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23章 ようやく少し観光を
見送りの日に
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前日は、少しは話もしてなどと考えていたのだが、少年たちが寛ぐ方を優先したため結局然したる言葉をかける事も出来なかった。勿論、オユキが要らぬ事を考えたために異なる騒ぎが起きたという事もある。ただ、結果としてはよく働いたのだろう。手が離れていくことを寂しいとそう思う気持ちもあれば、頼もしく感じるといった相反する実に複雑な感情に揺れながら時間を過ごした。
そうして今この時。改めて少年たちに向けて。実際には、ローレンツに対して。
「然るに、ローレンツ。これは王命である。我が王よりの勅旨をこうして携えておるのがその証。
月と安息の神殿を擁するかの地に、戦と武技の巫女たるオユキが得た物を運び、そこに安置せよ。」
「は。」
参加者は、勿論公爵夫妻、それから門を得ているオユキ。後はこの町の代官でもあるメイと、教会で役職を持つ者達が神像を背にずらりと並んで。ひときわ高い場所に公爵とメイ、続いて司教が。そして少し下がったところにオユキとアイリス。巫女としての職分を得ている二人が。老齢の巫女、月と安息に使えるその人物は、今回月と安息の神殿へと向かうために、少年たちと同じ場所に。
トモエとしては、やはり少年たちと共に。そうした考えもあった。しかしオユキがトモエをあちらこちらに連れ回したいと、そう考えている事もまた嬉しい。トモエの方でも今回の事は色々と複雑なのだ。オユキの厚意、それがわかるからこそ不安も多少はある中で少年たちを送り出すことに同意した。勿論、ローレンツだけではなくトモエからも他の相手に。カナリアとイリアに少年達への同行を頼んでいる。
公爵が持ってきたものではなく、いくらかを既に保管していた短杖、それをカナリアに預けた上でどうか日々月と安息の守りをと。野営の旅に使ってくれて構わないと言い添えて。やはり、遠隔地への移動に際して夜間というのは色々と厄介がある。それを避けられるようにと老婆心として。
「此度の事は、確かに巫女が、それを得た物が居らぬ中となる。結果に関してはそれこそ神々の御心によるところが大きかろう。そこにう如何なるものがあったとして、我は、これは国王陛下にも言質を取っているのだが責任の追及はせぬ。」
「畏まりました。しかしながら、我に不安はありませぬ。こうして万全の体制を敷いて頂いたこともあり。」
「それが万全かどうかは、正直な所我にもわからぬのだがな。」
随分と人員は膨らんでいる。少年たちを是非にと、任せたいと言い出したのはトモエとオユキ。では、そんな彼らを守るためにと他の誰かを頼んだのはこうして彼らに相対している大人達。ローレンツにカナリアとイリア。後は流石に不参加だが、此処にアベルとアイリスをなどとオユキは考えていたのだが、生憎と後者の二人に関してはこの町に残って色々とやることがあると言えばいいのか新たに起こる面倒や厄介を共にする心算であるのか。
一先ずとばかりに、今後トモエとオユキはまずは領都。それから一度始まりの町に戻った後には王都へと向かい更に隣国でもある魔国へと顔を出す予定を立てている。そのついでに、セグレ子爵家によって、ローレンツの奥方をまずは始まりの町に案内したりもするのだが。まぁ、今後もどうした所でやはり忙しい。何となれば、トモエが一度全てを白紙に戻したこともあり、ではこれを、次にあれをとそれはもうオユキに対して様々な要望も舞い込んできている。
仕事を一度全て止めて、休日を設けてしまえばこうなるというのはオユキの知るところであり、トモエは把握していたわけでは無い。まぁ、それこそ方々からの手紙を処理するだけでもオユキはなかなか難儀している。あちらこちらに顔を出すならと、それに対して押し込まれそうになっている予定もあったりするのだがそちらは今後調節していくだけ。
「巫女からは、何かあるかね。」
「そうですね。」
さて、色々と今後について思いを馳せているところに公爵から話を振られる。さて、式次第にあっただろうか。そんな事を想わず考えてしまうのだが、求められたのなららしさをもって。
「この度は、いえ今後もでしょう。私が得た物を神々からこちらの世界へといただけた物、異なる地を繋ぐための門を誰かに、今は皆さんに運んでもらう事を決めました。」
少々公爵からは言い様に話をされてしまった物だが、内実はそんなものだと。
オユキの方に不足が無ければ、方々に移動ができるというのであればこんな事にはなっていなかったはずだ。寧ろ、前倒しになったと聞いた以上は実際にはもっとゆくっりとした予定ではあったのだろう。それこそ、わざわざこうして運ぶ事すらなく、現地で得る事が出来たのかもしれない。今後もどうした所でこうして門を得るのは始まりの町になるのだろうとそうした予想くらいはあるものだ。
「今後も。ええ、今後も人を頼むこととなるでしょう。勿論、門が開いた折には私も現地へ一度赴くことにはなるでしょうが。」
実際には、一度と言わずに数度。
ただ、この場で語る言葉としては、門が正しく開いたのだと、こうして運ぶことを頼んだ相手が現地で確かにやり遂げたのだという事実を確かめるために。若しくは現地で門を開くために、既に開かれた門から作用を行って。
「ですが、やはりこうして初めて頼む相手に対しては、私としても頼みたいことがあります。」
そう、これが初めての試みではある。オユキがその場にいれば、門を置くことに問題が無いのだとそういった理解はある。少なくとも、神々からそれに関連することというのは既に言われている。要はこれを用意した相手が保証するのだから、確かに問題が無いだろうとそういった形での納得がオユキだけでなくこうした計画を行う立場の者達の中に共通認識として存在している。だからこそ、今回は誰も彼もが不安視している。それに対してオユキが思うところは無いのかと言われれば、当然国王陛下からの手紙に少々皴を作る程度には苛立ったりもしたのだが。
「どうか無事に。しかし確実に。それだけが、私からの願いです。」
別に失敗しても構わない、そう言うことは出来ない。個人に与えられた功績とはわけが違う。オユキが望んだところで、この門が再び手元に戻って来るかは分からない。それこそ下手をすれば、万が一何者かに奪われることがあればそれこそ代償はきっちりと支払わなければならないだろう、オユキが。それでも構わないかと言われれば、やはりそうでは無い。二度目に門を得た時には一つであったため、まだどうにか動く事が出来たのだが最初に二つを得た時を思えば代償付きの再召喚などやりたいなどと考えられない。
それだけなどと言ってはいるのだが、それだけの事が非常に難しい。その理解はオユキにも当然ある。だからこそ、こうなる前に少し時間を使って、内心を少女たちに吐露したこともある。それがこうして彼女たちを縛ると分かっていながら行った事ではあるのだが、それでもオユキに向ける視線は何処までも前向きに。
「では、改めて頼みます。」
そうオユキが口に出せば、ローレンツの声よりもさらに大きく少年達から返事が返ってくる。まぁ、正直身内しかいない場ではあるからそれも構いはしないだろう。オユキとしては、まぁここまでで十分かと軽くいつものように微笑んで手なども振ったり、気軽な身振りで。この機会に、教会を使うちょっとした儀式だからとこの町の貴族たちもちらほらと顔を出しており、そちらが少々嫌そうな顔をしたりもするが構うまい。この場の主役は送り出す方ではない。送られる側だ。ならば少年たちに合わせた物としても構わないだろう。
こうして貴族社会の中で、そうした振る舞いというのは確かに顰蹙を買う物だろう。そんな事は分かった上で、少年たちが望むのであればとオユキとしては申し訳なさも覚えて。それにメイも乗っているし、アイリスからは仕方が無いとばかりに。公爵夫妻にしても、まぁそういった事は今後で構わないと言っていたし、何となれば昨夜の空気というもののすぐそばにいたのだ。こうした振る舞いを、空気を好む相手だというのは理解がある。メイにしても、いつぞやはらしさを押し付けるのは好まないと、そう言っていたこともある。枠や場というのを、本当に理解しているのだろう。ここは彼らの持つ場ではなく、作った場でもない。間借りしているだけなのだから、此処にいる者達が望む様に。
「巫女からの言葉の通りだな。ローレンツを始め、シグルド、其の方も良く務めよ。」
「ああ。任してくれたんだからな、やって見せるさ。」
「好ましい返事だな。パウは。」
「同じく。俺も、きちんと守り通す。」
少年達二人からの返事は、まぁ何とも頼もしいものだ。こうした場で気後れなど何一つないと、己が守られる側であろうとも、確かに頼まれたのは自分達だからと。
「それから、アナ。」
「はい。私は、一緒に運んで頂くことになりますが、それでも必ず。月と安息の女神様から頂いたこの位に懸けて。」
「続いて、セシリア。」
「私も、シグルドとパウと同じように。任された事、それを色んな人の手を借り手。それでも、だからこそ必ず。」
「最後に、アドリアーナ。」
順にかけられる言葉に少年たちが応えていく。この場にはファルコやリヒャルトも参加していたりするが、全く気遅れなく公爵からの問いかけに応える姿は、確かに彼らの目にも映っている事だろう。
「私は、二人よりも遅れてですけど。確かに水と癒しの女神様から頂いた証もあります。だから、次も必ず。」
今は水と癒しの神殿と、知識と魔の神殿に用意されている。ついでという訳でもなく、ここが起点となるからこそ、この教会のすぐ横にもしっかりと。
「前は、運んだだけ。随分と負担をかけてしまったから。だから、今度こそ。」
「そうした意気込みは嬉しく思うがな。しかし、其の方だけが負担を得るとなれば、其の方らが過剰に負担を得るとなれば。」
「ええ。やはりそれを私は喜びませんよ。」
困ったことに、随分と気炎を上げている。あげてしまっている。後の事は、いよいよオユキもトモエもいない場でとなるため、引率役のローレンツや巫女に任せるしかない。どうか、無事にとそうして視線を送れば、任せろとばかりに頷きが返ってくる。そして、そのまま少年たちが荷物を運んでいくのを、オユキから貸し出した馬車に乗り込んでいくのをただ見守って。
そうして今この時。改めて少年たちに向けて。実際には、ローレンツに対して。
「然るに、ローレンツ。これは王命である。我が王よりの勅旨をこうして携えておるのがその証。
月と安息の神殿を擁するかの地に、戦と武技の巫女たるオユキが得た物を運び、そこに安置せよ。」
「は。」
参加者は、勿論公爵夫妻、それから門を得ているオユキ。後はこの町の代官でもあるメイと、教会で役職を持つ者達が神像を背にずらりと並んで。ひときわ高い場所に公爵とメイ、続いて司教が。そして少し下がったところにオユキとアイリス。巫女としての職分を得ている二人が。老齢の巫女、月と安息に使えるその人物は、今回月と安息の神殿へと向かうために、少年たちと同じ場所に。
トモエとしては、やはり少年たちと共に。そうした考えもあった。しかしオユキがトモエをあちらこちらに連れ回したいと、そう考えている事もまた嬉しい。トモエの方でも今回の事は色々と複雑なのだ。オユキの厚意、それがわかるからこそ不安も多少はある中で少年たちを送り出すことに同意した。勿論、ローレンツだけではなくトモエからも他の相手に。カナリアとイリアに少年達への同行を頼んでいる。
公爵が持ってきたものではなく、いくらかを既に保管していた短杖、それをカナリアに預けた上でどうか日々月と安息の守りをと。野営の旅に使ってくれて構わないと言い添えて。やはり、遠隔地への移動に際して夜間というのは色々と厄介がある。それを避けられるようにと老婆心として。
「此度の事は、確かに巫女が、それを得た物が居らぬ中となる。結果に関してはそれこそ神々の御心によるところが大きかろう。そこにう如何なるものがあったとして、我は、これは国王陛下にも言質を取っているのだが責任の追及はせぬ。」
「畏まりました。しかしながら、我に不安はありませぬ。こうして万全の体制を敷いて頂いたこともあり。」
「それが万全かどうかは、正直な所我にもわからぬのだがな。」
随分と人員は膨らんでいる。少年たちを是非にと、任せたいと言い出したのはトモエとオユキ。では、そんな彼らを守るためにと他の誰かを頼んだのはこうして彼らに相対している大人達。ローレンツにカナリアとイリア。後は流石に不参加だが、此処にアベルとアイリスをなどとオユキは考えていたのだが、生憎と後者の二人に関してはこの町に残って色々とやることがあると言えばいいのか新たに起こる面倒や厄介を共にする心算であるのか。
一先ずとばかりに、今後トモエとオユキはまずは領都。それから一度始まりの町に戻った後には王都へと向かい更に隣国でもある魔国へと顔を出す予定を立てている。そのついでに、セグレ子爵家によって、ローレンツの奥方をまずは始まりの町に案内したりもするのだが。まぁ、今後もどうした所でやはり忙しい。何となれば、トモエが一度全てを白紙に戻したこともあり、ではこれを、次にあれをとそれはもうオユキに対して様々な要望も舞い込んできている。
仕事を一度全て止めて、休日を設けてしまえばこうなるというのはオユキの知るところであり、トモエは把握していたわけでは無い。まぁ、それこそ方々からの手紙を処理するだけでもオユキはなかなか難儀している。あちらこちらに顔を出すならと、それに対して押し込まれそうになっている予定もあったりするのだがそちらは今後調節していくだけ。
「巫女からは、何かあるかね。」
「そうですね。」
さて、色々と今後について思いを馳せているところに公爵から話を振られる。さて、式次第にあっただろうか。そんな事を想わず考えてしまうのだが、求められたのなららしさをもって。
「この度は、いえ今後もでしょう。私が得た物を神々からこちらの世界へといただけた物、異なる地を繋ぐための門を誰かに、今は皆さんに運んでもらう事を決めました。」
少々公爵からは言い様に話をされてしまった物だが、内実はそんなものだと。
オユキの方に不足が無ければ、方々に移動ができるというのであればこんな事にはなっていなかったはずだ。寧ろ、前倒しになったと聞いた以上は実際にはもっとゆくっりとした予定ではあったのだろう。それこそ、わざわざこうして運ぶ事すらなく、現地で得る事が出来たのかもしれない。今後もどうした所でこうして門を得るのは始まりの町になるのだろうとそうした予想くらいはあるものだ。
「今後も。ええ、今後も人を頼むこととなるでしょう。勿論、門が開いた折には私も現地へ一度赴くことにはなるでしょうが。」
実際には、一度と言わずに数度。
ただ、この場で語る言葉としては、門が正しく開いたのだと、こうして運ぶことを頼んだ相手が現地で確かにやり遂げたのだという事実を確かめるために。若しくは現地で門を開くために、既に開かれた門から作用を行って。
「ですが、やはりこうして初めて頼む相手に対しては、私としても頼みたいことがあります。」
そう、これが初めての試みではある。オユキがその場にいれば、門を置くことに問題が無いのだとそういった理解はある。少なくとも、神々からそれに関連することというのは既に言われている。要はこれを用意した相手が保証するのだから、確かに問題が無いだろうとそういった形での納得がオユキだけでなくこうした計画を行う立場の者達の中に共通認識として存在している。だからこそ、今回は誰も彼もが不安視している。それに対してオユキが思うところは無いのかと言われれば、当然国王陛下からの手紙に少々皴を作る程度には苛立ったりもしたのだが。
「どうか無事に。しかし確実に。それだけが、私からの願いです。」
別に失敗しても構わない、そう言うことは出来ない。個人に与えられた功績とはわけが違う。オユキが望んだところで、この門が再び手元に戻って来るかは分からない。それこそ下手をすれば、万が一何者かに奪われることがあればそれこそ代償はきっちりと支払わなければならないだろう、オユキが。それでも構わないかと言われれば、やはりそうでは無い。二度目に門を得た時には一つであったため、まだどうにか動く事が出来たのだが最初に二つを得た時を思えば代償付きの再召喚などやりたいなどと考えられない。
それだけなどと言ってはいるのだが、それだけの事が非常に難しい。その理解はオユキにも当然ある。だからこそ、こうなる前に少し時間を使って、内心を少女たちに吐露したこともある。それがこうして彼女たちを縛ると分かっていながら行った事ではあるのだが、それでもオユキに向ける視線は何処までも前向きに。
「では、改めて頼みます。」
そうオユキが口に出せば、ローレンツの声よりもさらに大きく少年達から返事が返ってくる。まぁ、正直身内しかいない場ではあるからそれも構いはしないだろう。オユキとしては、まぁここまでで十分かと軽くいつものように微笑んで手なども振ったり、気軽な身振りで。この機会に、教会を使うちょっとした儀式だからとこの町の貴族たちもちらほらと顔を出しており、そちらが少々嫌そうな顔をしたりもするが構うまい。この場の主役は送り出す方ではない。送られる側だ。ならば少年たちに合わせた物としても構わないだろう。
こうして貴族社会の中で、そうした振る舞いというのは確かに顰蹙を買う物だろう。そんな事は分かった上で、少年たちが望むのであればとオユキとしては申し訳なさも覚えて。それにメイも乗っているし、アイリスからは仕方が無いとばかりに。公爵夫妻にしても、まぁそういった事は今後で構わないと言っていたし、何となれば昨夜の空気というもののすぐそばにいたのだ。こうした振る舞いを、空気を好む相手だというのは理解がある。メイにしても、いつぞやはらしさを押し付けるのは好まないと、そう言っていたこともある。枠や場というのを、本当に理解しているのだろう。ここは彼らの持つ場ではなく、作った場でもない。間借りしているだけなのだから、此処にいる者達が望む様に。
「巫女からの言葉の通りだな。ローレンツを始め、シグルド、其の方も良く務めよ。」
「ああ。任してくれたんだからな、やって見せるさ。」
「好ましい返事だな。パウは。」
「同じく。俺も、きちんと守り通す。」
少年達二人からの返事は、まぁ何とも頼もしいものだ。こうした場で気後れなど何一つないと、己が守られる側であろうとも、確かに頼まれたのは自分達だからと。
「それから、アナ。」
「はい。私は、一緒に運んで頂くことになりますが、それでも必ず。月と安息の女神様から頂いたこの位に懸けて。」
「続いて、セシリア。」
「私も、シグルドとパウと同じように。任された事、それを色んな人の手を借り手。それでも、だからこそ必ず。」
「最後に、アドリアーナ。」
順にかけられる言葉に少年たちが応えていく。この場にはファルコやリヒャルトも参加していたりするが、全く気遅れなく公爵からの問いかけに応える姿は、確かに彼らの目にも映っている事だろう。
「私は、二人よりも遅れてですけど。確かに水と癒しの女神様から頂いた証もあります。だから、次も必ず。」
今は水と癒しの神殿と、知識と魔の神殿に用意されている。ついでという訳でもなく、ここが起点となるからこそ、この教会のすぐ横にもしっかりと。
「前は、運んだだけ。随分と負担をかけてしまったから。だから、今度こそ。」
「そうした意気込みは嬉しく思うがな。しかし、其の方だけが負担を得るとなれば、其の方らが過剰に負担を得るとなれば。」
「ええ。やはりそれを私は喜びませんよ。」
困ったことに、随分と気炎を上げている。あげてしまっている。後の事は、いよいよオユキもトモエもいない場でとなるため、引率役のローレンツや巫女に任せるしかない。どうか、無事にとそうして視線を送れば、任せろとばかりに頷きが返ってくる。そして、そのまま少年たちが荷物を運んでいくのを、オユキから貸し出した馬車に乗り込んでいくのをただ見守って。
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