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15章 這いよるもの
積まれる書類
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他の顔ぶれを送り出した後、残った物は何をするのかと言えば。
「一先ず、礼状への返事はこちらにある程度用意があります。」
休みとはいえ、実際は療養が目的でもあったため、時間が嫌という程あった。その間に用意がある物、それらを纏めてカレンに渡す。簡単な優先順位は聞いていたため、オユキはそれに合わせて順に書いていきはしたが、では実際に纏めてあるそれらを誰に、何処へ、何処からというのは分かる物でもない。
「畏まりました。では、私は一先ずこちらの差配を。」
「よろしくお願いしますね。」
それなりの量になっているし、近隣の町から届いた手紙もある。特に教会がない町で管理を行っている貴族については、祭りに合わせて始まりの町に足を運んでいたりと、事情は知っているが既に町を離れてという相手もいるのだ。
この後の仕事を思ってだろう、受け取ったカレンにしても思案顔ではある。
「それと、訪問やお誘いについてですが、カレンさんとゲラルド様には、それぞれ裁量をある程度預けるつもりでいます。そうですね、それぞれ週に一件づつ。勿論移動を行う場合はその限りではありませんが。」
そういった判断ができる、用はそれだけ信頼を得ているし、権限も持っている。それを周囲に見せた上で、交渉の札として使って来いと、言外にオユキからはそう示す。
ただ、それを告げて直ぐにオユキ自身で決めている予定、それについて。
「ただ、メイ様、教会、河沿いの町、これにはそれぞれ訪問するつもりでいますので。」
「教会、ですか。」
それにはシェリアから不思議そうに。
「伝えるのを忘れていましたね。この度の一連、使命を果たした報酬を戦と武技の神がご用意くださるとのことでしたから。」
すっかりと後に回していたのだが、それも受け取りに行かなければならない。
教会側から特に急かされてもいないため、やはり受け取りに際して、ある程度体調が回復していなければならないということもあるのだろう。特に今回の物は、トモエとオユキにとっては非常に有用な物だ。それを使うためには、まず間違いなくマナがきっちりと必要になるという理解はあるが。
「畏まりました。それでは、明日にでも。」
「その、あまり仰々しくはしないでくださいね。」
この度の出来事、それがようやく一通り終わりその報告でもある。力の入るシェリアの気持ちも分かるが、それこそ本格的にとなれば、またどうした所で大掛かりな物になる。
「オユキ様の体調もありますからな。」
「そうでした。では、一先ず先触れだけは。」
「ええ、お願いします。」
ゲラルドの制止に、シェリアも直ぐに意図を組む。結局のところ、日常には問題ない程度に回復しているが、とても万全ではない。前回は、一月かけて戻したのだ。今はまだ一週間しか休んでいないのだから、当然色々と不足がある。オユキ自身、未だに体にだるさは残っており、カナリアからも町の外に出る、そこで魔物の狩猟を行う許可が出たわけでは無い。物質、肉体面では傷もないが、無理をしたため過去の傷が開き、本質としてそれが残りそうになっているとか、実際にはもっとあれこれと説明を受けたし、カナリアも口にしていたはずだが大半は聞き取れず、聞き取れたとしても理解の及ばない分野の話であるため、その程度の理解に落ち着いている。
用は、今も手伝いを、この町で色々な雑事に従事してくれている王都から来た、治らぬ傷を得た者達、それと同じ状態になりかけていたと、そう言う事であったらしい。
ここでまた大事が巻き起これば、当然その不安がまた再燃することになる。
「メイ様の元へは、ケレスさんと、そう言えばユフィ、ユーフォリアさんは先になったのでしょうか。」
確認した名簿の三名。そのうちの二人ばかりが話題に上っていたが、もう一人をそう言えば聞いていない。間違いなく、こちらも来ているはずなのだが。
「ミズキリさんの判断で、先に王都へ。」
「おや。」
「本人もオユキさんにつくと仰せでしたが。」
「以前は秘書として、こちらで言えば執事でしょうか、そう言った仕事を頼んでいた片なのですが。」
そこまで口にして、思い当たることもあったため、オユキは一人納得する。
「となると、メイ様もご存知でしょう。そちらは良しとするしかありませんね。」
秘書業務となれば、こちらでは執事の領分になるだろう。そして、流石にそのような教育はかつての世界では受けられない。ミズキリ、王太子とも仲の良い彼が、そちらの伝手で必要な知識をと、そう言った話にしたのだろう。
それにしても、この状況下で、よくも気軽に王都に送り出したものだと、それは思うところが無いではないが。
「折よく、王都の傭兵ギルドから来られていた方も居ましたから。」
「それは、流石に再会した時に散々恨み言を聞かされそうですね。」
アベルとどちらが上かは分からないが、ほとんど同じことができる様な相手だ。その人物が小脇に抱えて王都までを走り抜けるという事なのだろう。オユキとしても、今更にかつての知り合いがこちらに訪れたときに、開いた傷とマナの枯渇で何もできない時間があったことが悔やまれる。出来れば、先にいた者として出迎えくらいはと、やはりそれは考えるものなのだから。
そうして話しながらもオユキは机に積まれているいくつもの手紙を開き、その中を確認しては返事を書いてと作業を泊めていなかったのだが。
「これは、随分と分かりやすいですね。」
メイからの手紙、少なくとも外装はリース伯爵家の者であったが、中から出てきた手紙は実にわかりやすい。こちらでは久しく見る事の無かった文字がそこには書き連ねられている。
「ケレスさんから、なるべく早く話したいとのことです。この町の財政部分ですね。」
「流石に教会が先、それは崩せません。」
「では、その翌日にと。ゲラルド様。」
「畏まりました。そうですな、先ほど書き上げられた書類の内代官様宛の物も、併せて。」
「お願いしますね。」
本来であれば、それこそ使用人の仕事であるのだが、オユキはゲラルドにそれを預けてカレンと同じくゲラルドも送り出す。そうしてしまえば、部屋の中には今は侍女として振舞っているシェリアと二人だ。
「シェリア様は、魔国の貴族については。」
「申し訳ございません。」
「いえ、没交渉であり、移動が難しければ仕方がない物ですから。」
そう言いながらも、確認だけして脇に置いておいた手紙をいくつかオユキは改めて手に取る。
「王太子妃様と陛下、それぞれから別の家が挙がっているんですよね。」
出来れば、王家として統一してほしいものではあったのだが。
「それは、判断の難しい。」
「はい。」
本来であれば、国王その人の意見が第一となりはするが、王太子妃は魔国の王族でもある。現地に詳しいこともあるため、ではどちらとなったときに、どうした所で判断が難しい。
シェリア、王妃から貸し出されており、そちらに最大限の配慮を行う人物ですら苦慮するほどに。
「マリーア公爵に任せたいのですが、公爵様もご存じないでしょう。」
「それは、そうですね。」
「私から、両者の間でとお返しするのは。」
「やむを得ない事ではありますが、まずは王妃様に相談という形をとって頂けると。」
シェリアから、まさに苦渋の決断と、そう言った様子で言われたため、オユキはその意見を採用する。それこそ、魔国との付き合いもあると聞いているアルゼオ公爵、そちらからも話が聞けるのであれば、また違う班d何も出来るのだが。公爵ごとに派閥があり、今はマリーア公爵の麾下。それも叶わない。
ただでさえ、マリーア公爵の方でも、あれこれと交渉に難儀を抱えているという話は伝わってきている。これまでは魔国との玄関であったそこが、そうでは無くなるという、あまりに大きな変化がそこにはある。マリーア公も詳細は伝えていないのだろうが、やはり強く出られる物では無い。
「私の方からも、アルゼオ公には、何かとも思うのですが。」
純粋に利益を得る、というのであれば構わない。ただ、パイを切り取って、その補填を行わず神の名を使ったうえで雑事を押し付けるというのは、あまりにもオユキの好む振る舞いから外れてしまう。
そうしてため息を一つついたうえで、国内の地図、良く知る物と比べればあまりにも粗いそれを眺めてオユキもため息を一つ。
東に川を挟んで魔国。そして、そこから北上していけば水源をもつ峻厳な山。これで河沿いの町がアルゼオ公爵の領地、少なくとも寄子の者に隣接していればまだ話の持っていきようもあるのだろうが、実際はそうでは無い。
マリーア公爵からは、外交を行うための場、そこにアルゼオ公爵の縁者を入れる事や、魔道具の取引について知恵を借りるそれでどうにか等とも聞いてはいるが。実際の交渉が始まった時には、神の威光、それで黙らせる事も出来ると、強権を背後に構えた上での譲歩。ないよりはましだと、そう言った説得が待っている。
「何も、オユキ様がそこまでとは思いますが。」
「思いつかなければ、どうしようもありませんが、出来るならとは考えるものですから。」
最も、移動までの日程は限られている。そして、今の所オユキの手元に仕える者というのが実に少ない。幸いと言えばいいのだろうか、公爵として、唯一領内に神殿を抱えているそんな相手の下に収まれているため、交渉の際は、圧倒的に有利な立場がある。流石に、今直ぐに考えても思いつかないからと、オユキはそれを一度頭から消す。
一応、それなりの最終手段というのはある。アルゼオ公爵領が隣接しているのは、何も知識と魔の国ばかりではない。そちらとの事、将来生まれるであろう新しい繋がり、それを提示することくらいはできるからと。
「それと、烙印を得た者達ですね。」
「はい。」
ここまでの話にしても、あまり聞かせるのもどうかという物ではあったため、後に回したが。ここから先は、いよいよ。
「恐らく、移動の前、そこから何か動くでしょう。」
どうした所で、オユキが運ぶのは、彼らがこれまで自由にできた、そこで悪意を存分に発散できた空白地帯、その意味を奪うものだ。ならば、ただ、それを座して見守るような手合いではない。基本的な方針は、恐らく過去のそういった者達と変わらない。
「はい、そうでしょうとも。」
「これまで、都市へ直接何か行った事は。」
「私が知る物は、この町に起こった物だけです。」
トラノスケがかつて引き金を引いた、魔物の溢れ。それを意図的に起こす。そのような手段。魔物の管理自体は、神によるものだが、如何にその間隙を突くかはよく知っているらしい。
「一先ず、礼状への返事はこちらにある程度用意があります。」
休みとはいえ、実際は療養が目的でもあったため、時間が嫌という程あった。その間に用意がある物、それらを纏めてカレンに渡す。簡単な優先順位は聞いていたため、オユキはそれに合わせて順に書いていきはしたが、では実際に纏めてあるそれらを誰に、何処へ、何処からというのは分かる物でもない。
「畏まりました。では、私は一先ずこちらの差配を。」
「よろしくお願いしますね。」
それなりの量になっているし、近隣の町から届いた手紙もある。特に教会がない町で管理を行っている貴族については、祭りに合わせて始まりの町に足を運んでいたりと、事情は知っているが既に町を離れてという相手もいるのだ。
この後の仕事を思ってだろう、受け取ったカレンにしても思案顔ではある。
「それと、訪問やお誘いについてですが、カレンさんとゲラルド様には、それぞれ裁量をある程度預けるつもりでいます。そうですね、それぞれ週に一件づつ。勿論移動を行う場合はその限りではありませんが。」
そういった判断ができる、用はそれだけ信頼を得ているし、権限も持っている。それを周囲に見せた上で、交渉の札として使って来いと、言外にオユキからはそう示す。
ただ、それを告げて直ぐにオユキ自身で決めている予定、それについて。
「ただ、メイ様、教会、河沿いの町、これにはそれぞれ訪問するつもりでいますので。」
「教会、ですか。」
それにはシェリアから不思議そうに。
「伝えるのを忘れていましたね。この度の一連、使命を果たした報酬を戦と武技の神がご用意くださるとのことでしたから。」
すっかりと後に回していたのだが、それも受け取りに行かなければならない。
教会側から特に急かされてもいないため、やはり受け取りに際して、ある程度体調が回復していなければならないということもあるのだろう。特に今回の物は、トモエとオユキにとっては非常に有用な物だ。それを使うためには、まず間違いなくマナがきっちりと必要になるという理解はあるが。
「畏まりました。それでは、明日にでも。」
「その、あまり仰々しくはしないでくださいね。」
この度の出来事、それがようやく一通り終わりその報告でもある。力の入るシェリアの気持ちも分かるが、それこそ本格的にとなれば、またどうした所で大掛かりな物になる。
「オユキ様の体調もありますからな。」
「そうでした。では、一先ず先触れだけは。」
「ええ、お願いします。」
ゲラルドの制止に、シェリアも直ぐに意図を組む。結局のところ、日常には問題ない程度に回復しているが、とても万全ではない。前回は、一月かけて戻したのだ。今はまだ一週間しか休んでいないのだから、当然色々と不足がある。オユキ自身、未だに体にだるさは残っており、カナリアからも町の外に出る、そこで魔物の狩猟を行う許可が出たわけでは無い。物質、肉体面では傷もないが、無理をしたため過去の傷が開き、本質としてそれが残りそうになっているとか、実際にはもっとあれこれと説明を受けたし、カナリアも口にしていたはずだが大半は聞き取れず、聞き取れたとしても理解の及ばない分野の話であるため、その程度の理解に落ち着いている。
用は、今も手伝いを、この町で色々な雑事に従事してくれている王都から来た、治らぬ傷を得た者達、それと同じ状態になりかけていたと、そう言う事であったらしい。
ここでまた大事が巻き起これば、当然その不安がまた再燃することになる。
「メイ様の元へは、ケレスさんと、そう言えばユフィ、ユーフォリアさんは先になったのでしょうか。」
確認した名簿の三名。そのうちの二人ばかりが話題に上っていたが、もう一人をそう言えば聞いていない。間違いなく、こちらも来ているはずなのだが。
「ミズキリさんの判断で、先に王都へ。」
「おや。」
「本人もオユキさんにつくと仰せでしたが。」
「以前は秘書として、こちらで言えば執事でしょうか、そう言った仕事を頼んでいた片なのですが。」
そこまで口にして、思い当たることもあったため、オユキは一人納得する。
「となると、メイ様もご存知でしょう。そちらは良しとするしかありませんね。」
秘書業務となれば、こちらでは執事の領分になるだろう。そして、流石にそのような教育はかつての世界では受けられない。ミズキリ、王太子とも仲の良い彼が、そちらの伝手で必要な知識をと、そう言った話にしたのだろう。
それにしても、この状況下で、よくも気軽に王都に送り出したものだと、それは思うところが無いではないが。
「折よく、王都の傭兵ギルドから来られていた方も居ましたから。」
「それは、流石に再会した時に散々恨み言を聞かされそうですね。」
アベルとどちらが上かは分からないが、ほとんど同じことができる様な相手だ。その人物が小脇に抱えて王都までを走り抜けるという事なのだろう。オユキとしても、今更にかつての知り合いがこちらに訪れたときに、開いた傷とマナの枯渇で何もできない時間があったことが悔やまれる。出来れば、先にいた者として出迎えくらいはと、やはりそれは考えるものなのだから。
そうして話しながらもオユキは机に積まれているいくつもの手紙を開き、その中を確認しては返事を書いてと作業を泊めていなかったのだが。
「これは、随分と分かりやすいですね。」
メイからの手紙、少なくとも外装はリース伯爵家の者であったが、中から出てきた手紙は実にわかりやすい。こちらでは久しく見る事の無かった文字がそこには書き連ねられている。
「ケレスさんから、なるべく早く話したいとのことです。この町の財政部分ですね。」
「流石に教会が先、それは崩せません。」
「では、その翌日にと。ゲラルド様。」
「畏まりました。そうですな、先ほど書き上げられた書類の内代官様宛の物も、併せて。」
「お願いしますね。」
本来であれば、それこそ使用人の仕事であるのだが、オユキはゲラルドにそれを預けてカレンと同じくゲラルドも送り出す。そうしてしまえば、部屋の中には今は侍女として振舞っているシェリアと二人だ。
「シェリア様は、魔国の貴族については。」
「申し訳ございません。」
「いえ、没交渉であり、移動が難しければ仕方がない物ですから。」
そう言いながらも、確認だけして脇に置いておいた手紙をいくつかオユキは改めて手に取る。
「王太子妃様と陛下、それぞれから別の家が挙がっているんですよね。」
出来れば、王家として統一してほしいものではあったのだが。
「それは、判断の難しい。」
「はい。」
本来であれば、国王その人の意見が第一となりはするが、王太子妃は魔国の王族でもある。現地に詳しいこともあるため、ではどちらとなったときに、どうした所で判断が難しい。
シェリア、王妃から貸し出されており、そちらに最大限の配慮を行う人物ですら苦慮するほどに。
「マリーア公爵に任せたいのですが、公爵様もご存じないでしょう。」
「それは、そうですね。」
「私から、両者の間でとお返しするのは。」
「やむを得ない事ではありますが、まずは王妃様に相談という形をとって頂けると。」
シェリアから、まさに苦渋の決断と、そう言った様子で言われたため、オユキはその意見を採用する。それこそ、魔国との付き合いもあると聞いているアルゼオ公爵、そちらからも話が聞けるのであれば、また違う班d何も出来るのだが。公爵ごとに派閥があり、今はマリーア公爵の麾下。それも叶わない。
ただでさえ、マリーア公爵の方でも、あれこれと交渉に難儀を抱えているという話は伝わってきている。これまでは魔国との玄関であったそこが、そうでは無くなるという、あまりに大きな変化がそこにはある。マリーア公も詳細は伝えていないのだろうが、やはり強く出られる物では無い。
「私の方からも、アルゼオ公には、何かとも思うのですが。」
純粋に利益を得る、というのであれば構わない。ただ、パイを切り取って、その補填を行わず神の名を使ったうえで雑事を押し付けるというのは、あまりにもオユキの好む振る舞いから外れてしまう。
そうしてため息を一つついたうえで、国内の地図、良く知る物と比べればあまりにも粗いそれを眺めてオユキもため息を一つ。
東に川を挟んで魔国。そして、そこから北上していけば水源をもつ峻厳な山。これで河沿いの町がアルゼオ公爵の領地、少なくとも寄子の者に隣接していればまだ話の持っていきようもあるのだろうが、実際はそうでは無い。
マリーア公爵からは、外交を行うための場、そこにアルゼオ公爵の縁者を入れる事や、魔道具の取引について知恵を借りるそれでどうにか等とも聞いてはいるが。実際の交渉が始まった時には、神の威光、それで黙らせる事も出来ると、強権を背後に構えた上での譲歩。ないよりはましだと、そう言った説得が待っている。
「何も、オユキ様がそこまでとは思いますが。」
「思いつかなければ、どうしようもありませんが、出来るならとは考えるものですから。」
最も、移動までの日程は限られている。そして、今の所オユキの手元に仕える者というのが実に少ない。幸いと言えばいいのだろうか、公爵として、唯一領内に神殿を抱えているそんな相手の下に収まれているため、交渉の際は、圧倒的に有利な立場がある。流石に、今直ぐに考えても思いつかないからと、オユキはそれを一度頭から消す。
一応、それなりの最終手段というのはある。アルゼオ公爵領が隣接しているのは、何も知識と魔の国ばかりではない。そちらとの事、将来生まれるであろう新しい繋がり、それを提示することくらいはできるからと。
「それと、烙印を得た者達ですね。」
「はい。」
ここまでの話にしても、あまり聞かせるのもどうかという物ではあったため、後に回したが。ここから先は、いよいよ。
「恐らく、移動の前、そこから何か動くでしょう。」
どうした所で、オユキが運ぶのは、彼らがこれまで自由にできた、そこで悪意を存分に発散できた空白地帯、その意味を奪うものだ。ならば、ただ、それを座して見守るような手合いではない。基本的な方針は、恐らく過去のそういった者達と変わらない。
「はい、そうでしょうとも。」
「これまで、都市へ直接何か行った事は。」
「私が知る物は、この町に起こった物だけです。」
トラノスケがかつて引き金を引いた、魔物の溢れ。それを意図的に起こす。そのような手段。魔物の管理自体は、神によるものだが、如何にその間隙を突くかはよく知っているらしい。
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