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15章 這いよるもの
夕食後に
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オユキにとって、ここ暫くの事で特に新鮮な物というのが、外に仕事に出たトモエを家で迎えるという事だ。これまでは常に逆ではあった。過去にしてもトモエは道場で門下生に指導をしていたわけで、仕事を全くしていなかったという訳ではないし、現在のオユキにしてもそれは同じ。決まった場所でしかできぬ事が有り、それぞれの役割としてそれらを熟しているだけ、そうではあるのだが。それでも、何処か楽しい違和感というのがそこにはある。
少年達も含めた護衛として同行している騎士が、戻るのに合わせて報告に来るのだ。それを聞いて出迎えに出れば、迎えられた相手にしてもどこか面映ゆい様子。それを互いに笑って、簡単に身支度を整えれば、早速とばかりに夕食の時間になる。
いつもであれば、それこそ一度ゆっくりと休みとなるのだが、今日はいつにも増して戻るのが遅かった。
「策としては、私でも首をかしげる物なのですが。」
その理由については、夕食が終われば早速とばかりに話題に上がる。
トモエが珍しくアベルに時間をと、そう話したので何事かと思えば、魔物が明らかに人為的とわかる集団で始まりの町に向かっていたとのことであった。詳細はそれこそ騎士たちから渡された報告書に記載されているだろう。
単に、オユキが仕事の終わりと、それを後に回しただけに過ぎない。緊急性がある物であれば、受け取るときに一言あるはずだというのも勿論のことだが。
「恐らくは、計画の前倒し、その辺りが響いているのでしょう。」
ただ、策という部分については、オユキから思い当たることもある。変わらなかった流れ、それが続いていたとき、移動に時間がかかり、遠方との連絡も普通の方法ではどこまでも時間がかかる、この世界ならではの理由が。
「となると、早々に移動したかと思えば、このあたりに残っていた相手と合流しましたか。」
「成程な。潰れた策には気が付いたが、他の状況には気が付いていないと。これまで程それも簡単ではないし、お前らが散々に移動を急いだというのが、結局はという事か。」
「さて、そちらの行動を神々が予定に組むとは思えませんが、そうですね、ミズキリがいますから。」
つまり、そこから生まれる事。魔物を操る術を持つ神敵が町の外に。そして、容赦なく町にけしかけて来る。町の内、その安息は守られるのだろうが、そこで暮らす人々の心まではどうなるか分かった物では無い。領都、この町よりも多くの教会がある都市ですら、結果として一つの方角を丸ごと捨てる必要が生まれたのだから。
「で、だとしたら、お前らはどうする。」
「特には。」
一先ずの想像、トモエが遭遇した事態の原因であろうこと、それに思い至ったからといって、オユキは特に何かする気もない。
「ほう。」
そして、それに対して珍しいと、そう言わんばかりの視線がいくらか寄せられる。
「この町の事ですから、指針はメイ様が決めるでしょう。」
「ああ、そりゃそうだな。対外的にも今は正式な代官だ。」
そして、それに対してはトモエから実に簡単に返答がある。
「勿論、要請があれば私も、オユキさんも。」
「はい。そもそも創造神様のお言葉、それを伺った席には私たちもいたのですから。」
そして、悪意の塊、未だに名も分からずそのように呼称するしかない存在については、既に結末が決まっている。過程次第で、それこそ状況はいくらでも変わるだろうが、結果だけは変わらないと。
「ただ、私は、どうでしょう。」
そして、他の問題というのもある。オユキがため息交じりにそう呟けば、誰も彼もが目を逸らす。時期は分からないが、今日見た一部は統率を失った結果なのだろう。ならば本番も近いはずだと、アベルがそう考えていることも分かる。だからこそ、この場ですぐに方針を聞いた。ただ、それが早ければ早いほど、オユキが戦場に立つことに許可は下りない。
「アイリスは、流石にな。そうなると嬢ちゃんに出張ってもらわなきゃならんが。」
「騎士様方にしても、創造神様より頂いたお言葉、それにまつわる事柄です。否やは無いでしょう。町から送り出す分には、私も手を貸しますが。」
カナリアは、今日から数日休みも兼ねて古巣である魔術師ギルド、そこから個人の荷物をついに引き払うためにと屋敷を出ている。半日で済むのではないかと、そのような疑問を持つものは多くいたのだが、オユキが貸した使用人が戻って来るなりただ何も言わずに首を左右に振った。そうであるならと、カナリアが手を借りたいといった人物、その相手も併せてと、少々大掛かりな事になった。次から次へと運ばれる書籍や、紙束。そう言った物をタルヤが忌々しげに見ながら埃を落とし、日に当ててからではないと邸内には入れぬと、強硬な構えを見せていることもあるのだが。
「ああ。分かった。ならそっちは、俺が引き取るか。」
「防衛というなら、門番の方では。」
「そっちはいよいよ、内外を分けるのと、町の間での緊急時に向けてだな。近場に何もないと決め込むわけにもいかん。」
「それもそうですね。オユキさん。」
「流石に都市防衛に必要な戦力までは分かりませんね。ローレンツを呼んでください。」
流石に、トモエにしてもオユキにしても個人戦以外の知識などない。多少は書物に歴史で学んだことくらいは覚えているが、生兵法が齎す結果など知り尽くしてはいる。緊張に身を固めているカレンではなく、シェリアに向けて声をかければ部屋の外にいる他の使用人に仕事が振られる。
「トモエさん、ギルドからメイ様には。」
「騎士様方の狩猟の成果、それを改めて見聞して詳細な物はとの事でした。ただ、あの子たちが言付けを頼まれていたので。」
「では、ゲラルドさん。夜分の急な訪問になりますが、良しなに。第二騎士団、私が陛下からお借りしている戦力、そちらを計上しても構わないと。あと一つ、川沿いの町、神域の種を守るために全てとなるかは分からないという事も併せて。」
メイの方でも、リヒャルトとファルコも顔を揃えて、今頃頭を悩ませている事だろう。向こうはそれこそ非常時の通信手段も持っているため、ある程度の助言は得られる物だろうが。
「畏まりました。お嬢様の受ける恩義、それは今後の確かな働きで必ずや。」
「取り上げた形になっている、その理解は私も持っていますから。ただ、そうですね。なにか戦端を開くにあたって口上などがあるなら、その用意はお願いしたいものです。」
そして、メイが行う判断、それを助けられる相手を早々に送り出す。
生憎と、アイリスは早々に食事を終えて眠るためにと部屋に引っ込んでいる。いよいよ獣人としての振る舞いらしいのだが、とにかく食べて寝る、それが快復には何より重要だからと。彼女については、オユキはある程度楽だと思える仕事しかないのに比べて、王都で祖霊から得た力、残ったそれを振るうという大掛かりな物が待っているのだ。そのために、オユキよりも早く力を戻す必要がある。
どうにも神々に関わることに対する負担という部分でも、異邦の者と現地の者。その差でアイリスはより負担を得ていることもあるらしい。
「お呼びに従い、ローレンツ、御前に。」
「夜分に呼び立てた、まずはその謝罪を。この町だけでなく、近隣に対して人為的な溢れの懸念があります。少なくとも、私は私が神々より運べと言われた神域の種、川沿いの町に置かれた物は守るべきと考え、巫女の職務として陛下よりお借りしているあなた方に。」
「神敵、それに対しては我等一同、是非もありませぬ。しかし、彼の町には既にマリーア公爵の戦力も。」
「はい。それは重々承知の上です。しかし、私が神々からお預かりした物、それを守るための力を持つのに何もせぬ。それは神々の心に叶うのかと。」
それ以外にも、当然オユキとしての思惑というのもある。だが、やはり分かりやすい建前というのは大事だ。それは、お互いに。
オユキの腹積もりもローレンツは分かっているのだろう。実に楽し気な笑顔を浮かべて、アベルに視線を向ける。
「恐らくご想像の通りかと。それと、私は何分知識がありませんので、アベルとよく話計画を。」
「ご下命承りました。しかしながら、オユキ様からは、改めて此度の事は。」
「はい、私もこれから陛下を始め、報告の用意を行います。」
ただ、頼んで終わりとそういう訳にもいかないのだ。
「流石に、実際の報告は明日にしますが。」
「ま、嬢ちゃんの方でも、用意がいるしな。ローレンツ殿、こちらも。」
「では、オユキ様、失礼いたします。」
早速とばかりに連れ立って防衛計画の立案に向かう二人を見送り、オユキはトモエにも頼みごとを。
「トモエさんも申し訳ありませんが、明日の朝に狩猟者ギルドに。」
「ええ。分かりました。それにしても、暫くはゆっくりするつもりだったのですが。」
「今度ばかりは、それを阻む相手がいる事ですから。」
そして、オユキとしても領都で起こった出来事、その一環として神々から滅ぼす以外の選択肢がない相手、それに汚染された物に向き合うのかと考えていたが、その機会は思いのほか早く訪れそうなものだ。
前回は、トラノスケが行った。つまり、やはり何か事を起こすには、近隣に人を置かなければならないのだ。神々の目を盗み、事を為そうというのなら猶の事。草原では身を隠せないが、幸いすぐそばに深い森がある。魔物は強く戦闘の難易度も高い。入る物が少ない、そんな都合の良い場所が。
「山狩り等も、行う事になるのでしょうか。」
「広さを考えれば、現実的ではありませんね。」
親しい種族もいるが、そちらはむしろ汚染に弱い。探ろうとすれば、これ幸いと反発もあるのだろう。そうであるなら、実に気楽な風情で森に入るルーリエラの存在が気になったりもするのだが。
そこまで思考が及んだところで、オユキはその一切を一度止める。今は思考で遊ぶよりも先に、やらねばならない事が有るのだからと。
「では、私は寝る前にもう一仕事ですね。」
「お疲れ様です。では、私はアルノーさんと、何か用意しておきましょうか。」
トモエの好意には、オユキはただ頷いて答えておく。
異邦から新たに来た者達、そちらについては実に手ごろな試練になるだろう。この世界にもかつてと変わらずどうにもならぬ悪意だけを持つ存在がいるのだと、それを目の当たりにして。それに対して剣を向ける事が出来るのか、そう言った見極めも行われるだろう。それぞれに。
少年達も含めた護衛として同行している騎士が、戻るのに合わせて報告に来るのだ。それを聞いて出迎えに出れば、迎えられた相手にしてもどこか面映ゆい様子。それを互いに笑って、簡単に身支度を整えれば、早速とばかりに夕食の時間になる。
いつもであれば、それこそ一度ゆっくりと休みとなるのだが、今日はいつにも増して戻るのが遅かった。
「策としては、私でも首をかしげる物なのですが。」
その理由については、夕食が終われば早速とばかりに話題に上がる。
トモエが珍しくアベルに時間をと、そう話したので何事かと思えば、魔物が明らかに人為的とわかる集団で始まりの町に向かっていたとのことであった。詳細はそれこそ騎士たちから渡された報告書に記載されているだろう。
単に、オユキが仕事の終わりと、それを後に回しただけに過ぎない。緊急性がある物であれば、受け取るときに一言あるはずだというのも勿論のことだが。
「恐らくは、計画の前倒し、その辺りが響いているのでしょう。」
ただ、策という部分については、オユキから思い当たることもある。変わらなかった流れ、それが続いていたとき、移動に時間がかかり、遠方との連絡も普通の方法ではどこまでも時間がかかる、この世界ならではの理由が。
「となると、早々に移動したかと思えば、このあたりに残っていた相手と合流しましたか。」
「成程な。潰れた策には気が付いたが、他の状況には気が付いていないと。これまで程それも簡単ではないし、お前らが散々に移動を急いだというのが、結局はという事か。」
「さて、そちらの行動を神々が予定に組むとは思えませんが、そうですね、ミズキリがいますから。」
つまり、そこから生まれる事。魔物を操る術を持つ神敵が町の外に。そして、容赦なく町にけしかけて来る。町の内、その安息は守られるのだろうが、そこで暮らす人々の心まではどうなるか分かった物では無い。領都、この町よりも多くの教会がある都市ですら、結果として一つの方角を丸ごと捨てる必要が生まれたのだから。
「で、だとしたら、お前らはどうする。」
「特には。」
一先ずの想像、トモエが遭遇した事態の原因であろうこと、それに思い至ったからといって、オユキは特に何かする気もない。
「ほう。」
そして、それに対して珍しいと、そう言わんばかりの視線がいくらか寄せられる。
「この町の事ですから、指針はメイ様が決めるでしょう。」
「ああ、そりゃそうだな。対外的にも今は正式な代官だ。」
そして、それに対してはトモエから実に簡単に返答がある。
「勿論、要請があれば私も、オユキさんも。」
「はい。そもそも創造神様のお言葉、それを伺った席には私たちもいたのですから。」
そして、悪意の塊、未だに名も分からずそのように呼称するしかない存在については、既に結末が決まっている。過程次第で、それこそ状況はいくらでも変わるだろうが、結果だけは変わらないと。
「ただ、私は、どうでしょう。」
そして、他の問題というのもある。オユキがため息交じりにそう呟けば、誰も彼もが目を逸らす。時期は分からないが、今日見た一部は統率を失った結果なのだろう。ならば本番も近いはずだと、アベルがそう考えていることも分かる。だからこそ、この場ですぐに方針を聞いた。ただ、それが早ければ早いほど、オユキが戦場に立つことに許可は下りない。
「アイリスは、流石にな。そうなると嬢ちゃんに出張ってもらわなきゃならんが。」
「騎士様方にしても、創造神様より頂いたお言葉、それにまつわる事柄です。否やは無いでしょう。町から送り出す分には、私も手を貸しますが。」
カナリアは、今日から数日休みも兼ねて古巣である魔術師ギルド、そこから個人の荷物をついに引き払うためにと屋敷を出ている。半日で済むのではないかと、そのような疑問を持つものは多くいたのだが、オユキが貸した使用人が戻って来るなりただ何も言わずに首を左右に振った。そうであるならと、カナリアが手を借りたいといった人物、その相手も併せてと、少々大掛かりな事になった。次から次へと運ばれる書籍や、紙束。そう言った物をタルヤが忌々しげに見ながら埃を落とし、日に当ててからではないと邸内には入れぬと、強硬な構えを見せていることもあるのだが。
「ああ。分かった。ならそっちは、俺が引き取るか。」
「防衛というなら、門番の方では。」
「そっちはいよいよ、内外を分けるのと、町の間での緊急時に向けてだな。近場に何もないと決め込むわけにもいかん。」
「それもそうですね。オユキさん。」
「流石に都市防衛に必要な戦力までは分かりませんね。ローレンツを呼んでください。」
流石に、トモエにしてもオユキにしても個人戦以外の知識などない。多少は書物に歴史で学んだことくらいは覚えているが、生兵法が齎す結果など知り尽くしてはいる。緊張に身を固めているカレンではなく、シェリアに向けて声をかければ部屋の外にいる他の使用人に仕事が振られる。
「トモエさん、ギルドからメイ様には。」
「騎士様方の狩猟の成果、それを改めて見聞して詳細な物はとの事でした。ただ、あの子たちが言付けを頼まれていたので。」
「では、ゲラルドさん。夜分の急な訪問になりますが、良しなに。第二騎士団、私が陛下からお借りしている戦力、そちらを計上しても構わないと。あと一つ、川沿いの町、神域の種を守るために全てとなるかは分からないという事も併せて。」
メイの方でも、リヒャルトとファルコも顔を揃えて、今頃頭を悩ませている事だろう。向こうはそれこそ非常時の通信手段も持っているため、ある程度の助言は得られる物だろうが。
「畏まりました。お嬢様の受ける恩義、それは今後の確かな働きで必ずや。」
「取り上げた形になっている、その理解は私も持っていますから。ただ、そうですね。なにか戦端を開くにあたって口上などがあるなら、その用意はお願いしたいものです。」
そして、メイが行う判断、それを助けられる相手を早々に送り出す。
生憎と、アイリスは早々に食事を終えて眠るためにと部屋に引っ込んでいる。いよいよ獣人としての振る舞いらしいのだが、とにかく食べて寝る、それが快復には何より重要だからと。彼女については、オユキはある程度楽だと思える仕事しかないのに比べて、王都で祖霊から得た力、残ったそれを振るうという大掛かりな物が待っているのだ。そのために、オユキよりも早く力を戻す必要がある。
どうにも神々に関わることに対する負担という部分でも、異邦の者と現地の者。その差でアイリスはより負担を得ていることもあるらしい。
「お呼びに従い、ローレンツ、御前に。」
「夜分に呼び立てた、まずはその謝罪を。この町だけでなく、近隣に対して人為的な溢れの懸念があります。少なくとも、私は私が神々より運べと言われた神域の種、川沿いの町に置かれた物は守るべきと考え、巫女の職務として陛下よりお借りしているあなた方に。」
「神敵、それに対しては我等一同、是非もありませぬ。しかし、彼の町には既にマリーア公爵の戦力も。」
「はい。それは重々承知の上です。しかし、私が神々からお預かりした物、それを守るための力を持つのに何もせぬ。それは神々の心に叶うのかと。」
それ以外にも、当然オユキとしての思惑というのもある。だが、やはり分かりやすい建前というのは大事だ。それは、お互いに。
オユキの腹積もりもローレンツは分かっているのだろう。実に楽し気な笑顔を浮かべて、アベルに視線を向ける。
「恐らくご想像の通りかと。それと、私は何分知識がありませんので、アベルとよく話計画を。」
「ご下命承りました。しかしながら、オユキ様からは、改めて此度の事は。」
「はい、私もこれから陛下を始め、報告の用意を行います。」
ただ、頼んで終わりとそういう訳にもいかないのだ。
「流石に、実際の報告は明日にしますが。」
「ま、嬢ちゃんの方でも、用意がいるしな。ローレンツ殿、こちらも。」
「では、オユキ様、失礼いたします。」
早速とばかりに連れ立って防衛計画の立案に向かう二人を見送り、オユキはトモエにも頼みごとを。
「トモエさんも申し訳ありませんが、明日の朝に狩猟者ギルドに。」
「ええ。分かりました。それにしても、暫くはゆっくりするつもりだったのですが。」
「今度ばかりは、それを阻む相手がいる事ですから。」
そして、オユキとしても領都で起こった出来事、その一環として神々から滅ぼす以外の選択肢がない相手、それに汚染された物に向き合うのかと考えていたが、その機会は思いのほか早く訪れそうなものだ。
前回は、トラノスケが行った。つまり、やはり何か事を起こすには、近隣に人を置かなければならないのだ。神々の目を盗み、事を為そうというのなら猶の事。草原では身を隠せないが、幸いすぐそばに深い森がある。魔物は強く戦闘の難易度も高い。入る物が少ない、そんな都合の良い場所が。
「山狩り等も、行う事になるのでしょうか。」
「広さを考えれば、現実的ではありませんね。」
親しい種族もいるが、そちらはむしろ汚染に弱い。探ろうとすれば、これ幸いと反発もあるのだろう。そうであるなら、実に気楽な風情で森に入るルーリエラの存在が気になったりもするのだが。
そこまで思考が及んだところで、オユキはその一切を一度止める。今は思考で遊ぶよりも先に、やらねばならない事が有るのだからと。
「では、私は寝る前にもう一仕事ですね。」
「お疲れ様です。では、私はアルノーさんと、何か用意しておきましょうか。」
トモエの好意には、オユキはただ頷いて答えておく。
異邦から新たに来た者達、そちらについては実に手ごろな試練になるだろう。この世界にもかつてと変わらずどうにもならぬ悪意だけを持つ存在がいるのだと、それを目の当たりにして。それに対して剣を向ける事が出来るのか、そう言った見極めも行われるだろう。それぞれに。
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