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18章 魔国の下見
秘密と絢爛
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また、何とも解釈に困る名を持つ者がいたものだと、オユキとしては頭を抱えるしかない。他方、トモエとしては確かにと、納得がいくものがある。
往々に秘密などというのは、秘すために色を無くし、匂いを無くし。気取らせるための物を一切排するのが常だと考えるのがオユキ。秘密、秘すべき事柄というのは表層だけでない真髄がそこにある、伝えるべき相手を選ばねばならぬほどに、流派の芯たる輝きを持つ者だと理解しているトモエ。そこには、それぞれの差というのが現れる。
そして、互いに、そうした違いがあるのだと分かるからこそ、今この場ではなく、後で。
「こうして御身と知遇を得られる機会にまずは感謝を。」
「別に、いいわよ。私だけでなく皆あなたがなにを考えているかなんてわかる物。」
それを是非教えて欲しいと、何やら熱心な視線が向けられている気配もあるが。
「そういった話は、恐らく大分近い裔であるタルヤ様から、少し伺っていますが。」
「どうにも、忠実な子が多いのよね。」
「ただ、その、花精の方は木精とは。」
「ああ。違うわよ。雌花だけという訳でもないし、あちらほど見境が無いわけでもないもの。」
「仕方ないじゃない。不足している以上、他を取り込んだ事を切欠に己の一部を別けなければならなかったんだもの。」
どうやら、この場ではいよいよ想像しているもので、確からしい、そう感じていることについては確かに答えが得られる場でもあるらしい。最も、こうした振る舞いそのものが他への誘導では無いという可能性は無いわけでは無い。今の返答にしても、オユキがこれまでの情報、種族の特性、そう言った事柄から木精という種族が、魂が不足しているこの世界に於いてそれでもこの世界に神々の力を増やすためには多くの活動する存在が必要だと考えている事に対しる解答としてとる事も出来る物だ。その反面、不足という言葉が、木精という種族が万一周囲の自然環境を、その名が示すように人の生活には斬っても切り離せない樹木を管理、影響を与える物としての行程なのか判然としないあたり、変わらぬ厄介は抱えているのは事実だ。木々と狩猟、その神が管理すべきことは、こうして話を聞いてみれば、他の神々に比べて確かに過剰だとよくわかる。月と安息は確かに忙しい。こちらに暮らす人々が、過去の世界でもそうであるように、休むときに休める場所を求める。その原初の欲求を満たす相手にしても忙しいに違いないのだが。
「貴方達には感謝しているのよ。私に返してくれる相手が増えれば、それがそのまま力になるもの。」
「卑小の身故、然したるものでもないとは愚行致しますが。」
「そうでもないわ。喜んでもらう為、それが変わらぬ決まりだもの。その実感が確かに返ってくる、それだけで十分すぎるほどよ。」
そう、例えば、試練としての強度が度が過ぎると考え、そうでは無いと考えるものが増えてしまえば。それを確かに感じさせる言葉として。
「もう、話しがあちこちし過ぎですよ。ええと、とりあえず、皆欲しがっているから用意してくださいとそう言う話をして。」
「我らの創造主の言葉通りではある。加えて教会を新たに設置するための起点、その話も終わった。残すところは今後の予定について話ができる部分であるが。」
「うむ。それについては我からもあるのだ。」
脱線しがち、それもそのはず。話を聞こうとする者達が、それを、いかに多くの情報を得られるかを考えていることもある。当然の帰結として、脱線はする。しかし、その軌道修正を行われる。
「ええ。御身のお望みとあれば、可能な限り。」
「ふむ。相応に困難はあるが、まぁ、他と比べればというものでもある。要は先に行った闘技大会の事よ。日取りを我から正式に決めようと、そう考えておってな。」
「流石に、年に一度、増えるやもとは考えていましたが。
戦と武技からの言葉に、オユキがそのまま視線をアベルに向ければ、そうするしかないとは分かっている物の、視線を逸らされて終わるだけ。この場にいるのは、戦と武のお気に入り。それから戦と武を冠する国に連なる者だけ。その名を使う以上、ある程度以上の譲歩は当然せざるを得ないというものだ。
「何、そこまで煩雑な事を言う心算もない。どうにも、我こそはと望む者が多いようでな。年に二回。その程度の必要性は我も感じておるのだと、そう言った話よ。」
「御言葉に返す事、誠に恐縮ではございますが、我らはともすれば移動の都合というものが。」
如何に異空と流離の神の手による門があろうとも、その加護が得られるのは、門と門の間に限られている。最も離れた地に、神殿に向かうにはやはり半年では足りない距離がある。特に順序についてオユキとトモエから要望を出していることもあるのだ。間に他の国を挟むアイリスの生国、テトラポダ。こちらは武国に門が置ければ、それこそ半年もかからずと出来るだおるが、生憎部国は創造神の前。その創造神の神殿にしても、いよいよ国が統治する場には無い為、なかなか困難な道のりになると、そう決まっているというのに。
「何、全てに巫女が同席せねばならぬ決まりもない。一つは前哨戦とするのが良かろう。機運を妨げぬよう、枠は分けるがな。」
要は、戦と武の名の下に開かれる大会はその仕組みを変える事は無い。
「つまるところ、予選の様な物ですか。」
「うむ。仕組みは任せる。しかし、我は我の名の下に開かれる競技の場その格式くらいは守りたい故な。誰彼構わずとは思わぬ。それに巫女達にしても、他にしても。前回最優の誉れを得た物が、新たに挑戦する者達をただ下すのもな。」
「そうすると、あの子たちが。」
「我の名の下に誉れを讃えるべき者達である。その物に挑むというのに、超えるべきものが無いなどありえるはずもない。」
言い切られてしまえば、それ以上に言える言葉もない。
シグルドを始めとした少年達。セシリアも何やらそういった意気を見せ始めていたため、これで二人。確かにオユキとトモエから得た物を使って、刃を届けようと、そう言った事を考えている二人。その二人では、流石に最後まで残った上でというのは、あまりにも困難が伴う。つまり、此処にも神々の思惑の差というものが見て取れる。
「ええ、ではそのように。」
ただ、そう言った諸々が透けて見えたところで、オユキとしても異存はない。有象無象を蹴散らして。それで得られるものは既に終わっている。次回以降は、また別の物で十分以上。ならば、無為に時間を取るよりもとそのように考えるのだから。予定が合えば、トモエが望めばそれこそ予選から観戦くらいは行った上で講評くらいは行うだろうが。そして、その振る舞いを大上段に構えたなどと言いだすものがいるのならば、それこそ挑戦権をまずは得て見ろと、そう言ってしまえば済む物でもある。
「そちらが決まったなら、後は私からかしらね。」
そして、次はいよいよ多くの問題を抱えているであろう相手から。
実際の所、その問題というのもこちらで暮らす人々が生活範囲の拡大であったり、更なるものを望んだ結果であるため、こちらに対しても配慮は勿論いる。それでなくとも明確な力関係があるため難しいというものだ。その名が示す権能、それもあってこの場では高々推論程度の事でしかない物が、確かな回答を得るための一助になっている事は想像に容易いのだから。
「祭りは、恙なく行ってもらえるのでしょう。なら、それは確かにしてもらうとして、後は私に連なる子達ね。既にあなたたちの知っている相手に話はしているから、そこから聞くと良いでしょう。」
「さて、その場には国王陛下も居られるには違いないでしょうが。」
「ええ、それにしても間違っていないわよ。」
「オユキ、其の方は知らぬかもしれぬが、如何に陛下とはいえ明確な自由も無しに一領地を任されている物の裁可に口出しは出来ぬ。それも保留とされているなら猶の事。」
アベルから補足が入り、オユキとしてはそんな物かと納得するしかない。それこそ最高権力者。どうにか出来ぬわけもないが、それをせぬだけの理屈があるのだろうと。
「それにしても、私たちではなく、アイリスさんに由縁があるものとは思いますが。いえ、あの子たちに話が流れ、そこからとするならアイリスさんの名前も使えませんか。」
今少年たちが使える物、確かな約束として掲げられるものは分かれる前に渡したものだけだ。アイリスは何処まで行っても他国に根を下ろしている相手であり、そことの交渉は色々と難しい。そして、それを解消するために、分からなければ頼ればよいのだという話をしたこともある。なんにせよ、与えた物をしっかりと使ってくれているという事に満足はあるが、頭の痛い問題でもある。オユキとトモエであれば、問題なく解決ができるのだという信頼あっての事。よほどの難事であれば、道理を説いて時間がかかると、狩猟者の現状がそうだと、食料の不足がそうであるとしたように話して聞かせる物だが、この問題はそうでは無い。
「加護が不足という事は無いでしょうから、好む場所の問題でしょう。さて、いよいよどうした物か。」
しかし、これも相応に頭の痛い問題ではある。相手はこれまで人々の生活を支える一助を担ってきた者達。当然、種としての疲弊はあるというのが、分からないでもない。
「そこは話を聞くしかないのでは。」
「聞いてしまえば、より一層の物が出てきてしまいそうなんですよね。」
秘密と絢爛、この名を持つ相手が移動を許す、これまでそれを行わなかった種族に対して、改めて働きかけを行った。その理由というのも、何となればオユキよりもトモエの方が詳しいのだ。そもそも女神に対して向けられる期待、願うべき加護というのは古来よりさして多くもない。誤訳、行き違いから生まれた神性と勘違いしたように、食料が十分であり、土地にも空きがあるのであれば、願われるのは種の繁栄だ。要は人口の増加を願う事になる。
「花精の方は、よく食べる方が多いというのは。」
「それこそ何を祖とするかに依るわよ。栄養を多く必要とする花もあれば、そうでない物もいるもの。ただ、そうよ。今あなたが思い浮かべている通り。花は咲き誇り、一帯を華やかに覆う。それが原初の願いだもの。」
「また、頭の痛い事ですね。」
往々に秘密などというのは、秘すために色を無くし、匂いを無くし。気取らせるための物を一切排するのが常だと考えるのがオユキ。秘密、秘すべき事柄というのは表層だけでない真髄がそこにある、伝えるべき相手を選ばねばならぬほどに、流派の芯たる輝きを持つ者だと理解しているトモエ。そこには、それぞれの差というのが現れる。
そして、互いに、そうした違いがあるのだと分かるからこそ、今この場ではなく、後で。
「こうして御身と知遇を得られる機会にまずは感謝を。」
「別に、いいわよ。私だけでなく皆あなたがなにを考えているかなんてわかる物。」
それを是非教えて欲しいと、何やら熱心な視線が向けられている気配もあるが。
「そういった話は、恐らく大分近い裔であるタルヤ様から、少し伺っていますが。」
「どうにも、忠実な子が多いのよね。」
「ただ、その、花精の方は木精とは。」
「ああ。違うわよ。雌花だけという訳でもないし、あちらほど見境が無いわけでもないもの。」
「仕方ないじゃない。不足している以上、他を取り込んだ事を切欠に己の一部を別けなければならなかったんだもの。」
どうやら、この場ではいよいよ想像しているもので、確からしい、そう感じていることについては確かに答えが得られる場でもあるらしい。最も、こうした振る舞いそのものが他への誘導では無いという可能性は無いわけでは無い。今の返答にしても、オユキがこれまでの情報、種族の特性、そう言った事柄から木精という種族が、魂が不足しているこの世界に於いてそれでもこの世界に神々の力を増やすためには多くの活動する存在が必要だと考えている事に対しる解答としてとる事も出来る物だ。その反面、不足という言葉が、木精という種族が万一周囲の自然環境を、その名が示すように人の生活には斬っても切り離せない樹木を管理、影響を与える物としての行程なのか判然としないあたり、変わらぬ厄介は抱えているのは事実だ。木々と狩猟、その神が管理すべきことは、こうして話を聞いてみれば、他の神々に比べて確かに過剰だとよくわかる。月と安息は確かに忙しい。こちらに暮らす人々が、過去の世界でもそうであるように、休むときに休める場所を求める。その原初の欲求を満たす相手にしても忙しいに違いないのだが。
「貴方達には感謝しているのよ。私に返してくれる相手が増えれば、それがそのまま力になるもの。」
「卑小の身故、然したるものでもないとは愚行致しますが。」
「そうでもないわ。喜んでもらう為、それが変わらぬ決まりだもの。その実感が確かに返ってくる、それだけで十分すぎるほどよ。」
そう、例えば、試練としての強度が度が過ぎると考え、そうでは無いと考えるものが増えてしまえば。それを確かに感じさせる言葉として。
「もう、話しがあちこちし過ぎですよ。ええと、とりあえず、皆欲しがっているから用意してくださいとそう言う話をして。」
「我らの創造主の言葉通りではある。加えて教会を新たに設置するための起点、その話も終わった。残すところは今後の予定について話ができる部分であるが。」
「うむ。それについては我からもあるのだ。」
脱線しがち、それもそのはず。話を聞こうとする者達が、それを、いかに多くの情報を得られるかを考えていることもある。当然の帰結として、脱線はする。しかし、その軌道修正を行われる。
「ええ。御身のお望みとあれば、可能な限り。」
「ふむ。相応に困難はあるが、まぁ、他と比べればというものでもある。要は先に行った闘技大会の事よ。日取りを我から正式に決めようと、そう考えておってな。」
「流石に、年に一度、増えるやもとは考えていましたが。
戦と武技からの言葉に、オユキがそのまま視線をアベルに向ければ、そうするしかないとは分かっている物の、視線を逸らされて終わるだけ。この場にいるのは、戦と武のお気に入り。それから戦と武を冠する国に連なる者だけ。その名を使う以上、ある程度以上の譲歩は当然せざるを得ないというものだ。
「何、そこまで煩雑な事を言う心算もない。どうにも、我こそはと望む者が多いようでな。年に二回。その程度の必要性は我も感じておるのだと、そう言った話よ。」
「御言葉に返す事、誠に恐縮ではございますが、我らはともすれば移動の都合というものが。」
如何に異空と流離の神の手による門があろうとも、その加護が得られるのは、門と門の間に限られている。最も離れた地に、神殿に向かうにはやはり半年では足りない距離がある。特に順序についてオユキとトモエから要望を出していることもあるのだ。間に他の国を挟むアイリスの生国、テトラポダ。こちらは武国に門が置ければ、それこそ半年もかからずと出来るだおるが、生憎部国は創造神の前。その創造神の神殿にしても、いよいよ国が統治する場には無い為、なかなか困難な道のりになると、そう決まっているというのに。
「何、全てに巫女が同席せねばならぬ決まりもない。一つは前哨戦とするのが良かろう。機運を妨げぬよう、枠は分けるがな。」
要は、戦と武の名の下に開かれる大会はその仕組みを変える事は無い。
「つまるところ、予選の様な物ですか。」
「うむ。仕組みは任せる。しかし、我は我の名の下に開かれる競技の場その格式くらいは守りたい故な。誰彼構わずとは思わぬ。それに巫女達にしても、他にしても。前回最優の誉れを得た物が、新たに挑戦する者達をただ下すのもな。」
「そうすると、あの子たちが。」
「我の名の下に誉れを讃えるべき者達である。その物に挑むというのに、超えるべきものが無いなどありえるはずもない。」
言い切られてしまえば、それ以上に言える言葉もない。
シグルドを始めとした少年達。セシリアも何やらそういった意気を見せ始めていたため、これで二人。確かにオユキとトモエから得た物を使って、刃を届けようと、そう言った事を考えている二人。その二人では、流石に最後まで残った上でというのは、あまりにも困難が伴う。つまり、此処にも神々の思惑の差というものが見て取れる。
「ええ、ではそのように。」
ただ、そう言った諸々が透けて見えたところで、オユキとしても異存はない。有象無象を蹴散らして。それで得られるものは既に終わっている。次回以降は、また別の物で十分以上。ならば、無為に時間を取るよりもとそのように考えるのだから。予定が合えば、トモエが望めばそれこそ予選から観戦くらいは行った上で講評くらいは行うだろうが。そして、その振る舞いを大上段に構えたなどと言いだすものがいるのならば、それこそ挑戦権をまずは得て見ろと、そう言ってしまえば済む物でもある。
「そちらが決まったなら、後は私からかしらね。」
そして、次はいよいよ多くの問題を抱えているであろう相手から。
実際の所、その問題というのもこちらで暮らす人々が生活範囲の拡大であったり、更なるものを望んだ結果であるため、こちらに対しても配慮は勿論いる。それでなくとも明確な力関係があるため難しいというものだ。その名が示す権能、それもあってこの場では高々推論程度の事でしかない物が、確かな回答を得るための一助になっている事は想像に容易いのだから。
「祭りは、恙なく行ってもらえるのでしょう。なら、それは確かにしてもらうとして、後は私に連なる子達ね。既にあなたたちの知っている相手に話はしているから、そこから聞くと良いでしょう。」
「さて、その場には国王陛下も居られるには違いないでしょうが。」
「ええ、それにしても間違っていないわよ。」
「オユキ、其の方は知らぬかもしれぬが、如何に陛下とはいえ明確な自由も無しに一領地を任されている物の裁可に口出しは出来ぬ。それも保留とされているなら猶の事。」
アベルから補足が入り、オユキとしてはそんな物かと納得するしかない。それこそ最高権力者。どうにか出来ぬわけもないが、それをせぬだけの理屈があるのだろうと。
「それにしても、私たちではなく、アイリスさんに由縁があるものとは思いますが。いえ、あの子たちに話が流れ、そこからとするならアイリスさんの名前も使えませんか。」
今少年たちが使える物、確かな約束として掲げられるものは分かれる前に渡したものだけだ。アイリスは何処まで行っても他国に根を下ろしている相手であり、そことの交渉は色々と難しい。そして、それを解消するために、分からなければ頼ればよいのだという話をしたこともある。なんにせよ、与えた物をしっかりと使ってくれているという事に満足はあるが、頭の痛い問題でもある。オユキとトモエであれば、問題なく解決ができるのだという信頼あっての事。よほどの難事であれば、道理を説いて時間がかかると、狩猟者の現状がそうだと、食料の不足がそうであるとしたように話して聞かせる物だが、この問題はそうでは無い。
「加護が不足という事は無いでしょうから、好む場所の問題でしょう。さて、いよいよどうした物か。」
しかし、これも相応に頭の痛い問題ではある。相手はこれまで人々の生活を支える一助を担ってきた者達。当然、種としての疲弊はあるというのが、分からないでもない。
「そこは話を聞くしかないのでは。」
「聞いてしまえば、より一層の物が出てきてしまいそうなんですよね。」
秘密と絢爛、この名を持つ相手が移動を許す、これまでそれを行わなかった種族に対して、改めて働きかけを行った。その理由というのも、何となればオユキよりもトモエの方が詳しいのだ。そもそも女神に対して向けられる期待、願うべき加護というのは古来よりさして多くもない。誤訳、行き違いから生まれた神性と勘違いしたように、食料が十分であり、土地にも空きがあるのであれば、願われるのは種の繁栄だ。要は人口の増加を願う事になる。
「花精の方は、よく食べる方が多いというのは。」
「それこそ何を祖とするかに依るわよ。栄養を多く必要とする花もあれば、そうでない物もいるもの。ただ、そうよ。今あなたが思い浮かべている通り。花は咲き誇り、一帯を華やかに覆う。それが原初の願いだもの。」
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