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1章 懐かしく新しい世界
初めての報酬 2
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「二つまとめて呼ばれるのは珍しいな。まぁ、連れ立っているから一緒だと判断されたか。
獲物も変わりないしな。ああ、言った時間よりも早いのは、まぁ、持ち込んだものがこの周りにありふれたものだからだろうな。」
「同時に呼ばれるのは、珍しいのですか?」
「ああ、一応金銭のやり取りなんかも発生するからな、基本番号は一度に呼ばれない。
大きい都市などで、受取のカウンターが複数あれば別だがな。」
そうして話しながら、そのカウンターに向かい、トラノスケが受け取っていた番号札と登録証を受付の女性に渡す。
「ありがとうございます。それではこちらを。」
そして確認した女性は、まずは用紙をトラノスケに渡し、トラノスケはそれを確認した後に何かを書き込み返す。
すると女性が、トレーに乗せられた、硬貨を受け付け台に置く。
それを一枚ずつ確認した後、トラノスケはそれをしまい込み、横にずれる。
トラノスケに倣って、そこに立ち、移動のたびに持ち上げられていたオユキを降ろし、トモエが番号札と、仮登録証を渡す。
仮登録証を見たからだろうか、トラノスケとは違い、受付の女性も、丁寧に説明を行ってくれる。
「はい、ありがとうございます。確認できました。
それでは、こちらが査定表になります。
左から、納品物の名称、評価、単価、個数、合計額となります。」
オユキはそれを確認しようと、相変わらずギリギリの受け付け台に、身を乗り出そうと背伸びをし、足首に痛みを覚える。
それを察したのか、トラノスケがオユキを持ち上げ、表の確認をしやすいようにとしてくれる。
オユキはトラノスケにお礼を告げ、そこに書かれているものを見る。
並んでいるのは、持ち込んだものの名称、丸兎の肉、毛皮、エリンギ、といった名称が並び、そこから右に説明された項目が書かれている。
「その、こちらの評価というのは?」
トモエがその項目を指さしながら尋ねる。
物によっては、その評価が異なり、同じ名称のものでも、分けられている。
「はい、こちらは、お持ちいただいたものの評価ですね。」
そういって、受付の女性は別紙束を取り出し、その中から数枚を抜き取り、こちらに見せる。
「全ての確認を行いたいという事でしたら、別のカウンターを後程ご案内します。
こちらをご確認ください。ギルドの所属員が持ち込んだ物品は、このように、これは今回お持ちいただいている、肉塊に関するものですね、一点ずつ評価がなされます。
このような食品であれば、こちら、鮮度、重量、食肉としての質。
それらがこのように1~10の間で評価され、その平均点が最終評価になっています。」
受付の女性が、そう話しながら、説明している箇所を指で示す。
そこには、今回持ち込んだ丸兎の肉、その中で評価の違うものが示されていた。
今回は極近距離という事もあるのだろう、鮮度に関しては全て点数は10となっている。
「成程、ご丁寧にありがとうございます。」
「いえ、これも仕事ですので。こちらの評価表などはお渡しできませんが、確認が必要でしたら、此処の隣、あちらですね、あちらでお問い合わせください。
その際、カウンターで登録証をお見せ頂ければ、これらの情報は全て所属員ごとにまとめられていますので、そのファイルを閲覧できます。
写しが必要な場合は、皆さまのほうで行っていただくこととなりますが。」
「分かりました。」
「はい。それではこちらの内容にご不満が無ければ、此処ですね、こちらに署名をお願いします。」
トモエがそこに、名前を書きこむ。
オユキも、頭の中で表の中に記載された計算が間違っていないか確かめたが、特に問題はなさそうだ。
「はい、ありがとうございます。
それでは、こちらが今回の報酬となっています。」
そういって受付の女性が、硬貨の乗ったトレーを受け付け台に置き、先ほどの表の末尾に記載された金額を示す。
先ほどのトラノスケの様子を思い返せば、そこに間違いがないように確かめろ、そういう事なのだろう。
硬貨には全て数字が書かれているため、それを数え、合計し、間違いがないことをトモエが確認する。
そうして頷き、問題ないといい、その効果を腰に下げられた、小さなポーチにしまい込む。
「それでは、これで一連の手続きは終了です。
今後も、基本的に流れは変わりませんが、珍しい物品であったり、この近隣で確認されていない魔物の獲物などがある場合は、別途お呼びして状況を伺う事などもあります。」
「成程。分かりました。」
「それでは、今後も気を付けて狩猟を行ってください。」
そう言われて、トモエがトラノスケからオユキを受け取り、その場を離れる。
「トラノスケさん、今日は本当に助かりました。」
「なに、気にするな。俺がいなくても、総合受付でまごついていれば、他の面倒見のいいのがやったさ。」
「それでも、夫の顔見知り、やはり幾分か気安いですから。」
「まぁ、そういってもらえると嬉しいが、さて、どうする。
今から、ミズキリのところに案内するか?」
言われてオユキは考える、しかし、時間も時間だ。
流石に、少々人を訪うには遅いだろう。
それに、オユキとトモエも、これから腰を落ち着ける場所を探さねばならない。
「いえ、流石に時間も遅いですし。それに今晩、どこで休むかを決めないといけません。」
オユキがそう伝えれば、トラノスケがなるほどと、そう頷く。
獲物も変わりないしな。ああ、言った時間よりも早いのは、まぁ、持ち込んだものがこの周りにありふれたものだからだろうな。」
「同時に呼ばれるのは、珍しいのですか?」
「ああ、一応金銭のやり取りなんかも発生するからな、基本番号は一度に呼ばれない。
大きい都市などで、受取のカウンターが複数あれば別だがな。」
そうして話しながら、そのカウンターに向かい、トラノスケが受け取っていた番号札と登録証を受付の女性に渡す。
「ありがとうございます。それではこちらを。」
そして確認した女性は、まずは用紙をトラノスケに渡し、トラノスケはそれを確認した後に何かを書き込み返す。
すると女性が、トレーに乗せられた、硬貨を受け付け台に置く。
それを一枚ずつ確認した後、トラノスケはそれをしまい込み、横にずれる。
トラノスケに倣って、そこに立ち、移動のたびに持ち上げられていたオユキを降ろし、トモエが番号札と、仮登録証を渡す。
仮登録証を見たからだろうか、トラノスケとは違い、受付の女性も、丁寧に説明を行ってくれる。
「はい、ありがとうございます。確認できました。
それでは、こちらが査定表になります。
左から、納品物の名称、評価、単価、個数、合計額となります。」
オユキはそれを確認しようと、相変わらずギリギリの受け付け台に、身を乗り出そうと背伸びをし、足首に痛みを覚える。
それを察したのか、トラノスケがオユキを持ち上げ、表の確認をしやすいようにとしてくれる。
オユキはトラノスケにお礼を告げ、そこに書かれているものを見る。
並んでいるのは、持ち込んだものの名称、丸兎の肉、毛皮、エリンギ、といった名称が並び、そこから右に説明された項目が書かれている。
「その、こちらの評価というのは?」
トモエがその項目を指さしながら尋ねる。
物によっては、その評価が異なり、同じ名称のものでも、分けられている。
「はい、こちらは、お持ちいただいたものの評価ですね。」
そういって、受付の女性は別紙束を取り出し、その中から数枚を抜き取り、こちらに見せる。
「全ての確認を行いたいという事でしたら、別のカウンターを後程ご案内します。
こちらをご確認ください。ギルドの所属員が持ち込んだ物品は、このように、これは今回お持ちいただいている、肉塊に関するものですね、一点ずつ評価がなされます。
このような食品であれば、こちら、鮮度、重量、食肉としての質。
それらがこのように1~10の間で評価され、その平均点が最終評価になっています。」
受付の女性が、そう話しながら、説明している箇所を指で示す。
そこには、今回持ち込んだ丸兎の肉、その中で評価の違うものが示されていた。
今回は極近距離という事もあるのだろう、鮮度に関しては全て点数は10となっている。
「成程、ご丁寧にありがとうございます。」
「いえ、これも仕事ですので。こちらの評価表などはお渡しできませんが、確認が必要でしたら、此処の隣、あちらですね、あちらでお問い合わせください。
その際、カウンターで登録証をお見せ頂ければ、これらの情報は全て所属員ごとにまとめられていますので、そのファイルを閲覧できます。
写しが必要な場合は、皆さまのほうで行っていただくこととなりますが。」
「分かりました。」
「はい。それではこちらの内容にご不満が無ければ、此処ですね、こちらに署名をお願いします。」
トモエがそこに、名前を書きこむ。
オユキも、頭の中で表の中に記載された計算が間違っていないか確かめたが、特に問題はなさそうだ。
「はい、ありがとうございます。
それでは、こちらが今回の報酬となっています。」
そういって受付の女性が、硬貨の乗ったトレーを受け付け台に置き、先ほどの表の末尾に記載された金額を示す。
先ほどのトラノスケの様子を思い返せば、そこに間違いがないように確かめろ、そういう事なのだろう。
硬貨には全て数字が書かれているため、それを数え、合計し、間違いがないことをトモエが確認する。
そうして頷き、問題ないといい、その効果を腰に下げられた、小さなポーチにしまい込む。
「それでは、これで一連の手続きは終了です。
今後も、基本的に流れは変わりませんが、珍しい物品であったり、この近隣で確認されていない魔物の獲物などがある場合は、別途お呼びして状況を伺う事などもあります。」
「成程。分かりました。」
「それでは、今後も気を付けて狩猟を行ってください。」
そう言われて、トモエがトラノスケからオユキを受け取り、その場を離れる。
「トラノスケさん、今日は本当に助かりました。」
「なに、気にするな。俺がいなくても、総合受付でまごついていれば、他の面倒見のいいのがやったさ。」
「それでも、夫の顔見知り、やはり幾分か気安いですから。」
「まぁ、そういってもらえると嬉しいが、さて、どうする。
今から、ミズキリのところに案内するか?」
言われてオユキは考える、しかし、時間も時間だ。
流石に、少々人を訪うには遅いだろう。
それに、オユキとトモエも、これから腰を落ち着ける場所を探さねばならない。
「いえ、流石に時間も遅いですし。それに今晩、どこで休むかを決めないといけません。」
オユキがそう伝えれば、トラノスケがなるほどと、そう頷く。
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