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21章 祭りの日
雪化粧
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「使徒として招かれた方々は、そうですね、それはそれは悲しんでおられました。」
「残念があったという事ですか。」
「ええ。それは勿論。こちらに来て初めて、そうしたことがほとんどのようでしたが。」
事此処に至って、この司教は己の年齢に関して隠すつもりが無いと、実にわかりやすい。
何時使徒として、かつての世界の開発者たちが招かれたのかは分からないが、オユキがこれまでに読んだいくつかの手記にかかれたことを正しいと信じるのであれば、存在が確認されたのは、千年程前。そもそも、王祖、建国の頃には誰も彼もがこの世界の在り方のままに、かつての舞台に定められた装置として動いていたのだ。そして、こちらが生まれた、周囲にあるものが一体何なのか分からない、そのような状況に放り込まれてから、既に千と二百年。
「オユキさんも、歴史を学ばれた事でしょう。」
そこから今まで、随分と色々と様変わりしたのだろう。
かつての世界にあったとオユキが覚えている物、あったはずの物がこの世界には存在しない。
かつての世界に無かったとオユキが感じる物、そういった物がこちらには確かに息づいている。
一体どれだけの事があったのか、一体どれほどのことを為してきたのか。受け取った書物の中には、伝聞でしかないそれらが、ただありありと、生々しさと言えばいいのだろうか、聞いたのだと、確かに伝えられていたのだと分かる物がそこにはあった。酸鼻を極めるなどとまではいわないが、随分と忙しい日々を生きていたものらしい。
とにもかくにも日中、安息ではなく、仕事をすると決めた時間は全力で働き、それが終われば家に戻り、若しくは戻らずに仲の良い者達と時間を。
それは、随分と楽しげでもあり、困難でもあり。まさに企業の立ち上げ時期、黎明期に訪れる労苦に近しいものであったのだろう。
綴られた日々は、聞かされたとする日々は、随分とオユキの琴線に触れた物だ。
「そうですね。言葉を選ぶ事すら出来ませんが、得難い史料でした。そこに書かれた多くの事。ええ、私はそれを読んだ上で多くを考えましたとも。」
「ええ、それを理解していますよ。ですから、こうして機会を用意したのですから。」
そして、微笑むロザリア司教、この人物がなんと言いし得ぬ恐怖感を煽る事か。
「さて、オユキさん。あまり長くこちらにご案内するわけにもいきませんから。」
「それは、祭りが控えているから、という事でしょうか。」
「いいえ。色々と理由はあるのですが、今回は負担が大きいからと言いましょうか。」
そう言うロザリア司教が、特に何かを負担しているような、そういった様子を伺う事が出来ない。
「そうですか。では、早々にお話を聞いたうえでこの場を辞さねばなりませんね。」
「そうして頂けると、正直な所有難いのです。」
オユキからの多少の皮肉にも、ロザリアはただそれが当然と応えて見せる。
「気が付いているのであれば、ええ、よかったのですが。」
「さて、何の事でしょうか。」
「いえ、お二人のこちらでの在り方について。」
さて、何が飛び出すのかと思えば、そのような事かと。
「少々、他の何かが混じっているとそれは理解していますが。」
しかし、そればかりはいよいよこちらで暮らすヒトと呼ばれている種族が凡そ該当するのではないだろうか。オユキとしては、実に不思議に思い、図らずとも首をかしげてしまう。こうして話している相手にしても、見た目は確かに同じだが、その来歴を辿れば神に連なるわけだ。
「理解されているのなら、話は早いですね。そう、こちらで暮らす者達の中に、凡そ純粋なヒトというのは存在しません。」
「ええ。それについては、恐らく世界樹というのがこの世界を支えており、拠点というものが根の上に。そのように理解しています。」
根の機能として、恐らくは神々がそこに座を構えているというのが一つ。そして、もう一つは神々に対して滋養を届けると言えばいいのだろうか。そうした機能が存在しているはずなのだ。拠点というのは、それをわかりやすくするための機能。オユキのこれまで手に入れた情報、思考、そういった物では、そのような結論が導かれている。
それが正しいかどうかは、いよいよ試すべき項目が多い為、手が及んでいないが。
「それで基本は間違っていません。ええ、この世界は、やはり世界樹に支えられています。」
「宇宙観として、それを選択されたという事なのでしょう。」
空に輝く星は無く、ただ無数の月らしきものと太陽が。
「世界樹を基本とする宇宙観、それを内包する神話はてっきり北欧によるものと考えていましたが、なかなかどうして色々と巻き込んだものです。」
「そうですね。使徒様方は、随分と欲張ったのでしょう。そして、この世界を作るために実に多くの、この世界にたどり着くまでに、実に多くの。」
「それが私の知らぬ世界の理屈ですか。」
翼人種の崇める神、それについてオユキには記憶が無い。思いつくこともない。
この世界の前身と考えても良いもの、それについてはオユキの中で断定的な物が既に存在している。あったとして、四つだと。恐らくは創造神、これが最初に作られ、そこから水と癒し、月と安息、それから戦と武技。
主たる四の神々が、それぞれに前身となる仕組みを持っていた。そして、それぞれが崩壊した結果として、こちらに流れ着いたに違いないだろうと。少なくともオユキはそう考えているものであるし、それを示すだけの証拠らしきものも手に入れた。曰く、神々にはかつて各々が創造神としてあがめられた世界を持っている。それが何某かの理由で失われてこちらに流れてきたらしいと。
「いいえ。実際には、オユキさん、あなたがかつての世界で見た物よりも、こちらに使徒様方をお招きしてから用意した物が多いのですよ。」
「は。」
ただ、ロザリアに言われた言葉は、オユキにとっては理外の事。
「そうして勘違いをされていても、やはり障りがあるのです。」
そして、ただ、続ける。
「この世界における信仰は、神々の力になります。ええ、ご想像頂いている通りの事が。ですが、それにしても多少というものがあり、質というものもあります。」
「成程。疑念を持つ者からは、やはり減りますか。」
「そうですね。減るという表現も適切ではありませんが、凡そその理解でも間違いではないのです。」
果たして、そこにはいったいどのような仕組みが。オユキとしては、ただただそれが理解できない。
「そちらについては、ええ、もう少しこちらの世界について学ばれてからとしましょうか。」
「随分と、もったいぶる事ですね。」
「そういった理由でもありません。私もやはり、この世界に暮らすものですから。」
「法と裁き、それに知識と魔、ですか。」
「ええ、他にも勿論。」
他に一体どのような神が、こうした理屈を担当するというのか。
神々というのは、基本的にこちらに存在する神像の数だけ。しかし、オユキにしてもトモエにしても、見る事すら叶わぬ神像があるという事であるらしい。それは既に持祭の少女たちの言動で理解している。
「つまりは、私が見る事の能わぬ神像に由来するものですか。いえ、申し訳ありません。」
そして、オユキにしてもこうしてあれこれと聞かされていれば、己の推論に対する補強が得られているのだと、他にも思考の糸を伸ばす為に手がかりを得られるのだと、ついつい聞いてしまいたくなるものだが、いくらかロザリアに負担をかけているらしい。珍しくと言えばいいのか、普段は柔和な表情を浮かべているのだが、今は少し困ったように。その姿を見て、オユキも流石に己の振る舞いに対して気が付くというものだ。
つまりは、ロザリア司教、教えを司るというくらいを得たこの人物は、尋ねられたことに少なくとも本人の理解、相手の理解といった物を加味したうえで応えねばならない、そうした制約で設けているのだろうと、そうした思考を作る事を忘れずに。
「こうして話すのも、ええ、勿論楽しくはあるのですが、正直お尋ね頂いている事は、こうした場でなくてもお応えできることですから。」
「おや。」
どうやら、聞けば応えてくれるとそうしたことは、ふらりと訪ってもとそう言う事であるらしい。
「ですから、今は話すべきことを。そうですね、まずは、大きな勘違いを一つ。」
そう呟いて、ロザリア司教が体制を変える。これまでは、ごく自然に座っていたのだが背もたれに体を預ける様に、少々己がそれが許されるだけの立場であると示すかのように。
「この世界にお二人を招いた理由ですが、何も直ぐにその身を流れに任せよという訳ではないのです。」
「さて、こちらで魂の不足がと、私はそのように伺っていますが。」
「以前にも少しお話をいたしましたが、それが解消されて久しいと言いましょうか。」
「では、人口の制限、それについてはどう説明されるおつもりですか。」
ロザリア司教の言葉は、随分と、そう、随分とこちらで暮らす者達が前提としている事、それを無い物というようではないか。
「人口の上限、これについては別の理屈です。勿論、初期の頃。そう、黎明の頃にはそうした制限も確かにありました。そして、使徒様方の手によって、決まったことがあるのです。」
「それは、まさかとは思いますが。」
そう、それこそまさかだ。
「創造神様が、力を振るわれました。勿論、まずは誘いの言葉を、穏当な物として。」
「それは、正直侵略する側の理屈では。」
予想だにしなかったことを、この司教たる人物は、分霊でもある人物は、実に気軽に口にするではないかと。
「ええ、その選択をされました。」
「それは、どなたが。」
「誰がというのであれば、ルゼリア様、でしょうか。」
つまりは、あの随分と気弱そうな、幼気な。
「ああ、確かに、幼いというのであれば、そう言う事もありますか。」
幼稚さというのは、残酷さに繋がる物なのだろうか。
それがオユキにはわからぬのだが、しかし、それが正しいのだと示されたに等しい。そうであるならば、そのような存在を生んだのは、それに対して要らぬ知恵を、叶える事が出来てしまう何かを教えてしまった者達の罪というのは、何処までも深い。
「ああ、それで、こちらに対して試練が与えられたわけですか。」
「はい。そうですね。」
つまりは創造神に対して、新たに生まれた一柱に対して与えられた試練というものが存在する理由、それはこういう理屈であるらしい。
「残念があったという事ですか。」
「ええ。それは勿論。こちらに来て初めて、そうしたことがほとんどのようでしたが。」
事此処に至って、この司教は己の年齢に関して隠すつもりが無いと、実にわかりやすい。
何時使徒として、かつての世界の開発者たちが招かれたのかは分からないが、オユキがこれまでに読んだいくつかの手記にかかれたことを正しいと信じるのであれば、存在が確認されたのは、千年程前。そもそも、王祖、建国の頃には誰も彼もがこの世界の在り方のままに、かつての舞台に定められた装置として動いていたのだ。そして、こちらが生まれた、周囲にあるものが一体何なのか分からない、そのような状況に放り込まれてから、既に千と二百年。
「オユキさんも、歴史を学ばれた事でしょう。」
そこから今まで、随分と色々と様変わりしたのだろう。
かつての世界にあったとオユキが覚えている物、あったはずの物がこの世界には存在しない。
かつての世界に無かったとオユキが感じる物、そういった物がこちらには確かに息づいている。
一体どれだけの事があったのか、一体どれほどのことを為してきたのか。受け取った書物の中には、伝聞でしかないそれらが、ただありありと、生々しさと言えばいいのだろうか、聞いたのだと、確かに伝えられていたのだと分かる物がそこにはあった。酸鼻を極めるなどとまではいわないが、随分と忙しい日々を生きていたものらしい。
とにもかくにも日中、安息ではなく、仕事をすると決めた時間は全力で働き、それが終われば家に戻り、若しくは戻らずに仲の良い者達と時間を。
それは、随分と楽しげでもあり、困難でもあり。まさに企業の立ち上げ時期、黎明期に訪れる労苦に近しいものであったのだろう。
綴られた日々は、聞かされたとする日々は、随分とオユキの琴線に触れた物だ。
「そうですね。言葉を選ぶ事すら出来ませんが、得難い史料でした。そこに書かれた多くの事。ええ、私はそれを読んだ上で多くを考えましたとも。」
「ええ、それを理解していますよ。ですから、こうして機会を用意したのですから。」
そして、微笑むロザリア司教、この人物がなんと言いし得ぬ恐怖感を煽る事か。
「さて、オユキさん。あまり長くこちらにご案内するわけにもいきませんから。」
「それは、祭りが控えているから、という事でしょうか。」
「いいえ。色々と理由はあるのですが、今回は負担が大きいからと言いましょうか。」
そう言うロザリア司教が、特に何かを負担しているような、そういった様子を伺う事が出来ない。
「そうですか。では、早々にお話を聞いたうえでこの場を辞さねばなりませんね。」
「そうして頂けると、正直な所有難いのです。」
オユキからの多少の皮肉にも、ロザリアはただそれが当然と応えて見せる。
「気が付いているのであれば、ええ、よかったのですが。」
「さて、何の事でしょうか。」
「いえ、お二人のこちらでの在り方について。」
さて、何が飛び出すのかと思えば、そのような事かと。
「少々、他の何かが混じっているとそれは理解していますが。」
しかし、そればかりはいよいよこちらで暮らすヒトと呼ばれている種族が凡そ該当するのではないだろうか。オユキとしては、実に不思議に思い、図らずとも首をかしげてしまう。こうして話している相手にしても、見た目は確かに同じだが、その来歴を辿れば神に連なるわけだ。
「理解されているのなら、話は早いですね。そう、こちらで暮らす者達の中に、凡そ純粋なヒトというのは存在しません。」
「ええ。それについては、恐らく世界樹というのがこの世界を支えており、拠点というものが根の上に。そのように理解しています。」
根の機能として、恐らくは神々がそこに座を構えているというのが一つ。そして、もう一つは神々に対して滋養を届けると言えばいいのだろうか。そうした機能が存在しているはずなのだ。拠点というのは、それをわかりやすくするための機能。オユキのこれまで手に入れた情報、思考、そういった物では、そのような結論が導かれている。
それが正しいかどうかは、いよいよ試すべき項目が多い為、手が及んでいないが。
「それで基本は間違っていません。ええ、この世界は、やはり世界樹に支えられています。」
「宇宙観として、それを選択されたという事なのでしょう。」
空に輝く星は無く、ただ無数の月らしきものと太陽が。
「世界樹を基本とする宇宙観、それを内包する神話はてっきり北欧によるものと考えていましたが、なかなかどうして色々と巻き込んだものです。」
「そうですね。使徒様方は、随分と欲張ったのでしょう。そして、この世界を作るために実に多くの、この世界にたどり着くまでに、実に多くの。」
「それが私の知らぬ世界の理屈ですか。」
翼人種の崇める神、それについてオユキには記憶が無い。思いつくこともない。
この世界の前身と考えても良いもの、それについてはオユキの中で断定的な物が既に存在している。あったとして、四つだと。恐らくは創造神、これが最初に作られ、そこから水と癒し、月と安息、それから戦と武技。
主たる四の神々が、それぞれに前身となる仕組みを持っていた。そして、それぞれが崩壊した結果として、こちらに流れ着いたに違いないだろうと。少なくともオユキはそう考えているものであるし、それを示すだけの証拠らしきものも手に入れた。曰く、神々にはかつて各々が創造神としてあがめられた世界を持っている。それが何某かの理由で失われてこちらに流れてきたらしいと。
「いいえ。実際には、オユキさん、あなたがかつての世界で見た物よりも、こちらに使徒様方をお招きしてから用意した物が多いのですよ。」
「は。」
ただ、ロザリアに言われた言葉は、オユキにとっては理外の事。
「そうして勘違いをされていても、やはり障りがあるのです。」
そして、ただ、続ける。
「この世界における信仰は、神々の力になります。ええ、ご想像頂いている通りの事が。ですが、それにしても多少というものがあり、質というものもあります。」
「成程。疑念を持つ者からは、やはり減りますか。」
「そうですね。減るという表現も適切ではありませんが、凡そその理解でも間違いではないのです。」
果たして、そこにはいったいどのような仕組みが。オユキとしては、ただただそれが理解できない。
「そちらについては、ええ、もう少しこちらの世界について学ばれてからとしましょうか。」
「随分と、もったいぶる事ですね。」
「そういった理由でもありません。私もやはり、この世界に暮らすものですから。」
「法と裁き、それに知識と魔、ですか。」
「ええ、他にも勿論。」
他に一体どのような神が、こうした理屈を担当するというのか。
神々というのは、基本的にこちらに存在する神像の数だけ。しかし、オユキにしてもトモエにしても、見る事すら叶わぬ神像があるという事であるらしい。それは既に持祭の少女たちの言動で理解している。
「つまりは、私が見る事の能わぬ神像に由来するものですか。いえ、申し訳ありません。」
そして、オユキにしてもこうしてあれこれと聞かされていれば、己の推論に対する補強が得られているのだと、他にも思考の糸を伸ばす為に手がかりを得られるのだと、ついつい聞いてしまいたくなるものだが、いくらかロザリアに負担をかけているらしい。珍しくと言えばいいのか、普段は柔和な表情を浮かべているのだが、今は少し困ったように。その姿を見て、オユキも流石に己の振る舞いに対して気が付くというものだ。
つまりは、ロザリア司教、教えを司るというくらいを得たこの人物は、尋ねられたことに少なくとも本人の理解、相手の理解といった物を加味したうえで応えねばならない、そうした制約で設けているのだろうと、そうした思考を作る事を忘れずに。
「こうして話すのも、ええ、勿論楽しくはあるのですが、正直お尋ね頂いている事は、こうした場でなくてもお応えできることですから。」
「おや。」
どうやら、聞けば応えてくれるとそうしたことは、ふらりと訪ってもとそう言う事であるらしい。
「ですから、今は話すべきことを。そうですね、まずは、大きな勘違いを一つ。」
そう呟いて、ロザリア司教が体制を変える。これまでは、ごく自然に座っていたのだが背もたれに体を預ける様に、少々己がそれが許されるだけの立場であると示すかのように。
「この世界にお二人を招いた理由ですが、何も直ぐにその身を流れに任せよという訳ではないのです。」
「さて、こちらで魂の不足がと、私はそのように伺っていますが。」
「以前にも少しお話をいたしましたが、それが解消されて久しいと言いましょうか。」
「では、人口の制限、それについてはどう説明されるおつもりですか。」
ロザリア司教の言葉は、随分と、そう、随分とこちらで暮らす者達が前提としている事、それを無い物というようではないか。
「人口の上限、これについては別の理屈です。勿論、初期の頃。そう、黎明の頃にはそうした制限も確かにありました。そして、使徒様方の手によって、決まったことがあるのです。」
「それは、まさかとは思いますが。」
そう、それこそまさかだ。
「創造神様が、力を振るわれました。勿論、まずは誘いの言葉を、穏当な物として。」
「それは、正直侵略する側の理屈では。」
予想だにしなかったことを、この司教たる人物は、分霊でもある人物は、実に気軽に口にするではないかと。
「ええ、その選択をされました。」
「それは、どなたが。」
「誰がというのであれば、ルゼリア様、でしょうか。」
つまりは、あの随分と気弱そうな、幼気な。
「ああ、確かに、幼いというのであれば、そう言う事もありますか。」
幼稚さというのは、残酷さに繋がる物なのだろうか。
それがオユキにはわからぬのだが、しかし、それが正しいのだと示されたに等しい。そうであるならば、そのような存在を生んだのは、それに対して要らぬ知恵を、叶える事が出来てしまう何かを教えてしまった者達の罪というのは、何処までも深い。
「ああ、それで、こちらに対して試練が与えられたわけですか。」
「はい。そうですね。」
つまりは創造神に対して、新たに生まれた一柱に対して与えられた試練というものが存在する理由、それはこういう理屈であるらしい。
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