も分かるようになりました。族長の残した焔の残りが。」
そして、カナリアが軽く指を振って見せればその指を追いかける様に、ここ数日すっかりと見慣れた色合いが。
「カナリアさんも、扱えるようになったんですね。」
「流石に、この程度で族長様の扱う炎と同じではありませんが。」
「ですが、これでカナリアさんも一つ進展ですか。」
「ええ。祖にもお目通りが叶い、そこで言われた言葉を考えてみれば。」
このようにと、そう言いながらカナリアが翼を広げ、その隙間から火の粉を散らす。
0
お気に入りに追加
449
あなたにおすすめの小説
暇つぶし転生~お使いしながらぶらり旅~
暇人太一
ファンタジー
仲良し3人組の高校生とともに勇者召喚に巻き込まれた、30歳の病人。
ラノベの召喚もののテンプレのごとく、おっさんで病人はお呼びでない。
結局雑魚スキルを渡され、3人組のパシリとして扱われ、最後は儀式の生贄として3人組に殺されることに……。
そんなおっさんの前に厳ついおっさんが登場。果たして病人のおっさんはどうなる!?
この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。
神に同情された転生者物語
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。
すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。
悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。
異世界は流されるままに
椎井瑛弥
ファンタジー
貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。
日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。
しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。
これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。
ラフィリアード家の恐るべき子供たち
秋吉美寿
ファンタジー
英雄と女神と呼ばれるラフィリアード家の子として生まれたジーンとリミアの双子たちと彼らと関わる人間たちとの物語。
「転生」「生まれ変わり」「誓い」「魔法」「精霊の宿りし”月の石”」
類い稀なる美貌と知性!そして膨大な魔力を身に秘めた双子たちの憧れ、『普通の学園生活』を過ごさんと自分達のことを知る人もいないような異国へ留学を決意する。
二人は身分もその姿さへ偽り学園生活を始めるのだった。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
俺だけレベルアップできる件~ゴミスキル【上昇】のせいで実家を追放されたが、レベルアップできる俺は世界最強に。今更土下座したところでもう遅い〜
平山和人
ファンタジー
賢者の一族に産まれたカイトは幼いころから神童と呼ばれ、周囲の期待を一心に集めていたが、15歳の成人の儀で【上昇】というスキルを授けられた。
『物質を少しだけ浮かせる』だけのゴミスキルだと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
途方にくれるカイトは偶然、【上昇】の真の力に気づく。それは産まれた時から決まり、不変であるレベルを上げることができるスキルであったのだ。
この世界で唯一、レベルアップできるようになったカイトは、モンスターを倒し、ステータスを上げていく。
その結果、カイトは世界中に名を轟かす世界最強の冒険者となった。
一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトを追放したことを後悔するのであった。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる