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20章 かつてのように
間もなく
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月日は百代の過客にして、行きかう人もまた旅人なり。
とはよくいった物で、気が付けば明日に控える祭りの前日。オユキとトモエはそれぞれに別れて、明日の準備などを行っている。オユキはオユキで、こうして明日持ち込む物の確認を行い、トモエはトモエで。
「さて、このあたりで良いでしょうか。」
「そうですね。ああ、オユキ様。こちらも。」
「おや、忘れていましたか。」
さて、シェリアに渡された二本の剣。それらを何処に置くべきかと、オユキは頭を悩ませる。
「どうした物でしょうか。」
「そうですね。」
こうして荷造りなどをしているのは、今日という日をメイの領主館で過ごす為。シェリアの手には、案内状が握られているし、オユキ宛にあれやこれやと荷物が届いていたこともある。要は、これらを纏めて持って来いと、そう言いたげに。それらもこうして荷物に纏めてはいるのだが、何分量が多い。カレンに頼んで、早々に馬車に運んでいってもらっているのだが、如何がしたものかと、こうしてあれこれと頭を悩ませている。
「仕方ありません。これは別に、預けましょうか。」
「畏まりました。」
そして、オユキが渡すのは、トモエから持っておくようにと言われた、いくつかの品。そのどれもが、オユキの為にと用意された品であるには違いない。装飾の類に始まり、手首までを覆う手袋、髪を結ぶための髪紐。そして、懐にしまうべき短刀。どれもこれもが大切な品であり、さて、どれを置いていくのかと頭をこうして悩ませているわけだ。
「如何せん、どうした物かと。」
「なかなか、トモエ様の愛が重いですね。」
「全く、困ったものです。」
そう言いながらも、オユキとしてはやはり嬉しいものではある。トモエがオユキの為を思って用意した品々、それらをどうするのか頭を悩ませている時間というのは、楽しい物なのだから。
とはいう物の、やはり困ったことではあるのだ。
「さて、カレンが戻ってくるまでの間に、次を用意しておきましょうか。」
「オユキ様、こちらはどうしましょうか。」
「ああ、それでしたらカレンに渡してください。私たちからメイ様への贈り物です。」
シェリアが掲げているのは、なんと言えばいいのか。オユキとトモエが選んだ、領主代行の少女への贈り物。いくつかの魔物の素材を手に入れて、それらをふんだんに使い仕上げた装飾品。首飾りでもあるそれは、中央には石がはめられているのだが、それは魔石にも似た輝きを湛えている。連なる鎖が示すのは、さてどういった相手との事だろうか。魔石の周囲を固める魔物の素材による台座は、実に白々とした輝きを見せているいくつかの骨を加工した物であり、それを良く見せるためにいくつかの金属も加えられている。ついでとばかりにもう一つ用意しているのだが、そちらも併せて納めた箱を持つシェリアに、オユキからはそうとだけ。
「畏まりました。他には、こちらなどは。」
「ええと、そちらにあるものは、まぁこの度の事に対する私たちからの補填ですね。」
他にシェリアが示すのは、分けておいてあるいくらかの布であったり、魔物の素材であったり。
「こうして色々と骨を折って頂きましたから。」
「成程。」
そうとだけ頷いて、シェリアが外に向かって声を掛ければ、幾人かの者達が中に入ってきて、それらを運び出していく。その姿を見送りながらも、オユキとしては、まぁ思うところが。
「皆さんは、参加されないのですね。」
「ええ。あの子たちは、この屋敷を使って執り行うとか。」
それもそのはず。屋敷の主であるオユキとトモエが、それぞれに表に出ていくのだ。残った者達がなにをするかと言えば、この屋敷を使って主人たちと同じ会を開こうというのだ。オユキは、是非ともそちらにも参加したいと、そう考えはしたのだが生憎と時間が許しはしない。使用人たちを取り纏める主人として、後は残る者達に任せてよそからの招きに応じるだけ。
「羨ましい事ですね。」
「オユキ様は、そうですね。次回以降にと。」
「それしかありませんか。」
さて、そうして話しているうちに、ある程度の荷物がまとめ終わる。残ったものは、まぁそれぞれに任せてしまえばいいだろう。オユキはそう判断したうえで、シェリアを伴ってその部屋を出ようとするのだが。
「オユキ様、あれは、どうすれば。」
「ああ。」
そして、シェリアが指さす先には、何やら鎮座している大きな箱が。神域の種ともまた違う、扉を作るための箱。それがこの部屋に置かれている。何時の間に現れたのかは分からないが、オユキから取り上げられるものは少なかったようにも思う。トモエからも。こうしてここにあるという事は、さて何処かから徴収したに違いないのだが、オユキにはそれが分からない。何処から、これを作るのに必要な物を徴収したのだろうかと、トモエと共に、首をかしげてみれば今日という日が訪れたのだ。
「持っていきましょうか、教会に。」
こうして首をかしげていても始まらないからと、オユキがそう言えば、シェリアもただ頷いている。
「さて、用意は以上でしょうか。」
「オユキ様、忘れている事がありますよ。」
さて、そうシェリアに声を掛けられるものだが、一体なんだろうかとオユキとしては不思議に思う。
こうして、あれこれと用意した物であるし、他に必要な物は一切を任せている。特に己が行う事は無いはずだと。そう、疑問に思い首をかしげていれば、シェリアがただため息を零す。
「オユキ様自身の準備がまだですよ。」
「ああ、その事ですか。」
思えば、その辺りを話していなかったかもしれないと、オユキはそう思いなおして改めてシェリアに向き合う。
「教会でご用意いただけるそうですから。」
「それでも、ご自身で何もしないという訳にはいかないでしょう。」
「そう言う、ものですか。」
オユキが成程と呟けば、シェリアがそれが当然と頷いて見せる。
「ええ、そういうものです。では、オユキ様こちらに。」
そういって案内されるがままに、いや、捕まえられて運ばれているのだが、それにしても疑問というのは出てくる。
「あの、シェリア様。これから、どちらに。」
「オユキ様を磨き上げる訳ですが、さて、今からで間に合うでしょうか。」
「あの、どういう。」
「ああ、カレン。丁度良い所に。残りは部屋に纏めてありますから、貴女が差配をするように。」
そして、ぎょっとした顔のカレンに対してシェリアがそう言えば、カレンからはどうしたらいいのかとオユキに判断を仰ぐような視線が寄せられる。そもそも、オユキにしてもよくわかっていないのだから、カレンに対して何が言えるはずもなく、ただあるがままを話して聞かせれば、カレンの対応は実に早かった。
「では、シェリア。お任せしますね。」
「ああ、そうでしたか。畏まりました、カレン様。」
「あの、何が分かったのでしょうか。」
そうしてオユキの知らぬところで何かが決まり、カレンもため息をついて荷物を取りに部屋へと向かって行く。オユキは、ただシェリアに抱えられたままその姿を見送るばかり。
振り返りもせず歩き去っていくその背中は、何となく寂し気に見える物だが、実際はどうなのか。オユキとしては、ただただ連れ去られていくに身を任せるしかないのが、現状なのだ。
「シェリア様。」
「はい、何でしょうかオユキ様。」
そうして運ばれながら廊下を歩いていれば、何事かと顔を出す使用人たちが揃って顔を引っ込めていくのが何故なのかと気になるのだが、それを今言っても仕方がない。ただただ、シェリアにオユキは心底から覚えている疑問を尋ねてみる。
「用意は、先ほどの物だけでは。」
「いえ、オユキ様の用意がありますから。」
さて、オユキの用意と追うのは一体なんだというのだろうか。
「それは、どのような用意でしょうか。」
「そう言えば、説明していませんでしたね。」
そして、シェリアがオユキを連れてきた先は、浴室であった。
洗面台もあれば、垢落としをするための場所も用意されている一室。そこに連れ込まれて、オユキはさてと首をかしげる。入浴なら昨夜と今朝がた、ついでに昼前にも済ませたはずだと。オユキとトモエが好きだという事もあり、この一室はもはや専用と言っても良い扱いを得ている場所に連れ込まれて、さて何が始まるのかと思えば。
「オユキ様を磨き上げる訳ですが、何か要望はありますか。」
「さて、それでしたらトモエさんに頼みましたが。」
「いいえ、オユキ様。不足があります。」
一体、何が不足なのだろうかとオユキとしては甚だ疑問に思うのだが、そう言うのであれば、そうなのだろうと。ただそう納得して見せるだけ、ともいかない。
「あの、あちらの方々は。」
「オユキ様を磨き上げるために、借り受けた人員ですが。」
そして、オユキの示した先には、ずらりと並んでいる者達がいる。ちらほらと見た顔があるのは、さてメイの屋敷か教会か。それともクララの侍従だろうか。
「あの。」
「では、皆さま。後は任せます。」
「畏まりました。」
そして、オユキは早々に手を出した使用人に預けられて、シェリアが扉をふさぐように立ちはだかる。事こうなれば、もはやオユキにはどうしようもない事であるらしい。
ただただ、あきらめの境地に至って、そして周囲に頭を下げる。
「では、お願いします。」
「畏まりました。」
どうにも、こうして構われることは今後避けられない物であるらしいと、オユキは漸くことここに至って諦めがついた。どうやらシェリアが預けられたのは、このあたりに無頓着なオユキに対するものである様で、どうにもならない様子。であれば諦めて流される方がまだ良い。というよりも、まだましだ。
「では、オユキ様。こちらに。」
「分かりました。」
さて、こうして用意を整えられて、次に向かう先へはいつつくのやら。そちらにも、こういった者達を連れて行かなければならないのか。何とも、面倒な事ではあるし、先方への迷惑を考えれば、実にやめていただきたいものではある。ただ、そればかりは、見栄の為であれば仕方が無い事なのかもしれない。ただ、どう言えばいいのだろうか。
「なるようになれと、そう言うしかないのでしょうね。」
さて、今後の事を考えれば、こうしているのもまぁよく出て来そうなものだ。後はもう、為されるがままに。
とはよくいった物で、気が付けば明日に控える祭りの前日。オユキとトモエはそれぞれに別れて、明日の準備などを行っている。オユキはオユキで、こうして明日持ち込む物の確認を行い、トモエはトモエで。
「さて、このあたりで良いでしょうか。」
「そうですね。ああ、オユキ様。こちらも。」
「おや、忘れていましたか。」
さて、シェリアに渡された二本の剣。それらを何処に置くべきかと、オユキは頭を悩ませる。
「どうした物でしょうか。」
「そうですね。」
こうして荷造りなどをしているのは、今日という日をメイの領主館で過ごす為。シェリアの手には、案内状が握られているし、オユキ宛にあれやこれやと荷物が届いていたこともある。要は、これらを纏めて持って来いと、そう言いたげに。それらもこうして荷物に纏めてはいるのだが、何分量が多い。カレンに頼んで、早々に馬車に運んでいってもらっているのだが、如何がしたものかと、こうしてあれこれと頭を悩ませている。
「仕方ありません。これは別に、預けましょうか。」
「畏まりました。」
そして、オユキが渡すのは、トモエから持っておくようにと言われた、いくつかの品。そのどれもが、オユキの為にと用意された品であるには違いない。装飾の類に始まり、手首までを覆う手袋、髪を結ぶための髪紐。そして、懐にしまうべき短刀。どれもこれもが大切な品であり、さて、どれを置いていくのかと頭をこうして悩ませているわけだ。
「如何せん、どうした物かと。」
「なかなか、トモエ様の愛が重いですね。」
「全く、困ったものです。」
そう言いながらも、オユキとしてはやはり嬉しいものではある。トモエがオユキの為を思って用意した品々、それらをどうするのか頭を悩ませている時間というのは、楽しい物なのだから。
とはいう物の、やはり困ったことではあるのだ。
「さて、カレンが戻ってくるまでの間に、次を用意しておきましょうか。」
「オユキ様、こちらはどうしましょうか。」
「ああ、それでしたらカレンに渡してください。私たちからメイ様への贈り物です。」
シェリアが掲げているのは、なんと言えばいいのか。オユキとトモエが選んだ、領主代行の少女への贈り物。いくつかの魔物の素材を手に入れて、それらをふんだんに使い仕上げた装飾品。首飾りでもあるそれは、中央には石がはめられているのだが、それは魔石にも似た輝きを湛えている。連なる鎖が示すのは、さてどういった相手との事だろうか。魔石の周囲を固める魔物の素材による台座は、実に白々とした輝きを見せているいくつかの骨を加工した物であり、それを良く見せるためにいくつかの金属も加えられている。ついでとばかりにもう一つ用意しているのだが、そちらも併せて納めた箱を持つシェリアに、オユキからはそうとだけ。
「畏まりました。他には、こちらなどは。」
「ええと、そちらにあるものは、まぁこの度の事に対する私たちからの補填ですね。」
他にシェリアが示すのは、分けておいてあるいくらかの布であったり、魔物の素材であったり。
「こうして色々と骨を折って頂きましたから。」
「成程。」
そうとだけ頷いて、シェリアが外に向かって声を掛ければ、幾人かの者達が中に入ってきて、それらを運び出していく。その姿を見送りながらも、オユキとしては、まぁ思うところが。
「皆さんは、参加されないのですね。」
「ええ。あの子たちは、この屋敷を使って執り行うとか。」
それもそのはず。屋敷の主であるオユキとトモエが、それぞれに表に出ていくのだ。残った者達がなにをするかと言えば、この屋敷を使って主人たちと同じ会を開こうというのだ。オユキは、是非ともそちらにも参加したいと、そう考えはしたのだが生憎と時間が許しはしない。使用人たちを取り纏める主人として、後は残る者達に任せてよそからの招きに応じるだけ。
「羨ましい事ですね。」
「オユキ様は、そうですね。次回以降にと。」
「それしかありませんか。」
さて、そうして話しているうちに、ある程度の荷物がまとめ終わる。残ったものは、まぁそれぞれに任せてしまえばいいだろう。オユキはそう判断したうえで、シェリアを伴ってその部屋を出ようとするのだが。
「オユキ様、あれは、どうすれば。」
「ああ。」
そして、シェリアが指さす先には、何やら鎮座している大きな箱が。神域の種ともまた違う、扉を作るための箱。それがこの部屋に置かれている。何時の間に現れたのかは分からないが、オユキから取り上げられるものは少なかったようにも思う。トモエからも。こうしてここにあるという事は、さて何処かから徴収したに違いないのだが、オユキにはそれが分からない。何処から、これを作るのに必要な物を徴収したのだろうかと、トモエと共に、首をかしげてみれば今日という日が訪れたのだ。
「持っていきましょうか、教会に。」
こうして首をかしげていても始まらないからと、オユキがそう言えば、シェリアもただ頷いている。
「さて、用意は以上でしょうか。」
「オユキ様、忘れている事がありますよ。」
さて、そうシェリアに声を掛けられるものだが、一体なんだろうかとオユキとしては不思議に思う。
こうして、あれこれと用意した物であるし、他に必要な物は一切を任せている。特に己が行う事は無いはずだと。そう、疑問に思い首をかしげていれば、シェリアがただため息を零す。
「オユキ様自身の準備がまだですよ。」
「ああ、その事ですか。」
思えば、その辺りを話していなかったかもしれないと、オユキはそう思いなおして改めてシェリアに向き合う。
「教会でご用意いただけるそうですから。」
「それでも、ご自身で何もしないという訳にはいかないでしょう。」
「そう言う、ものですか。」
オユキが成程と呟けば、シェリアがそれが当然と頷いて見せる。
「ええ、そういうものです。では、オユキ様こちらに。」
そういって案内されるがままに、いや、捕まえられて運ばれているのだが、それにしても疑問というのは出てくる。
「あの、シェリア様。これから、どちらに。」
「オユキ様を磨き上げる訳ですが、さて、今からで間に合うでしょうか。」
「あの、どういう。」
「ああ、カレン。丁度良い所に。残りは部屋に纏めてありますから、貴女が差配をするように。」
そして、ぎょっとした顔のカレンに対してシェリアがそう言えば、カレンからはどうしたらいいのかとオユキに判断を仰ぐような視線が寄せられる。そもそも、オユキにしてもよくわかっていないのだから、カレンに対して何が言えるはずもなく、ただあるがままを話して聞かせれば、カレンの対応は実に早かった。
「では、シェリア。お任せしますね。」
「ああ、そうでしたか。畏まりました、カレン様。」
「あの、何が分かったのでしょうか。」
そうしてオユキの知らぬところで何かが決まり、カレンもため息をついて荷物を取りに部屋へと向かって行く。オユキは、ただシェリアに抱えられたままその姿を見送るばかり。
振り返りもせず歩き去っていくその背中は、何となく寂し気に見える物だが、実際はどうなのか。オユキとしては、ただただ連れ去られていくに身を任せるしかないのが、現状なのだ。
「シェリア様。」
「はい、何でしょうかオユキ様。」
そうして運ばれながら廊下を歩いていれば、何事かと顔を出す使用人たちが揃って顔を引っ込めていくのが何故なのかと気になるのだが、それを今言っても仕方がない。ただただ、シェリアにオユキは心底から覚えている疑問を尋ねてみる。
「用意は、先ほどの物だけでは。」
「いえ、オユキ様の用意がありますから。」
さて、オユキの用意と追うのは一体なんだというのだろうか。
「それは、どのような用意でしょうか。」
「そう言えば、説明していませんでしたね。」
そして、シェリアがオユキを連れてきた先は、浴室であった。
洗面台もあれば、垢落としをするための場所も用意されている一室。そこに連れ込まれて、オユキはさてと首をかしげる。入浴なら昨夜と今朝がた、ついでに昼前にも済ませたはずだと。オユキとトモエが好きだという事もあり、この一室はもはや専用と言っても良い扱いを得ている場所に連れ込まれて、さて何が始まるのかと思えば。
「オユキ様を磨き上げる訳ですが、何か要望はありますか。」
「さて、それでしたらトモエさんに頼みましたが。」
「いいえ、オユキ様。不足があります。」
一体、何が不足なのだろうかとオユキとしては甚だ疑問に思うのだが、そう言うのであれば、そうなのだろうと。ただそう納得して見せるだけ、ともいかない。
「あの、あちらの方々は。」
「オユキ様を磨き上げるために、借り受けた人員ですが。」
そして、オユキの示した先には、ずらりと並んでいる者達がいる。ちらほらと見た顔があるのは、さてメイの屋敷か教会か。それともクララの侍従だろうか。
「あの。」
「では、皆さま。後は任せます。」
「畏まりました。」
そして、オユキは早々に手を出した使用人に預けられて、シェリアが扉をふさぐように立ちはだかる。事こうなれば、もはやオユキにはどうしようもない事であるらしい。
ただただ、あきらめの境地に至って、そして周囲に頭を下げる。
「では、お願いします。」
「畏まりました。」
どうにも、こうして構われることは今後避けられない物であるらしいと、オユキは漸くことここに至って諦めがついた。どうやらシェリアが預けられたのは、このあたりに無頓着なオユキに対するものである様で、どうにもならない様子。であれば諦めて流される方がまだ良い。というよりも、まだましだ。
「では、オユキ様。こちらに。」
「分かりました。」
さて、こうして用意を整えられて、次に向かう先へはいつつくのやら。そちらにも、こういった者達を連れて行かなければならないのか。何とも、面倒な事ではあるし、先方への迷惑を考えれば、実にやめていただきたいものではある。ただ、そればかりは、見栄の為であれば仕方が無い事なのかもしれない。ただ、どう言えばいいのだろうか。
「なるようになれと、そう言うしかないのでしょうね。」
さて、今後の事を考えれば、こうしているのもまぁよく出て来そうなものだ。後はもう、為されるがままに。
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