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15章 這いよるもの
変化
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屋敷の庭で鍛錬を終えれば、そこからオユキとアイリスを残して、そのまま町の外へと向かう。これまでとは順序が逆になってしまってはいるが、オユキにしろアイリスにしろ、仕事に手を付けてしまえば時間が取られる。特に来客を招くことを改めて良としているのだ。昼を過ぎたくらい、これまでの鍛錬の時間というのは、実にそういった訪問者を受ける時間に適している。それもあって、午前中にとなっている。オユキとしては、あまりそちらに時間を使う事は望んでいないし、アイリスにしてもそうなのだが。
「そういやさ。」
「はい、何でしょうか。」
町の外に魔物を狩りに出て暫く。襲い掛かってくる丸兎やグレイハウンドを蹴散らしながら、新しい河沿い迄来た時にシグルドがトモエに話しかける。
「あんちゃん達が休んでる間に、俺らとファルコで近場の魔物は色々調べたんだけど、森はまだなんだよな。」
「そうですね。狩猟祭の時と違って、森の側にはシエルヴォくらいですし様子を見る分には構いませんが。」
少年達の方はメイからの指示もあっての事だろうが、狩猟者ギルドに所属する者達としてあれこれと仕事をちゃんとしていたらしい。色々な変化に合わせて戻ってきたときに感じていた魔物の強化、それが確かな事として存在する。これまでは草原には森から出張ってこない限りいなかったグレイハウンドが闊歩しており、今は視線の先に爬虫類じみた生き物や、蟹が水辺を歩き回っている。
「そっか。ルーおばさんが森の恵みの種類が増えてるとか言ってたからさ。」
「そうなると、私たちだけでなく採取者の方にも声を掛けねばなりませんね。」
「ああ。その件か。傭兵達が河沿いの町に私財を運ぶために手が埋まっている。叶うなら狩猟者の方で護衛が出来ないかと、そう言った話だ。」
ファルコから、細かい背景が加えられる。
「リュディヴィエーヌさん、こちらに。そうですね、私たちが動くとなれば、騎士の方に護衛も頼めますから、余力はあるでしょう。ただ、常の事では無いので。」
細身の剣を片手に持ち、それを使って爬虫類、ラガートス、トリトンという名前はあるらしいが、それを斬りつけていたリュディヴィエーヌを読んで持ち方、振り方を簡単に直しながら話を続ける。
「過剰に力を入れています。それもあって意気が上がるのが早いのですよ。」
いよいよ戦闘の経験もない少女二人。教会で暮らしていた子供達ほどの訓練もしていなかったため、基礎体力が低い事もあるのだが、それ以上に未だに緊張が勝っている。グレイハウンドと同じ程度とされている魔物、動きは遅い代わりに耐久力が高い相手に何度も武器を振った結果として、既に汗が流れ息も上がっている。他の者たちは鍛錬もしっかりこなした上で、未だに元気一杯。そこにはまた大きな差が存在する。
「ええ。未だに緊張していますもの。姉さまからも、トモエ様の監督下であれば対応できる相手だけと言われてはいるのですが。」
「そういや、それ気になってました。トモエさん、魔物相手は経験があまりないって言うのに、私たちより強いか間違えませんよね。」
アナからそんな疑問の声が上がり、それに同調するものもいるが。
「いや、あんちゃんとオユキがまずやってそれからだろ。そこで判断してんじゃね。」
「はい。そうですよ。」
そして、その疑問に対する答えはシグルドが出す。
今回、オユキはどうした所で狩猟に出れていないが、トモエは違う。戻る道すがらも、ある程度の魔物は切り捨ててきたし、それ以外の場面でも周囲の騎士達の振る舞いを見て確認している。加護という部分では測り兼ねているのも確かだが、トモエが既に対応したことのある相手に対するものと、新しい魔物。それに対する動きの差というのがそこにあるため、凡そ測る事も出来るというものだ。
「それと、どう言えばいいのでしょうか。なんとなくですし、感覚というにも朧気なのですが。」
そういった事を繰り返していれば、トモエの方でもそういった感覚が磨かれてきたのだろう。
「なんとなく、魔物の強さというのも分かるようになってきているのですよね。」
これにしても加護の一端ではあるのだろう。流石に見た目だけでどう判断できる相手でもない相手、それに対してもぼんやりと。そう言った感覚が生れて始めている。トモエとしては、当然の事としてそれに頼り切る気はさらさらないが。己の感覚ではない、別によるもの。知識としての判断でも経験としての判断でもない。それが分かるからこそ、それを基に観察することはあったとして、という物ではある。
「へー。」
「サリエラさんは、リュディヴィエーヌさんに比べれば、体力はありますが。」
そして、もう一人加わった少女の方も、こちらの方が騎士である姉を持つもう一人よりも直さなければならない所が多い。ファルコの下で働くため、基本は机仕事になる。そもそも魔物と戦うという事、それ自体に対して非常に気後れしている。状況が落ち着けば、きちんと役割も別けられるのだが、今はまだ彼女にしてもこうして外に連れ出さなければいけない。視察などをするにしても、部署として魔物のいる場だ。最低限が出来て悪い事など何もない。
「ああ、いや、話が逸れたけどさ。なんか、こっちでも薬が足りなくなるかもって話と、アルノーのおっさんが色々料理の仕方話してくれるらしくってさ。」
「ああ、香辛料ですか。薬については、私もオユキさんの事が有りますから、一度お礼も兼ねてと考えていましたが。困りましたね、そうなると採取者の中でも詳しい方を頼まなければいけません。」
「んー。アルノーのおっさん連れてかないのか。」
「今は、その。色々忙しくして頂いていますから。」
オユキが客を招く、迎えるのであれば当然席を設けなければならない。そして、そこには並ぶべきものがあり、用意をする責任者がアルノーだ。
「料理人も、本職の者が用意できたわけでは無いからな。あれほどの腕だ、客もそれを求めてという事もある。」
「あー、それもそうか。俺らにしても作って貰ったわけだし。」
こうして町の外に出る前に、昼食としてアルノーが用意した物をしっかりと食べた上で、こうして出てきている。少年たちも、今後領都と王都で仕事があると決まっているため、単に食事という訳では無く作法の勉強も兼ねているが。それ以外の食事として、きちんとランチボックスまで預けられているのだから、本当にアルノーには頭が下がるという物だ。
「そうですね。リュディヴィエーヌさんとサリエラさんはまだ早いですから、明日の予定として今日戻ったときに声をかけておきましょうか。」
「ってことは、人を集めてって訳でも無いんだな。」
「はい。多少は情報が集まっているでしょうが実感としての部分を得るのが先ですね。森の中には王都の時のように入らず、まずは周りで集めましょう。」
森の中、そこについてはそもそもこの始まりの町では数度入った事はあるが、回数が多いわけでもない。そもそも少年たちにしても経験が少なすぎる。護衛に頼ってというのも、最悪の場合であれば構わないが、そこまで差し迫っている訳でも無い。ならば、それこそ段階を踏んでというのがトモエの判断になる。
「森の魔物が強化されていれば、それこそ王都のように毒を持つ魔物も居そうですからね。」
「えっと、その。」
そして、それに対して何やら言いにくそうにしている相手がいる。
「毒、ですか。」
「いるとは聞いていますから。私もそういった魔物の相手は避けるようにしています。」
「それって、虫だから。」
「いえ、毒を持つ生き物は多いですよ。いえ、魔物となると分かりませんか。」
トモエは改めて口にしたことで、これまでの事を基本としていたと改めて気が付く。
「そう言えば、アンギーラにも。」
「検査はしていませんし、方法も分かりませんが。私が知っているものと同じであれば血液中に毒を含みますよ。」
「それで、トモエさんもアルノーさんも切り分ける場所決めてたんですね。」
「思い返せば、見た目に反して実に美味しいものであったな。先に比べて結界からそれなりに離れなければいないと、そう聞いてはいますが。」
その辺りも狩猟祭、その影響があったらしい。
木々と狩猟の神が魔物を司っているというのも、王都で神々から直接聞いた。ならばその相手に向けた祭りであれば、少し離れた場所、本来であれば近隣では見る事もない魔物が寄ってくるというのも、納得のいく理屈ではある。
「そう言えば、セシリアさんは司教様からどのように聞いていますか。」
「えっと、溢れと同じ仕組みかって言うのを狩猟者ギルドも気にしていたので、それとの違いとか。一応、オユキちゃんにもお手紙渡してますよ。」
「では、これから確認するでしょうから、私もそちらを聞きましょうか。」
新人二人も、そうして話していればどうにか呼吸も落ち着きだす。
「では、もう少し魔物を狩って戻りましょうか。どうした所で魔石はたくさんいりますから。」
「トモエ殿、それなのだが。」
「おや、どうかしましたか。」
魔石の話が出れば、それについては今度はファルコから。
「魔術ギルドの方で、魔石の調整を行う手が足りないらしい。加えて此処暫くの事で魔物の狩猟を考えるものが増えているとのことで。」
「その、流石に私もそればかりはどうにも。」
「申し訳ないのですが、オユキ殿は無理だとしても、トモエ殿に規範として頼みたいと。」
魔物の狩猟、それに向かわせる流れを作っているのは間違いない。そして、そこで分かりやすい恩恵を多く得ているように見えるため、それに追従するものが増えている。ならば、狩猟以外にも目を向けさせるためには、先頭を行っているように見える物が、それをするのが良いと、その理屈はトモエにもわかる。
オユキにそれを頼めないのは、魔術など使う余裕がないからだ。
「カナリアさんに、いえ、それだと内々となりますか。その、私はそもそも詳しくないのですが、魔術を使って魔物を狩る方というのは。こちらでも溢れの折や、アーサーさんが使っていたはずですが。」
「それなりにいます。しかし、継戦能力の低さが問題ですね。学問が主体であり、それを専門とするとどうしても体を鍛える時間が取れない事も多く。」
「結果として町の側では過剰な威力、そしてあまり人目に触れないため、ですか。」
こちらも、厄介を抱えているらしい。そして、そう言ったy話が出るという事は、それこそ今後の隣国との関係を考えての事だろう。今は教会の隣にただ置かれている門。それが何処に繋がるのか、それはまだ知っている者の方が少ないのだ。
「そういやさ。」
「はい、何でしょうか。」
町の外に魔物を狩りに出て暫く。襲い掛かってくる丸兎やグレイハウンドを蹴散らしながら、新しい河沿い迄来た時にシグルドがトモエに話しかける。
「あんちゃん達が休んでる間に、俺らとファルコで近場の魔物は色々調べたんだけど、森はまだなんだよな。」
「そうですね。狩猟祭の時と違って、森の側にはシエルヴォくらいですし様子を見る分には構いませんが。」
少年達の方はメイからの指示もあっての事だろうが、狩猟者ギルドに所属する者達としてあれこれと仕事をちゃんとしていたらしい。色々な変化に合わせて戻ってきたときに感じていた魔物の強化、それが確かな事として存在する。これまでは草原には森から出張ってこない限りいなかったグレイハウンドが闊歩しており、今は視線の先に爬虫類じみた生き物や、蟹が水辺を歩き回っている。
「そっか。ルーおばさんが森の恵みの種類が増えてるとか言ってたからさ。」
「そうなると、私たちだけでなく採取者の方にも声を掛けねばなりませんね。」
「ああ。その件か。傭兵達が河沿いの町に私財を運ぶために手が埋まっている。叶うなら狩猟者の方で護衛が出来ないかと、そう言った話だ。」
ファルコから、細かい背景が加えられる。
「リュディヴィエーヌさん、こちらに。そうですね、私たちが動くとなれば、騎士の方に護衛も頼めますから、余力はあるでしょう。ただ、常の事では無いので。」
細身の剣を片手に持ち、それを使って爬虫類、ラガートス、トリトンという名前はあるらしいが、それを斬りつけていたリュディヴィエーヌを読んで持ち方、振り方を簡単に直しながら話を続ける。
「過剰に力を入れています。それもあって意気が上がるのが早いのですよ。」
いよいよ戦闘の経験もない少女二人。教会で暮らしていた子供達ほどの訓練もしていなかったため、基礎体力が低い事もあるのだが、それ以上に未だに緊張が勝っている。グレイハウンドと同じ程度とされている魔物、動きは遅い代わりに耐久力が高い相手に何度も武器を振った結果として、既に汗が流れ息も上がっている。他の者たちは鍛錬もしっかりこなした上で、未だに元気一杯。そこにはまた大きな差が存在する。
「ええ。未だに緊張していますもの。姉さまからも、トモエ様の監督下であれば対応できる相手だけと言われてはいるのですが。」
「そういや、それ気になってました。トモエさん、魔物相手は経験があまりないって言うのに、私たちより強いか間違えませんよね。」
アナからそんな疑問の声が上がり、それに同調するものもいるが。
「いや、あんちゃんとオユキがまずやってそれからだろ。そこで判断してんじゃね。」
「はい。そうですよ。」
そして、その疑問に対する答えはシグルドが出す。
今回、オユキはどうした所で狩猟に出れていないが、トモエは違う。戻る道すがらも、ある程度の魔物は切り捨ててきたし、それ以外の場面でも周囲の騎士達の振る舞いを見て確認している。加護という部分では測り兼ねているのも確かだが、トモエが既に対応したことのある相手に対するものと、新しい魔物。それに対する動きの差というのがそこにあるため、凡そ測る事も出来るというものだ。
「それと、どう言えばいいのでしょうか。なんとなくですし、感覚というにも朧気なのですが。」
そういった事を繰り返していれば、トモエの方でもそういった感覚が磨かれてきたのだろう。
「なんとなく、魔物の強さというのも分かるようになってきているのですよね。」
これにしても加護の一端ではあるのだろう。流石に見た目だけでどう判断できる相手でもない相手、それに対してもぼんやりと。そう言った感覚が生れて始めている。トモエとしては、当然の事としてそれに頼り切る気はさらさらないが。己の感覚ではない、別によるもの。知識としての判断でも経験としての判断でもない。それが分かるからこそ、それを基に観察することはあったとして、という物ではある。
「へー。」
「サリエラさんは、リュディヴィエーヌさんに比べれば、体力はありますが。」
そして、もう一人加わった少女の方も、こちらの方が騎士である姉を持つもう一人よりも直さなければならない所が多い。ファルコの下で働くため、基本は机仕事になる。そもそも魔物と戦うという事、それ自体に対して非常に気後れしている。状況が落ち着けば、きちんと役割も別けられるのだが、今はまだ彼女にしてもこうして外に連れ出さなければいけない。視察などをするにしても、部署として魔物のいる場だ。最低限が出来て悪い事など何もない。
「ああ、いや、話が逸れたけどさ。なんか、こっちでも薬が足りなくなるかもって話と、アルノーのおっさんが色々料理の仕方話してくれるらしくってさ。」
「ああ、香辛料ですか。薬については、私もオユキさんの事が有りますから、一度お礼も兼ねてと考えていましたが。困りましたね、そうなると採取者の中でも詳しい方を頼まなければいけません。」
「んー。アルノーのおっさん連れてかないのか。」
「今は、その。色々忙しくして頂いていますから。」
オユキが客を招く、迎えるのであれば当然席を設けなければならない。そして、そこには並ぶべきものがあり、用意をする責任者がアルノーだ。
「料理人も、本職の者が用意できたわけでは無いからな。あれほどの腕だ、客もそれを求めてという事もある。」
「あー、それもそうか。俺らにしても作って貰ったわけだし。」
こうして町の外に出る前に、昼食としてアルノーが用意した物をしっかりと食べた上で、こうして出てきている。少年たちも、今後領都と王都で仕事があると決まっているため、単に食事という訳では無く作法の勉強も兼ねているが。それ以外の食事として、きちんとランチボックスまで預けられているのだから、本当にアルノーには頭が下がるという物だ。
「そうですね。リュディヴィエーヌさんとサリエラさんはまだ早いですから、明日の予定として今日戻ったときに声をかけておきましょうか。」
「ってことは、人を集めてって訳でも無いんだな。」
「はい。多少は情報が集まっているでしょうが実感としての部分を得るのが先ですね。森の中には王都の時のように入らず、まずは周りで集めましょう。」
森の中、そこについてはそもそもこの始まりの町では数度入った事はあるが、回数が多いわけでもない。そもそも少年たちにしても経験が少なすぎる。護衛に頼ってというのも、最悪の場合であれば構わないが、そこまで差し迫っている訳でも無い。ならば、それこそ段階を踏んでというのがトモエの判断になる。
「森の魔物が強化されていれば、それこそ王都のように毒を持つ魔物も居そうですからね。」
「えっと、その。」
そして、それに対して何やら言いにくそうにしている相手がいる。
「毒、ですか。」
「いるとは聞いていますから。私もそういった魔物の相手は避けるようにしています。」
「それって、虫だから。」
「いえ、毒を持つ生き物は多いですよ。いえ、魔物となると分かりませんか。」
トモエは改めて口にしたことで、これまでの事を基本としていたと改めて気が付く。
「そう言えば、アンギーラにも。」
「検査はしていませんし、方法も分かりませんが。私が知っているものと同じであれば血液中に毒を含みますよ。」
「それで、トモエさんもアルノーさんも切り分ける場所決めてたんですね。」
「思い返せば、見た目に反して実に美味しいものであったな。先に比べて結界からそれなりに離れなければいないと、そう聞いてはいますが。」
その辺りも狩猟祭、その影響があったらしい。
木々と狩猟の神が魔物を司っているというのも、王都で神々から直接聞いた。ならばその相手に向けた祭りであれば、少し離れた場所、本来であれば近隣では見る事もない魔物が寄ってくるというのも、納得のいく理屈ではある。
「そう言えば、セシリアさんは司教様からどのように聞いていますか。」
「えっと、溢れと同じ仕組みかって言うのを狩猟者ギルドも気にしていたので、それとの違いとか。一応、オユキちゃんにもお手紙渡してますよ。」
「では、これから確認するでしょうから、私もそちらを聞きましょうか。」
新人二人も、そうして話していればどうにか呼吸も落ち着きだす。
「では、もう少し魔物を狩って戻りましょうか。どうした所で魔石はたくさんいりますから。」
「トモエ殿、それなのだが。」
「おや、どうかしましたか。」
魔石の話が出れば、それについては今度はファルコから。
「魔術ギルドの方で、魔石の調整を行う手が足りないらしい。加えて此処暫くの事で魔物の狩猟を考えるものが増えているとのことで。」
「その、流石に私もそればかりはどうにも。」
「申し訳ないのですが、オユキ殿は無理だとしても、トモエ殿に規範として頼みたいと。」
魔物の狩猟、それに向かわせる流れを作っているのは間違いない。そして、そこで分かりやすい恩恵を多く得ているように見えるため、それに追従するものが増えている。ならば、狩猟以外にも目を向けさせるためには、先頭を行っているように見える物が、それをするのが良いと、その理屈はトモエにもわかる。
オユキにそれを頼めないのは、魔術など使う余裕がないからだ。
「カナリアさんに、いえ、それだと内々となりますか。その、私はそもそも詳しくないのですが、魔術を使って魔物を狩る方というのは。こちらでも溢れの折や、アーサーさんが使っていたはずですが。」
「それなりにいます。しかし、継戦能力の低さが問題ですね。学問が主体であり、それを専門とするとどうしても体を鍛える時間が取れない事も多く。」
「結果として町の側では過剰な威力、そしてあまり人目に触れないため、ですか。」
こちらも、厄介を抱えているらしい。そして、そう言ったy話が出るという事は、それこそ今後の隣国との関係を考えての事だろう。今は教会の隣にただ置かれている門。それが何処に繋がるのか、それはまだ知っている者の方が少ないのだ。
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