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神殿
ナリスの伝説 「オンリーワン」
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★北の荒地の神殿★
ソニア
「神殿は街の真ん中にあるからすぐにわかるわよ」
さや
「そそ、街の中央目指して少し歩けば、見えてくるわ」
ソニア
「あの角を左に曲がると正面に見えてくるわ」
建物の角を左に曲がると向こうの方にそれらしきものが見えています。
円柱が何本も建てられてた建築物、どこかで見たような
神殿に向かって通りを歩いていて気が付きました。
あれは、老人ジュ・オンさんだ
誰かを見張っているのでしょうか?
異世界転生者、召還者って意外と多い、意外?少ないとか自分だけとかは固定観念でしかない・・・
通りを歩いて神殿に近づいてくると二人の人影が見えて来た、あ、あれはフラン様とシルビア様だ
こっちを見ていますけど、私の事を知っているはずは、無いと思いますが、うぅん、こっちを見ているなあ
素通りしようとしたのですが、「ナリス様」とフランソワーズ様から声をかけられました。
え?
フランソワーズ様の方を振り返りましたが、顔に出ていたのでしょうか?
フランソワーズ様
「やっぱり、私どもの事はお忘れになっておられるのですね、残念です」
さや
「ナリス、あんた知り合いだったの?」
私
「知り合い?」になるのかな
考えているとフラン様が続けて
「前回お会いしてからまだ、百年までは立っていないと思います、この神殿を建設するときもナリス様は携わっておられます。」
え?
シルビア様
「お会いするたびに同じ会話をしておりますよ、いつも私たちの事をお忘れになっておられます」
さや
「あんたち、年、いくつなのよ」
私
「十二歳にはなったと思います」
フランソワーズ様
「この神殿の建設に四十年程関わっておられて、建設途中で亡くなられました、その後五十年ぐらいたってから完成しております」
シルビア様
「基礎工事として土台を先に作って、それから、地下一階の建設の時にご自分の部屋を用意されました。」
フランソワーズ様
「今もその部屋は残っております、というか誰も入れない、封印の間となっております。」
さや
「封印?」
シルビア様
「はい、鍵穴とかもないのに扉が開きません」
フランソワーズ様
「どうですか?興味ありますか?ご覧になられますか?」とにっこり笑って言われました。
ソニア
「大丈夫かな、罠とかじゃないの?」
フランソワーズ様
「ナリス様はいつも私たちを敵だと認識されておりますが、私たちは敵ではありません」
さや
「その言葉を信じろと言われてもなぁ」
この神殿の建設に関わっている・・・創作ではなさそうですが、はて
私
「その部屋に行ってみればわかると思います」
え・・・
さや
「いくの?」
ええ
ソニア
「大丈夫?」
問題無いと思います
ではフラン様、シルビア様案内よろしくお願いします
フラン様
「はい、こちらでございます。」
神殿に入って地下一階に降りて、隅の方に移動、扉がありました。
フラン様
「ここが開かずの間になります。」
扉に近づいてみるといつものごとく扉が光り、それに反応したつるぎが身構えたのが解りました。笑
軽く押しただけでいつものように扉は開きました。
フラン様
「やっぱり、ナリス様の専用なのですね、この部屋は」
あ、なるほど
扉が光るのは、私の魔力を補充しているのか
部屋の中で天上に明かりが灯りました。
中に入ってみると、本棚と中央にテーブルとイス、テーブルの上に箱が置いてあり、箱の下に紙が少しはみ出して見える。
紙をとってみると「ようこそ、次世代の私」と書いてある。
箱は封印されているようで、「我、ナリスが命じる封印を解け」
箱が開き、中には本が一冊、手に取りページをめくる。
私の前世の記憶と今を次世代の私に送る
私の前世の世界 そこは平和な日常をおくる、日本と言う名の国にある九州と呼ばれるところです。
そこは異世界ではなく、数千年前のこの世界と思われます。
私には三人の幼馴染の女性が居ました。
フランソワーズ真田
シルビア山本
クラリス武田
三人とも外国籍の母が日本に嫁いできて、父親の仕事の都合で九州に引っ越して来ていました。
小学校入学前ぐらいから中学校まで一緒に通いました。
正確には中学校入学後三か月まで、私は 十三歳で他界したからです。
臓器移植を行えば助かるかもしれない、が移植は出来ませんでした。
その後この世界の片隅に転生してきた私が十歳を超えて記憶が戻り、十二歳でこの街に来たときに見つけたのは幼馴染の三人の姿、そっくりな人が居てもおかしくは無いのですが、三人が揃って並んで立っているのを見つけたのです。
三人も私を見つけ、近くまで来て「ナリス様お久しぶりです」と声をかけてきました。
ビックリしている私を見て「ナリス様、私たちを覚えておいでですか」と聞いてきた。
思わず「フランソワーズ真田だろ」と答えてしまったのだが、それを聞いたフランは大粒の涙を流しながら「やっと会えました」
シルビアが私は?
私
「シルビア山本とそっちはクラリス武田」
フランソワーズ
「いつかは貴方が転生してくると信じて待っていました。」
どういう事?
三人は私が世を去った後、医学の道に進むことを決め、高校、大学と三人一緒に進学して、医者の資格を取得、クローン技術の開発を極秘に行っていた医療機関に入り、三人でクローン生成に取り組んだと聞きました。
地上ではこの開発は危険だと判断した医療機関及びスポンサーたちは宇宙ステーションでの研究に切り替えるべく、ステーションの開発、打ち上げ、生活するための水と食料の自給自足等専門スタッフをそろえ、開発に取り組み数十年後宇宙ステーションでの研究に切り替わった。
三人はこのプロジェクトに名乗り出て、宇宙にのぼり、私が世を去った後五十年後ぐらいで人間のクローン開発を成功させた。
しかし成功確率は 三分の一から三分の二 三人に一人は失敗して死亡したとの事
フラン、シルビア、クラリス、はそれぞれ二体のクローンに自分の記憶を本にして読ませ、古い写真を見せ自分たちの思いを託した。
そして世界は終焉の日を迎える。
核戦争勃発、宇宙ステーションからは地球の姿は見えなくなってしまった。
地球全体が爆炎から出た煙で包まれたのだろう。
地球はもう生命の生活できる状態では無いと思われた。
宇宙ステーション内では数百年、数千年後は荒れた地球も少しはましになると考え、コールドスリープを実行しようと話がまとまり、施設の管理のために一人ずつのクローンが残り、残ったクローンは自分のクローンを生成、記憶を託し、更なる研究と施設の維持に務めた。
この時に不思議な事が起こり、クローン生成に成功するのは六名のみだったことだ。
ジュ・オン、フランソワーズ、シルビア、クラリス、オリエ、ステラ
他のスタッフでクローン生成に成功できるものは居なかった。
ジュ・オンとオリエの専門は科学、ステーション、シャトルの管理、設計等
ステラは農業生産、水と酸素の循環
他の専門分野のスタッフもコールドスリープに入り、ジュ・オンとオリエが時々起こしては専門知識について質問をして、レーザービームの開発に着手した。
これは地球に落ちていくだろう隕石の排除のために研究、開発を二人が始めて、そして隕石の排除に成功した。
数百年後にステーションから地球が見えるようになり、緑と青く輝く星に戻っていることが確認された。
ジュ・オンとオリエは地球に降りる事を考え始め、シャトルは一機、一度降りると上がってくる燃料とかはない、そこで転移の開発に乗り出した。
物質を転送・・・・私の頭では説明不可 笑
完成するためにはステラの技術も利用されたとだけ付け足しておきます
ただし、当然着手したこの時点ではステラの技術はありません。いずれ偶然発見されるステラの技術
そして偶然見つけたステラの技術は、いずれ恐怖となる物質の分子レベルでの分解、しかし最初に発見されたのは物質の保護、シールドだったのです。
転送について仮説は立てられる、が・・・その仮説に生身の人間が耐えられない
そこでステラのシールドで保護が出来たらとさらに仮説が出来た。
数百年経ったある日、転送に成功する。
二人はシャトルにコールドスリープの機材、転送の送受信、太陽光発電での利用が出来るようにセットした。
施設の管理を行って来たクローン六体はそれぞれ管理・維持を任せるためにクローン生成の数を増やし。
新しいクローンにあとを任せて地上に降りる。
探索を済ませて戻って来た六名は「地上を管理しよう」と提言した。
人類は絶命していなかったのか、新たな人類が誕生したのか、定かではないが、現状中世初期と同じ様相であることを確認、二度と地上を汚してはいけないと文明発達の停止、爆発物の開発を止めるために自分たちでコントロールすることを決めた。
その後地上に降りて来た三人のクローンは転生を繰り返す私と出会う事になった。
三人には私が転生、十歳までは能力も記憶も封印されていることを話しています。
もっと詳細に知りたければ聞けば教えてくれるでしょう。
簡単に書きすぎたかも知れませんが、わかりますよね?
書くのが面倒くさい 笑
まあこれだけ書いておけば私の事ですから十分でしょう。
ああ、三人のマスターなのですが、コールドスリープと言っても低温度維持で、老化現象を緩める機器だったらしく、流石に数千年は無理があり、死亡が確認されているそうです。
私たちは異世界とこの世界の時空を超えて転生を繰り返していると想像できます。
単なる私の妄想かも知れませんが、そのあたりも何とか探ってください。
私はここで神殿建設に協力しましたが、それが未来にどう影響するのかは不明、ただ、城よりも神殿の方が良いような気がしただけです、あとの事は頼みます。
あと魔法の詠唱スペル、知りえた歴史については本棚にと書いてありました。
私は本をディメンションポケットに保管して、上を向いて「ふぅ」と息を吐いたら、つるぎがのぞき込んできて、「俺たちが召喚された後の世界ってとんでもないんだな、召還された方が幸せだったのか?」
え?
と思っていたら
「俺も日本人だからな、読めたぞ、お前も大変だな」
そうですね と言って笑っていると
さやが
「また、二人だけで楽しそうにして、私たちもまぜなさいよ」とふくれていた。 笑
フランソワーズ
「どうでしたか? 何かわかりましたでしょうか」
私
「はい、貴方方三人のマスターが私の前世の幼馴染ですでに死亡が確認されている事や、数千年の間に起こった事象等が簡単に書いてありました。」
続けて
「詳細が知りたければ三人に聞いてみてくださいとも書いてあります」
フランソワーズ
「何か知りたいことがおありでしょうか?」
私
「いえ、今すぐに知りたいことがあるということではありません。」
私は部屋にある本棚の前に行き中を覗いてみると、書くのが面倒くさいと言いつつもいろいろと記録を残してくれている前世の私に感謝しました。
これはオルレイの秘蔵の書庫に本棚ごと移しておくことにしました。
あ、秘蔵の書庫ってこういう事か・・・・笑
振り返って三人に
「この部屋はこれからも私専用で使用してもいいのでしょうか?」と聞いてみると
フランソワーズ
「はい、もちろんでございます」と快諾してもらえたので、即、転移門を床に書き込み、「ちょっと外で待っててください」と皆を外に出して転移で本棚を運び、戻って来てから、創造スキルで部屋の模様替えを行い、石造りの壁に断熱効果のある壁に白い壁紙を貼り、調理、水の確保、トイレ、排水処理等準備・・・・まあ手狭になったのは諦めて、外にいる皆を招き入れ、今後三人にはここを自由に使ってもらっていいと伝えました。
つるぎ
「おまえ・・・・」
さや
「なにこれ、すごいじゃん」
ソロモン
「本当の魔法使いですね」
私
「それいいですね 魔法使いか」
フランソワーズ
「あの、ナリス様 私の方からお聞きしてもよろしいでしょうか?
私
「はい、なんでしょう?」
フランソワーズ
「ダンジョンを攻略されたとか、おめでとうございます。それでダンジョンの管理者はどうなりましたでしょうか?」
私
「それをご存じという事はダンジョンの関係者という事でよろしいでしょうか?」
フランソワーズ
「はい、ダンジョンも私達とナリス様で作りましたので関係者で間違いありません」
え?
私
「前世の私がダンジョン制作を?」
という事は、残念、私が作り出したと思っていたのに創作の能力はすでに作られていた。
まあ 前世と言うだけで私で間違いは無いのですが 笑
!
いやまて 今問題なのはそこじゃない
ダンジョンをつくった・・・
私
「何のために?」
私はフランソワーズを見て思わず聞いてしまった。
フランソワーズ
「ナリス様が 人を集めるには娯楽が必要だ、遊び、冒険に実収入が加わるなら、人は自然と集まってくると言われておりました。」
確かに・・・
つるぎ
「そして人が集まって来て、出来た街がここってわけだ」
フランソワーズ
「はい」
フランソワーズがつづけて
「人が集まると統治が必要になりました。」
つるぎ
「集まって来た中で一番強いやつが好き勝手やり始めたか?」
フランソワーズ
「ダンジョンを作られたナリス様と、神殿を作られたナリス様は違う方です、いえナリス様なのですが、ダンジョンを作った事は覚えておられませんでした。」
つるぎ
「めんどくさいな」
フランソワーズはくすっと笑って
「武力で統治すると、ならず者と同じになってしまうから、助けを求めてくる者たちを助けて自然と人が集まるようにしていこうと、でもそれでは反発する者たちが何もしないということは無いので対応することはやむを得ないと言われておりました。」
つるぎ
「対応って、始末するってことなら大して違いはないだろうが」
私
「いえ、表立って諍いを起こすのと、正義の名のもとに行動をするとでは人心に対して大きな違いが出てくると思います。」
さや
「なるほど、異教徒をなんたら・・・ってやつね」
私
「さらにダンジョンですが、私が作ったのならダンジョンの存在する意味は、人減らしになると思います」
さや
「はぁ?」
私
「強くなりすぎた者たちを合法的に始末できる場所です。」
ソニア
「ダンジョンでモンスターを狩ればお宝を手に入れる事が出来る、一獲千金の夢を見れる場所じゃないの?」
私
「そうですね、小銭を稼いで生活出来る程度だと人は集まっては来ないでしょうから、B級品、A級品ぐらいの物は時々ドロップしないと駄目ですね。」
ソニア
「な、何を言っているの?」
私
「ダンジョンを作った時の私と今の私はたぶん同じ能力を持っているのでしょう」
さや
「どういうこと?」
私
「この部屋を見ればわかるでしょ?」
さや
「わ、わからないわよ」
・・・・・
さや
「なによ、ちゃんと説明してよ」
私
「仕方ないですね・・・笑」
さや
「なに、笑っているのよ」
私
「それは笑いますよ、自分の能力を自慢げに説明するのですから・・・」
さや
「あ・・・ごめん」
私
「最初に言っておきますがこれは私だけのオンリーワンな能力になります。」
つるぎ
「お前だけ・・・」
私
「はい、同じ能力を他の者が持っていることはありません、つるぎが持っている能力、さやの能力は他の者が持っていてもおかしくは無いものです」
さや
「そうね、ナリスに使い方を習ったぐらいだし、私」
私
「では説明しますね、この部屋は何もないところからこれだけの物を作り出しています。」
つるぎ
「錬金術師だな」
私
「等価交換とかありませんよ?」
さや
「だから、どういうことなのよ」
私
「私はダンジョンの階層、部屋、通路、ルール、モンスターの存在、ドロップ品の内容、確率等を決めて作り出すことが可能です。」
さや
「なにをいっているの?」
つるぎ
「さや、少し黙れ」
さや
「!」
つるぎが少し間をおいて
「という事は、お前日本刀を手に入れて喜ぶ必要はないって事じゃないか!」
ソロモンが笑いながら
「なるほど、自分でS級なりSS級なりのレジェンド武器が作れるという事ですね」
フランソワーズが
「それは分かりやすい説明ですね」と笑いながら言った。
私
「ああ、そうですね、でもそれは考えなかったですね」
ソロモン
「貴方は神様では無いのですか?」
私
「どうなのでしょうね、私はこの能力を持ってこの時代にあるものを建設しに来ました。」
さや
「それって聞いても教えてくれないわよね」
私
「はい、教えません」
つるぎ
「その目的は達成できそうなのか?」
私
「半分は達成していますが、この後どうするか思案中です。」
つるぎ
「半分?建設場所が複数で半分終わったのか?」
私
「なかなか鋭いですね、私の思惑とは別にこの時代での私の役割があるようで、それはそれで達成しないと後々困ったことになると思っています。」
さや
「その別の役割ってわかっているの?」
私
「はい」
つるぎ
「それは簡単に終わりそうなのか?」
私
「いえ、たぶんですがあと十年か二十年はかかると思います。」
つるぎ
「そうか、ならその間一緒に居てやる」とニヤッと笑った。
続けて
「なんだ!その嫌そうな顔は!」
あ、わかった?すぐに顔に出るんですよね 笑
さやとソニア
「私たちも、私たちも一緒に居てあげるからね、ね!」
だから 何で嫌そうな顔をするの!
あ・・・・・笑
フランソワーズ
「今生は賑やかで、良かったですね」
つるぎ
「ナリス、ちょっとこっち向け」
回り込んだ、さやが
「顔が引きつっているように見えるんだけど?」
フランソワーズ
「ナリス様、我慢は体によくありませんよ」
さやとソニアが振り返ってフランソワーズを睨み
「ちょっとだまってて」とかぶった 笑
ふくれている二人を無視して
私
「それで質問の回答ですが、ダンジョンの管理者は解放しました。」
フランソワーズ
「解放・・・・大丈夫なのでしょうか?」
私
「ここのダンジョンの管理者は問題ありませんが、オルレイの方のダンジョンはすでに空でしたからあっちの方が問題だと思います」
フランソワーズ
「なぜ 問題が無いのでしょうか?」
つるぎ
「それは」と言いかけた時
さや
「まって 私に言わせて!」
とさえぎって来た
さや
「ここの管理者はドラゴンでなんと、ナリスの知り合いだったのよ」
フランソワーズ
「え?・・・ナリス様はドラゴンにもお知り合いがおられたのですか」
つるぎ
「にも?」
ソロモン
「その言い方では他にもなにか変なものを知り合いに持っていそうですね」
私
「え?」
フランソワーズ
「あの、ナリス様、どうせいずれわかる事なので申し上げておきます。」
私
「なんでしょう」
フランソワーズ
「オルレイのダンジョンの管理者はここの管理者のクローンで、ございます」
黙って考え込んでいる私に
つるぎ
「どうした、何を考えている、心当たりでもあるのか?」
声をかけられてふとつるぎを見て
「オルレイの方はA級ランセンス保持者がボス部屋に到達して全滅しているようなのです。その時の傷を見てドラゴンとでも戦ったのかと思ったと言った人がいました。」
私
「ここの管理者には理性があったが、クローンの方にはなかった?」
フランソワーズ
「はい、お察しの通りでございます。」
私
「現在召還している勇者にそのクローン退治をさせたい?」
フランソワーズ
「はい」
私
「位置情報センサーを埋め込んでいたでしょうけど、役に立っていないのですね」
フランソワーズ
「はい」
私
「わかりました。幸いにもここに勇者として召喚された3人もいますから退治してくれるでしょ 笑」
さや
「な、何を言っているのよ、私攻撃力は半端ないわよ?」
つるぎ
「半端ないわよじゃなくて、なにもないわよだろ」
ソロモン
「ナリスの知り合いのドラゴンに手伝ってもらえばどうだろう」
さや
「それ、それ、それいい考え」
私
「かなり弱っていましたからしっかり養生してもらわないと」
つるぎ
「それでもさやよりはずっと戦力になるだろうけどな」
さや
「な・・・・そうだけど・・・さ」
フランソワーズ
「それはナリス様が生きて居られれば何とかなりそうという事でよろしいでしょうか?」
私
「ええ、そうですね、何とかなると思います」
フランソワーズ
「という事です、ステラ」
つるぎ
「ステラ?」
私
「ああ、つるぎ、貴方を殺した方ですよ」
フランソワーズ
「あら、ステラをご存じなのですね」
私
「いえ良くは知りません、ただ別の前世の私の遺言に「ステラには気をつけろ」と一文がありました。
つるぎ
「お前、俺がどうやってやられたのか知っているのか?」
私
「ええ、全部見ていましたよ?」
つるぎ
「教えろと言ったら?」
私
「残念ですが、説明しても理解できないと思います、というか私もまだ半信半疑です」
つるぎ
「どういうことだ?半信半疑?」
私
「私が考えていることが本当に可能なのかどうかがです」
さや
「また二人だけで・・・」
私
「ステラは間違いなく天才ですよ」
つるぎ
「じゃあ お前も狙われたら手の出しようが無いのか?」
私
「いえ、私の考えの通りだとしたらたぶん防ぐ事は可能だと思います」
さや
「じゃあ ナリスも天才なの?」
私
「うーん。残念、私のはちょっと・・・天才とは呼べないかもです」
ステラの声だけが聞こえて来た
「問題解決まで、命拾いしたな」
私
「残念だけど、ステラ、今回、私は死ぬわけにはいかないので返り討ちにします。覚悟してかかって来てくださいね」
フランソワーズ
「ナリス様 話は変わるのですが、この神殿に金貨を五千枚程、寄付してはいただけませんでしょうか?」
つるぎ
「何を言っている?」
私
「それ・・・・寄付って名目の商業ギルドの納める税金ですか?」
フランソワーズ
「話が早くて助かります。」とにっこり笑って言った。
いやいや
私
「ここって資金難なのですか?」
フランソワーズ
「いえ 税金もしっかり徴収出来ておりますので資金難という事はございません、がもし納めていただけるならそのお金で商人ギルドに依頼をしようと思います。」
つるぎ
「依頼だと?」
フランソワーズ
「はい、少年、少女、幼児等孤児が多いのです、その育成のための場所を作りたいのでございます。」
私
「あ・・・それってもしかして前世の私の発案?」
フランソワーズ
「はい、よくお分かりですね」とフフって声を出して笑っている。
フランソワーズが続けて
「次に来た私が裕福そうなら迷わずお願いしてください」と
つるぎ
「なら、そういえばいいじゃないのか?」
フランソワーズ
「はい、ナリス様はお願いすれば即答してくださると信じておりますが、今回はどうせ出していただけるのですから商業ギルドも救済していただいたほうがいいと判断しました。」
私
「名目、肩書なんかは、どうでもいいからね」
フランソワーズ
「はい、そう言われておりました。」
つるぎ
「お前ってほんとに変な奴だな」
え? つ・・・つるぎに言われるなんて
つるぎ
「お前今失礼な事を考えているだろ!」
あ、ばれた
さや
「だからなんであんた達二人だけで楽しそうにしているのよ」
つるぎ
「お、何を言っているんだ、さや? 俺は全然楽しくないぞ!」
さやに食いついているつるぎの背中を押して
「皆一回外に出てください、金貨を運んできますから」
部屋の開いているスペースに転移で 金貨が千枚入る箱を五つ運んできました。
どこかに運ぶよりこの部屋に置いておいた方が安全だと話をすると、「なるほど、そうですね」と椅子代わりに使い始めるし 笑
今回も何か知らないうちに上手くいき、商業ギルドも神殿も敵対せずに済みました。
うん? ちょっと違うかな? まあぁ いいか 笑
フランソワーズ
「ナリス様、ここに来た目的は達成されたのですか?」
私
「いえ、まだです、が今ではない気がしています。」
フランソワーズ
「何かタイミングがあるのですね。」
さや
「タイミング?」
私
「そうですね タイミングと言えばそうなります。」
フランソワーズ
「ではこの後どうされるのでしょうか?」
私
「そうですね・・・・他にダンジョンがあるなら訪ねて行きたいですが、その孤児院も人手が足りないのでしょ?」
フランソワーズがにっこり笑って「はい」と答え、さらに続けた
「ナリス様ならそう言ってくださると信じていました。」
うわぁ これは手伝わない訳にはいかないか・・・
次の日から孤児院について話をはじめ、建設予定地、規模、見取り図、間取り等を考えて行った。
土地も木材も石材も水も豊富な土地なので自由に出来るそれと、排水は川に垂れ流し・・・・
まあ、しょうがないかな・・・
つるぎ
「いや、お前がサクッと作ってしまったらいいだろう?」
私
「あまり大勢の目撃者を作るのもあとあと、大変そうだから」笑
フランソワーズ
「そうですね、あまりにも簡単に作れると大勢の方が自分にもと求めてくるでしょうね」
木を伐採して土地の確保、洪水の時には避難所として使えるように石を積んで少し高台にし、住居スペースと学び舎、修練所、そして隣に商業ギルドの倉庫、主に食糧庫を置き、この食糧庫はこの国での販売用の商品そして利益から孤児院用の食料を賄う事になりました。
商業ギルドを巻き込んだのでとんとんと話も工事も進み、スタッフも準備し、めどが立ったので旅立つことにしました。
フランソワーズ
「ナリス様、ご助力感謝いたします。」
つるぎ
「で? どこに向かうんだ?」
フランソワーズ
「ここから西に馬車で十日ほど行くとこの国の首都「ディンガム」につくでしょう、そこから国境を越えて南西の方に行くと二十日程でダリア王国の首都「ダリアン」に到着その後、さらに西に向かって「リアン」を目指されたらよろしいかと思います。ダリアンからリアンまでは七日程でしょうか、このリアンにダンジョンがあります。」
つるぎ
「のんびり行っても二か月ぐらいか」
私
「じゃあ 明日、日が昇ったら出発しますか」
さや
「勝手に一人で行くんじゃないよ?」
ソニア
「いや、信用できないね、今日は一緒に寝ないと」
こらこら
私
「フランソワーズ様、明日挨拶しに立ち寄ります」
今日はこれで失礼します
バッカス
「明日出発か、じゃあ 今夜はナリスの奢りでパーっとやろう」
なんだと?
つるぎ
「それはナイスなアイディアだ」
まて
ソロモン
「うむ、名残を惜しんで乾杯しよう」
お前、残るんだな?
フランソワーズ
「あら、では私たちもご一緒させていただきます」
なに?
バッカス
「おお、楽しくなりそうだな」
ぜんぜん
何故か商業ギルドの偉そうなおっさんたちまでやって来て好き勝手飲み食いして騒いでいる
なんだ、こいつらは・・・・
うーん
まぁ いいか楽しそうだし 笑
酔っ払いの時間は進むのがはやい
ソニア
「神殿は街の真ん中にあるからすぐにわかるわよ」
さや
「そそ、街の中央目指して少し歩けば、見えてくるわ」
ソニア
「あの角を左に曲がると正面に見えてくるわ」
建物の角を左に曲がると向こうの方にそれらしきものが見えています。
円柱が何本も建てられてた建築物、どこかで見たような
神殿に向かって通りを歩いていて気が付きました。
あれは、老人ジュ・オンさんだ
誰かを見張っているのでしょうか?
異世界転生者、召還者って意外と多い、意外?少ないとか自分だけとかは固定観念でしかない・・・
通りを歩いて神殿に近づいてくると二人の人影が見えて来た、あ、あれはフラン様とシルビア様だ
こっちを見ていますけど、私の事を知っているはずは、無いと思いますが、うぅん、こっちを見ているなあ
素通りしようとしたのですが、「ナリス様」とフランソワーズ様から声をかけられました。
え?
フランソワーズ様の方を振り返りましたが、顔に出ていたのでしょうか?
フランソワーズ様
「やっぱり、私どもの事はお忘れになっておられるのですね、残念です」
さや
「ナリス、あんた知り合いだったの?」
私
「知り合い?」になるのかな
考えているとフラン様が続けて
「前回お会いしてからまだ、百年までは立っていないと思います、この神殿を建設するときもナリス様は携わっておられます。」
え?
シルビア様
「お会いするたびに同じ会話をしておりますよ、いつも私たちの事をお忘れになっておられます」
さや
「あんたち、年、いくつなのよ」
私
「十二歳にはなったと思います」
フランソワーズ様
「この神殿の建設に四十年程関わっておられて、建設途中で亡くなられました、その後五十年ぐらいたってから完成しております」
シルビア様
「基礎工事として土台を先に作って、それから、地下一階の建設の時にご自分の部屋を用意されました。」
フランソワーズ様
「今もその部屋は残っております、というか誰も入れない、封印の間となっております。」
さや
「封印?」
シルビア様
「はい、鍵穴とかもないのに扉が開きません」
フランソワーズ様
「どうですか?興味ありますか?ご覧になられますか?」とにっこり笑って言われました。
ソニア
「大丈夫かな、罠とかじゃないの?」
フランソワーズ様
「ナリス様はいつも私たちを敵だと認識されておりますが、私たちは敵ではありません」
さや
「その言葉を信じろと言われてもなぁ」
この神殿の建設に関わっている・・・創作ではなさそうですが、はて
私
「その部屋に行ってみればわかると思います」
え・・・
さや
「いくの?」
ええ
ソニア
「大丈夫?」
問題無いと思います
ではフラン様、シルビア様案内よろしくお願いします
フラン様
「はい、こちらでございます。」
神殿に入って地下一階に降りて、隅の方に移動、扉がありました。
フラン様
「ここが開かずの間になります。」
扉に近づいてみるといつものごとく扉が光り、それに反応したつるぎが身構えたのが解りました。笑
軽く押しただけでいつものように扉は開きました。
フラン様
「やっぱり、ナリス様の専用なのですね、この部屋は」
あ、なるほど
扉が光るのは、私の魔力を補充しているのか
部屋の中で天上に明かりが灯りました。
中に入ってみると、本棚と中央にテーブルとイス、テーブルの上に箱が置いてあり、箱の下に紙が少しはみ出して見える。
紙をとってみると「ようこそ、次世代の私」と書いてある。
箱は封印されているようで、「我、ナリスが命じる封印を解け」
箱が開き、中には本が一冊、手に取りページをめくる。
私の前世の記憶と今を次世代の私に送る
私の前世の世界 そこは平和な日常をおくる、日本と言う名の国にある九州と呼ばれるところです。
そこは異世界ではなく、数千年前のこの世界と思われます。
私には三人の幼馴染の女性が居ました。
フランソワーズ真田
シルビア山本
クラリス武田
三人とも外国籍の母が日本に嫁いできて、父親の仕事の都合で九州に引っ越して来ていました。
小学校入学前ぐらいから中学校まで一緒に通いました。
正確には中学校入学後三か月まで、私は 十三歳で他界したからです。
臓器移植を行えば助かるかもしれない、が移植は出来ませんでした。
その後この世界の片隅に転生してきた私が十歳を超えて記憶が戻り、十二歳でこの街に来たときに見つけたのは幼馴染の三人の姿、そっくりな人が居てもおかしくは無いのですが、三人が揃って並んで立っているのを見つけたのです。
三人も私を見つけ、近くまで来て「ナリス様お久しぶりです」と声をかけてきました。
ビックリしている私を見て「ナリス様、私たちを覚えておいでですか」と聞いてきた。
思わず「フランソワーズ真田だろ」と答えてしまったのだが、それを聞いたフランは大粒の涙を流しながら「やっと会えました」
シルビアが私は?
私
「シルビア山本とそっちはクラリス武田」
フランソワーズ
「いつかは貴方が転生してくると信じて待っていました。」
どういう事?
三人は私が世を去った後、医学の道に進むことを決め、高校、大学と三人一緒に進学して、医者の資格を取得、クローン技術の開発を極秘に行っていた医療機関に入り、三人でクローン生成に取り組んだと聞きました。
地上ではこの開発は危険だと判断した医療機関及びスポンサーたちは宇宙ステーションでの研究に切り替えるべく、ステーションの開発、打ち上げ、生活するための水と食料の自給自足等専門スタッフをそろえ、開発に取り組み数十年後宇宙ステーションでの研究に切り替わった。
三人はこのプロジェクトに名乗り出て、宇宙にのぼり、私が世を去った後五十年後ぐらいで人間のクローン開発を成功させた。
しかし成功確率は 三分の一から三分の二 三人に一人は失敗して死亡したとの事
フラン、シルビア、クラリス、はそれぞれ二体のクローンに自分の記憶を本にして読ませ、古い写真を見せ自分たちの思いを託した。
そして世界は終焉の日を迎える。
核戦争勃発、宇宙ステーションからは地球の姿は見えなくなってしまった。
地球全体が爆炎から出た煙で包まれたのだろう。
地球はもう生命の生活できる状態では無いと思われた。
宇宙ステーション内では数百年、数千年後は荒れた地球も少しはましになると考え、コールドスリープを実行しようと話がまとまり、施設の管理のために一人ずつのクローンが残り、残ったクローンは自分のクローンを生成、記憶を託し、更なる研究と施設の維持に務めた。
この時に不思議な事が起こり、クローン生成に成功するのは六名のみだったことだ。
ジュ・オン、フランソワーズ、シルビア、クラリス、オリエ、ステラ
他のスタッフでクローン生成に成功できるものは居なかった。
ジュ・オンとオリエの専門は科学、ステーション、シャトルの管理、設計等
ステラは農業生産、水と酸素の循環
他の専門分野のスタッフもコールドスリープに入り、ジュ・オンとオリエが時々起こしては専門知識について質問をして、レーザービームの開発に着手した。
これは地球に落ちていくだろう隕石の排除のために研究、開発を二人が始めて、そして隕石の排除に成功した。
数百年後にステーションから地球が見えるようになり、緑と青く輝く星に戻っていることが確認された。
ジュ・オンとオリエは地球に降りる事を考え始め、シャトルは一機、一度降りると上がってくる燃料とかはない、そこで転移の開発に乗り出した。
物質を転送・・・・私の頭では説明不可 笑
完成するためにはステラの技術も利用されたとだけ付け足しておきます
ただし、当然着手したこの時点ではステラの技術はありません。いずれ偶然発見されるステラの技術
そして偶然見つけたステラの技術は、いずれ恐怖となる物質の分子レベルでの分解、しかし最初に発見されたのは物質の保護、シールドだったのです。
転送について仮説は立てられる、が・・・その仮説に生身の人間が耐えられない
そこでステラのシールドで保護が出来たらとさらに仮説が出来た。
数百年経ったある日、転送に成功する。
二人はシャトルにコールドスリープの機材、転送の送受信、太陽光発電での利用が出来るようにセットした。
施設の管理を行って来たクローン六体はそれぞれ管理・維持を任せるためにクローン生成の数を増やし。
新しいクローンにあとを任せて地上に降りる。
探索を済ませて戻って来た六名は「地上を管理しよう」と提言した。
人類は絶命していなかったのか、新たな人類が誕生したのか、定かではないが、現状中世初期と同じ様相であることを確認、二度と地上を汚してはいけないと文明発達の停止、爆発物の開発を止めるために自分たちでコントロールすることを決めた。
その後地上に降りて来た三人のクローンは転生を繰り返す私と出会う事になった。
三人には私が転生、十歳までは能力も記憶も封印されていることを話しています。
もっと詳細に知りたければ聞けば教えてくれるでしょう。
簡単に書きすぎたかも知れませんが、わかりますよね?
書くのが面倒くさい 笑
まあこれだけ書いておけば私の事ですから十分でしょう。
ああ、三人のマスターなのですが、コールドスリープと言っても低温度維持で、老化現象を緩める機器だったらしく、流石に数千年は無理があり、死亡が確認されているそうです。
私たちは異世界とこの世界の時空を超えて転生を繰り返していると想像できます。
単なる私の妄想かも知れませんが、そのあたりも何とか探ってください。
私はここで神殿建設に協力しましたが、それが未来にどう影響するのかは不明、ただ、城よりも神殿の方が良いような気がしただけです、あとの事は頼みます。
あと魔法の詠唱スペル、知りえた歴史については本棚にと書いてありました。
私は本をディメンションポケットに保管して、上を向いて「ふぅ」と息を吐いたら、つるぎがのぞき込んできて、「俺たちが召喚された後の世界ってとんでもないんだな、召還された方が幸せだったのか?」
え?
と思っていたら
「俺も日本人だからな、読めたぞ、お前も大変だな」
そうですね と言って笑っていると
さやが
「また、二人だけで楽しそうにして、私たちもまぜなさいよ」とふくれていた。 笑
フランソワーズ
「どうでしたか? 何かわかりましたでしょうか」
私
「はい、貴方方三人のマスターが私の前世の幼馴染ですでに死亡が確認されている事や、数千年の間に起こった事象等が簡単に書いてありました。」
続けて
「詳細が知りたければ三人に聞いてみてくださいとも書いてあります」
フランソワーズ
「何か知りたいことがおありでしょうか?」
私
「いえ、今すぐに知りたいことがあるということではありません。」
私は部屋にある本棚の前に行き中を覗いてみると、書くのが面倒くさいと言いつつもいろいろと記録を残してくれている前世の私に感謝しました。
これはオルレイの秘蔵の書庫に本棚ごと移しておくことにしました。
あ、秘蔵の書庫ってこういう事か・・・・笑
振り返って三人に
「この部屋はこれからも私専用で使用してもいいのでしょうか?」と聞いてみると
フランソワーズ
「はい、もちろんでございます」と快諾してもらえたので、即、転移門を床に書き込み、「ちょっと外で待っててください」と皆を外に出して転移で本棚を運び、戻って来てから、創造スキルで部屋の模様替えを行い、石造りの壁に断熱効果のある壁に白い壁紙を貼り、調理、水の確保、トイレ、排水処理等準備・・・・まあ手狭になったのは諦めて、外にいる皆を招き入れ、今後三人にはここを自由に使ってもらっていいと伝えました。
つるぎ
「おまえ・・・・」
さや
「なにこれ、すごいじゃん」
ソロモン
「本当の魔法使いですね」
私
「それいいですね 魔法使いか」
フランソワーズ
「あの、ナリス様 私の方からお聞きしてもよろしいでしょうか?
私
「はい、なんでしょう?」
フランソワーズ
「ダンジョンを攻略されたとか、おめでとうございます。それでダンジョンの管理者はどうなりましたでしょうか?」
私
「それをご存じという事はダンジョンの関係者という事でよろしいでしょうか?」
フランソワーズ
「はい、ダンジョンも私達とナリス様で作りましたので関係者で間違いありません」
え?
私
「前世の私がダンジョン制作を?」
という事は、残念、私が作り出したと思っていたのに創作の能力はすでに作られていた。
まあ 前世と言うだけで私で間違いは無いのですが 笑
!
いやまて 今問題なのはそこじゃない
ダンジョンをつくった・・・
私
「何のために?」
私はフランソワーズを見て思わず聞いてしまった。
フランソワーズ
「ナリス様が 人を集めるには娯楽が必要だ、遊び、冒険に実収入が加わるなら、人は自然と集まってくると言われておりました。」
確かに・・・
つるぎ
「そして人が集まって来て、出来た街がここってわけだ」
フランソワーズ
「はい」
フランソワーズがつづけて
「人が集まると統治が必要になりました。」
つるぎ
「集まって来た中で一番強いやつが好き勝手やり始めたか?」
フランソワーズ
「ダンジョンを作られたナリス様と、神殿を作られたナリス様は違う方です、いえナリス様なのですが、ダンジョンを作った事は覚えておられませんでした。」
つるぎ
「めんどくさいな」
フランソワーズはくすっと笑って
「武力で統治すると、ならず者と同じになってしまうから、助けを求めてくる者たちを助けて自然と人が集まるようにしていこうと、でもそれでは反発する者たちが何もしないということは無いので対応することはやむを得ないと言われておりました。」
つるぎ
「対応って、始末するってことなら大して違いはないだろうが」
私
「いえ、表立って諍いを起こすのと、正義の名のもとに行動をするとでは人心に対して大きな違いが出てくると思います。」
さや
「なるほど、異教徒をなんたら・・・ってやつね」
私
「さらにダンジョンですが、私が作ったのならダンジョンの存在する意味は、人減らしになると思います」
さや
「はぁ?」
私
「強くなりすぎた者たちを合法的に始末できる場所です。」
ソニア
「ダンジョンでモンスターを狩ればお宝を手に入れる事が出来る、一獲千金の夢を見れる場所じゃないの?」
私
「そうですね、小銭を稼いで生活出来る程度だと人は集まっては来ないでしょうから、B級品、A級品ぐらいの物は時々ドロップしないと駄目ですね。」
ソニア
「な、何を言っているの?」
私
「ダンジョンを作った時の私と今の私はたぶん同じ能力を持っているのでしょう」
さや
「どういうこと?」
私
「この部屋を見ればわかるでしょ?」
さや
「わ、わからないわよ」
・・・・・
さや
「なによ、ちゃんと説明してよ」
私
「仕方ないですね・・・笑」
さや
「なに、笑っているのよ」
私
「それは笑いますよ、自分の能力を自慢げに説明するのですから・・・」
さや
「あ・・・ごめん」
私
「最初に言っておきますがこれは私だけのオンリーワンな能力になります。」
つるぎ
「お前だけ・・・」
私
「はい、同じ能力を他の者が持っていることはありません、つるぎが持っている能力、さやの能力は他の者が持っていてもおかしくは無いものです」
さや
「そうね、ナリスに使い方を習ったぐらいだし、私」
私
「では説明しますね、この部屋は何もないところからこれだけの物を作り出しています。」
つるぎ
「錬金術師だな」
私
「等価交換とかありませんよ?」
さや
「だから、どういうことなのよ」
私
「私はダンジョンの階層、部屋、通路、ルール、モンスターの存在、ドロップ品の内容、確率等を決めて作り出すことが可能です。」
さや
「なにをいっているの?」
つるぎ
「さや、少し黙れ」
さや
「!」
つるぎが少し間をおいて
「という事は、お前日本刀を手に入れて喜ぶ必要はないって事じゃないか!」
ソロモンが笑いながら
「なるほど、自分でS級なりSS級なりのレジェンド武器が作れるという事ですね」
フランソワーズが
「それは分かりやすい説明ですね」と笑いながら言った。
私
「ああ、そうですね、でもそれは考えなかったですね」
ソロモン
「貴方は神様では無いのですか?」
私
「どうなのでしょうね、私はこの能力を持ってこの時代にあるものを建設しに来ました。」
さや
「それって聞いても教えてくれないわよね」
私
「はい、教えません」
つるぎ
「その目的は達成できそうなのか?」
私
「半分は達成していますが、この後どうするか思案中です。」
つるぎ
「半分?建設場所が複数で半分終わったのか?」
私
「なかなか鋭いですね、私の思惑とは別にこの時代での私の役割があるようで、それはそれで達成しないと後々困ったことになると思っています。」
さや
「その別の役割ってわかっているの?」
私
「はい」
つるぎ
「それは簡単に終わりそうなのか?」
私
「いえ、たぶんですがあと十年か二十年はかかると思います。」
つるぎ
「そうか、ならその間一緒に居てやる」とニヤッと笑った。
続けて
「なんだ!その嫌そうな顔は!」
あ、わかった?すぐに顔に出るんですよね 笑
さやとソニア
「私たちも、私たちも一緒に居てあげるからね、ね!」
だから 何で嫌そうな顔をするの!
あ・・・・・笑
フランソワーズ
「今生は賑やかで、良かったですね」
つるぎ
「ナリス、ちょっとこっち向け」
回り込んだ、さやが
「顔が引きつっているように見えるんだけど?」
フランソワーズ
「ナリス様、我慢は体によくありませんよ」
さやとソニアが振り返ってフランソワーズを睨み
「ちょっとだまってて」とかぶった 笑
ふくれている二人を無視して
私
「それで質問の回答ですが、ダンジョンの管理者は解放しました。」
フランソワーズ
「解放・・・・大丈夫なのでしょうか?」
私
「ここのダンジョンの管理者は問題ありませんが、オルレイの方のダンジョンはすでに空でしたからあっちの方が問題だと思います」
フランソワーズ
「なぜ 問題が無いのでしょうか?」
つるぎ
「それは」と言いかけた時
さや
「まって 私に言わせて!」
とさえぎって来た
さや
「ここの管理者はドラゴンでなんと、ナリスの知り合いだったのよ」
フランソワーズ
「え?・・・ナリス様はドラゴンにもお知り合いがおられたのですか」
つるぎ
「にも?」
ソロモン
「その言い方では他にもなにか変なものを知り合いに持っていそうですね」
私
「え?」
フランソワーズ
「あの、ナリス様、どうせいずれわかる事なので申し上げておきます。」
私
「なんでしょう」
フランソワーズ
「オルレイのダンジョンの管理者はここの管理者のクローンで、ございます」
黙って考え込んでいる私に
つるぎ
「どうした、何を考えている、心当たりでもあるのか?」
声をかけられてふとつるぎを見て
「オルレイの方はA級ランセンス保持者がボス部屋に到達して全滅しているようなのです。その時の傷を見てドラゴンとでも戦ったのかと思ったと言った人がいました。」
私
「ここの管理者には理性があったが、クローンの方にはなかった?」
フランソワーズ
「はい、お察しの通りでございます。」
私
「現在召還している勇者にそのクローン退治をさせたい?」
フランソワーズ
「はい」
私
「位置情報センサーを埋め込んでいたでしょうけど、役に立っていないのですね」
フランソワーズ
「はい」
私
「わかりました。幸いにもここに勇者として召喚された3人もいますから退治してくれるでしょ 笑」
さや
「な、何を言っているのよ、私攻撃力は半端ないわよ?」
つるぎ
「半端ないわよじゃなくて、なにもないわよだろ」
ソロモン
「ナリスの知り合いのドラゴンに手伝ってもらえばどうだろう」
さや
「それ、それ、それいい考え」
私
「かなり弱っていましたからしっかり養生してもらわないと」
つるぎ
「それでもさやよりはずっと戦力になるだろうけどな」
さや
「な・・・・そうだけど・・・さ」
フランソワーズ
「それはナリス様が生きて居られれば何とかなりそうという事でよろしいでしょうか?」
私
「ええ、そうですね、何とかなると思います」
フランソワーズ
「という事です、ステラ」
つるぎ
「ステラ?」
私
「ああ、つるぎ、貴方を殺した方ですよ」
フランソワーズ
「あら、ステラをご存じなのですね」
私
「いえ良くは知りません、ただ別の前世の私の遺言に「ステラには気をつけろ」と一文がありました。
つるぎ
「お前、俺がどうやってやられたのか知っているのか?」
私
「ええ、全部見ていましたよ?」
つるぎ
「教えろと言ったら?」
私
「残念ですが、説明しても理解できないと思います、というか私もまだ半信半疑です」
つるぎ
「どういうことだ?半信半疑?」
私
「私が考えていることが本当に可能なのかどうかがです」
さや
「また二人だけで・・・」
私
「ステラは間違いなく天才ですよ」
つるぎ
「じゃあ お前も狙われたら手の出しようが無いのか?」
私
「いえ、私の考えの通りだとしたらたぶん防ぐ事は可能だと思います」
さや
「じゃあ ナリスも天才なの?」
私
「うーん。残念、私のはちょっと・・・天才とは呼べないかもです」
ステラの声だけが聞こえて来た
「問題解決まで、命拾いしたな」
私
「残念だけど、ステラ、今回、私は死ぬわけにはいかないので返り討ちにします。覚悟してかかって来てくださいね」
フランソワーズ
「ナリス様 話は変わるのですが、この神殿に金貨を五千枚程、寄付してはいただけませんでしょうか?」
つるぎ
「何を言っている?」
私
「それ・・・・寄付って名目の商業ギルドの納める税金ですか?」
フランソワーズ
「話が早くて助かります。」とにっこり笑って言った。
いやいや
私
「ここって資金難なのですか?」
フランソワーズ
「いえ 税金もしっかり徴収出来ておりますので資金難という事はございません、がもし納めていただけるならそのお金で商人ギルドに依頼をしようと思います。」
つるぎ
「依頼だと?」
フランソワーズ
「はい、少年、少女、幼児等孤児が多いのです、その育成のための場所を作りたいのでございます。」
私
「あ・・・それってもしかして前世の私の発案?」
フランソワーズ
「はい、よくお分かりですね」とフフって声を出して笑っている。
フランソワーズが続けて
「次に来た私が裕福そうなら迷わずお願いしてください」と
つるぎ
「なら、そういえばいいじゃないのか?」
フランソワーズ
「はい、ナリス様はお願いすれば即答してくださると信じておりますが、今回はどうせ出していただけるのですから商業ギルドも救済していただいたほうがいいと判断しました。」
私
「名目、肩書なんかは、どうでもいいからね」
フランソワーズ
「はい、そう言われておりました。」
つるぎ
「お前ってほんとに変な奴だな」
え? つ・・・つるぎに言われるなんて
つるぎ
「お前今失礼な事を考えているだろ!」
あ、ばれた
さや
「だからなんであんた達二人だけで楽しそうにしているのよ」
つるぎ
「お、何を言っているんだ、さや? 俺は全然楽しくないぞ!」
さやに食いついているつるぎの背中を押して
「皆一回外に出てください、金貨を運んできますから」
部屋の開いているスペースに転移で 金貨が千枚入る箱を五つ運んできました。
どこかに運ぶよりこの部屋に置いておいた方が安全だと話をすると、「なるほど、そうですね」と椅子代わりに使い始めるし 笑
今回も何か知らないうちに上手くいき、商業ギルドも神殿も敵対せずに済みました。
うん? ちょっと違うかな? まあぁ いいか 笑
フランソワーズ
「ナリス様、ここに来た目的は達成されたのですか?」
私
「いえ、まだです、が今ではない気がしています。」
フランソワーズ
「何かタイミングがあるのですね。」
さや
「タイミング?」
私
「そうですね タイミングと言えばそうなります。」
フランソワーズ
「ではこの後どうされるのでしょうか?」
私
「そうですね・・・・他にダンジョンがあるなら訪ねて行きたいですが、その孤児院も人手が足りないのでしょ?」
フランソワーズがにっこり笑って「はい」と答え、さらに続けた
「ナリス様ならそう言ってくださると信じていました。」
うわぁ これは手伝わない訳にはいかないか・・・
次の日から孤児院について話をはじめ、建設予定地、規模、見取り図、間取り等を考えて行った。
土地も木材も石材も水も豊富な土地なので自由に出来るそれと、排水は川に垂れ流し・・・・
まあ、しょうがないかな・・・
つるぎ
「いや、お前がサクッと作ってしまったらいいだろう?」
私
「あまり大勢の目撃者を作るのもあとあと、大変そうだから」笑
フランソワーズ
「そうですね、あまりにも簡単に作れると大勢の方が自分にもと求めてくるでしょうね」
木を伐採して土地の確保、洪水の時には避難所として使えるように石を積んで少し高台にし、住居スペースと学び舎、修練所、そして隣に商業ギルドの倉庫、主に食糧庫を置き、この食糧庫はこの国での販売用の商品そして利益から孤児院用の食料を賄う事になりました。
商業ギルドを巻き込んだのでとんとんと話も工事も進み、スタッフも準備し、めどが立ったので旅立つことにしました。
フランソワーズ
「ナリス様、ご助力感謝いたします。」
つるぎ
「で? どこに向かうんだ?」
フランソワーズ
「ここから西に馬車で十日ほど行くとこの国の首都「ディンガム」につくでしょう、そこから国境を越えて南西の方に行くと二十日程でダリア王国の首都「ダリアン」に到着その後、さらに西に向かって「リアン」を目指されたらよろしいかと思います。ダリアンからリアンまでは七日程でしょうか、このリアンにダンジョンがあります。」
つるぎ
「のんびり行っても二か月ぐらいか」
私
「じゃあ 明日、日が昇ったら出発しますか」
さや
「勝手に一人で行くんじゃないよ?」
ソニア
「いや、信用できないね、今日は一緒に寝ないと」
こらこら
私
「フランソワーズ様、明日挨拶しに立ち寄ります」
今日はこれで失礼します
バッカス
「明日出発か、じゃあ 今夜はナリスの奢りでパーっとやろう」
なんだと?
つるぎ
「それはナイスなアイディアだ」
まて
ソロモン
「うむ、名残を惜しんで乾杯しよう」
お前、残るんだな?
フランソワーズ
「あら、では私たちもご一緒させていただきます」
なに?
バッカス
「おお、楽しくなりそうだな」
ぜんぜん
何故か商業ギルドの偉そうなおっさんたちまでやって来て好き勝手飲み食いして騒いでいる
なんだ、こいつらは・・・・
うーん
まぁ いいか楽しそうだし 笑
酔っ払いの時間は進むのがはやい
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