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14章 穏やかな日々
食事の役割
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お茶会、会食よりも非公式な場だからこそ話題は千々に飛ぶ。この場の主催二人の体調について確認が終われば、各々がこれまで感じた祭りの空気について言及する場面もあれば、王都が過去とどう変わっているのか尋ねられる場面もある。こたえられるところにトモエとオユキがぞれぞれに対応しながらも、どうした所で確認できない祭りの現場、それに対して質問もしながら。
加えてこの場にいる者達はなんだかんだと作法がそれぞれに違うが、場に対する慣れがある。アルノーに至ってはそもそもこういった場を整える側であるため、問題など無く、ヴィルヘルミナにしてもカリンにしても慣れが見える。席についている顔ぶれの中では、寧ろカナリアが最も不慣れと言ってもいい顔ぶれなのだ。気楽な、ある程度常の事として流せる振る舞いで、気楽な場を楽しめばアルノーから少し改まった様子で話が振られる。
「こちらでの栄養学は、やはり不明点が多いのですが。」
そして、その視線の先にはトモエとオユキ、それとアイリスが。
「知識の補佐を得られればとも思いますね。」
怪我人であり、その回復を求められる相手。この場の食事を提供した身として、各々の好み、どのように食べ進めるか、どの程度を食べるのかを観察したうえでアルノーは続ける。
「オユキさんは、食の細さ、トモエさんとアイリスさんは食の嗜好。同じ席で、違う品を出してもいいのであればと考えてしまいますが。
先ほどのカナリアさんの話を踏まえると、別の観点も要りそうですが。」
怪我を直す、そのために必要な栄養素。どうやらアルノーという人物は、その辺りの知識も身に着けているらしい。
「アルノーさん。その食事療法というのは。」
「おや、そのようにしか伝わりませんか。」
そして、カナリアの反応で、アルノーにしてもトモエとオユキが事前に伝えていた言葉の問題を改めて実感した様子だ。
「身体の回復では無く、日々の生活、生命としての目に見えぬ活動を支えるために必要な成分。そう言った話なのですが。」
「成程。しかし、それを概論化するには種族差が大きく存在しますから。」
「確かにそうなのでしょうが物質として存在する部分ですね、それはどうあがいたところで基本は摂取せざるを得ないでしょう。それ以外の理屈が大いに働くなら、そもそも調理の仕組みというのも変わらなければいけません。
勿論、嗜好が種族としてあるのであれば、そこには私の知らない栄養摂取に関わる理屈があるのでしょうが。
いえ、一先ずそちらは置いておくとして、外傷の回復に必要な物ですね。そちらをどう必要量得ていただくべきかと。」
アルノーの言うところは、最低限の知識を持っている者達は理解できる理屈ではある。
「私の食が細いのは、自覚がありますが。これまで不都合が無かったのですよね。」
ただ、理解したうえでオユキが言えることというのはそれに尽きる。
「それと、聞いた話でしかありませんが、異邦からの人物は基本的に外見の変化がないとか。もちろん、過剰な食事で体形がという事はあったそうですが。」
タルヤから聞いた話をオユキは口にするが、アルノーの言葉はそれを一蹴する。
「体形の変化が起こるのに、体格の変化が無いというのは、それこそ理屈が通っていません。」
そして、言われてみれば納得できる。
「だとすると。」
「その辺りに、こちらの世界ならでは、そう言った物が関わってくるのでしょう。ただ、それを考えて今回の茶会の品を並べてみましたが、やはり好に個人差が大きすぎます。相応の事が無ければ、体が求めている物に対して、人というのは食欲を覚えるのですが。重傷を負ったお二人にしても、何やら差があるようで。」
体調によって、味の感じ方が違う。それは有名な話ではある。
アルノーはその辺りと己の知識と経験を合わせた上で、そこにある疑問を挙げる。
「体を動かすことが多い、それが常となっている。体格にしても異邦に比べれば恵まれている人が多い。だからこそ蛋白質が重要になる。短い期間でありますが、そのように認識しています。ただ、主体となっている肉に含まれているカルシウムは多くありません。こちらの方々の体を作る事を考えたときに、体感として不足が感じられるのです。」
「とすると、不足を補完するために使われているものがある、そう考えるのが自然でしょう。」
カナリアにはうまく伝わっていないのだろう。アルノーの言葉を飲み込む以上に考え込んでいるそぶりが見られる。ここまでの生活を見る限り、カナリアにしても料理をするような人物ではない。そこで付属している経験や知識が何か彼女の積み上げてきた物に触れる形として返還されているのだろう。そうオユキは考えながらも、アルノーの話を聞いて思い当たることを返す。
「アルノーさんが御覧になったかは分かりませんが、私は花精の方が、果実の種を丸ごと、咀嚼せずに口に入れそのまま吸収するといった場面を見た事が有ります。そして、日々を支えるための奇跡が、マナを消費して得られていると。」
「随分と効率が悪く聞こえますが。」
「根本からして、歪がありますから。」
「私以外の物は、いえ、私等よりもそういった部分で詳しい方はおられたはずです。」
「伝わらなかったのでしょう。もしくは、他で補填がされる、それを含めての知識ではなく正しいとされなかったのでしょう。」
過去の知識、学術的な正しさ。それは証明がなされた上でのものだ。
こちらで、では栄養学的な不足が発生した時に発生する症状、それが再現されないのであれば間違いとみなされても不思議ではない。マナ、それによってもたらせる日常の奇跡、それが働くことで不足した栄養価を補えるのであれば、正しく食べる事よりも量を食べてと、より簡単なそちらに流れるだろう。運動量の差は明確。そこで最も披露する筋の回復に必要なのは蛋白質。実際にそれを利用できる形に、身体で行われる反応を助けるためのビタミンであったりが自動的にマナによって補完されるのであれば、栄養学にしても異なる観点がいる。
人体の助けに、そうするための前提が違うのだから。
「その辺り、学問として確立するには改めてこちらの方々の協力を得た上で、統計に十分な物を積み上げる必要があるでしょうが。」
「料理人として、それも勿論望みたくはありますが。」
オユキがそう話せばアルノーもただ背もたれに体重を預けて、苦く笑う。
「トモエさんは。」
「私は勿論構いませんよ。そもそも体作りも武の道の一環です。」
被検体とまではいわないが、一先ずの積み重ねについてトモエは勿論頷く。
「オユキさんも気付いているでしょうが、マナが別に使われなくなる、それは利点も多いでしょうし。」
「ええ。」
そして、もしも日常の補助として働く奇跡が、そちらに支払われているのなら、それすらも余剰とすることができる。つまり、他の能力を伸ばす切欠として有意な蓄積が得られる。
「公募の条件を加えましょう。アルノーさんとして、丁稚、奉公人、徒弟、そう言った相手に求める条件は。」
それを踏まえた上で、年若く、成長に必要なそれらが多い相手を使う。
人体実験と見れば方々からそしりを受けそうなものでもあるが、これまでよりも明確な改善を行うための物であり、結果に間違いないだろうという予測はある。そして、万が一があれば、そもそもトモエとオユキの生活の場であれば、それを直ぐにどうにか出来る環境も整っている。
ならば、まぁ、咎められるような事にはならないであろう。
「分かりました。選んだ後に、改めて判断をお願いします。」
「使用人となると、一応裁可はしますが、基本はゲラルドさんかカレンさんですが。」
後は、それこそ護衛の都合による。
「ただ、言われて思い返してみれば。」
そう、オユキはこれまで体重を増やしたい身長が伸びればと言っていたが、そう言った体を作るための栄養という物を避けていたことに今更に気が付く。
「動物性の物はどうしてもオユキさんは苦手意識がありますし、植物性のそれはなかなか手に入りませんからね。」
「気は進みませんが、工業的に生成した物をなどと思いもしますね。」
補助食品というのは、あくまで補助を目的としたものだ。それを常習化するのは、やはり本義から外れるとオユキも理解しているのだが、それでもと望むのであればそう言った物を求めたくもなる。
勿論、今のこちらの技術で直ぐにどうこうという物でもないが。
「こちらの食文化の基盤を考えれば、体が大きくなる素地はあります。オユキさんは、私の方でも料理として可能な範囲でご用意しましょう。ただ。」
そこで、話が最初に振られてものに戻る。
「それぞれに怪我の度合いも異なりますし、外からの方が居られない時には良しとしましょうか。」
用は、そう言ったある程度個別のメニューという物をここまでの話の流れで、良しとしましょう。そう言った流れを作ったのだ。事実、今この段階にしても、それぞれに手を付けている物があまりに違う。オユキにしても、これまでよりも肉の脂に対して忌避感は無いのだが、それでも気を付けなければ手を伸ばそうとしない。
アイリスとトモエは、真っ先にそれらを片付けてしまっている。
「そう言えば、今回の物は煮凝りを混ぜているようですし、コラーゲンはオユキさんも問題はなさそうですね。」
「ええと、コラーゲンですと。」
そして、何くれとなくオユキの様子を見ているトモエから声を掛けられてオユキは少し考える。
蛋白質とい一言に纏めても、種類は多い。
「皮膚や腱でしたか。」
「主要なものはそうですね。やはり元はゼラチン質ですし。」
「それにしても、こう言った物はひき肉に含まれる脂ばかりと思っていましたが。」
「そこはこれまでで好みの把握も出来ています。他の方にはかなりあっさりとした食べ応えになったと思いますが。」
アルノーにしても、随分と色々気を遣ってもらっているらしい。改めてオユキはそれを実感する。つまり、予定の変更、多少の作用。それが働いている理由は、そう言った配慮があるという事なのだろう。
そうであるなら、オユキから改めて異邦人3人に聞くべきことというのは決まっている。
「色々と御心配りを頂、ありがとうございます。私から返せるものは些少な物ですが、皆さまの今後の助力、それについては出来る限り。」
今後の彼らの望む先、それに対する後押しとしてそれを返す。カナリアが員数外になっているのは、彼女についてはオユキ達の判断以上に、王家の判断が彼女を縛るからだ。転移を可能とする門、それが使えない物にとっては、今は彼女だけが行使できる新しい魔術が何処までも求められる。
加えてこの場にいる者達はなんだかんだと作法がそれぞれに違うが、場に対する慣れがある。アルノーに至ってはそもそもこういった場を整える側であるため、問題など無く、ヴィルヘルミナにしてもカリンにしても慣れが見える。席についている顔ぶれの中では、寧ろカナリアが最も不慣れと言ってもいい顔ぶれなのだ。気楽な、ある程度常の事として流せる振る舞いで、気楽な場を楽しめばアルノーから少し改まった様子で話が振られる。
「こちらでの栄養学は、やはり不明点が多いのですが。」
そして、その視線の先にはトモエとオユキ、それとアイリスが。
「知識の補佐を得られればとも思いますね。」
怪我人であり、その回復を求められる相手。この場の食事を提供した身として、各々の好み、どのように食べ進めるか、どの程度を食べるのかを観察したうえでアルノーは続ける。
「オユキさんは、食の細さ、トモエさんとアイリスさんは食の嗜好。同じ席で、違う品を出してもいいのであればと考えてしまいますが。
先ほどのカナリアさんの話を踏まえると、別の観点も要りそうですが。」
怪我を直す、そのために必要な栄養素。どうやらアルノーという人物は、その辺りの知識も身に着けているらしい。
「アルノーさん。その食事療法というのは。」
「おや、そのようにしか伝わりませんか。」
そして、カナリアの反応で、アルノーにしてもトモエとオユキが事前に伝えていた言葉の問題を改めて実感した様子だ。
「身体の回復では無く、日々の生活、生命としての目に見えぬ活動を支えるために必要な成分。そう言った話なのですが。」
「成程。しかし、それを概論化するには種族差が大きく存在しますから。」
「確かにそうなのでしょうが物質として存在する部分ですね、それはどうあがいたところで基本は摂取せざるを得ないでしょう。それ以外の理屈が大いに働くなら、そもそも調理の仕組みというのも変わらなければいけません。
勿論、嗜好が種族としてあるのであれば、そこには私の知らない栄養摂取に関わる理屈があるのでしょうが。
いえ、一先ずそちらは置いておくとして、外傷の回復に必要な物ですね。そちらをどう必要量得ていただくべきかと。」
アルノーの言うところは、最低限の知識を持っている者達は理解できる理屈ではある。
「私の食が細いのは、自覚がありますが。これまで不都合が無かったのですよね。」
ただ、理解したうえでオユキが言えることというのはそれに尽きる。
「それと、聞いた話でしかありませんが、異邦からの人物は基本的に外見の変化がないとか。もちろん、過剰な食事で体形がという事はあったそうですが。」
タルヤから聞いた話をオユキは口にするが、アルノーの言葉はそれを一蹴する。
「体形の変化が起こるのに、体格の変化が無いというのは、それこそ理屈が通っていません。」
そして、言われてみれば納得できる。
「だとすると。」
「その辺りに、こちらの世界ならでは、そう言った物が関わってくるのでしょう。ただ、それを考えて今回の茶会の品を並べてみましたが、やはり好に個人差が大きすぎます。相応の事が無ければ、体が求めている物に対して、人というのは食欲を覚えるのですが。重傷を負ったお二人にしても、何やら差があるようで。」
体調によって、味の感じ方が違う。それは有名な話ではある。
アルノーはその辺りと己の知識と経験を合わせた上で、そこにある疑問を挙げる。
「体を動かすことが多い、それが常となっている。体格にしても異邦に比べれば恵まれている人が多い。だからこそ蛋白質が重要になる。短い期間でありますが、そのように認識しています。ただ、主体となっている肉に含まれているカルシウムは多くありません。こちらの方々の体を作る事を考えたときに、体感として不足が感じられるのです。」
「とすると、不足を補完するために使われているものがある、そう考えるのが自然でしょう。」
カナリアにはうまく伝わっていないのだろう。アルノーの言葉を飲み込む以上に考え込んでいるそぶりが見られる。ここまでの生活を見る限り、カナリアにしても料理をするような人物ではない。そこで付属している経験や知識が何か彼女の積み上げてきた物に触れる形として返還されているのだろう。そうオユキは考えながらも、アルノーの話を聞いて思い当たることを返す。
「アルノーさんが御覧になったかは分かりませんが、私は花精の方が、果実の種を丸ごと、咀嚼せずに口に入れそのまま吸収するといった場面を見た事が有ります。そして、日々を支えるための奇跡が、マナを消費して得られていると。」
「随分と効率が悪く聞こえますが。」
「根本からして、歪がありますから。」
「私以外の物は、いえ、私等よりもそういった部分で詳しい方はおられたはずです。」
「伝わらなかったのでしょう。もしくは、他で補填がされる、それを含めての知識ではなく正しいとされなかったのでしょう。」
過去の知識、学術的な正しさ。それは証明がなされた上でのものだ。
こちらで、では栄養学的な不足が発生した時に発生する症状、それが再現されないのであれば間違いとみなされても不思議ではない。マナ、それによってもたらせる日常の奇跡、それが働くことで不足した栄養価を補えるのであれば、正しく食べる事よりも量を食べてと、より簡単なそちらに流れるだろう。運動量の差は明確。そこで最も披露する筋の回復に必要なのは蛋白質。実際にそれを利用できる形に、身体で行われる反応を助けるためのビタミンであったりが自動的にマナによって補完されるのであれば、栄養学にしても異なる観点がいる。
人体の助けに、そうするための前提が違うのだから。
「その辺り、学問として確立するには改めてこちらの方々の協力を得た上で、統計に十分な物を積み上げる必要があるでしょうが。」
「料理人として、それも勿論望みたくはありますが。」
オユキがそう話せばアルノーもただ背もたれに体重を預けて、苦く笑う。
「トモエさんは。」
「私は勿論構いませんよ。そもそも体作りも武の道の一環です。」
被検体とまではいわないが、一先ずの積み重ねについてトモエは勿論頷く。
「オユキさんも気付いているでしょうが、マナが別に使われなくなる、それは利点も多いでしょうし。」
「ええ。」
そして、もしも日常の補助として働く奇跡が、そちらに支払われているのなら、それすらも余剰とすることができる。つまり、他の能力を伸ばす切欠として有意な蓄積が得られる。
「公募の条件を加えましょう。アルノーさんとして、丁稚、奉公人、徒弟、そう言った相手に求める条件は。」
それを踏まえた上で、年若く、成長に必要なそれらが多い相手を使う。
人体実験と見れば方々からそしりを受けそうなものでもあるが、これまでよりも明確な改善を行うための物であり、結果に間違いないだろうという予測はある。そして、万が一があれば、そもそもトモエとオユキの生活の場であれば、それを直ぐにどうにか出来る環境も整っている。
ならば、まぁ、咎められるような事にはならないであろう。
「分かりました。選んだ後に、改めて判断をお願いします。」
「使用人となると、一応裁可はしますが、基本はゲラルドさんかカレンさんですが。」
後は、それこそ護衛の都合による。
「ただ、言われて思い返してみれば。」
そう、オユキはこれまで体重を増やしたい身長が伸びればと言っていたが、そう言った体を作るための栄養という物を避けていたことに今更に気が付く。
「動物性の物はどうしてもオユキさんは苦手意識がありますし、植物性のそれはなかなか手に入りませんからね。」
「気は進みませんが、工業的に生成した物をなどと思いもしますね。」
補助食品というのは、あくまで補助を目的としたものだ。それを常習化するのは、やはり本義から外れるとオユキも理解しているのだが、それでもと望むのであればそう言った物を求めたくもなる。
勿論、今のこちらの技術で直ぐにどうこうという物でもないが。
「こちらの食文化の基盤を考えれば、体が大きくなる素地はあります。オユキさんは、私の方でも料理として可能な範囲でご用意しましょう。ただ。」
そこで、話が最初に振られてものに戻る。
「それぞれに怪我の度合いも異なりますし、外からの方が居られない時には良しとしましょうか。」
用は、そう言ったある程度個別のメニューという物をここまでの話の流れで、良しとしましょう。そう言った流れを作ったのだ。事実、今この段階にしても、それぞれに手を付けている物があまりに違う。オユキにしても、これまでよりも肉の脂に対して忌避感は無いのだが、それでも気を付けなければ手を伸ばそうとしない。
アイリスとトモエは、真っ先にそれらを片付けてしまっている。
「そう言えば、今回の物は煮凝りを混ぜているようですし、コラーゲンはオユキさんも問題はなさそうですね。」
「ええと、コラーゲンですと。」
そして、何くれとなくオユキの様子を見ているトモエから声を掛けられてオユキは少し考える。
蛋白質とい一言に纏めても、種類は多い。
「皮膚や腱でしたか。」
「主要なものはそうですね。やはり元はゼラチン質ですし。」
「それにしても、こう言った物はひき肉に含まれる脂ばかりと思っていましたが。」
「そこはこれまでで好みの把握も出来ています。他の方にはかなりあっさりとした食べ応えになったと思いますが。」
アルノーにしても、随分と色々気を遣ってもらっているらしい。改めてオユキはそれを実感する。つまり、予定の変更、多少の作用。それが働いている理由は、そう言った配慮があるという事なのだろう。
そうであるなら、オユキから改めて異邦人3人に聞くべきことというのは決まっている。
「色々と御心配りを頂、ありがとうございます。私から返せるものは些少な物ですが、皆さまの今後の助力、それについては出来る限り。」
今後の彼らの望む先、それに対する後押しとしてそれを返す。カナリアが員数外になっているのは、彼女についてはオユキ達の判断以上に、王家の判断が彼女を縛るからだ。転移を可能とする門、それが使えない物にとっては、今は彼女だけが行使できる新しい魔術が何処までも求められる。
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