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17章 次なる旅は
静かな夜に
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ある程度の認識を共有した後は、では明日からの道行きに備えてとその場は解散となる。
オユキとトモエには、変わらずそれぞれに近衛が付けられ、それはアイリスも変わらず。今度ばかりは他国に向かう事もあるため、増員もされているが、そちらはきちんと引継ぎがされている。初めてそうなった時のように、部屋の外から不躾な気配というものが漂う事が無い。
近衛だけでなく、アルゼオ公爵からも今後を考えた上での人員というのが用意されているが、そちらはいよいよ近衛を超えられるものではない。故に、変わらず区切られた部屋の中では、何処までもオユキとトモエの時間というのが確保される。有難い事に。
「オユキさんは、どのように考えていますか。」
「どうした所で、今年の間に決断をするか否か、そうなるでしょう。」
今後の話をした相手は、あくまでも自領を、広大な己の版図を既に持っている先代とはいえ公爵だ。何処までも思考の前提がそこにはある。民を切り捨てる事を、厭う事は無い。そう言った相手との会話だ。だが、トモエはそうでは無い。
「ギルドが限界まで時間を稼いだうえで、そうするでしょう。」
「可能なのですか。」
「はい。そこは、よほどのことが無い限り。」
それこそ、そう言った事に対して手を討つことができるのであれば、そもそもオユキに対して何も手立てを持たずに疑いを向けるような真似などはしない。
「ですが。」
「傭兵ギルド、こちらに関しては汚染が進んでいなければ、確実でしょう。魔術ギルドについては、今回しっかりと持ち帰る必要があります。」
「それで、吹っ掛けたわけですか。」
「まぁ、そうですね。」
傭兵ギルドについては、言葉を選ばなければ騎士の天下り先だ。実際には、騎士としてあるだけでは己の向上が見込めなくなった者達が、神国の剣と盾、その輝きをさらに磨くためにと、身を置くための場所というのが存在理由の半分だ。その動機を考えたときに、今後の神国、己の先を求めるための情報が大いに得られるであろうそこと、配置された理由、その辺りを天秤にかける事になる。魔術ギルドについては、いよいよ知識を求める者達がはびこる魔窟だ。研究材料が増えれば、そちらに放っておいても大挙してやってくる。そして、これまでの己の研鑽、そこでため込むんだものを使って、道中の安全の確保は行うであろう。
「となると、やはり。」
「はい。シグルド君たちから、話を聞きました。王都とマリーア公爵領は変わっていると。」
では、それが他に波及するかと言われれば、それが何処までも難しいのがこの世界だ。
「だからこそ、そう言った情報を使ってとなるでしょう。」
国王その人の打った手、それをさしてなかなかだと評した理由はそこにある。
布告を行い、それぞれに選ばせることで、今後の変化、それに対しての責任をそれぞれに与える。加えて、支配階級だけではない、そこに迄話を広げる事で、人口の移動を促進する。かつての世界にしても、大いに問題となっていた事柄、それを意図的に引き起こそうというのが見て取れる。王都、此処にはアイリスの手により、既に狩猟者に向かう風が変わっていることも含めて、素地は。現状でどうなる物でもないが、その期間を確保するために王太子に席を譲りという事でもある。オユキとトモエが魔国へ向かい、そこで距離の近くなる国交というのも、しっかりと計上している事だろう。どう転んだところでそんは無く、上手くすれば大きな利益しか無い策だ。
「神々に諮ったとか。」
「ええ。ミズキリらしいやり口です。」
離反する公爵が取った手段とは全く異なる一手。
行う事に基本的にリスクが存在しない。失敗した所で、大きく見れば問題が無い。そして、成功の公算が高く、そのために打てる手も多い。成功すれば、神国というよりも、王都として得られる利益があまりにも大きい手立てがそこにある。
「隣国との関係ですね、その整理の為には王太子妃様の手を借りねばなりません。」
先代アルゼオ公爵、その人物にしてもこれまでの関係はある。しかし、それを飛び越えられる人員が既に存在している。知識と魔の国の王族に連なる者であり、現王太子の配偶者、将来の王妃という存在が。
「本来の予定であれば。」
「既に修正済みでしょう。」
「いよいよ、次に会うときには何かをと、そう考えてしまいますね。」
そして、ミズキリにしてもトモエが直接的な意趣返しを考えたときに、それを避けられぬと分かっているのだろう。今となってはトモエの前に立つことを徹底的に避けている。強かに打ち据えられる事が嫌だという訳ではない。寧ろその程度で留飲を下げるのなら、喜んで殴られるのがミズキリという人間だ。避けているのは、ミズキリにしても耐えるのが難しいトモエの圧と、オユキよりも優れた観察眼。それがある状況で、オユキがあれこれと裏側を探る事だ。
「ただ、その席を望めば、恐らく。」
そして、それを避けようと考えれば、ミズキリは間違いなく今の彼の配偶者を頼る事だろう。
「いよいよ見た目としては、古式ゆかしい幻想小説、そこに由来がありそうなものですが。」
「だとすれば、光を祖とする方でしょうか。」
「そうですね、アールブ、エルフ、呼び方は様々ですが。」
如何に年老いた樹木であろうとも、季節が廻ればみずみずしい緑をその枝につける、そうした物を神格化した存在。カナリアと同様に、不死、不老が含まれる種族。
「タルヤさんとの差異もありますし、少し、気になりますね。」
ルーリエラは、種ごと吸収するように果物を食べていた。しかし、日陰に咲く、妖精にもたとえられる花を名前に持つタルヤは、物によっては種を避けた。疑うべきことなど、いくらでもる。寧ろ、ミズキリ本人にしても、そうし向けている。オユキの問いかけに対して、役割によっては嘘をつくことも問題が無いと、そうはっきりと言っているのだ。
「話が逸れましたね。そちらについては、ミズキリがただ避けるでしょうから。」
「ええ。そうされてしまえば。では、今後のこの国ですね。私に起因するもので。」
「最低限、そのために手は可能な限り。それは神々にしても。」
「その、それについては。」
「指定された拠点は、全て根の上。それが私とカナリアさんの予想です。」
どうした所で、トモエはカナリアとオユキがあれこれと話している時には、別となっていることが今回の道中は多かった。少年たちの最終調整もあった。オユキが安心できるようにと、内外を隔てるためにと振舞った事もある。特に、カナリアの手によるものでは無い眠り、それを得る時間帯については、トモエが外の警戒を引き取ったこともある。そう言った時間を過ごさざるを得なかったため、どうした所で昼夜が逆転気味になったトモエは、その辺りの話し合いに参加できていなかった。
「神々、と、言いますか。この世界における仕組みの一つ、でしょう。」
両親の手紙、それに触れた事で、押し込められていた記憶がオユキに多少なりとも戻ったこともある。
「やはり、そこに何もなければ、何も起こらないのです。」
「手をとり合う、ですか。」
「はい。そして、それをより効率よく伝えるための物が何処にあるのかと、そう言えば。」
「根は、養分を、水を吸い上げて、ですか。」
そこまで悪辣な相手ではない。こちらに生きる人々をさして、養分などとは考えていない。しかし、信仰、神々に対する感謝、それをどのようにという事を考えていけばというものでもある。
「マナではなく、ですか。」
「私も最初はそのように考えていましたが、淀みの原因という言葉もありましたので。」
「その様に変質するからと、私は。」
「いえ、そちらは、どう言えばいいのでしょう。魔物と、それに対するものとして、その枠組みです。」
こちらでの人の暮らし、それと魔術は切っても切り離せない。そして、魔道具も。魔物が魔石を落とし、人は安息の加護を得るために、壁という最も重要な施設にそれを使う。結果として、そこに使われた魔石が、新たな魔物の温床となる。
「木々と狩猟の神の忙しさ、ですか。」
「そればかりでは無いでしょうが、その辺りが納得の行きやすい理屈ですね。」
ただ、どうした所で、予測の域を出る物ではない。
オユキが知っていると信じていた事、それにしても作用があったのだと既に理解させられた。そして、その様子を見た上で、トモエにしても。これまで何度かあった、創造神との会話、そこでもオユキが口にしたように、考えるべきでない事、知るべきでない事は封じるという荒業がこの世界では当然の如く用意されている。
オユキの未練、それにはこのゲームであった世界そのものが含まれている。そこばかりは、他の異邦人たちと変わりがない。
「もし、続いていたら、どうなっていたのでしょうか。」
今となっては、正確な数にしても分からない製作者たち。それが一人二人と、それこそオユキの両親がそこに含まれていた以上、オユキよりも早く人生に幕を下ろすのは仕方の無い事だが、その人生に幕を下ろしていったあと。後事を任されたはずの者達の選択は、彼らがそれを続けるに値せぬとして幕を下ろす事であった。それを語るものが流した涙、形を変えてはどうかと、そう声を枯らすほどに涙ながらに訴えた者達。それがオユキの抱えているもののひとつであり、多くの異邦人と共通するものだ。
コンテンツの開示率、それと思しき数字。遅々として進まぬそれに対して、開発者が折に触れて公開する文言。それを知っている身として、忘れるはずもない。実に、不本意だと、裏を読まずともそう分かる言葉が常に並んでいたのだから。
「未練、ですか。」
「ええ。こうしてここにいる、それは間違いなく。」
「では、ミズキリさんは。」
「いくつか心当たりもありますが、流石に断定はできませんね。」
複合的なものとして、結果としてそうなのか。それとも単一としてそうなのか。
ミズキリという人間が、それを果たすためにと化された物は、オユキやトモエとは比べ物にならないのだ。恐らくは製作者たち、初期に使徒として訪れた者達が青写真を。そして、ミズキリがそれを実現するための具体的な道筋を描いている。では、そこまでしなければならないほどの、そこまでの試練が課されるほどの何をミズキリという人間が望んだのかと言えば、オユキにしても予測の範疇を出る物ではない。
「悪い事ではないのでしょうが。」
「それもまた、難しい所なのですが。」
オユキとトモエには、変わらずそれぞれに近衛が付けられ、それはアイリスも変わらず。今度ばかりは他国に向かう事もあるため、増員もされているが、そちらはきちんと引継ぎがされている。初めてそうなった時のように、部屋の外から不躾な気配というものが漂う事が無い。
近衛だけでなく、アルゼオ公爵からも今後を考えた上での人員というのが用意されているが、そちらはいよいよ近衛を超えられるものではない。故に、変わらず区切られた部屋の中では、何処までもオユキとトモエの時間というのが確保される。有難い事に。
「オユキさんは、どのように考えていますか。」
「どうした所で、今年の間に決断をするか否か、そうなるでしょう。」
今後の話をした相手は、あくまでも自領を、広大な己の版図を既に持っている先代とはいえ公爵だ。何処までも思考の前提がそこにはある。民を切り捨てる事を、厭う事は無い。そう言った相手との会話だ。だが、トモエはそうでは無い。
「ギルドが限界まで時間を稼いだうえで、そうするでしょう。」
「可能なのですか。」
「はい。そこは、よほどのことが無い限り。」
それこそ、そう言った事に対して手を討つことができるのであれば、そもそもオユキに対して何も手立てを持たずに疑いを向けるような真似などはしない。
「ですが。」
「傭兵ギルド、こちらに関しては汚染が進んでいなければ、確実でしょう。魔術ギルドについては、今回しっかりと持ち帰る必要があります。」
「それで、吹っ掛けたわけですか。」
「まぁ、そうですね。」
傭兵ギルドについては、言葉を選ばなければ騎士の天下り先だ。実際には、騎士としてあるだけでは己の向上が見込めなくなった者達が、神国の剣と盾、その輝きをさらに磨くためにと、身を置くための場所というのが存在理由の半分だ。その動機を考えたときに、今後の神国、己の先を求めるための情報が大いに得られるであろうそこと、配置された理由、その辺りを天秤にかける事になる。魔術ギルドについては、いよいよ知識を求める者達がはびこる魔窟だ。研究材料が増えれば、そちらに放っておいても大挙してやってくる。そして、これまでの己の研鑽、そこでため込むんだものを使って、道中の安全の確保は行うであろう。
「となると、やはり。」
「はい。シグルド君たちから、話を聞きました。王都とマリーア公爵領は変わっていると。」
では、それが他に波及するかと言われれば、それが何処までも難しいのがこの世界だ。
「だからこそ、そう言った情報を使ってとなるでしょう。」
国王その人の打った手、それをさしてなかなかだと評した理由はそこにある。
布告を行い、それぞれに選ばせることで、今後の変化、それに対しての責任をそれぞれに与える。加えて、支配階級だけではない、そこに迄話を広げる事で、人口の移動を促進する。かつての世界にしても、大いに問題となっていた事柄、それを意図的に引き起こそうというのが見て取れる。王都、此処にはアイリスの手により、既に狩猟者に向かう風が変わっていることも含めて、素地は。現状でどうなる物でもないが、その期間を確保するために王太子に席を譲りという事でもある。オユキとトモエが魔国へ向かい、そこで距離の近くなる国交というのも、しっかりと計上している事だろう。どう転んだところでそんは無く、上手くすれば大きな利益しか無い策だ。
「神々に諮ったとか。」
「ええ。ミズキリらしいやり口です。」
離反する公爵が取った手段とは全く異なる一手。
行う事に基本的にリスクが存在しない。失敗した所で、大きく見れば問題が無い。そして、成功の公算が高く、そのために打てる手も多い。成功すれば、神国というよりも、王都として得られる利益があまりにも大きい手立てがそこにある。
「隣国との関係ですね、その整理の為には王太子妃様の手を借りねばなりません。」
先代アルゼオ公爵、その人物にしてもこれまでの関係はある。しかし、それを飛び越えられる人員が既に存在している。知識と魔の国の王族に連なる者であり、現王太子の配偶者、将来の王妃という存在が。
「本来の予定であれば。」
「既に修正済みでしょう。」
「いよいよ、次に会うときには何かをと、そう考えてしまいますね。」
そして、ミズキリにしてもトモエが直接的な意趣返しを考えたときに、それを避けられぬと分かっているのだろう。今となってはトモエの前に立つことを徹底的に避けている。強かに打ち据えられる事が嫌だという訳ではない。寧ろその程度で留飲を下げるのなら、喜んで殴られるのがミズキリという人間だ。避けているのは、ミズキリにしても耐えるのが難しいトモエの圧と、オユキよりも優れた観察眼。それがある状況で、オユキがあれこれと裏側を探る事だ。
「ただ、その席を望めば、恐らく。」
そして、それを避けようと考えれば、ミズキリは間違いなく今の彼の配偶者を頼る事だろう。
「いよいよ見た目としては、古式ゆかしい幻想小説、そこに由来がありそうなものですが。」
「だとすれば、光を祖とする方でしょうか。」
「そうですね、アールブ、エルフ、呼び方は様々ですが。」
如何に年老いた樹木であろうとも、季節が廻ればみずみずしい緑をその枝につける、そうした物を神格化した存在。カナリアと同様に、不死、不老が含まれる種族。
「タルヤさんとの差異もありますし、少し、気になりますね。」
ルーリエラは、種ごと吸収するように果物を食べていた。しかし、日陰に咲く、妖精にもたとえられる花を名前に持つタルヤは、物によっては種を避けた。疑うべきことなど、いくらでもる。寧ろ、ミズキリ本人にしても、そうし向けている。オユキの問いかけに対して、役割によっては嘘をつくことも問題が無いと、そうはっきりと言っているのだ。
「話が逸れましたね。そちらについては、ミズキリがただ避けるでしょうから。」
「ええ。そうされてしまえば。では、今後のこの国ですね。私に起因するもので。」
「最低限、そのために手は可能な限り。それは神々にしても。」
「その、それについては。」
「指定された拠点は、全て根の上。それが私とカナリアさんの予想です。」
どうした所で、トモエはカナリアとオユキがあれこれと話している時には、別となっていることが今回の道中は多かった。少年たちの最終調整もあった。オユキが安心できるようにと、内外を隔てるためにと振舞った事もある。特に、カナリアの手によるものでは無い眠り、それを得る時間帯については、トモエが外の警戒を引き取ったこともある。そう言った時間を過ごさざるを得なかったため、どうした所で昼夜が逆転気味になったトモエは、その辺りの話し合いに参加できていなかった。
「神々、と、言いますか。この世界における仕組みの一つ、でしょう。」
両親の手紙、それに触れた事で、押し込められていた記憶がオユキに多少なりとも戻ったこともある。
「やはり、そこに何もなければ、何も起こらないのです。」
「手をとり合う、ですか。」
「はい。そして、それをより効率よく伝えるための物が何処にあるのかと、そう言えば。」
「根は、養分を、水を吸い上げて、ですか。」
そこまで悪辣な相手ではない。こちらに生きる人々をさして、養分などとは考えていない。しかし、信仰、神々に対する感謝、それをどのようにという事を考えていけばというものでもある。
「マナではなく、ですか。」
「私も最初はそのように考えていましたが、淀みの原因という言葉もありましたので。」
「その様に変質するからと、私は。」
「いえ、そちらは、どう言えばいいのでしょう。魔物と、それに対するものとして、その枠組みです。」
こちらでの人の暮らし、それと魔術は切っても切り離せない。そして、魔道具も。魔物が魔石を落とし、人は安息の加護を得るために、壁という最も重要な施設にそれを使う。結果として、そこに使われた魔石が、新たな魔物の温床となる。
「木々と狩猟の神の忙しさ、ですか。」
「そればかりでは無いでしょうが、その辺りが納得の行きやすい理屈ですね。」
ただ、どうした所で、予測の域を出る物ではない。
オユキが知っていると信じていた事、それにしても作用があったのだと既に理解させられた。そして、その様子を見た上で、トモエにしても。これまで何度かあった、創造神との会話、そこでもオユキが口にしたように、考えるべきでない事、知るべきでない事は封じるという荒業がこの世界では当然の如く用意されている。
オユキの未練、それにはこのゲームであった世界そのものが含まれている。そこばかりは、他の異邦人たちと変わりがない。
「もし、続いていたら、どうなっていたのでしょうか。」
今となっては、正確な数にしても分からない製作者たち。それが一人二人と、それこそオユキの両親がそこに含まれていた以上、オユキよりも早く人生に幕を下ろすのは仕方の無い事だが、その人生に幕を下ろしていったあと。後事を任されたはずの者達の選択は、彼らがそれを続けるに値せぬとして幕を下ろす事であった。それを語るものが流した涙、形を変えてはどうかと、そう声を枯らすほどに涙ながらに訴えた者達。それがオユキの抱えているもののひとつであり、多くの異邦人と共通するものだ。
コンテンツの開示率、それと思しき数字。遅々として進まぬそれに対して、開発者が折に触れて公開する文言。それを知っている身として、忘れるはずもない。実に、不本意だと、裏を読まずともそう分かる言葉が常に並んでいたのだから。
「未練、ですか。」
「ええ。こうしてここにいる、それは間違いなく。」
「では、ミズキリさんは。」
「いくつか心当たりもありますが、流石に断定はできませんね。」
複合的なものとして、結果としてそうなのか。それとも単一としてそうなのか。
ミズキリという人間が、それを果たすためにと化された物は、オユキやトモエとは比べ物にならないのだ。恐らくは製作者たち、初期に使徒として訪れた者達が青写真を。そして、ミズキリがそれを実現するための具体的な道筋を描いている。では、そこまでしなければならないほどの、そこまでの試練が課されるほどの何をミズキリという人間が望んだのかと言えば、オユキにしても予測の範疇を出る物ではない。
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